連載
posted:2015.3.3 from:兵庫県相生市 genre:食・グルメ
〈 この連載・企画は… 〉
イラストレーターとして活躍する平尾香が、各地の粋な飲み屋をご紹介。
旅して飲んで、おいしいお酒と肴と人に出会います。
text & illustration
kao.ri hirao
平尾 香
ひらお・かおり●イラストレーター。神戸生まれ、独自の個性を発揮した作風で、世界的ベストセラー「アルケミスト」を始めとする書籍のカバーや、雑誌の挿絵、広告などで活躍。個展も多数開催。現在は、逗子の小山にアトリエを構え、本人の取材やエッセイなど活躍の幅は広い。著書本に「たちのみ散歩」(情報センター出版局)「ソバのみ散歩」(エイ出版社)
http://www.kao-hirao.com/
https://www.facebook.com/Kao.0408.hirao
瀬戸内海の海が冬の太陽をきらきらと穏やかに反射させています。
兵庫県相生(あいおい)市、その湾横に立つ相生市水産物産市場の建物。
その駐車場は、休日となれば、他府県ナンバーの車も並んで大盛況。
「ウチは、魚屋なんよ、最近は口コミでね~、
多いよ~お客さんが~」と話してくれるのは、
いまは水産市場に唯一入る魚屋「魚稚(うおわか)」の社長。
このシーズンのお客さんたちのお目当ては、相生港でとれる牡蠣。
そして、ここは、海の間近でバーベキューが楽しめるのです。
ドラム缶をカットしたバーベキュー台を挟んで
キャンプ場によくあるテーブルと椅子が何列も並んでいるのに、
どの席も人、人、人。焼き網の上には、牡蠣、牡蠣、貝。
「バーベキューはサービスなんよ」ということで、すべてがセルフ。
まずは、いけすをのぞき込みながら食べたい魚介をチョイス。
マテ貝、サザエ、ホタテにはまぐり、海老などトレイにのせてもらって。
牡蠣はグラムでレジにてお会計。軍手とトング、紙皿、割り箸を用意したなら、
空いた席に、ずずっと座ってバーベーキューのスタートです。
おおっと、生ビールも忘れてはいけません。
回転率をあげるためでしょうか、お酒類のメニューは、コレだけ。
持ち込みも禁止です。ささっと、食べてお腹を満たしましょうと、
山盛りの貝たちを網の上に並べて焼きにかかります。
Page 2
ふしゅー、パチン! ときどき、貝が汁を飛ばしたり、
炭係のおじさんが、がっと、炭を足してゆけば、灰が舞ったり。
服装は汚れてもよいアウトドアスタイルがよろしいかと。
開いた牡蠣は、食べごろ。はふはふ言いながらほおばれば、
じゅわっとクリーミーな潮の味。海風の冷たさの中、温かい牡蠣がおいしいのです。
味つけは、醤油やポン酢、塩などの調味料はサービスで置いてあるのを利用して。
大きなホタテには、50円で買ったバターをのせてちょっとリッチに。
店内の食券でオーダーするあふれんばかりの丼も人気。
休日出店の牡蠣のお好み焼きに牡蠣フライなども買い足して、ビールも、もう一杯。
はふはふ、冬の幸で楽しいたびのみランチタイム。
姫路駅のキオスクで呑み鉄のお供に買い求めてからのファン「うまいか」。
明治23年創業の湊水産のつくるイカフライのおつまみは、
食べ始めるとついつい手が出て止まりません。相生に来たなら、
本社工場に隣接した直売所に立ち寄って、お土産にいかがでしょう。
Information
魚稚
住所:兵庫県相生市6丁目
TEL:0791-23-1501
営業時間:9:00〜16:00
定休日:水曜休
*持ち込みはご遠慮ください。
Feature 特集記事&おすすめ記事