南房総エリアでカルチャーは可能? 渋谷区から鋸南町に移住した筆者が いま考えていること

撮影:江田晃一

あの夜、〈YANE TATEYAMA〉で起こったこと

西陽が眩しいコンクリート打ちっぱなしの
だだっ広い部屋の其処彼処に置かれたソファ席のひとつを陣取って、
僕はいまこれを書いています。
ここは房総半島の最南端にある館山のまち。
僕が活動の拠点を東京より南房総エリアへと移してから、
すでに1年半が過ぎようとしています。

〈YANE TATEYAMA〉と名づけられたこの3階建ての古いビルの中には、
書店、カフェ、ジビエレザー工房、イタリア料理屋といった店舗が、
階の上下あるいは同じフロア内でシームレスに連なり合っていて、
最上階にはなんとホテルが。
ビル内では時折イベントやワークショップが行われていたりもして、
さながら宿泊機能を兼ね備えた小さな複合文化施設のよう。

写真提供:YANE TATEYAMA

写真提供:YANE TATEYAMA

〈YANE TATEYAMA〉の2階。カフェや書店の利用者がくつろぐサロンのような空間。(写真提供:YANE TATEYAMA)

〈YANE TATEYAMA〉の2階。カフェや書店の利用者がくつろぐサロンのような空間。(写真提供:YANE TATEYAMA)

しかしこのビルは、駅前から徒歩5分以内という好立地にありながら、
つい最近まで廃墟同然の空き家でした。

〈北条文庫〉の店内。“土着”と“土発”がテーマだというだけあって、この南房総地域ならではのレア本も。(写真提供:YANE TATEYAMA)

〈北条文庫〉の店内。“土着”と“土発”がテーマだというだけあって、この南房総地域ならではのレア本も。(写真提供:YANE TATEYAMA)

YANE TATEYAMAの地上階にある、今年オープンしたばかりの書店〈北条文庫〉では、
これまでに2度の映画上映会が開催されています。

最初の上映会は僕も企画段階から協力し、『Caravan to the Future』を上映。
日本、フランス、アフリカの3拠点を行き来しながら活動している、
ジャーナリストで作家のデコート豊崎アリサさんが、
ラクダにまたがってサハラ砂漠を征くトゥアレグ族の
長く過酷な行商の旅を記録したドキュメンタリー映画です。

アリサさんはこの映画が初めて日本で上映された頃からの友人なのですが、
郷土史とアートと旅をテーマに本を揃えている北条文庫と
この映画の相性は抜群ですし、また偶然にも彼女の日本滞在と
北条文庫のオープンの時期が重なったということもあって、
この上映会が実現する運びとなりました。

監督のデコート豊崎アリサさん(左)と筆者。(写真提供:YANE TATEYAMA)

監督のデコート豊崎アリサさん(左)と筆者。(写真提供:YANE TATEYAMA)

ふだん見慣れているはずのまちの風景の一部が変化したことへの
地元の人々の関心と期待の高まりが相まってか、
この上映会は平日夜の開催であったにもかかわらず、
予約受付を始めてからたった2日で申込数が定員に達し、
僕たちは座席の数を増やす工夫や新たな駐車場の確保などに追われることに。
たかだか30人程度の人数を集めるだけでも大騒ぎです。

当日にドタキャンするお客さんはひとりもおらず、
上映後のトークショーで設けたQ&Aコーナーでは
お客さんからのアリサさんへの質問が途切れることなく続き、
終了予定時間を大幅に延長することとなりました。

これが、少なくとも僕のような人間にとってどれだけ画期的な出来事だったことか。
というのも、僕はこの房総の地に、これまで自分が続けてきた仕事や生活の
“先”を求めてやってきた人間だからです。

『Caravan to the Future』上映会当日の様子。(写真提供:YANE TATEYAMA)

『Caravan to the Future』上映会当日の様子。(写真提供:YANE TATEYAMA)

これまでの旅とは異なる。 何度も地域に通う旅、帰る旅。 「第2のふるさとづくりプロジェクト」

コロナ禍を経て、旅のスタイルに変化が起きました。
長期的に地域との交流を育み、「何度も地域に通う旅、帰る旅」。
1度きりの旅行では味わうことができない、豊かで新しい旅体験を、
求めている人も増えています。

現在、観光庁が取り組んでいる「第2のふるさとづくりプロジェクト」では、
新たなコンセプトとして『まちが わたしが 育つ旅。「いくたび」』を掲げ、
2024年9月26~29日の4日間、東京・有明の東京ビッグサイトで行われた
『ツーリズムEXPOジャパン2024』にも参加。
この「第2のふるさとづくり」とは、一体どんな取り組みなのでしょうか?

『観光庁「いくたび」のブース。

『ツーリズムEXPOジャパン2024』に出展した観光庁「いくたび」のブース。

10 回目の開催となった今回のテーマは、「旅、それは新たな価値との遭遇」。
国内外から1384 もの企業や団体が参加し、会場には外国や日本の自治体、
観光にまつわる事業者によるブースが並び、
多数の来場者が訪れて賑やかに開催されました。

観光庁のコーナーでは、新たな旅のスタイルを普及、定着させることを推進する
プロジェクト「第2のふるさとづくり」に関するブースも。

人口減少や高齢化が進む地方で、
各地域が抱える課題への取り組みにも関わりながら、
その土地を繰り返し訪れ、地域との関係性の構築につなげる
このプロジェクトは、令和4(2022)年度から始動し、
令和6(2024)年6月時点で、
北海道から沖縄まで36の地域が参加しました。

いつか「森の番人」になる
〈トーヤの森〉プロジェクト

北海道の南西部に位置する洞爺湖に面する〈トーヤの森〉も
「第2のふるさとづくりプロジェクト」に参加しています。
ユネスコ世界ジオパークにも指定されている洞爺湖周辺の
美しい景観は多くの人を魅了してきました。

トーヤの森から一望できる洞爺湖。

トーヤの森から一望できる洞爺湖。

一方で、そのカルデラの湖と周辺の森を維持していくために、
必要な担い手不足が地域の課題になっています。

トーヤの森は、洞爺湖に面した約72ヘクタール、
東京ドーム15個よりも広い森です。
森を舞台に、人をつなぎ未来を創造する「トーヤの森プロジェクト」として、
令和6(2024)年度に大きく4つのイベントを企画し、
第1回では森林作業道づくりをテーマにした1泊2日のイベント
「森と街のがっこうinトーヤの森2024」を7月に実施しました。
ほかにも山主の渡辺大悟さんが森をガイドする企画も。

