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別府&東京で2拠点生活中の
女性起業家が、
「別府温泉」発の入浴剤ブランド
〈HAA〉を立ち上げた理由

コロカルニュース

posted:2023.8.8   from:大分県別府市  genre:ものづくり

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Riyua Joe

城リユア

じょう・りゆあ●大分県出身。出版社の情報誌編集部などを経て独立。旅やライフスタイルについて執筆。ニュースメディアでインタビューやノンフィクション取材、旅メディアで動画制作も担当。趣味は飲み歩き。

日本屈指の湯どころ、大分県・別府温泉。
その結晶である「湯の花」を原料にした、
“限りなく天然温泉に近い入浴剤”のライフスタイルブランド〈HAA(ハー)〉は、
別府と東京で2拠点生活を送る起業家・池田佳乃子さんによって立ち上げられました。

「HAA for bath 日々」(5個入り)各3300円

〈HAA for bath 日々〉(5個入り)各3300円

ギフトBOX〈HAA for bath 日々(5個入り)〉を昨年11月にリリース。
じわじわと人気になってきました。

「廃れゆく故郷の温泉文化を、再び盛り上げたい」

別府八湯の一つであり池田さんの生まれ故郷の「鉄輪温泉」郷

池田さんは2018年から、別府八湯のひとつであり生まれ故郷の「鉄輪温泉」郷と、
東京・高円寺を約2週間に一度、往復して暮らしています。

廃業ラッシュで温泉文化が途絶えつつあった「鉄輪温泉」

東京の大学を卒業し、そのまま東京で働いていましたが、
「何かしら故郷の役に立てれば」という思いが深まっていた5年前、転機は訪れます。
縁あって、廃業ラッシュで温泉文化が途絶えつつあった
「鉄輪温泉」を復活させるプロジェクトに参加することになり、
別府にも拠点を置くことを決意。
温泉宿の女将さんたちと協力しながら
温泉入り放題のコワーキングスペースを立ち上げたり、
鉄輪温泉と企業とのコラボポスターを企画したりして、情報発信を続けてきました。

「別府と高円寺で、心身のリズムが違うのはなぜ?」

別府温泉

「東京では人に会ったりSNSを見たりして多くの情報をインプットする一方で、
別府では1日3度は温泉に入ってのんびりしています。
たまに趣味のサーフィンをするくらいで、
人にもそれほど会わずクリエイティブな考えを深めていますね」(池田さん)
2拠点生活を始めて気付いたことがある。
「私というひとりの人間でも、場所によって心身のリズムが違うんですね。
突き詰めるとそれは、呼吸のリズムなのでは? と感じるようになりました。

別府の共同温泉

別府の共同温泉

別府ではふと顔をあげると窓から山や海が見えるんです。
温泉が日常に溶け込んでいて、近くの共同温泉へ
サクッと10分休憩中に立ち寄ることもできる。自然に深呼吸する時間がありました」
別府温泉の癒やしのパワーを体感したことから、
「日常に、深呼吸を届ける」をミッションに掲げ、
湯治をコンセプトにしたライフスタイルブランド〈HAA〉を立ち上げました。

HAA for bath 日々(5個入り)は3種類。ポジティブな気持ちを贈る「あたらしい風」(写真)、労わる気持ちを贈る「空を見上げた日のこと」、あたたかい気持ちを贈る「ささやかな愛」

HAA for bath 日々(5個入り)は3種類。ポジティブな気持ちを贈る「あたらしい風」(写真)、労わる気持ちを贈る「空を見上げた日のこと」、あたたかい気持ちを贈る「ささやかな愛」。

「よく『移動ばかりで疲れない? 忙しそうだね』と聞かれるのですが、
田舎暮らしと都会暮らしを往復するリズム、
そこから生まれるクリエイティブの相乗効果を含めて、
いまの生活をとても気に入っていますね」(池田さん)

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誰かの“キラキラしていない日常”を想いながら、別府の湯を楽しめる入浴剤

