連載
〈 この連載・企画は… 〉
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、
日本の魅力を再定義するウェビナーシリーズです。地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、
自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

日本のローカルの魅力を発信する「コロカル」は、新たなウェビナー講義シリーズ「コロカルアカデミー」の第7回を開催しました。ゲストには、ご自身も青森県出身である青森屋 by 星野リゾート総支配人の須道玲奈さんをお迎えしました。須道さんには、星野リゾートの人材育成・採用戦略から、ホスピタリティの哲学と現場での実践、地方での観光マーケティングや共創の工夫まで幅広いテーマで語っていただきました。
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須道 玲奈(すどう・れいな)
青森県出身。青森屋 by 星野リゾート 初の女性総支配人。
青森を“もっと多くの人に知ってもらいたい”という思いから星野リゾートに入社。サービスや広報業務を経験し、石川県の「界 加賀」でも総支配人を歴任。2023年より青森屋の総支配人に就任。
地元の魅力を磨き上げ、「青森のファンを全国に増やす」ことを目指して奮闘中。

まず初めに須道さんからお話があったのは、星野リゾートのベースとなるテーマやビジョン、そしてブランドについて。
「世界に通用するホテル運営会社」になるというビジョンを掲げ、「旅を楽しくする」をテーマに、さまざまなコンセプトの施設を手がける星野リゾート。
星野リゾートは従来のホテル経営と異なり、運営に特化した会社であるということも話題に上がりました。それぞれのブランドに明確な物語を持った星野リゾートの宿泊施設。
ベースとなるビジョンやテーマがありながら、ブランドや地域ごとに明確な物語を打ち出すことで、働く人の意識や行動にも変化が生まれるのかもしれません。
そして須道さんが総支配人を務める「青森屋」は、青森の文化を「のれそれ=目一杯」表現する温泉宿として日々運営されているそうです。

次にお話があったのは、星野リゾートの人材戦略と新卒採用について。
何かを組織し、実際に動かすには、「人」が必要です。星野リゾートの宿泊施設で働くスタッフの皆さんはどこか明るくて、前向きで、主体的。そんな人材の多くをどのようにして、発掘・採用しているのか。須道さんはその鍵を「マッチング」として表現されていました。
価値観や組織文化を理解してもらい、お互いをよく知るための労力を惜しまない姿勢が印象的でした。その結果として多様でかつ主体性のある、この場所で働きたいと思う人材と出会えるようです。
また新卒採用の仕組みについても、学生が自分のタイミングで選考に参加できるシステムをはじめ、学生ファーストでフレキシブルに変化している点が印象的でした。採用姿勢には、その会社の哲学や価値観が如実に表れると感じます。

お話はいよいよ核心の「スタッフのモチベーション」に関する話題に。
須道さんから話があったのは、星野リゾート独自の組織文化や、社内での取り組みについて。フラットな組織文化のお話や日本流のもてなしを基軸としたお客さんとの関わり方の仕組み、キャリアパスに関して立候補を集う制度や、新たなサービスを生み出すための「魅力会議」についてなど、アイデアの種になりそうなお話が沢山ありました。

そして全体に通ずるのはやはり、「人に対する信頼と配慮」。スタッフは当然ですが、一人ひとりにその人生があり、生き方があります。
星野リゾートの施策は、一人ひとりの良さやアイデアに目を向ける仕組みになっているからこそ、「自分も組織のためになりたい」というモチベーションを生み出すことが可能なのかもしれません。

マネジメントに関する話題も挟みながら、最終的に話題に上がったのは地域について。
地域というテーマでは、青森屋で一室限定で「青森ねぶたの間」を用意するなど、その土地を深く味わうことができる、個性的で魅力的な取り組みがなされています。
須道さんの根幹にある、青森を広めたいというモチベーションと、人や地域を丁寧にめざし、その良さを引き出す星野リゾートのマネジメントの強みが双方向的に影響を与えながら、青森屋という素晴らしい宿泊施設が日々運営されているのだろうと感じました。
今回の須道さんのお話を聴いて、一番強く感じたのは「見つめること」の大切さです。
星野リゾートは取り組みとして、人材に向き合い、地域に向き合っています。それは新卒採用のあり方から、魅力会議などの組織制度、さらにその地域固有の文化を取り入れたブランドづくりまで、一貫しているように思えます。
同時に須道さんというお人自体もまた、きっと日々の現場でスタッフさん一人ひとりの存在に目をかけ、耳を傾け、向き合う方なのだろうということも感じました。
システムとしても、マネジメントとしても、人や地域を「見つめる姿勢」を徹底していく。そのまっすぐな眼差しこそが、一つひとつの仕事の正確さや美しさに繋がり、結果として、「ホスピタリティ」という固有の価値の創造につながるはずです。
目に見えて皆感じるのに、いざ説明しようとするとわかりにくい「ホスピタリティ」や「おもてなし」という言葉。そんな捉えどころはないけれど、組織やサービスを生み出す上で大切な考え方をつかむきっかけとなる講座になったのではないでしょうか。
講座本編終了後のQ&Aでは、雇用の確保についてや魅力会議についてのより具体的な話など、話題が盛りだくさんでした。
旅やお宿が好きな人、ホスピタリティ溢れる場所づくりに憧れる人、人材育成や組織づくりに関心がある人など、多くの方におすすめです。
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