第2回「もりであそぼうinトーヤの森」サップ体験

9月に行われた第2回「もりであそぼうinトーヤの森」では、森歩きやバーベキュー、サップ体験などを通して、環境に与えるインパクトを最小限にして、アウトドアを楽しむ、「LEAVE NO TRACE(リーブ ノー トレース)」の考えを共有。

第3回は10月に木こり、家具職人、木工作家といった、
木材で仕事をする人たちと一緒に森を巡り、
第4回は雪が積もる12月以降にスキーやスノーシューを履いて行う
森遊びと山の観察を予定しています。

トーヤの森がある洞爺湖は、新千歳空港から車で1時間半ほど。
札幌からは車で2時間強の距離です。
北海道在住者を中心に何度も通っているファンもいます。

「もりであそぼうinトーヤの森」

「もりであそぼうinトーヤの森」では、参加者が洞爺の自然を感じながら、トーヤの森でのさまざまな体験を通じて、森との結びつきを強化。

山主である渡辺大悟さん自身も、
洞爺湖から車で1時間半ほど離れた北広島市に住んでいます。
渡辺さん一家にとって洞爺湖は、
家族で休暇を過ごすたびに訪れる、まさに“第2のふるさと”のような場所です。

渡辺さんは、精密機械や美術品など貴重な品物を木材で梱包する会社を経営し、
この事業で扱う木材は、輸送が完了すると廃棄されることに課題を感じていました。
そのため、若い頃から山を買って林業も行いたいという目標を持ち、
2019年にトーヤの森となる山を購入して夢を実現。

所有している森が健全に保たれるためにはどうしたらいいかと、
林業の専門家からアドバイスを受けたことが、
今回のプロジェクトの一環でもある森林作業道づくりにつながっています。

トーヤの森の伐採の様子。

トーヤの森の伐採の様子。

トーヤの森 道づくり

森が健やかに育つように手入れを行い、機材や人が入るための道が必要。北海道で林業に従事する人のなかでも経験者が少ない道づくりは、トーヤの森でもまだ始まったばかり。

今回のプロジェクトは、トーヤの森での道づくりを
本気で学びたい人がメインターゲットとされ、
今後イベント企画や案内ができる
「森の番人」が生まれることも期待されています。

今回『ツーリズムEXPOジャパン2024』に参加した渡辺さんの妻であり、事業の事務局を務める紗智子さん。

今回『ツーリズムEXPOジャパン2024』に参加した渡辺さんの妻であり、事業の事務局を務める紗智子さん。森のなかには道だけでなく、トイレなど水回りも整備されていないことが課題のひとつだとか。

プロジェクトを通して、旅行だけでは味わえないトーヤの森の魅力に触れ、
森への理解が深まり、何度も通いたくなる場所に育っていくことを目指しています。

希少な品種もある リンゴの産地・毛陽町。 収穫のお祭りで リンゴのアートを展開

リンゴのお祭りと同時開催で作品販売のイベントを開いて

私が住む北海道岩見沢市の美流渡(みると)地区からすぐ近くの
毛陽町(もうようちょう)は、果樹園が広がる農村地帯。
秋にはリンゴがたわわに実る。リンゴの品種は本当にさまざまあって、
地元はもちろん遠方から買いに訪れるファンも多い。

そうした人たちが楽しみにしているお祭りが今年も10月13日に開催された。
名前は『毛陽・万美紅葉祭り』。「万美(まんみ)」とは、
毛陽の両隣にある万字と美流渡の頭文字を取ってつけられている。

8月下旬から10月にかけて直売所や交流センターなどでリンゴが販売される。

8月下旬から10月にかけて直売所や交流センターなどでリンゴが販売される。

みる・とーぶで制作している地域マップ。リンゴ狩りが行える農園や直売所が並んでいる。

みる・とーぶで制作している地域マップ。リンゴ狩りが行える農園や直売所が並んでいる。

私が代表を務める地域PR団体「みる・とーぶプロジェクト」は、
今年、このお祭りと同時開催で、会場から200メートルほど離れた
屋内テニスコート施設〈毛陽コロシアム〉を借りてイベントを行った。
春から初秋にかけて行ってきた『みる・とーぶとMAYA MAXX がやってきた!』
というイベントの一環で、この地域で活動するつくり手の作品を集めた展示販売と、
美流渡在住の画家・MAYA MAXXさんの作品展示とグッズ販売を行うというものだ。

毛陽にあるログホテルメープルロッジに併設された毛陽コロシアム。屋内テニスコートが2面ある、とても大きな施設。

毛陽にあるログホテルメープルロッジに併設された毛陽コロシアム。屋内テニスコートが2面ある、とても大きな施設。

特産のリンゴにちなみ、今回MAYAさんは新しい絵を描き下ろした。
その名も「アップルちゃん」。
この絵は、お祭りのポスターにも使われることとなり、同時にステッカーも制作した。
さらにリンゴのオブジェがあったらいいのではないかと考え、
アップルちゃんパネルも仲間とともにつくりあげた。

毛陽・万美紅葉祭りと同時開催の私たちのイベントを紹介したポスター。MAYAさんが描き下ろしたアップルちゃんが目印。

毛陽・万美紅葉祭りと同時開催の私たちのイベントを紹介したポスター。MAYAさんが描き下ろしたアップルちゃんが目印。

このイベントのために制作したアップルちゃんパネル。これまでMAYAさんは赤いクマをこの地域のトレードマークとして描いてきたが、そこにリンゴも加わった。

このイベントのために制作したアップルちゃんパネル。これまでMAYAさんは赤いクマをこの地域のトレードマークとして描いてきたが、そこにリンゴも加わった。

みる・とーぶメンバーで布小物を制作する〈へんぺこ〉が、MAYAさんのアップルちゃんをブローチに仕立てた。

みる・とーぶメンバーで布小物を制作する〈へんぺこ〉が、MAYAさんのアップルちゃんをブローチに仕立てた。

フィリックス・コンランさん、 東吉野での暮らしはいかがですか?

