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ホタルが水利きした
日本酒〈語蛍〉。
森林保全への貢献も

コロカルニュース

posted:2024.7.27   from:三重県多気郡大台町  genre:食・グルメ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
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writer profile

Kanae Yamada

山田佳苗

やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。

〈語蛍〉720ml 4800円 原材料:米(国産)・米麹(国産米)アルコール度15度

酒造のテーマは「失われつつある日本の原風景を伝え残すこと」

メガソーラーの設置、過度な森林伐採など。
近年、古来から続く森林環境へ人の手が加わり、
水質悪化や生態系への影響が危惧されています。

里山の夏の風物詩であるホタルにも、その影響は顕著。
清流を好むホタル生息域は、この50年で10分の1になったそうです。

同じく「水」が製造の要である日本酒ですが、
後継者不足や経営破綻などによる廃業などから
1999~2019年の20年間で、全国の酒蔵の数は
2007社から1235社に激減しています(※)。
※:国税庁「清酒製造業の概況 令和2年調査分」より。

日本酒〈語蛍(かたる ほたる)〉

三重県で1805年創業の老舗・元坂酒造は、森林環境の保全への願いと、
そのようなホタルと日本酒には上質な水が欠かすことができないという共通点から、
「失われつつある日本の原風景を伝え残すこと」をテーマに、
ホタルが訪れた年にだけ製造する日本酒〈語蛍(かたる ほたる)〉を発表。
2024年6月21日に2500本もの語蛍が発売されました。

〈語蛍(かたる ほたる)〉のラベル

ラベルには、元坂酒造の取水地である宮川(大台町柳原)で、その年にはじめてホタルが観測された日付が刻まれています。今年発売されたものには、2023年6月7日の文字が。

元坂酒造の重要な原料である水は、
国交相の一級河川水質調査で過去何度も日本一と評価され、
「清流日本一」として名高い日本屈指の清流・宮川です。

自らの学問を「発光生物学」と称し、
ホタルや発光キノコなどを研究する大場裕一教授も、
宮川のことをこのように話しています。

教授 大場裕一

大場裕一教授 1970年札幌生まれ。山形育ち。北海道大学理学部化学科卒業。基礎生物学研究所、名古屋大学大学院生命農学研究科を経て、現在中部大学応用生物学部環境生物科学科教授。中部大学蝶類研究資料館副館長。中部大学民俗資料博物館副館長、中部大学創造的リベラルアーツセンター兼任。自らの学問を「発光生物学」と称し、ホタルから、発光キノコ、深海魚まで、あらゆる発光する生物を研究している。主な著書に『ホタルの光は、なぞだらけ』(青少年読書感想文全国コンクール課題図書、くもん出版)、『恐竜はホタルを見たか』(岩波科学ライブラリー)、『光る生き物の科学』(日本評論社)、『世界の発光生物』(名古屋大学出版会)など。

ゲンジボタル

「過去11回にわたり「水質1位」を獲得している宮川は、
極めて水質の高い河川です。
ゲンジボタルは河川の水質の問題に加え、
光の明るさや河川の護岸がコンクリート舗装されているかなど、
様々な要因で出現するか否かが決まると言われていますが、
特に水質においては、生活排水や工業廃水などによる汚染が
極めて少ないことがホタルの生息に影響する要因のひとつです」

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〈Ăn Cơm〉ソムリエが開発した軽やかな味わい

商品開発は、シュランガイドでもビブグルマンを獲得している
モダンベトナミーズ〈Ăn Cơm〉ソムリエの梅村建之氏が監修。
水本来が持つ甘みをテーマに、現代的な味わいで、
日本酒を飲み慣れてない方でも飲みやすいそう。

梅村 建之

梅村 建之 / Ăn Cơm 店長 万平ホテルでキャリアをスタート。銀座のクラシックフレンチKAIRADAにてマネージャー件ソムリエとして勤務。Ăn Cơmの店長として立ち上げに携わり、ベトナム料理と日本酒のペアリングを手がける。クラフトSAKEからどっしり日本酒の燗まで幅広い日本酒の愉しみ方を提案。その新しいスタイルが評価され、2022年、23年にはビブグルマン獲得。

「バラのような甘やかなお花やほのかに香るバナナのニュアンス。
味わいは、上品な甘味で構成されており、
柔らかくキメの細かいテクスチャーは清流宮川を表現しています。
アタックからフィニッシュまで通して、
一貫性のある綺麗な透明感と随所に感じられる瑞々しさがあり、
お水のようにスルスルと飲み進められるお酒です」と、梅村さん。
6〜7度に冷やして、薄口の小ぶりなグラスで飲むと、
より一層お酒の味わいや風味を感じられるとのことです。

環境負荷をかけないよう、製造の段階から配慮が

リターナブル瓶

また、お酒を入れる瓶にも環境への配慮が。
すべてリターナブル瓶を使用し、
製造時のCO2排出量は1本あたり120グラム減少できるそうです。
製造時も環境負荷は最小限になるような工夫がなされ、
1本あたりの売り上げから150円が三重県大台町に寄付され、
宮川の水質保全に係る取り組みへと当てられます。

元坂 新平

元坂 新平 1987年生まれ。創業から6代続く家業の〈元坂酒造(株)〉にて専務取締役を務める。先代から続く銘柄〈酒屋八兵衛〉を守り育てるとともに、自身による新銘柄〈KINO〉を立ち上げ、国内外の新しい市場を開拓している。

「私たち元坂酒造の酒造りは、
機械設備により醸造環境のコントロールをするような
近代の日本酒にみられる工業的酒づくりではありません。
宮川とその宮川が侵食した事で形成された土地を生かし、
その年の天候や雨量を自然からの授かりものとして受け入れる、
極めて自然な酒づくりです。
だからこそ、酒造りを生業として続けていくためにも、
宮川の水を守りこの里山の風景を守ることが不可欠なのです」

清流酒〈語蛍〉が生まれるまでの軌跡を記録したムービー。

コンセプトから製造、味わい、
そのすべてが神秘的で奇跡のような〈語蛍〉。
宮川が産んだまぶしい一本をぜひ、
この夏の粋として味わってみてください。

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語蛍(KATARU HOTARU)

*価格はすべて税込です。

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