幻の「寒晒しそば」に「とうじそば」、 “あまからぴん”のおろしそばまで。 レアでディープな信州そばをご紹介!

食べられるのは1年で10日ほど! 貴重な「献上寒晒しそば」

長野県に行ったら食べたいものの不動の一番手が「信州そば」。
とあるニュースサイトの調査によると
「そばがおいしそうな都道府県は」の問いに
4割以上の方が「長野県」と回答したそうです。

それもそのはず、高冷地の穀物として古くから栽培され、
国内有数の生産地であるとともに、ひとり当たりのそば店数も日本一。
そば切り発祥の地とも言われています。

そんな信州そばにはいろいろな品種や製法、盛りつけ方、食べ方があり、
地域によって千差万別。長野県民でも滅多に食べられない
「幻のそば」と言われるものも多く、各地に独自のそば文化が根づいています。

そのひとつが、1年のうち、夏のわずか10日間ほどしか食べられないとも言われる
「献上寒晒し(かんざらし)そば」。
晴天率が高くて湿度が低く、冬は氷点下10度を下回る日もある
八ヶ岳西麓の茅野市に江戸時代から伝わるそばです。

献上寒晒し(かんざらし)そば

その製法はひと手間もふた手間もかかっています。
まず、秋に収穫した玄そば(そばの実)を厳選し、
大寒の時期に八ヶ岳から流れ出る清流に1週間から10日ほど
殻がついたまま浸して、生きた玄そばを仮死状態にします。
その後、1か月から1か月半かけて寒風にさらすことで少しずつ水分を抜きます。
こうすることで玄そばのアクが抜け、でんぷんの糖度が増して甘みが加わるのだそう。

寒晒しの作業

山間の急な土手の斜面を下り、清流の中で毎日気温と水温を確認しながら玄そばの入った袋をひっくり返す寒晒しの作業。これにより品質を劣化させず保存できるのだとか。

玄そばの確認作業

玄そばの乾燥中は割れなどを防ぐために常に確認が必要です。

さらに、この玄そばを夏まで土蔵で熟成させ、中心層のみを取り出して製粉し、
つなぎを使わない「十割そば」として、
7月の土用の頃だけ数量限定で提供されるのです。
もちもちとした食感と雑味のないふんわりとした上品な甘みは絶品! 
例年、わずか10日ほどで完売してしまうため、
確実に食べたい方は予約必須の貴重な一品です。

江戸時代としては最高レベルの技術を要し、
夏の土用に食べられる貴重な最上級品であったことから、
「暑中寒晒しそば」として将軍家に献上されていました。

明治以降は生産が途絶えてしまいましたが、
茅野市産そばのブランド化をめざしていた有志の農家が
地元に残る古文書などを頼りに製造方法を数年かけて研究。
地域と行政、大学が一丸となって復活させ、その製法を6店のそば店からなる
〈八ヶ岳蕎麦切りの会〉がいまに伝えています。

〈八ヶ岳蕎麦切りの会〉の皆さん

「新そばと食べ比べて遜色がない味わいなのが寒晒しそばのすごいところ。夏にそんなそばが食べられることはとても貴重なんです」と話す〈八ヶ岳蕎麦切りの会〉の皆さん。

2016年からは自分たちで畑を借りて栽培を開始

2016年からは自分たちで畑を借りて栽培を開始しています。

そんな希少で貴重な寒晒しそばを、東京で食べられるまたとないチャンスが到来! 
東京・銀座にある長野県のアンテナショップ〈銀座NAGANO〉にて、
2018年12月10日(月)から14日(金)までの5日間、
「信州蕎麦Week2018」と題し、長野県内各地の貴重なそばが
日替わりで食べられるのです!

寒晒しそばは初日の10日(月)に登場。
夜の部では、「そば前」の文化として茅野市産のジビエや寒天などのつまみと
清酒〈真澄〉を楽しんだあと、寒晒しそばと2018年の新そばを食べ比べます。
寒晒しそばのそば粉は、なんと今回のイベント用にと保存しておいたのだとか。
価値あるそばが食べられる、またとない機会です!

献上献上寒晒しそばののぼり

茅野市以外にも寒晒しそばを提供する地域がありますが、献上した歴史を誇ることから「献上」と冠することができるのはここだけ。

シャキシャキの「はやそば」に、“あまからぴん”の「下條おろしそば」

ほかにも、「信州蕎麦Week2018」では、個性豊かな信州そばが続々登場。

11日(火)に提供されるのは、標高700~1000メートルの
冷涼で水はけがよいそば栽培の最適地・北志賀高原「須賀川地区」に伝わる
「須賀川そば」と「はやそば」。

須賀川そばは、つなぎに「オヤマボクチ」とよばれる山ゴボウの葉を使ったもので、
コシの強さとのど越しのよい食感が評判です。

一方のはやそばは、茹でた千切り大根を水溶きそば粉で少しだけ固め、
だし汁でいただく珍しいそばの料理。
そば切りよりも手早くつくれることからこの名がついたとも言われ、
須賀川と栄村の秋山郷のみに残り、
長野県無形民俗文化財にも指定されている伝統料理です。