「都会が恋しくなることはないですか?」

そんな少し意地悪な質問をすると、
「絶対にそれはないですね」とフィリックス・コンランさんは笑う。
そして、都会暮らしから田舎暮らしへの移行をこう表現する。

「これまで、都会暮らしにストレスや疲れを感じていました。
平和な村の暮らしのほうがずっと好きなんです。
それでもこの小さな村では毎日膨大なやるべきことがあって、
『あぁやらなきゃ』と焦燥感を抱くこともあります。
そんなときこそ、愛犬と散歩にでかけるのですが、突然、
別の“肺”がそこにあるかのように深呼吸ができて、
より頭がクリアになるのを感じるのです。常にリセットされているようなものですね」

〈SUZUKI〉ジムニーとフィリックス・コンランさん。

愛車は〈SUZUKI〉ジムニーのフィリックス・コンランさん。

憧れだった日本での暮らしは築150年の古民家とともに

〈ザ・コンランショップ〉の創設者で実業家の、テレンス・コンラン卿の孫として生を受け、
ロンドン、シドニー、ニューヨーク、ロサンゼルスといった
経済の中心地での活動を経て、
フィリックスさんは、幼少期からの憧れだった日本の田舎暮らしを手に入れた。
場所は、山々と3本の川に囲まれた自然豊かな立地で、
ノスタルジックなまち並みを残す奈良県東吉野村だ。

ここでフィリックスさんは、デザインスタジオ〈HA PARTNERS〉を立ち上げ、
建築とプロダクトのデザイナーとして、
古民家のリノベーションなどを手がけていく。

一緒に来日したフィリックスさんのパートナー、エミリー・スミスさんは、
東吉野の中心人物になりつつある。
彼女の母は日本で生まれ育ったこともあり、
自身のルーツである日本への興味と理解を深めていったことも、
フィリックスさんの背中を押した。

イギリスでドキュメンタリー映像制作の仕事をしていたエミリーさんは、
東吉野で地域おこし協力隊に就任。
東吉野の野山に自生する山菜やきのこの種類の多さやおいしさに魅了され、
豊かな自然とその産物をInstagram(@down2forage)で県内外や海外へ発信していたが、
ついに移住半年で〈東吉野きのこ協会〉を立ち上げたのだ。

11月1日から開催される、村在住の36組のクリエイターによる
オープンアトリエと作品展示、『はじまりの東吉野オープンアトリエ』にも参加予定。
活動の幅を徐々に広げている。

地元のお祭りのステージで日本語の歌謡曲を披露するエミリーさん。

地域のコーラス隊に参加し、地元のお祭りのステージで日本語の歌謡曲を披露するエミリーさん(左)。

そんなフィリックスさんとエミリーさんが暮らすのは、
村の中心部である小川から車で15分ほどの集落にある築150年の古民家だ。

招かれて入った先にはまず広い土間。前の住民が煮炊きをしていたかまども残されていた。
そして、和室には、フィリックスさんがデザインした照明とソファが鎮座する。

床の間にはフィリックスさんの父親の古い友人だというアーティスト、
デビッド・バンドの絵が飾られている。
「私がオーストラリアで生まれたときから、いつもデビッドのアートが家にありました。
だから私にとって、この絵は故郷のようなもの」とフィリックスさん。
この絵は、フェリックスさんが以前経営していたデザイン・スタジオのロゴに
インスピレーションを得たもので、フィリックスさんの原点を表した場所だ。

料理が好きだというふたりのこだわりのキッチンは、クリエーションの舞台であり、
実験室でもある。畑で採れた野菜や、
エミリーさんが採ってきた山菜やきのこをふたりで調理しては舌鼓を打つ毎日。
調理道具も調味料も和洋さまざまなものを取り揃えている。

「山菜やきのこを文化や食の伝統のなかで
長い間大切にしてきた日本人が好きなんです」とエミリーさん。

フィリックスさんは和食も好きで、とりわけ蕎麦がお気に入り。
すでにいきつけのお店もあるそうだ。

〈Forest house〉外観

彼らは、もともと家だった敷地の最も古い部分で、
85年前に牛舎に改築された場所のリノベーションに着手している。
東吉野や日本の伝統的な素材を使った新居、通称〈Forest house〉を建築中だ。
旧家の梁を残して新しく生まれ変わろうとしているが、
「忘れ去られた古い建物を現代的で魅力的な家に生まれ変わらせる」のだと、
フィリックスさんは改修の目的を話す。

コンラン家のDNAともいえる目利きの技。
それが生きたフィリックスさんのプランはこのとおりだ。

① 玄関からシンボルツリーである柿の木が見えるように窓を配置する。いわゆる借景の考え方。

② 床材は部屋ごとに吉野桧と吉野杉の木製ブロックを使い分け、バスルームは緑色のタイルを敷き詰める。また、屋根には金属を用いている。

③ ごくプライベートな空間以外ドアをつくらず、フローリングの種類や段差でゆるく部屋を区切る。

④ 自分たちで裁断した巨大な岩をテーブルにする。

⑤ キッチンとは別にアウトドアキッチンを設ける。日本の土間に着想を得たアウトドアキッチンで、料理好きで人を招くのが好きなふたりが和気あいあいと料理できる環境に。

⑥ リビングスペースの中心に現代的な囲炉裏をデザインする。

ご近所の方々や友人を招いて、ホームパーティーをすることも。〈丹生川上神社〉の鳥居からインスピレーションを得た東屋は、フィリックスさんが友人の手を借りて、地元の木材を使用し建てたもの。「日本の美しい建物、美しい木材への愛と感謝、敬意を示しています」とフィリックスさん。

ご近所の方々や友人を招いて、ホームパーティーをすることも。〈丹生川上神社〉の鳥居からインスピレーションを得た東屋は、フィリックスさんが友人の手を借りて、地元の木材を使用し建てたもの。「日本の美しい建物、美しい木材への愛と感謝、敬意を示しています」とフィリックスさん。

山岳霊場と遍路道、 歩いて楽しむ小豆島

行楽シーズンを迎えた小豆島

小豆島でゲストハウス〈NOTEL〉をオープンして2か月たちました。
暑すぎた夏が終わり、ようやく過ごしやすい秋を迎えています。
秋の小豆島は、行楽にぴったりのシーズン。
NOTELの宿泊予約も少しずつ増えてきたので、
秋の小豆島を楽しんでもらうべく、きてくださるみなさんに、
その魅力や楽しみ方をお伝えしています。

夏の終わり頃から始まる稲刈りの風景。NOTELはこんな田園風景のなかにあります(写真中央からちょっと右に写っています)。

夏の終わり頃から始まる稲刈りの風景。NOTELはこんな田園風景のなかにあります(写真中央からちょっと右に写っています)。

毎年10月中旬に行われる「小豆島 太鼓まつり」。NOTELの目の前から肥土山(ひとやま)地区の太鼓台が出発していきました。

毎年10月中旬に行われる「小豆島 太鼓まつり」。NOTELの目の前から肥土山(ひとやま)地区の太鼓台が出発していきました。

宿を運営するようになって、小豆島を訪れる人たちにどうやって小豆島の楽しみ方、
おすすめの過ごし方を伝えるか、ここ最近ずっと考えています。
いざ小豆島のことを伝える立場になってみると、もっともっと伝えたいことが
たくさんあるのに、伝えたい情報がまとまっているものがない、英語表記がない、
詳細な地図がない、あの山道は今歩ける状態なのか情報がないと、
「ない」ものがたくさんあることに気がつきます。
事前に調べたり、用意すべきものがたくさんあるんだなと実感しています。

それをこれからひとつひとつつくりあげていくことは大変でもあるのですが、
ちょっとワクワクもしています。
きてくれる人たちに、どうやって小豆島のことを伝えて、良い滞在をしてもらうか。

その土地を楽しむために、地図は必須。A1サイズ折りたたみで英語表記もある『小豆島歩き遍路地図・日英併記版』がおすすめ。

その土地を楽しむために、地図は必須。A1サイズ折りたたみで英語表記もある『小豆島歩き遍路地図・日英併記版』がおすすめ。

フィリックス・コンランさん、 奈良県東吉野村で、 なにをしているんですか?

