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posted:2024.3.20 from:福島県南相馬市 genre:暮らしと移住
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writer profile
Yoko Miya
宮ようこ
みや・ようこ●埼玉県生まれ、山形県育ち。現在は関西を拠点にライター業に勤しむ。「晴耕雨読ときどき旅」を理想に掲げ、畑と街を行ったり来たり。旅先ではローカルなスーパーに必ず立ち寄る。おいしいもの、建物、工芸好き。
18歳の春。成人になり、進学、就職、引越しなど、環境が大きく変わる、人生の節目。
福島県南相馬市では、夢に向かって巣立っていく18歳を地域全体で応援する
「巣立ち応援18歳祝い金支給事業」を令和4年度よりスタート。
今年で2年目の取り組みです。
東日本大震災から13年。震災当時小学1年生だった子ども達は、18歳を迎えました。
この地で育った地域の大切な宝である子ども達を応援したい。
どんな支援が必要だろうと、市は令和3年度から検討を重ねてきました。
18歳、新生活が始まるタイミングはなにかと出費が増えることから、
祝い金(5万円)を支給。さらに「支給して、はい、終わり。にしたくない」との想いから、応援ポスターの作成が決まりました。
「さぁ、行っといで。」のコピーが目を引くポスターはこの時期、
市内の公共施設や商業施設など、いろいろな場所に貼られ、
まち全体で18歳をお祝い、応援するムードを生み出しています。
漁師、小学生、美容師、パン屋、農家…被写体はすべて、地域のみなさん。
被写体となった方の言葉をもとに紡がれた応援メッセージは、
どれも心に響くものばかり。18歳のみならず、
多くの人々の共感を呼んでいます。
令和5年度に作成されたポスターから、1枚をご紹介。
いつでも見守ってるよ。
心がトゲトゲしちゃったら、いつでもおいで。
そのままの個性でいいじゃない。
「こうじゃなきゃいけない」はないのよ。
モデルは「ちゅうりっぷ文庫」の梶田千賀子さん、鉄男さんご夫婦。
梶田さんは震災後より子育て中の方の居場所として
自宅の一室を開放し、絵本の読み聞かせや手遊び、
紙芝居などを行い、多くの子どもたちに笑顔を届けてきました。
年に数回は、震災で被災した方を追悼し、海に向かって絵本の読み聞かせを
行っています。そんな梶田さんの活動に共鳴し、ポスターへの出演を依頼。
市内在住の絵本作家が描いた絵で包まれた移動図書館車と一緒に、
海を背景に撮影されました。
市内各地でのポスター掲示は卒業シーズンの3月いっぱいを予定。
それ以降は南相馬市のホームページやnoteで確認できるので、
ぜひご覧ください。
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半透明のトレーシングペーパーに、うっすらと浮かぶ文字。
イベントの招待状さながらのおしゃれな封筒は、
市役所から18歳の対象者へ届く、祝い金支給の通知です。
手に取るだけでワクワクするような「市役所っぽくない」色やカタチに
こだわったといいます。中には、四つ折りの案内状、市長からのメッセージ、
写真館のお知らせ、まっさらな色紙。
色紙には、友人や大切な人からのメッセージ、自分の目標などを書き込むことで
新生活のお守りにしてほしいというアイデアが込められています。
県立高校の卒業式が開かれた2024年3月1日、
中央図書館内で「卒業おめでとう撮影会」が開催されました。
背景紙とストロボが設置された、プロのカメラマンによる本格的な撮影です。
2回目となる今年は、予約の時点で満員御礼という盛況ぶり。
写真のデータをその場で受け取り、SNSにアップしたり、
家族や友人と共有したり。
「写真という形で思い出を残すことができて良かった」
「家族と写真を撮る機会ができて幸せ」
「進路はそれぞれ違うので、最後にみんなで思い出の一枚を
笑顔で撮れてうれしい」など、
撮影会に参加した方たちから、よろこびの声がたくさん届いたようです。
南相馬市こども家庭課の原田さんは
「毎年、巣立ちの季節には、まち全体があたたかい雰囲気に包まれるように、
この取り組みが南相馬市の新たな風物詩になるようにしていきたい」
と話します。
今年度は新たに、地域の方からの応援メッセージを収録した
ムービー制作も行いました。
地域のひとりひとりが「18歳のみんなを応援しているよ」ということ。
日頃、直接関わりがなくても、
こんなにも沢山の人が自分たちを見守ってくれている。
それを肌で感じながら、それぞれの道へと向かっていく、南相馬市の18歳たち。
まちのみんなからの「さぁ、行っといで。」が、
これから先の心強い支えになるでしょう。
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