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posted:2019.7.26 from:東京都中央区 genre:ものづくり
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
約400年もの歴史を誇る福岡の博多人形。
今にも動き出しそうな緻密で魂の込もった姿は、
昔も今もその道を極めた博多人形師の技術があってこそ。
そんな博多人形師の中で、現在一際注目されている人がいます。
104年続く『中村人形』の四代目・中村弘峰さん。
一見普通の博多人形のようですが、
よくよく見ると、野球をしていたり、スニーカーの形をしていたり、
より今っぽくアレンジされた動物だったり。
中村さんが手がける博多人形は、現代のテイストが
織り交ぜられた今までにないオリジナリティ溢れるものばかり。
幼い頃から『中村人形』三代目である父の姿を
見て育った中村さんは、東京芸術大学院修士課程を修了後、父・中村信喬さんに師事。
現在は家業を引き継ぎながら、従来の概念に
留まらない創作人形を発表しています。
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そんな中村さんの個展が、
8月8日(木)から9月1日(日)までの期間
ポーラ ミュージアム アネックスで開催されることになりました。
展覧会名は『SUMMER SPIRITS』。
江戸時代の人形師が現代にタイムスリップしたらどうなるか、
という視点から発想を得て制作された、
人気の高いアスリートシリーズから動物シリーズまで、
新作を中心に約40点が展示されます。
もちろん、お雛様や五月人形に代表されるような、
本来博多人形に託されている祈りや願いは、
中村さんが手がける博多人形にも込められており、
今も昔も変わらない人間の普遍さも表しているのだそう。
以下、今回の展覧会に寄せた中村さんのコメントです。
「白い肌に凛とした表情で何かを見据える
野球のキャッチャーや思わず天を仰いだアメフトプレイヤーなど、
古典の日本人形に現代のアスリートを
掛け合わせた作品を作るようになって数年が経った。
なぜ人間は人形をつくる必要があるのか?
人形師の家系に生まれた僕が子どもの頃から感じている不思議。
この問いについての明確な答えは、今はまだ持ち合わせていない。
ただ、胡粉の艶が光る白い人形が一生懸命ボールを投げる姿や、
緑の目をした極彩色の動物たちをつくるとき、
時間も忘れて夢中になっていて、
もうその答えを完全に悟ったような気分になっている。
でも、気づくとその感覚が スーッと引いて、掴んだものは手にはない。
そして目の前には、またひとつ溌剌とした新しい人形が立っている。
僕の作品はこうやってできている。本当に狐につままれた気分だ。
サマースピリッツというタイトルにはこういう思いを込めた。
願わくはあなたにも僕が見た白昼夢のような、
時間を忘れる人形の世界を感じてほしい。
新しい時代の真夏の銀座で」
現代の感性で博多人形の伝統を更新する中村さん。
彼の代表作が集まったエネルギッシュな作品群を、この機会にお見逃しなく。
information
中村弘峰『SUMMER SPIRITS』
会期:2019年8月8日(木)~9月1日(日)※会期中無休
開館時間:11:00~20:00 ※入場は19:30まで ※8月25日(日)のみ12:00開館予定
入場料:無料
会場:ポーラ ミュージアム アネックス 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
アクセス:東京メトロ 銀座一丁目駅7番出口すぐ/東京メトロ 銀座駅 A9 番出口から徒歩6分
主 催:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
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