モダンデザイン&ファニチャー界の巨匠の回顧展が開催中

2024年10月12日から2025年1月5日まで、東京ステーションギャラリーにて
『Terence Conran: Making Modern Britain
(テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする)』が開催されている。

本展は、〈ザ・コンランショップ〉の創業者で実業家・デザイナーの、
テレンス・コンラン氏(1931〜2020年)がデザインした食器やテキスタイル、
家具などの初期プロダクトから、発想の源でもあった愛用品、著書、写真、映像まで
300点以上集めた回顧展。

彼のモットーである「Plain, Simple, Useful(無駄なくシンプルで機能的)」
という思考に触れながら「デザインとはなにか」を考える機会となりそうだ。

バートン・コート自邸内の仕事部屋、2004年撮影 Photo: David Garcia / Courtesy of the Conran family

バートン・コート自邸内の仕事部屋、2004年撮影 Photo: David Garcia / Courtesy of the Conran family

ザ・コンランショップの紙袋、1980年代、デザイン・ミュージアム/テレンス・コンラン・アーカイヴ蔵 Courtesy of the Design Museum / Courtesy of the Conran family

ザ・コンランショップの紙袋、1980年代、デザイン・ミュージアム/テレンス・コンラン・アーカイヴ蔵 Courtesy of the Design Museum / Courtesy of the Conran family

「祖父は生前、日本に生まれたかったと言っていました。
日本が大好きで、人々の技術に対する情熱と献身に深い感銘を受けたそうです」

そう話すのは、テレンス・コンラン卿の孫で、
自身も家具やプロダクトのデザイナーとして活躍するフィリックス・コンランさんだ。
実はフィリックスさんが現在暮らすのは、住民1500名ほどの小さな村、奈良県東吉野村。
パートナーのエミリー・スミスさんと2匹の犬とともに2024年4月に移住した。
そんな稀代のデザイナーを祖父に持つ青年の新天地での挑戦を追った。

「わたしにちょうどいいまち」の “ちょうどよさ”って? 小松市が子育て世代におすすめの理由

(写真提供:こまつ観光物産ネットワーク)

特に子育て世代に、小松市が移住におすすめの3つの理由

石川県・加賀平野の中央に位置する小松市。
豊かな自然環境を有する梯川が流れ、
東には日本三大霊峰のひとつとして名高い白山がそびえ立ち、
麓に丘陵地と田園が広がる緑あふれる地域です。

農産物や山の幸、海の幸が豊富で産業都市としても名高いこのエリア。
最近では北陸の空の玄関口小松空港に加え、北陸新幹線・小松駅も誕生し、
東京都内からもアクセスしやすい便利なまちへと進化しています。

また、実は子育て支援をはじめとする行政の取り組みも盛んで
“移住にちょうどいいまち”として認知され始めているのをご存知でしょうか? 

今回は、お子さんが生まれたタイミングで小松市に移住したギター職人、
近 信濃(こん・しなの)さんのリアルな声を聞きながら、
子育てにおすすめの3つの理由を紐解いていきます。

①自然が豊かで文化が醸成しており、子育て環境にもってこい

小松市に家族で移住した、ギター職人の近 信濃さん。

小松市に家族で移住した、ギター職人の近 信濃さん。(写真提供:近 信濃さん)

3児のお父さんとしての顔も持つ近 信濃さんは、
石川県小松市でクラシックギターやウクレレなどの弦楽器を製作する職人です。
奥さんである真未子(まみこ)さんの実家が小松市であったことから、
出産のタイミングでこの地に移住することを決めたのだとか。

ギター製作工房〈近撥弦楽器〉の工房の様子。

ギター製作工房〈近撥弦楽器〉の工房の様子。(写真:近 信濃さん提供)

「子どもを育てるなら、都心ではないのびのびとした環境で育てたいと
以前から考えており、緑豊かなこの地に自然と移住することになりました。
ギターづくりは工房に適度な湿度が必要になるので、
大丈夫かなと心配していましたが、湿度も思いのほか調度よい環境でしたね。
ギターの材料として石川県の県木であるアテ(能登ヒバ)を
新たに取り入れることもでき、いい音の楽器を生み出せるきっかけにもなりました」
と近さん。

日本三大霊峰のひとつとして名高い〈白山〉。

日本三大霊峰のひとつとして名高い〈白山〉。

近さんが子育てを行っていく中で感じた小松市の最大の魅力は、
豊かな自然があふれているところだそう。
「山もあり、海もあり、川もあり。週末あらゆるスポットへ遊びに行けるところは、
子どもにとっても非常にいい環境だなと感じました。
人口も10万人程度で、ほどよい規模感。東京にいた時より地域の人の顔が見え、
誰が何をしているか把握しやすいので安心感がありますね」(近さん)

自由に遊具で遊べる〈カブッキーランド〉。

自由に遊具で遊べる〈カブッキーランド〉。

さらに、子どもが遊べる文化施設が点在しているところも
子育て世代にはうれしいポイント。
大型遊具と知育おもちゃで遊べる〈カブッキーランド〉や、
絵本を楽しめる〈空とこども絵本館〉、
日本海側唯一の航空機の博物館として知られる〈石川県立航空プラザ〉など、
さまざまな選択肢があります。

迫力あふれる〈石川県立航空プラザ〉。

迫力あふれる〈石川県立航空プラザ〉。

「読書好きの娘は、幼い頃空とこども絵本館で
絵本を読み漁ることが多かったですね。
石川県立航空プラザは、飛行機のコックピットの中に入れたり、
フライトする時のシミュレーターを実際に体験できたりと、
息子も大喜びでした」(近さん)

『日本列島回復論』の著者 井上岳一さんに聞く! どうやったら地域活動は続けられるの?

