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posted:2019.11.12 from:山梨県北都留郡小菅村 genre:活性化と創生
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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
山梨県小菅村に〈NIPPONIA 小菅 源流の村「OHYA棟」〉がオープンしました。
これは「700人の村が一つのホテルに」をコンセプトに、
地域全体をひとつの宿に見立てた“分散型”古民家ホテル。
宿泊客に近隣の食堂やお店、温泉施設などを利用してもらい、
村全体でお客さんをもてなすという、新しい事業モデルです。
ホテルマネージャーの谷口峻哉さん、ひとみさん。
80平米のスイートルーム「OHYA1」(ガーデンビュー・スイート)。屋根裏を改装した広いロフトは、重厚な梁が間近で見られる非日常空間。
スタッフは、すべて村の人たち。
ただ寝泊まりするだけではなく、スタッフとともに周辺の自然を散策したり、
自転車で村を巡ったりと、さまざまな体験が用意されています。
分散型とは、地域内に客室を分散させるホテルの形態なのだそう。
2015年10月、兵庫県篠山市にオープンした〈篠山城下町ホテルNIPPONIA〉が
先駆けとなり、全国に広がりつつあります。
この度オープンした「OHYA棟」は、村の名士の邸宅「細川邸」を活用した宿。
裏庭に面した明るくモダンな空間「OHYA2」(クリエイターズ・ツイン)。土間を利用したダイニングスペースや窓に面した書斎も。
土蔵を改装した離れの部屋「OHYA4」(離れ・土蔵ツイン)。重厚な蔵のつくりを最大限に利用したユニークな浴室や、秘密基地のような畳の間などがあります。
入り口の長屋門はレストランとして再生。小菅村の食材をふんだんに使った料理を楽しめます。
伝統的な長屋門をくぐると、かつて養蚕を営んだ主屋と
清流をたたえる庭が見えます。
建物のなかには、黒く煤けた大黒柱と太い梁に支えられた空間が。
築150年を超える邸宅の迫力に圧倒されます。
この家の先代は教師だったそうで、昔は村の人たちが柔道や習字を教わったり、
村に1台しかないテレビを見に来たりしていたそう。
ところがここ数年は空き家になっていたため、
「小菅村のみんなに愛され、思い出のつまった家を
後世に残したい」と、民家再生プロジェクトがスタート。
3年の準備期間を経て、ホテルとレストランとしてオープンしました。
ホテルマネージャーは、この事業のために
移住してきた谷口峻哉さん、ひとみさん夫妻です。
村の人と散歩道づくりに取り組む谷口峻哉さん、ひとみさん。
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山梨県小菅村
小菅村は、東京湾に注ぐ多摩川の源流にある、山あいの村。
ここでは、自然とともに共生してきた文化から、
森を守る活動が100年以上も前から続いていたのだとか。
森林には、天然記念物のニホンカモシカや野鳥、
数多くの山野草が自生する日本の原風景が多く残っています。
わさび田の手入れを体験する谷口ひとみさん。
そんな小菅村で、ここ数年起きている変化をご存知でしょうか?
じつはホテルがオープンする前から、さまざまなプロジェクトを行っているのです。
かつては養蚕や農林業で栄え、人口が2200人を超えた小菅村も、
近年は若い人の流出や高齢化が進み、700人にまで人口が減少。
空き家の数も100軒近くにのぼります。
そこでスタートしたのが、独自の地域活性化プロジェクト。
はじめは、村の情報発信基地〈道の駅こすげ〉を開業。
その後村づくり会社〈源(みなもと)〉を設立し、県外の企業誘致や、
話題を集めたPR動画「小菅村オブザデッド」の製作、
3,000人以上が来場したお化け屋敷イベント〈ゾンビ村KOSUGE〉など、
数々の取り組みを実現させ、注目を集めてきました。
NIPPONIA 小菅 源流の村を運営するのは、〈株式会社EDGE〉。
源と、道の駅こすげをプロデュースした
地方創生コンサルティング会社〈株式会社さとゆめ〉、
全国各地の古民家再生事業を手掛ける〈株式会社NOTE〉の
3社が出資・設立した会社です。
こちらは、2019年初夏に行われた「高齢者学級」という催しの様子。
高齢者学級の様子。
村のおじいちゃん、おばあちゃんたちおよそ50名を招待し、
改修したホテルを見学してもらいました。
思い出がつまった場所を再訪した、おばあちゃんたち。
懐かしさとともに新鮮な気持ちに包まれたのではないでしょうか?
小菅村には世界でも珍しい高アルカリ性温泉〈小菅の湯〉もあり、
美人の湯として評判が高いそう。ぜひ一度行ってみたいですね!
information
NIPPONIA小菅 源流の村「OHYA棟」
住所:山梨県北都留郡小菅村3155-1
アクセス:JR中央本線「大月」駅よりバスで1時間/青梅ICより車で約70分/JR青梅線「奥多摩」駅よりバスで1時間 ※大月駅からの送迎サービスあり。
電話:042-887-9210
宿泊料:1名1泊2万5千円から(夕朝食付き)
開業日:2019年8月17日(土)
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