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posted:2024.3.6 from:神奈川県 genre:ものづくり
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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writer profile
Mana Saito
齊藤真菜
さいとう・まな●神奈川県横浜市出身・在住。「Arcade Books & Films」として、西区・藤棚商店街のシェアカフェ「藤棚デパートメント」内で本の販売や映画上映会を企画。地域メディアの指針を考えるためのワークショップカード「ローカルメディアコンパス」開発メンバー。
木工製品の産地として知られる神奈川県西部。
指物(さしもの)・挽物(ひきもの)・寄木(よせぎ)・木象嵌(もくぞうがん)
といったさまざまな木の加工技術を持ったつくり手の姿や想いを世界に伝え、
神奈川の木工の価値を上げたいと
2022年に立ち上がったブランドが〈手神〉です。
〈手神〉を手がける〈株式会社ジーンワークス〉は、
足柄上郡山北町に拠点を置く木工商品のプロデュース会社。
代表の池谷賢(いけやまさる)さんは、
製品企画の過程で出会ったつくり手たち自身の魅力に感動したといいます。
「なかには、国内で同じ加工技術を持つ人がいない、
まさに日本の宝のような方もいます。
しかしその魅力は伝わっておらず、適正な価格で取引されない場合や、
後継者不足で年々工房が減っている現状があります。
はじめは5人の作品を仕入れて販売していましたが、
それぞれのつくり手を知れば知るほど
その人自身の技術と魅力を作品と一緒に伝えたいと思うと同時に、
つくり手のおかげで得られた利益をどうにか
つくり手や神奈川の木工に還元したいと考えました。」
こうして作品だけでなくつくり手のストーリーも
“手紙を書くように心を込めて”紹介し、
“つくり手・伝え手、全ての手が神奈川の手であることから”
〈手神〉と名づけられたブランドが誕生しました。
〈手神〉の作品は、池谷さんと
デザイナーの山田佳一朗さん、山内美歩さんが
何度もつくり手たちの工房に足を運び、
技術をどう表現するか、どんな表現をしたいかを話し合いながら、
何度もデザインと試作を繰り返して完成させていきました。
寄木と傾斜のある難易度の高い指物細工を得意とする
松本育さんの〈69.1°〉は、全ての辺が69.1度で交わる器。
直線だけで構成されていますが、実は木を真っ直ぐに切るのは難しく、
デザインの段階ではつくることは難しいと松本さんは思っていました。
しかし、樹種選びやパーツの合わせ方に手をかけることで、
松本さんだからこそつくれる作品ができあがりました。
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つくり手同士の協力があることも、〈手神〉の良い部分だという池谷さん。
小さいろくろ細工を得意とする乾靖史さんの〈きねんの家〉や、
小田原唯一、微細なろくろ細工で豆茶器を製造できる
斎藤久夫さんの〈豆茶器〉〈豆けん玉〉には、
寄木挽物師・小林じゅんのさんの木を見る力と丁寧な加工技術によって生み出された
寄木が取り入れられています。
木工作家として人気の岩宮千尋さんは、
木工象嵌や木工ろくろを駆使し、空想的な世界感のアートワークを製作しています。
〈手神〉のポップアップ販売では、岩宮さんが小林さん製作の寄木チャームに
お客さんのリクエストに答えて焼ごてで絵を描く
ワークショップもたびたび行っているそうです。
80歳を超えた斎藤さんははじめ、
「私の作品を今さら、東京に持って行っても無駄だろう」とこぼしていたそう。
しかし、お客さんの感動を共有することで意識に変化があり、
もともとカメラを向けられるのも嫌がっていたのが
自ら「私を動画に撮ってYouTubeに上げてほしい」とリクエスト。
現在斎藤さんが豆茶器を加工する動画が見られるようになっています。
〈手神〉は、今後も各地でのポップアップ販売を予定しています。
通販の対応エリアも国外へ広げ、海外展開に挑戦するべく準備の最中。
繊細でワクワクする手仕事の世界を、ぜひ手にとって覗いてみませんか。
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