井上岳一さんとの出会い

日本総研の創発戦略センター チーフスペシャリストという肩書きを持ち、
全国の地域活動をめぐりフィールドワークをし、企業や大学とのプロジェクトも展開している
井上岳一さんとの出会いは、いま振り返ってみると不思議なものだった。

きっかけは2年前のある日のこと。
私が東京の出版社に勤めていた頃にお世話になった写真家のMOTOKOさんから、
「いま話せないか?」と突然メッセージが入った。
私が「OK」と返事をすると、すぐさまオンラインミーティングが始まった。

MOTOKOさんは、写真でまちを元気にしたいと、
地域の人々が自ら土地の暮らしや文化を撮影し、それを発信することで
観光や移住につなげる「ローカルフォト」という活動を行っていた。
まちづくりに関心を向けるなか、井上さんの著書『日本列島回復論』に出合い、
それがきっかけとなってふたりは「山水郷の会」という学び合いの場をつくった。

地域活動を行うプレイヤーたちが集まるこの会では毎回ゲストを呼んでいて、
私が代表を務める地域PR活動「みる・とーぶ」や、
美流渡在住の画家・MAYA MAXXさんとのプロジェクトについて
話してほしいと依頼を受けた。
このときの打ち合わせで井上さんと初めて出会った。

井上さんの著書。『日本列島回復論』(左)は、山水の恵み豊かな地域を「山水郷」と表し、国や経済に不安があっても生き延びていけるポテンシャルがあることを語った本。『Beyond MaaS』(右)は共著で、持続可能な社会を構築するために欠かせないモビリティサービスについて論じられている。

井上さんの著書。『日本列島回復論』(左)は、山水の恵み豊かな地域を「山水郷」と表し、国や経済に不安があっても生き延びていけるポテンシャルがあることを語った本。『Beyond MaaS』(右)は共著で、持続可能な社会を構築するために欠かせないモビリティサービスについて論じられている。

このオンラインの勉強会には、井上さんやMOTOKOさんとともに
全国から10名ほどが参加しており、私たちの活動について心から興味を持ってくれた。
その後、一般公開している、もうひとつの勉強会「山水郷チャンネル」でも
活動を紹介してほしいと井上さんから依頼があり、
そこでもプレゼンテーションさせていただいた。

山水郷チャンネルは、日本デザイン振興会が主催するオンラインプログラム。井上さんと東京藝術大学教授でデザイン評論家の藤崎圭一郎さんがホストを務め、山水郷に根ざした活動をしているデザイナーやクリエイターたちを毎回ゲストに迎えている。

廃校をリノベした小豆島のゲストハウス 〈NOTEL〉が2024年8月に オープンしました!

〈NOTEL〉がついにオープンしました

2024年8月23日、小豆島肥土山(ひとやま)地区に、
廃校になった小学校をリノベーションしたゲストハウス
NOTEL(ノーテル)〉がオープンしました!
肥土山は、私たちHOMEMAKERSが農業の活動拠点とする農村で、
小豆島の真ん中あたりにあります。

昔話に出てきそうな肥土山の秋の風景。NOTELから徒歩5分ほど。奥に見える建物は『肥土山農村歌舞伎舞台』。

昔話に出てきそうな肥土山の秋の風景。NOTELから徒歩5分ほど。奥に見える建物は『肥土山農村歌舞伎舞台』。

この地に、友人や知人、つながりのある人たち、
小豆島を訪れてくれる人たちが泊まれる場所をつくりたい!
その夢がようやく実現し、動き始めました。

2024年8月23日、NOTELオープンの日。真っ青に晴れ渡った夏空とNOTELのロゴが入った建物。

2024年8月23日、NOTELオープンの日。真っ青に晴れ渡った夏空とNOTELのロゴが入った建物。

今回は、NOTELのチェックインから
おすすめの滞在中の過ごし方をご紹介します。

まずはNOTELへのアクセスですが、最寄りの港は、
土庄(とのしょう)港または池田港で、そこからバスまたは車で
15分ほどになります(バスのルートによっては30分ほど)。

バスの場合は、「常盤橋」バス停で下車して徒歩3分ほど。
本数は1日に3〜5本程度ととても少なく、
船との乗り継ぎもあまり良くないので、
事前に旅の行程とあわせて計画が必要です。バスの時刻表はこちら

車でお越しの方は、NOTEL看板がある石柱のところから敷地へ。写真左のグラウンドの方に進んでいきます。

車でお越しの方は、NOTEL看板がある石柱のところから敷地へ。写真左のグラウンドの方に進んでいきます。

NOTEL宿泊受付カウンター。

NOTEL宿泊受付カウンター。

NOTELのチェックインは15〜18時です。
チェックインは、建物1階のHOMEMAKERSカフェにある
NOTEL宿泊受付カウンターへ。
スタッフがお出迎えします。
もし早めに到着された場合は、1階にあるHOMEMAKERSカフェで、
遅めのランチをすることもできますし、お茶休憩もおすすめです。

NOTEL1階にあるHOMEMAKERSカフェ。11時から17時まで開いています。(定休日:水、木曜日)

NOTEL1階にあるHOMEMAKERSカフェ。11時から17時まで開いています。(定休日:水、木曜日)

カフェの営業時間中は、店内でチェックイン手続きをしていただきます。

カフェの営業時間中は、店内でチェックイン手続きをしていただきます。

NOTELにチェックイン時間より早く到着されたら、カフェ前の木陰で休憩もおすすめ。

NOTELにチェックイン時間より早く到着されたら、カフェ前の木陰で休憩もおすすめ。

カフェでランチを食べてから、NOTELにチェックインという流れもおすすめ。

カフェでランチを食べてから、NOTELにチェックインという流れもおすすめ。

伊豆下田〈山田鰹節店〉直伝、 お出汁を用いた絶品料理とは?

