連載
posted:2017.3.13 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
3月、まだまだ寒い日が続きますが、それでもやっぱり陽射しや空気、
草たちが春を感じさせてくれます。
長ーい冬休みを経て、2月末からカフェも営業再開。
ゆったりと過ごしていた1、2月が嘘だったかのように、
いろんなことが一気に動き出して、ちょっとあたふたしています。
あー、春が来る!
毎年こんな感じで冬から春に季節が変わっていきます。
小豆島での暮らしも5年目になるのですが、
ようやく私たちの1年のリズムができあがってきました。
1、2月はいろんなもののメンテナンス期間。
暮らす環境のメンテナンス、働く環境のメンテナンス、自分たちの体のメンテナンス。
カフェもお休みして、いつもよりはスローペースというか、
いろんなものに振りまわされずに自分たちのペースで時間を過ごします。
そして3月、カフェ営業再開、春夏野菜の準備と急に忙しくなります。
さらに、毎年5月に行われる「肥土山農村歌舞伎」の準備もこの頃から本格的に始まり、
平日の夜は演目の練習、週末はリハーサルなど、頭の中も半分くらいは常に歌舞伎。
そんななか、4月は生姜の植付け。
友人たちにも手伝いに来てもらって何百キロもの種生姜を植えます。
肥土山農村歌舞伎が終わり、ちょっとホッとしたら、
もう秋までは一気に毎日が過ぎていきます。
畑では草刈り、水やり、収穫を繰り返し、金土曜日はカフェ。
汗かいて働いて、ビール飲んで寝て、そんな日々。
暑さが落ち着き、10月には「秋の太鼓まつり」。
10月頭から中旬にかけては島全体がお祭りモードになります。
それが終わると、私たちは生姜の大収穫祭!
私たちふたりではやりきれない作業なので、
もうお祭りみたいにして、みんなに収穫してもらいます。
掘って、洗って、ジンジャーシロップにするために加工します。
それが11月から12月にかけて続いていきます。
1年で一番人の出入りが多い賑やかな時期かも。
生姜の作業が終わって年末最後の大仕事が玉ねぎの植付け。
夏から育ててきた1万本以上の苗を一気に植えます。
これが終わってようやくお正月休み。心底ほっとします(笑)。
これが私たちのいまの1年のリズム。
自分たちの暮らしをつくる、仕事をつくるっていうのは、
このリズムをつくっていくことなのかなとふと思う。
人によってそれはさまざまで、毎年リズムが違う人もいるだろうし、
ひとつの周期が1年じゃない人もいるんじゃないかな。
農業をしている私たちにとっては「季節」というのが絶対的な周期で、
それにあわせて自分たちがどう歌おうか、そんな感じ。
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1年のリズムをさらに細かくみると、1週間のリズムもある。
月曜日 野菜の収穫、出荷日
火曜日 畑仕事をしたり、事務仕事をしたり、マイペースに働く日
水曜日 みんなで畑作業、島の友人たちに来てもらってみんなで働く日
木曜日 野菜の収穫、出荷日
金曜日 カフェ営業日
土曜日 カフェ営業日
日曜日 お休み
多少違う時期もありますが、だいたいこんな感じで動いています。
この繰り返しで1年ができあがり、1年の繰り返しが10年となる。
同じことをしているようでも、いろんなことが少しずつ違っていて、
野菜を育てる知識や技術もあがっていくし、
カフェも3周年、5周年、10周年と味を増していく。
子どもも大きくなるし、私たちも歳をとる。
その違いを楽しみつつ、いつものリズムにのりながら、
ちょっとずつ調整しながら暮らしていくのが楽しいのかな。
まだまだ私たちの島暮らしは続きます〜!
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