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〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
埼玉県の秩父にて、森の恵みを届ける新たな取り組みが始まりました。
発起人は〈TAP&SAP〉代表の井原愛子さん。第一段プロジェクトは、第3のビールならぬ“第3のみつ”!
これは、はちみつ類の新しいカテゴリーに入る蜜なのだそう。
さらに、秩父のカエデの木からメープルシロップをつくるプロジェクトも進行中です。
writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
埼玉県秩父にて、“自然と人の恵みを生かして、持続可能な生活を”を
テーマに、森の恵みを届ける新たな取り組みが始まりました。
中心となって進めているのは、
〈TAP&SAP〉(タップアンドサップ)というグループの皆さん。
第一段プロダクトは、第3のビールならぬ
“第3のみつ”という、ちょっと変わった蜜です。
その名も『秘蜜』は、TAP&SAPとNPO法人秩父百年の森、
埼玉県立秩父農工科学高校食品化学科、
埼玉大学の関係者などとの共同研究から生まれた、
はちみつ類の新しいカテゴリーに入る蜜。
はちみつの国際規格では、花の蜜に由来する“花はちみつ”や“花蜜はちみつ”、
昆虫の代謝物質に由来する“甘露はちみつ”をはちみつと定義しますが、
第3のみつは、ミツバチが花の蜜やカエデの樹液、果実、
野菜のジュースを食べてつくった蜜なのだそう。
ミツバチたちが集めた花の蜜とさまざまなジュースの組み合わせから、
第3のみつならではのユニークな味が生まれるのだそうです。
これは気になりますね!
TAP&SAP代表の井原愛子さんは秩父市に生まれ、
故郷を離れて外資系家具販売会社で働いていましたが、
ある時秩父の森づくりを行っているNPOの取り組みに感化され、
Uターンすることを決意し、2014年に帰郷。
今年の夏にTAP&SAPを立ち上げ、
山とまちをつなぐ地域プロデューサーとして活動しています。
今後は、地域資源を生かした商品の開発や、
エコツアーなどを開催していく予定だそう。
現在、日本に流通している国産のハチミツはたったの5%。
しかも、養蜂をめぐる状況は年々厳しくなってきているのだとか。
TAP&SAPでは、そうした問題を補いながら
おいしい蜜を届けていくため、原料も国産のものにこだわっています。
さらにTAP&SAPは、蜜を食べるための匙もつくってしまいました!
これは、真ん中に穴があいていることにより、
蜜を絡めて垂らせるというもの。
形状が工夫されており、ジャムなどをすくう時にも便利です。
匙を手がけたのは秩父山中にある小さな工房〈ツグミ工芸舎〉さん。
秩父産のキハダの古材を使って、ひとつひとつ丁寧に仕上げています。
この『秘蜜の匙』と『秘蜜』は、オンラインショップで販売が始まっています。
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メープルシロップといえば、カナダ土産の定番。
ところが井原さんたちは、秩父のカエデの木から
メープルシロップをつくるプロジェクトを進めているのだそう!
秩父の山で、雪解けの時期に採れるカエデの樹液はほんのり甘く、
天然のミネラルが豊富なのだそうです。
井原さんはこのプロジェクトのために
カナダのメープル農家にて研修を受け、
メープルシロップ製造機を稼動する技術を取得。
もうすぐ秩父ミューズパーク内にオープンする“シュガーハウス”にて、
日本発のメープルシロップ製造機を稼動させる予定です。
本プロジェクトは、スギやヒノキを利用する“伐る林業”と
カエデの樹液を生かす“伐らない林業”の
複合化を目指す試みでもあるのだそう。
「未来につながる森づくりから発見された恵みをより多くの人に届けること。
それにより森も人も豊かにしていくこと」
それがTAP&SAPの使命なのだとか。
シュガーハウスは、来春オープン予定。
年間を通じてメープルシロップや特製パンケーキなどが味わえ、
体験や購入もできる拠点になるようです。
体にも自然にも優しい秩父産メープル。
ぜひ味わってみたいですね!
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