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産地との信頼関係から生まれる
〈青果ミコト屋〉の
エコでユニークなアイスクリーム

コロカルニュース

posted:2022.4.22   from:神奈川県横浜市  genre:食・グルメ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Kanae Yamada

山田佳苗

やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。

KIKI NATURAL ICECREAM

旅する八百屋が手がけるアイスとは?

キャンピングカーをベースに、日本各地の畑と生産者を回り、
野菜の魅力を伝えてきた、旅する八百屋〈青果ミコト屋〉
昨年10周年を迎え、神奈川県青葉区梅が丘にショップをオープンしました。

ショップは赤いレンガの大きな建物です。

ショップは赤いレンガの大きな建物です。

このショップにはこだわりの農作物や調味料をはじめ、
畑と生産者を巡る旅の体験や気づきを、もっとカジュアルに楽しく、
たくさんの人へ届けたいという想いから、オリジナルのアイスクリームを販売する
〈KIKI NATURAL ICECREAM〉も展開。

そこで販売されているのは、野菜や果物の売り残し、規格外品、B級品など、
フードロスになったかもしれない食材を用いて、
添加物を加えず、手仕事で丁寧につくられたユニークなアイスです。

アイスは、1スクープ480円、2スクープ700円、3スクープ880円、キッズスクープ250円、リトルスリー700円。

アイスは、1スクープ480円、2スクープ700円、3スクープ880円、キッズスクープ250円、リトルスリー700円。

4月中旬に訪れた際のラインナップはこちら。
「だし巻き玉子」といったユニークな名前のものから牛すじが入ったものまで、
他のお店では絶対に見ることのできない、オリジナリティ溢れるフレーバーばかり。

「kikiミルク」

「kikiミルク」

こちらは唯一、年中展開しているフレーバー「kikiミルク」。
那須の〈森林ノ牧場〉でチーズをつくる際に大量に出るスキムミルクを半日炊き、
米油、米粉、乳製品を配合して作られています。
スキムミルクのコクが効いていてまろやかで、でも後味はスッキリ。
癖になる味わいです。

自家製のコーンはヴィーガンでグルテンフリー、
米粉、米ぬか、きなこが入った香ばしい仕上がりです。
プラス100円で追加可能。

右「バーガーマニアイス 〜ラズベリー牛すじ〜(以下、バーガーマニア)」、左「トースト&ジャム」。

右「バーガーマニアイス 〜ラズベリー牛すじ〜(以下、バーガーマニア)」、左「トースト&ジャム」。

「バーガーマニアイス」は、ハンバーガー屋〈バーガーマニア〉
パテを作る際に出る牛すじとラズベリーミルクアイスをブレンドしたもの。
名前からは味の想像がまったくつきませんが、食べてみると
牛すじはプチプチとした小さなグミのようで、アイスのアクセントに。
ラズベリーの甘酸っぱさも相まって、リッチな食べ心地でした。

一方、「トースト&ジャム」は鎌倉〈KOMOPAN〉のパンの端を
こんがりとトーストし、季節のジャムと合わせたもの。
小麦の風味がまろやかなコクを生み出し、何度でも食べたくなる味です。
オーナーの鈴木さん曰く、このアイスにコーヒーを足したら朝食になりますよ、とのこと。

どれもユニークなフレーバーですが、食べると意外に癖は少なく、
ストレートに「おいしい!」とびっくりさせられるものばかり。

〈KIKI NATURAL ICECREAM〉の店内。蓋をしているのはお客さんにキャプションを読んでアイスを選んでほしいからだそう。

ちなみに蓋をしてあえてアイス自体を見せていないのは、
お客さんにはキャプションを読んでアイスを選んでほしいからなんだそう。

特別に2つほど中を見せてもらいました。

〈KIKI NATURAL ICECREAM〉の「パクチー&レモンカスタード」

神奈川県の〈はやし農園〉から仕入れた、鮮度が落ちて生食には向かないパクチーと、
B品や売り残しのレモンを使用した「パクチー&レモンカスタード」。
この写真じゃ分かりにくいですが、他のアイスよりほんのりグリーンがかった印象でした。

〈KIKI NATURAL ICECREAM〉の「ごぼう」

北海道の〈中西農園〉から仕入れた規格外のごぼうや
売り残しのごぼうを使ったフレーバー「ごぼう」。
オーブンでしっかり焼いたものを使っているため香ばしく、
素材の旨味や土の香りを感じられるフレーバーです。

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1年で約160ものフレーバーが誕生

過去のフレーバーの一部をご紹介。相変わらず味の想像ができない(笑)!

過去のフレーバーの一部をご紹介。相変わらず味の想像ができない(笑)!

KIKI NATURAL ICECREAMでは、
この1年の間に約160ものフレーバーがつくられました。なんともすごい数!
しかも、この大半が2週間程度で入れ替わってしまうそう。
なぜそんな短期間で大半のフレーバーが入れ替わってしまうかというと、
アイスの材料がなくなってしまうから。

かわいらしい看板や飾りがショップのあちこちに。

かわいらしい看板や飾りがショップのあちこちに。

KIKI NATURAL ICECREAMのアイスは、農家やレストラン、牧場などとの
長年培ってきた信頼関係の中で、アイスの材料となる食材を仕入れます。
それは、天候の影響で傷み、農家から相談されたものであったり、
牧場で長年扱いに困っていたものであったりといろいろ。
そのどれもが「ミコト屋さんだから」という理由で声をかけてくれるそう。
ちなみにアイスは一定の冷凍保存下では微生物がほとんど繁殖せず、
品質の劣化が微々たるものであるため、賞味期限の表示義務がなく、長期保存が可能です。

中には、材料は仕入れたものの、調理が大変で
食材費より人件費の方がかかってしまうアイスもあるのだそう。
しかし、捨てられてしまう食材がおいしいアイスに生まれ変わり、
多くの人に食材の魅力が伝わっていくことの方が価値があると
オーナーの鈴木鉄平さんは語ります。

平日のお昼にもかかわらず、ショップは地元の人や遠方からのお客さんで賑わっていました。

平日のお昼にもかかわらず、ショップは地元の人や遠方からのお客さんで賑わっていました。

「今、フードロスやSDGsなどの事業をよく耳にしますが、
自分たちはそのような真面目に「いいことをしている」というムードではなく、
価値がない食材をおいしいアイスに変えて、そのおいしさを伝えたいという
純粋な気持ちやお客さんの喜ぶ顔見たさでやっている感じです。
その上で、それらの問題に気づいてもらえたら嬉しいなと思います」(鈴木さん)

まだ始めて1年ちょっとですが、さまざまな方面から声がかかり、
企業を相手にアイスのOEMのような取り組みも行っているそう。
アイスから繋がるご縁も増えているといいます。

これからさらに全国各地のすばらしい生産者を巻き込み、
より魅力的なアイスクリームを手がけていかれるであろうKIKI NATURAL ICECREAM。

ショップの前には、しとやかな薄紫の藤の花が咲き始めました。
この藤を練り込んだアイスクリームも、近々店頭に並ぶんだそうです。

information

map

KIKI NATURAL ICECREAM 

住所:神奈川県横浜市青葉区梅ヶ丘7-8

営業時間:平日 11:00〜18:00 土日祝日 10:00〜18:00

定休日:木曜日

Web:KIKI NATURAL ICECREAM 公式サイト

Instagram:@kiki_natural_icecream

*価格はすべて税込です。

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