オーガニックな農法を貫くアーティストのように個性的な人々
今年の7月、岩見沢の山あいに〈森の出版社ミチクル〉を立ち上げた。
本当にささやかな滑り出しで、販売している本は2冊。
イラストエッセイ『山を買う』と、切り絵の絵本『ふきのとう』という、
いずれもA6判の小さなものだ。
実をいうと昨年の計画では、この夏にもう1冊、
これまでよりページ数の多い本を刊行したいと思っていた。
その本とは、道南のせたな町と今金町で活動をする、
5軒の農家グループ〈やまの会〉を取材したものだ。
やまの会が結成されたのは10年前。
この地域は、海・まち・山の3つのエリアに分かれていて、
昔から海の人、まちの人、山の人と呼び合っており、
山で農業を行っていたことが、この会の名前の由来となった。
メンバーたちは、米や大豆、野菜、牛、羊、豚など、
育てているものはさまざまだが、いずれもオーガニックな農法に挑戦し、
その食材は道内外のシェフから注目を集めている。
これまでマルシェやイベントに参加するほか、著名なシェフを招き、
やまの会の食材を使った1日限りのレストランを開催する活動を行っており、
来年の1月には彼らをモデルとした映画『そらのレストラン』も公開予定だ。

大泉洋が主演する北海道映画シリーズとして『しあわせのパン』(洞爺湖)、『ぶどうのなみだ』(空知)に続く第3弾『そらのレストラン』の舞台はせたな。海の見える牧場でチーズづくりを行う一家と仲間たちの物語。2019年正月第2弾全国ロードショー。
やまの会の本をつくりたいと思ったのは、不思議な巡り合わせによる。
グループの代表である富樫一仁さんのもとで農業研修をしていた青年と
昨年秋に出会ったことがきっかけ。
農業を行うかたわらでデザイナーとしても活動していた青年は、
当時立ち上げ準備中だった森の出版社構想について
詳しく聞きたいと訪ねてきたのだった。
とりとめもなくデザインのことや印刷、出版について話すうちに、
ハッとひらめくものがあった。
「やまの会の本をつくったらおもしろそう!」
わたしは3年前にせたなを訪れ、やまの会のメンバーの農場を
ツアーでめぐったことがあった。
彼らはまるでアーティストやクリエイターのように強烈な個性があって
興味をそそられたが、それ以降は訪ねる機会はなかった。
わたしの住む岩見沢からせたな町までは車で約4時間とかなり遠いため、
まさか本をつくるというアイデアが浮かぶなんて、自分でも予想外のことだった。
けれども、何か見えない糸で引っ張られているような、
以前から決まっていたことのような感覚があった。

2015年にせたなを訪ねたのは、毎年夏に開催されている〈海フィール〉というイベントの取材を行うためだった。海フィールは、せたなの漁師で、マーレ旭丸の船長・西田たかおさんと、やまの会のメンバーで酪農を営む村上健吾さん妙子さん夫妻が中心となって運営している。














































































