後世に残していきたい伝統食、鰹節

伊豆下田のおすすめとして
〈山田鰹節店〉をあげるという津留崎徹花さん。
その場で薄削りにして販売してくれる鰹節に、
紹介した誰もがリピートするようになるのだとか。

そんな山田鰹節店のご家族に、
鰹節やさば節での出汁のとり方を実演してもらい、
これだけで立派な料理の一品になると思えるほど
感動したようです。

今回は、徹花さんが教えてもらった
基本となるだしの取り方や鰹節とさば節の使い分け、
そして出汁を使った家庭料理のレシピを惜しみなく紹介します。

温泉宿の跡地を古民家移築で再生。 自家発電のエネルギーシステムで 新時代のホテルを目指す 〈Onsen & Garden 七菜〉

緑豊かな里山で、地産地消のおいしい食事と温泉が楽しめる
〈Onsen & Garden 七菜〉が、2024年4月にグランドオープン。
金沢市の中心から車で20分、都心の喧騒を離れた場所に、
飛騨から築200年以上の古民家を移築した、心癒されるホテルとなっています。
オーナーである徳山相哲(とくやまそうてつ)さんと菜月(なつき)さん夫妻は、
ともに東京都の出身。前職も中学校の先生と会社員という、
田舎暮らしとも、ホテル業とも、無縁の生活を送っていたふたりでした。
それが都会での生活に息苦しさを感じるようになり、地方移住を考え始めたのだとか。

おふたりの好きな里山の風景を見ながら、テラスではバーベキューが楽しめる。

おふたりの好きな里山の風景を見ながら、テラスではバーベキューが楽しめる。

誰もが「ありのまま【有りの儘】」でいられるリラックスした空間をつくりたかった

「もともとエネルギー問題や自然環境に関心があったのですが、
子どもが生まれたことで、より自分らしく生きられる環境に身を置きたい、
人として無理なく生きられる環境で、職住一体となる場所に移りたい
という思いが強くなりました。

そして、普段都会で生活されている方や近郊で働かれている方たちにも、
同じように自分らしさを取り戻せる場所を提供したいと思うようになり、
ホテルの運営ができる移住先を探すなかで、この温泉地の権利を手放したいという
オーナーの知人と出会えたんです」と菜月さん。
こうして、コンサルティング会社を経営するお父さんの会社の一部門として、
ホテル事業がスタートしました。

あるものをすべて生かすという考えでエネルギーシステムを構築

さらに驚くのは、このホテルのエネルギーが、
夫の相哲さんが構築した自家発電によるものだということ。
ホテルをつくるときに、出来る限り、二酸化炭素を出さない持続可能な
エネルギーシステムにしたいと考え、
太陽光発電と温水施設でほぼ、まかなえる設計となっています。

「この土地のメリットを生かし、熱エネルギーと電気エネルギーをあますところなく
活用するにはどうしたらいいのか、1年ぐらいかけて構築しました。
未経験のなかで、全体が理解できる専門家がいないので、それぞれの分野の
専門家の方に聞きながら、トータルのシステムを考えました」と相哲さん。
現在、ホテルの主な電気は太陽光発電、給湯は温泉廃熱・太陽熱・
地域の間伐材を活用した薪ボイラー、その熱利用での全館床暖房となっているそうです。
また、高温の温泉水や廃熱利用や太陽温熱による給湯、さらに蓄電池、
電気自動車に蓄電した電力を住居、建物にまかなえる仕組みとなっています。
今後は、北陸地域が11月以降、雨と雪の時期が長いこともあり、
山水や融雪システムなどの導入を利用した水力発電も試作していくのだとか。

手入れをほとんどしないのに 多様な草花が芽吹いていった 5年間の記録。『家の庭』を刊行

庭の変化は驚きの連続だった

北海道も夏本番。
強い日差しが照りつけるなかで、庭や畑に出ていたら、真っ黒に日焼けしてしまった。
今年は春からポットに種をまいて野菜やハーブの苗をたくさんつくった。
それを仕事場として借りている一軒家の庭と、
近所の閉校した中学校の敷地にある花壇と畑に、せっせと植えた。
それらがいま大きく成長して収穫に追われている。

仕事場の庭。右は梅干し用に育てているウラベニシソ。左下の赤い実はナンバン。草があふれているので見えにくいが、こうやってところどころに苗を植えている。

仕事場の庭。右は梅干し用に育てているウラベニシソ。左下の赤い実はナンバン。草があふれているので見えにくいが、こうやってところどころに苗を植えている。

仕事場の庭は、5年前に借りた当時、ほとんど何も育たなかった。
もらってきたキュウリやナスの苗を植えたり、
小松菜やほうれん草の種をまいたりしたが、バッタに食べられたりして、
跡形もなく消えてしまっていた。
それが最近、スクスクと育つようになっていて
環境が明らかに変化していると感じられる。
庭の変化は私にとって驚きの連続。その過程を本にまとめておきたいと考えた。

小道以外の部分はびっしり草が生えている。写真だとよくわからないけれど、それぞれの植物がすみ分けをしながら生きている。

小道以外の部分はびっしり草が生えている。写真だとよくわからないけれど、それぞれの植物がすみ分けをしながら生きている。

書き始めたのは7月中旬のこと。
A4サイズのコピー用紙を半分に切って、そこに下書きせずに
いきなり文章を鉛筆で書いていった。
書き間違ったら消しゴムで消しつつ、見開きごとに仕上げていった。
まとめやオチなどはあまり気にせず、書きたいと思ったことを
紙にできるだけ出してみようと思った。

原稿。書き直したいと思ったら、消しゴムで消すか、紙を切って貼るか、していった。

原稿。書き直したいと思ったら、消しゴムで消すか、紙を切って貼るか、していった。

この連載の原稿のようにパソコンを使って書く場合は、
何度も修正して文章を整えていくが、文字を手で書くときは、
多少読みにくい言い回しでも、勢いで書いたほうがいい気がしている。
表紙を含めて32ページの原稿を1週間くらいで書き上げた。
それをスキャナーでデータ化し、パソコンで色をつけ、8月初めに印刷に出した。

刷り上がった本。A6サイズで32ページ。

刷り上がった本。A6サイズで32ページ。

全国のブランド米を使った 〈生米パン〉が ふるさと納税品として続々登場

全国のブランド米を活用した「生米パン」構想

農林水産省発表の「食料需給表」によると、2022年度の国民ひとり当たりのお米の
年間消費量は50.9キロ。
ピークだった1962年度の118.3キロの半分以下になっています。

そんな米離れが進む状況下において、米農家をサポートする支援へと動き出したのが、
地域創生を基幹事業とする〈レッドホースコーポレーション〉。
米の活用方法についてさまざまな調査・検討を進めるなかで、
自然派でしかも生米からつくるという珍しくも興味深い商品を製造する
〈ハニーマザー〉と出合いました。
両社がタッグを組んで生まれたのが、全国のブランド米を使った「生米パン構想」です。

青森県鰺ヶ沢町のブランド米「まっしぐら」を使った「生米パン」

生米パン

その第1弾として販売が開始されたのが、青森県鰺ヶ沢町産のブランド米
「まっしぐら」と秋田県男鹿市産のブランド米「あきたこまち」を
使った2種類の〈生米パン〉(最低寄付金額13000円、4個入り)です。

