連載
posted:2016.3.8 from:高知県高知市 genre:食・グルメ
〈 この連載・企画は… 〉
イラストレーターとして活躍する平尾香が、各地の粋な飲み屋をご紹介。
旅して飲んで、おいしいお酒と肴と人に出会います。
text & illustration
kao.ri hirao
平尾 香
ひらお・かおり●イラストレーター。神戸生まれ、独自の個性を発揮した作風で、世界的ベストセラー「アルケミスト」を始めとする書籍のカバーや、雑誌の挿絵、広告などで活躍。個展も多数開催。現在は、逗子の小山にアトリエを構え、本人の取材やエッセイなど活躍の幅は広い。著書本に「たちのみ散歩」(情報センター出版局)「ソバのみ散歩」(エイ出版社)
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空港から高知の市街地へ向かうタクシーの中で、
そのシュウマイのおいしさについて聞いていました。
1軒目の料理屋で十分にお酒も高知の魚などもいただいた後、
みんなで、そのシュウマイのおいしい
中華のお店〈宝永〉に行きましょうとなりました。
タクシーの中で聞いた通りの展開です。もう、お腹いっぱいなんだけど、
連れて行かれたそのお店がおいしくて食べられてしまうとのこと。
期待しながら、高知の夜のまち、狭い裏路地の店から大通りを渡って歩きます。
繁華街は、サラリーマンが呑み屋から移動する時間なのでしょうか、にぎやかです。
少し静かになった通りの雑居ビルに「ラーメン餃子」の看板。
奥に入るとカウンターだけのお店で、8席ほど。私たちが着席して満席。
呑み直しとばかりに、瓶ビールを注ぎあって乾杯。
案内してくれた呑ませ上手の食べさせ上手な高知人が、慣れた口調で餃子を注文。
気心知れた常連客に連れてきてもらえるのはうれしいこと。
このお店を切り盛りするのは、マスターおひとり。
やさしい笑顔で白い上っ張りが決まってます。
さて、この餃子、注文を受けると餃子餡が入った
ボウルと餃子の皮をカウンターの台の上に乗せたかと思うと、
素早い手つきで、マスターが餃子を包みあげていきます。
作り置きでなくて包みたて餃子は、すぐさま中華鍋に並んで焼かれてできあがり。
素朴な見た目ですが、ひと口食べて、バリッとした皮から飛び出した
野菜多めの餡のおいしいこと。
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「じゃあシュウマイも入るんじゃない?」と。これまた受注生産制。
手際のよいマスターが「餃子と中身はもちろん違うよ」
などとお話している間にシュウマイもできあがり。
やわらかいフリルをまとった白く艶やかなひと皿の登場。
焦る気持ち、はふはふと頬張ります。
つるりと口に入ったフリルの皮からやわらかい餡がほどけてジューシーだこと。
グリーンピースもなく直立もしていない見た目同様に、
お味もシュウマイってこんなにやさしかったのかと、観念が覆された感じ。
タガが外れたとは、胃袋のタガ!?
ここは、アレもおいしい、コレもおいしいと注文が通って、
満腹なのに不思議と箸も進んでしまいます。
高知の日本酒〈美丈夫〉の小瓶もあって、
やさしい宝永の中華料理と合うので呑み進んで。
気がつけば、本当のシメのラーメン。
極めつけはデザートの大学いもまで、フルコース中華。満腹ごちそうさまでした。
information
宝永
住所:高知県高知市廿代町8-8
TEL:088-824-7784
営業時間:18:00頃~22:30頃
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