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posted:2019.7.2 from:富山県富山市 genre:ものづくり
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writer profile
Haruna Sato
佐藤春菜
さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。
富山県で約140年続く、
医薬品パッケージをメインとした印刷メーカー・富山スガキ株式会社が開発した、
紙製品ブランド〈cusuri〉のkamifu-senです。
〈sumou〉を膨らませると、大きな力士と小さな行司になり、
飾るだけで土俵入りの様子が完成。
「のこった!のこった!」と掛け声が聞こえてきそうで、くすりと、顔がほころびます。
一番人気のkamifu-senは、招き猫・だるま・小判のセット〈engimono〉。
気軽に置ける紙ふうせんで、
日本の縁起物を飾る文化を残したいという思いから生まれた商品だそう。
洋間にも溶け込む、モダンなデザインも魅力です。
医薬品パッケージの印刷メーカーが
なぜ紙ふうせん? と思うかもしれませんが、
富山では、薬と紙ふうせんが密接に関係しています。
「富山の薬売り」という言葉があるほど、薬で有名な富山県。
江戸時代、江戸城に参勤した富山藩主が、
腹痛になった大名に服用させた薬が効いたことで、
その名が知れ渡ったとされ、300年以上の歴史があります。
その富山で、配置薬のおまけとして、
明治時代から、薬の商品名や
製薬会社の企業ロゴを入れて配られていたのが、紙ふうせん。
遊び道具が少なかった当時、子どもたちに人気となり、
以来、富山スガキ株式会社も、紙ふうせんをつくり続けてきたのです。
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紙ふうせんのつくり手の多くは、80歳以上。
海沿いのあるまちの女性たちが、
その技を受け継いでいます。
富山の紙ふうせんは、絵柄が描かれた上面と側面、底面の
3つのパーツを糊づけしてできています。
模様を合わせて紙を折り、シワを出さず、
角がきれいになるよう貼り合わせるには熟練の技が必要。
すべて手作業でありながら、面と面の模様がぴたりと揃うのです。
つくり手が高齢化し、後継者不足だった四角い紙ふうせん。
未来へ残すため、おまけではなく、
現代の生活に馴染み、販売できる商品を生み出そうと始まったのが、
「薬とクスリ(笑顔)」のふたつの意味を持つ、〈cusuri〉プロジェクトでした。
2017年の始動以来、つくり手も増え、
笑顔になれるデザインがたくさん生み出されています。
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「炭酸デザイン室」や、鈴木マサル氏が、富山の自然や食を模様にするプロジェクト
「富山もよう」とのコラボ商品も登場。空間を明るくしてくれるカラフルなオブジェです。
季節のイベントを飾るgyoujiや、四季の柄が描かれたseasonsなど、
日本の風物詩を手軽に取り入れられるシリーズもおすすめ。
縁起物と同じように、季節を愛でる習慣を残すことができそうです。
どの商品も、風船が膨らんでいない状態で販売されているので、
軽量でコンパクト。贈り物や海外へのおみやげにも喜ばれますね!
吊るすことのできるモビールキットや、
風鈴の姿になる商品もあるので、
場所に合わせて取り入れてみると暮らしが鮮やかになりそうです。
お部屋の中に紙ふうせん、はじめてみませんか?
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