湯舟につかりながら文字を目で追うことで、表現者たちのささやかな日常へ、束の間、脳内トリップできる。

「HAA for bath 日々」は、言葉に包まれた入浴剤のギフトボックス。
包み紙には、それぞれ異なる言葉が書かれおり、
それが表現者たちの綴る「日記」や「エッセイ」のテーマとなっています。
包み紙の内側には、800文字程度の文章が。
湯舟につかりながら文字を目で追うことで、表現者たちのささやかな日常へ、
束の間、脳内トリップできる。そんな素敵な仕掛けです。

誰かの“キラキラしていない日常”を想いながら、別府の湯を楽しめる入浴剤

文章を執筆しているのは、各メディアで活躍中の15人の表現者、クリエイターたち。
「私の中では、“サラリーマン川柳”みたいなイメージなんですよ。
SNSの投稿ってキラキラしているけど、その裏側にある日常や
心の奥で感じている想いに触れる機会って意外と少ないと感じてきました。
だから誰かの何気ない日常に
〈HAA〉を通して触れてもらえたら、うれしいなと」(池田さん)

約350年前から別府温泉で作られる「湯の花」を原料に

執筆者はいったい誰なのか、エッセイを読んだだけでは分からない
文末に、職業と年齢のみ記されているだけ。
「どこの誰が書いたか分かってしまったら、そっちに意識を持っていかれて、
湯舟でゆっくり落ち着けないのでは? と考えたんです。
物事の解像度が高めなSNSとは真逆の発想といいましょうか……。
〈HAA〉が深呼吸のきっかけになってほしいので、あえて曖昧にしてみました」
執筆陣はどんなクリエイターたちなのか、
ネットで調べれば分かるので、気になる人はチェックしてみて。

約350年前から別府温泉で作られる「湯の花」を原料に

竹や藁などの自然素材でできた湯の花小屋の中に、別府で採れた貴重な青粘土を一面に敷き詰め「湯の花」は育てられる

竹や藁などの自然素材でできた湯の花小屋の中に、別府で採れた貴重な青粘土を一面に敷き詰め「湯の花」は育てられる

〈HAA〉の入浴剤は、完成までに3か月の時間を要します。
それは原料に、別府温泉で350年ほど前からつくられている温泉の結晶「湯の花」を使用しているから。
夏場で40日以上、冬場で60日~70日間ほどかけて、
職人が大切に育て上げています。

温泉ミネラルの結晶「別府湯の花」。江戸時代から続く製法でつくられている

温泉ミネラルの結晶「別府湯の花」。江戸時代から続く製法でつくられている

無香料であることもこだわりのひとつ。
「香りの好みって人それぞれだから、よりギフトとしての使いやすさを考慮しました。
匂いに敏感になることが多い妊婦さんも、生まれて3か月以降の赤ちゃんも、
誰でも使えるものがいいなって」(池田さん)

わざわざ手紙を書くほどではないけれど、ささやかな感謝の気持ちを贈りたい。
そんなとき、しっくりくる。
「主成分=優しさ」とも言えるギフトかもしれません。

別府温泉の魅力がつまった入浴剤を、世界へ

〈HAA for bath 日々(5個入り)〉のリリースから約9か月。
今後は海外にも別府温泉の魅力がつまった〈HAA〉を広めていく予定です。

「HAA for bath 日々」は、言葉に包まれた入浴剤のギフトボックス。

従業員のウェルネスに関心が高いと言われる
世界的IT企業が拠点を置くシリコンバレーや、
“新しいライフスタイル”の実践者が多いポートランドにこの夏赴き、
その可能性を探ってみたいと、池田さんは目下の夢を語ってくれました。
〈HAA〉がどんな展開をみせていくのか、
筆者も別府温泉の近くで育ったひとりとして、楽しみに見守っていきたいと思います。

information

HAA for bath 日々(5個入り)

*価格はすべて税込です。

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