本品の開発はレッドホースコーポレーションの鰺ヶ沢町担当による
「まちの豊富な食材を使って新しい特産品を開発してほしい」
という熱い要望から始まりました。
町からは地元事業者の開拓・底上げを希望され、それを受けて既存の地元事業者の
商品との組み合わせで互いを高め合えるような商品の開発を目指しました。
その結果、青森県内で最も作られているブランド米「まっしぐら」を使った
「生米パン」が商品化されました。

青森県鰺ヶ沢町産まっしぐら使用の生米パン

米づくり、古民家リノベ、 山菜・野いちご・甘夏狩り! 糸島の「暮らし」と「人」を知る 〈いとしまシェアハウス〉お試し移住

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

コロナ禍をきっかけに普及した“テレワーク”のおかげで、
ハードルが高かった地方移住は、だいぶ身近な選択肢になりました。

日本最大級の移住相談窓口〈ふるさと回帰支援センター〉によると、
2023年の地方移住相談件数は5万9276万件。
3年続けて過去最多を記録するほど、関心が高まっています。

一方で、

「移住に興味はあるけれど、いきなり田舎に飛び込むのは抵抗がある」

そんなふうに感じている人は多いのではないでしょうか。

移住生活は、良いことも悪いことも
「暮らしてみないとわからない」ことばかり。
実際に地方移住をした人のなかには、
理想と現実とのギャップに直面し、都市部に戻ってしまう人も少なくありません。

そういった「ミスマッチ」を防ぐためにも、
移住前の事前リサーチや、お試し移住がとても大事だと思っています。

青々とした田んぼで草取りなどの作業をする人々の写真。

そのひとつとしておすすめしたいのが、各自治体が行う移住促進企画の活用です。

〈いとしまシェアハウス〉も去年から、
福岡県主催の移住体験プログラム〈福岡くらしごと体験〉に参加しています。

これは、福岡県への移住や、
我が家の暮らしに興味がある県外の方を対象としたもので、
地域に根づいた「暮らし」と「しごと」に触れることで
一般的な観光では体験できない
魅力やつながりをお試し体感できるプログラムです。

2泊3日〜3泊4日の体験費は無料。
宿泊費やレンタカーの補助も出るので遠方からでも参加しやすく、
田舎暮らしの“リアル”を体感することで
自分にマッチしているかどうか、じっくり考えることができます。
(食費などの実費は自己負担となります)

木をふんだんにつかったワークスペースでPC作業をする人の写真。

テレワークを体験しに来られる方も多いです。

さらに、〈いとしまシェアハウス〉が企画したイベントに参加する場合も
宿泊補助やレンタカー補助は適用されるため、

「いとしまシェアハウスの暮らしに興味はあったけど、
遠方でなかなか行くチャンスがなかった」

という方にもおすすめしたいです。

田舎暮らしに漠然と憧れるよりも、まずは一歩飛び込んでみる。
そんな勇気をくれるプログラムだと思います。

大豆と麹をまぜて、味噌づくりをする人々。

味噌づくりワークショップ。泊まり込みでの参加なら、麹づくりから体験できるかもしれません。

小豆島の農村ゲストハウス 〈NOTEL〉のオープンが、 2024年8月23日に決まりました!

農村ゲストハウス〈NOTEL〉のオープン日が決定!

「宿はいつオープンするの?」
と、これまで何度聞かれたことか。

2022年夏から準備を進めてきたこのプロジェクト。
ようやくオープン日をお知らせできるところまできました。

小豆島肥土山に、農村ゲストハウス〈NOTEL(ノーテル)〉が
2024年8月23日(金)にオープンします!
宿泊予約も始まっています。

廃校を改修したゲストハウスの外観

旧小学校の建物を改修した〈農村ゲストハウス NOTEL

あれ? ゲストハウス? ホテルじゃなかった?
小豆島日記を読んでくださっている方のなかには、
もしかしたらお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。
これまで、小豆島日記で何度かNOTELのことを書いてきましたが、
「農村ホテル」という表記をしていました。

あらためて、この宿泊施設は何ができて、どんな場所なのかを
話し合ったときに、一般的なイメージとしては、
ゲストハウスのほうがしっくりくるねという結論になり、
最終的に「農村ゲストハウス」になりました。

今回は、この農村ゲストハウスNOTELがどんな宿泊施設なのか、
その概要をお伝えさせていただきますね。

田んぼ

NOTELのまわりには田んぼが広がっています。7月は1年のなかで1番、緑が濃くて美しい。

まず、最初にNOTELはどんな場所にあるのか。
小豆島の肥土山(ひとやま)という農村地区にあります。
最寄りの港は、土庄(とのしょう)港で、車で15分ほど、
路線バスも走っていますが1日5便ほどです。池田港からもほぼ同じ距離です。

山々に囲まれた盆地の農村

山の上からみた肥土山地区。山々に囲まれた盆地の農村です。

島にありますが、オーシャンビューの宿泊施設ではありません。
代わりに、全室マウンテン&ファームビューです!
徒歩1分で田んぼです。
農村風景を存分に味わっていただけたらうれしいです。

つぎに、建物のこと。
もともとは小学校だった2階建ての建物。
小学校時代は、1階に1〜6年生の教室があり、
2階は音楽室や理科室などの特別室だったそう。

2005年に小学校が閉校になり、その後、建物を分割、改修工事し、
西側は公民館、東側は介護施設として使用されていたのですが、
介護施設は移転し、2018年頃から分割された東側の建物は空き家状態でした。
NOTELは、小学校だった建物の東側半分です。

田んぼから見たゲストハウス

NOTELのお隣は、地域の公民館。斜め前にはこども園があります。人が集まる地域の中心的な場所。

この建物の2階部分が宿泊者の専用エリアとなり、
トリプル4室、ツイン2室、シングル1室の全部で7つの個室と、
共有の大きなダイニングキッチンを備えています。
元小学校なので、天井が高く、窓が多いのが特徴です。
シンプルで開放感のある部屋になっていると思います。

北海道の夏フェス〈JOIN ALIVE〉に 赤いクマが登場! MAYA MAXXのオブジェが 会場を彩って

夏フェスのアートエリアで作品を発表

北海道もようやく夏らしい日差しが照りつける季節になった。
そんななかで、私の住むまち岩見沢で音楽フェス〈JOIN ALIVE 2024〉が
7月13日、14日に、いわみざわ公園を舞台に開催された。
今年で13回目を迎えるこのフェスには、2日間で66組のアーティストが出演。
THE YELLOW MONKEYやNiziU、氣志團など多彩な顔ぶれが、
5つのステージでパフォーマンスを行った。