「はやそば」

ふわふわとやわらかい、ゆるいそばがきのような独特の食感のなかに大根のシャキシャキ感が感じられる「はやそば」。うすめのそばつゆを使った上品な味わい。

12日(水)に登場するのは、中央・南アルプスと伊那谷を一望する
南信州、下條村の「下條おろしそば」。
天竜川から沸き立つ朝霧が風味豊かなそばを育むそばの名産地です。

このそばに欠かせないのが、下條村親田地区で栽培される伝統野菜の
親田辛味大根(おやだからみだいこん)の薬味。
大根特有のほのかな甘みのあとに鮮烈な辛さがあとを引き、
地元民は「あまからぴん」と表現しています。
そばと一緒に、やみつきになる「あまからぴん」のおいしさを楽しめます。

「親田辛味大根」

カブのような扁平の球形の地大根「親田辛味大根」。冬の出荷が中心で、そばとの相性は抜群。

13日(木)に提供されるのは、須賀川そばと同様に
オヤマボクチの葉から藻草のような繊維のみを手間ひまかけて取り出し、
つなぎに使った北信濃、飯山市の「富倉そば」。
そば本来の香りが引き立ち、独特ののど越しとツルツル、キュッキュッとした食感で、
交通が不便で雪深い富倉峠周辺でしか味わえなかった希少性から、
一部では「幻のそば」ともよばれています。

「信州蕎麦Week2018」では、同じく飯山市に伝わる
笹ずしなどの伝統食とともに味わえます。

「富倉そば」

オヤマボクチをつなぎに使った色の濃い「富倉そば」。豪雪地帯で麦の栽培ができなかったために生まれた郷土料理。

最終日には「いいじま源そば」が登場。中央・南アルプスの眺望がすばらしく、
理想の移住スポットとしても注目されている南信州の飯島町のそばです。

このまちは〈信濃一号〉など、長野県原種センターが栽培する
信州そばの原種(種を取るために撒く種)の
さらに元となる種(原々種)の栽培を唯一任されている栽培地。
信州そばの源流とも言うべき地のそばを味わえます。

「信州蕎麦Week2018」では石臼挽きとロール挽きした2種の新そばを食べ比べ、
そばの風味を楽しめる「ケーモチ(そばがきを揚げた感じのもの)」なども
提供されます。

そばのおいしさが再発見できると絶賛の「とうじそば」とは?

さらに、1月22日(火)には、これまで「信州蕎麦Week」にも3度登場し、
そばのおいしさと楽しさを再発見できたと参加者も大絶賛した
「とうじそば」の特別イベントを開催。

とうじそばとは、飛騨と信州をつなぐ野麦峠のふもとの山間地、
松本市奈川地区が発祥とされる郷土料理です。
旬の野菜や山菜、きのこ、合鴨肉などを、
甘い香りが立ち込める醤油仕立てのつゆを入れた大鍋で煮立て、
小割けにされたそばを竹製のとうじかごに取ってさっと湯がき、
汁や具とともにお椀によそっていただく独特のもの。

「とうじそば」

「とうじ」とは、浸し・温めるの意味で、
標高2000メートルを超える山々と5つの峠に囲まれた
稲作に不向きな山間地の主食であるそばをよりおいしく味わおうと、
温かい味噌汁に入れたことが始まりだそう。

打ちたての冷たいそばを軽くつゆにくぐらせることで
そばの香りがより引き立ってもちもちの食感が生まれ、
小分けにして食べる分だけ温めるので、最後まで伸びることもありません。
体の芯から温まり、特にこれからの季節は格別のおいしさです。

汁や具とともにそばをお椀によそう

さらに、奈川では代々守り継がれながらも、
1998年に台風による壊滅的な被害で栽培が途絶えてしまった
〈奈川在来〉とよばれる固有品種のそばの復活にも力を入れています。

ひと握りの種から20年の歳月をかけ、地域の人々の努力で復活を遂げたそばは、
のど越しも色も香りもよく力強い味わい。
年々生産量が増えているものの、まだ希少価値が高く、
主に地区内での提供にとどまっているのですが、
イベントでは特別にこのそばも味わえるのだそう!

とうじそばを食べたあとにご飯と卵を入れた人気の雑炊

イベントではとうじそばを食べたあとにご飯と卵を入れた人気の雑炊も提供。ほかに「信州伝統野菜」に認定されている「保平かぶ」の甘酢漬けと、標高1000メートル以上の高地のみで栽培可能な「花まめ」の甘露煮も味わえます。

本来なら現地に行かないと食べられないご当地そばを銀座で食べられる絶好のチャンス。
さらに3日以上の参加で、そば関連商品のプチギフトもゲットできます!
どうぞこの機会をお見逃しなく。
イベント詳細は、銀座NAGANOのWebサイトにて。

information

map

銀座NAGANO 

住所:東京都中央区銀座5-6-5

TEL:03-6274-6015

営業時間:10:30~20:00

Web:銀座NAGANO

writer profile

島田浩美 Hiromi Shimada
しまだ・ひろみ●編集者/ライター/書店員。長野県出身、在住。大学時代に読んだ沢木耕太郎著『深夜特急』にわかりやすく影響を受け、卒業後2年間の放浪生活を送る。帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店〈ch.books〉をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。

Recommend 注目のコンテンツ

Special 関連サイト

What's New 最新記事