colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

連載

北海道・長沼のまちの大工さん
〈yomogiya〉の
すてきな小屋と心地いい空間づくり

うちへおいでよ!
みんなでつくるエコビレッジ
vol.036|Page 1

posted:2017.2.9  from:北海道岩見沢市  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  北海道にエコビレッジをつくりたい。そこにずっと住んでもいいし、ときどき遊びに来てもいい。
野菜を育ててみんなで食べ、あんまりお金を使わずに暮らす。そんな「新しい家族のカタチ」を探ります。

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。
http://michikuru.com/

写真提供:yomogiya

夫が憧れた大工、yomogiyaさんに、会いに行く!

あるとき、珍しく夫がわたしに頼みごとをした。
それは、「取材という口実をつくって、
〈yomogiya〉さんに連絡をとってほしい」というものだった。

yomogiyaとは、岩見沢から車で30分ほどのところにある
長沼の大工・中村直弘さんの屋号。
2年ほど前に同じ町内の南インドカレー屋さん〈shandi nivas cafe’〉の敷地に
古材を使った物置小屋を中村さんが建てており、建築途中を見た夫は、
同じ大工仲間として、その仕事ぶりに大きな共感を抱いたことがあった。

そして、わたしたちがいま改装をしている美流渡(みると)の古家について、
中村さんに一度相談をしてみたいと夫は考えており、
そのきっかけをなんとかつかみたかったようだ。

shandi nivas cafe’(シャンディ ニヴァース カフェ)は、カレーとともにスイーツもおいしいお店。店舗脇に建てられた小屋の制作中の様子。(写真提供:yomogiya)

完成した小屋。屋根のトタン以外は、すべて廃材とデッドストックの材料でつくったそう。(写真提供:yomogiya)

わたしもyomogiyaさんの活動にはとても興味を持っていたので、
ぜひ取材をしてみたいと思っていた(口実ではなくて本当に!)。
ホームページのコンセプトにあった「yomogiya」=「町の大工さん」
というフレーズに心惹かれるものがあったからだ。

手がけるのは「小屋づくり、リフォーム、店舗づくり」といった大工仕事だけでなく、
「古物のリメイク」、そして「web作成、チラシ作成」まで。
きっと何十年か前の大工さんって、住民の困りごとに
なんでも気軽に応えてきたんじゃないかと想像するが、
そんな関係をいまに蘇らせようとしているように感じられたのだ。

長沼の隣町・由仁町にある〈Gallery teto²〉。このギャラリーはこれまで縁側から入る構造になっていたが、古材を使って玄関を増設。わたしと夫も、ときどきここを訪ねており「yomogiyaさんの仕事なのか!」と興奮しながら見たことがあった。(写真提供:yomogiya)

知人を介して中村さんに連絡をとり、
自宅兼仕事場を訪ねることになったのは昨年11月のこと。
この日、中村さんは札幌に納品するための仕事を抱えて忙しそうな様子だったが、
にこやかにわたしたちを迎え入れてくれた。まず案内してくれたのは、
事務所兼モデルハウスにしようと考えているという制作中の小屋。

「週末に、ちょっとひとり暮らしができるくらいの小屋をつくろうと思って」

長沼の自宅であり仕事場に、小屋を建てていた中村さん。

6畳以下の小屋は建築確認申請が不要なサイズ。スペース的には小さいが、ここで最低限暮らせるようにと中村さんは考えている。

全体が6畳と小さいものだが、随所に中村さんのアイデアが生かされていた。
コンポストトイレを設置し、水道は引かずタンクに水をためて使うなど
オフグリッドな小屋を目指しているのだという。

感心しながら中村さんの話を聞いていた夫は上機嫌。そして、こんな話を始めた。
「カレー屋さんで小屋の骨組みを見たとき、
こういう仕事をする人が北海道にいるんだと、すごく感動しました。
納め方に誠実さを感じるんです。ずっと友だちになりたいと思っていました」

夫は自分の意見を物怖じせずに言うタイプだが、
自分よりも10歳くらい若い大工さんに向かって
「友だちになりたいと思っていました」という素直な発言には正直驚いた。
よほど「納め方」にほれ込んだのではないかと思う(納め方とは、大工さんが
よく使う言葉で、仕上げにセンスがあるとか、出来がいいとかそんな感じだろうか)。

中村さんも、わたしたちが古家を改装していることに興味を持ってくれたようで、
いずれは美流渡に行きたいと語ってくれた。

Tags  この記事のタグ

Recommend