主催であるマウントアライブの発表によると、2日間の来場者は3万8000人。
岩見沢市の人口の約半分の人々が会場を訪れたことになる。

野外音楽堂キタオンを利用したメインステージ「ROSE STAGE」。

野外音楽堂キタオンを利用したメインステージ「ROSE STAGE」。

すり鉢状の「ROSE STAGE」。スタンディングエリアに加え、奥側には芝生エリアが広がる。

すり鉢状の「ROSE STAGE」。スタンディングエリアに加え、奥側には芝生エリアが広がる。

音楽ステージとともにアートエリアも設けられ、私が代表を務める地域PR団体
「みる・とーぶプロジェクト」が作品展示やワークショップを行った。

参加の経緯は、昨年まで活動拠点としていた近隣の閉校になった中学校が、
改修をするまでイベント開催ができない状況となってしまったことが大きい。
新たな活動の場を探す必要性を感じていたことと、多くの人に活動を知ってもらいたい
という思いから、フェス会場で作品発表を行いたいと主催者に提案。
ここからさまざまな企画が広がっていった。

メインステージを含めて5つのステージが設置。「北海道グリーンランド遊園地」も会場となりアトラクションエリアでもライブが楽しめた。

メインステージを含めて5つのステージが設置。「北海道グリーンランド遊園地」も会場となりアトラクションエリアでもライブが楽しめた。

このフェスは、アミューズメントとともにアートにも力を入れており、
以前は北海道教育大学岩見沢校の学生が中心となって作品制作やライブペイント、
パフォーマンスなどを行っていた。

しかしコロナ禍となった2年間、フェス開催ができない状況が続き、
2023年に再始動したものの、コロナ対策もあって、
アート作品の発表などは大々的に行われなかった。
今年、ようやくコロナ以前の規模で行える目処がつき、
主催者としてもアートを積極的に取り入れたいという思いを持っていた。

作品発表をすることになったのは窪地になったエリア。

作品発表をすることになったのは窪地になったエリア。

「みる・とーぶ」が展開することになったのは、入場ゲート近くの芝生のエリア。
おおよそ50メートルプールほどの広さで、ここにテントを建てて、
来場者がひと息つける場所にもなるようにと設計された。
思った以上に広いスペースで活動できることとなり、みる・とーぶのメンバーであり、
美流渡を拠点に活動する画家のMAYA MAXXさんが新作のアイデアを考えてくれた。

そのひとつが、シンボルとなる塔の制作だった。
昨年、MAYAさんと仲間とで旧美流渡中学校のグラウンドに鳥の顔がついた
10メートルの塔「アイちゃん」を立てた。
これと同じ構造で「今度はクマの顔の塔を立ててみたい」とMAYAさんは語った。
さらに、もうひとつ、隣接するステージとアートエリアをつなぐ
入場門の装飾も行うことになった。
「赤と白のハートで埋めつくしたい」とプランを考えてくれた。

旧美流渡中学校のグラウンドに立つ鳥の塔「アイちゃん」。高さ10メートルの電柱が支柱となっている。

旧美流渡中学校のグラウンドに立つ鳥の塔「アイちゃん」。高さ10メートルの電柱が支柱となっている。

MAYAさんは、このまちのさまざまな場所に赤いクマを描いてきた。同じイメージを描くことで地域がつながっていることが感じられる。これまででいちばん大きな作品は、いわみざわ公園に隣接する食品メーカーの倉庫に描いた直径約10メートルのクマ。(撮影:久保ヒデキ)

MAYAさんは、このまちのさまざまな場所に赤いクマを描いてきた。同じイメージを描くことで地域がつながっていることが感じられる。これまででいちばん大きな作品は、いわみざわ公園に隣接する食品メーカーの倉庫に描いた直径約10メートルのクマ。(撮影:久保ヒデキ)

田んぼクイズ! 「自然栽培の田んぼ」 あなたは見分けられる?

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

今回は、ちょっとしたクイズからスタートしたいと思います。

ここに、「自然栽培の田んぼ」と「一般的な田んぼ」を
上空から撮影した2枚の写真があります。
どちらが「自然栽培の田んぼ」か、わかりますか?

「どちらがうちの田んぼでしょうか」というテキストと2つの田んぼの俯瞰写真が載った、畠山千春さんのSNS画面。

【1】は左の写真を拡大したもの。

【1】と数字が打たれた、曲線を描き、びっしりと稲が植えられた田んぼの俯瞰写真。

【2】は右の写真を拡大したものです。

【2】と数字が打たれた、稲が直線的に植えられている田んぼの俯瞰写真。

ヒントは、

・農薬や肥料を使っていないこと。

・手で苗を植える「手植え」という方法で田植えをしていること。

SNSでこの問いかけをしてみたところ、
反響が大きく、こんなコメントが集まりました。

・不揃いで生命力が強そうなので、【1】が自然栽培

・窒素が濃いと緑が濃くなるので、肥料を入れていないのは色の薄い【2】

・【2】は雑草が生えておらず、人工的に整列されすぎているので【1】

・見れば見るほどわからない……! 

たくさんの回答をいただき、
予想としてはほぼ半々でしたが、
【1】が若干多い結果となりました。

みなさんはどちらだと思いましたか? 

花期を迎えた「ドクダミ」で手づくり! 虫刺され薬・化粧水にもなる ドクダミ蒸留水&チンキの 使用感や効果の違いとは?

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

蚊やブヨに悩まされる季節がやってきました。
虫除け、虫刺されに効果のある「ドクダミ」は、今が収穫どき。

コロカルでも過去に野草の「虫除け&虫刺され薬」
「チンキ&軟膏」のつくり方をご紹介しましたが、
虫刺され薬のつくり方として一番ポピュラーなのが
野草をアルコール漬けにしてエキスを抽出する「チンキ」という方法。
加水したり、保湿効果のあるグリセリンなどを加えることで
美白化粧水としても使えるすぐれものです。

半日蔭に生えたドクダミの写真。

ドクダミは、生葉をすりつぶして虫刺されに擦りつけるだけでかゆみが和らぎます。

ただ、あるときこのレシピを見た友人から
「肌が敏感で、アルコールは刺激が強く肌が荒れてしまう」
と相談されました。

そこで考えついたのが「蒸留」です。
これなら肌への刺激が少なく、いろんな人が使えるのでは……? 
と考え、さっそく実験してみることにしました! 

(蒸留水でも、植物によっては濃度が高く出るものがあるので
注意してご使用ください)

ドクダミを蒸留する

ガラスの蒸留器にセットされたドクダミの花の写真。

蒸留とは、植物を煮出したり蒸したりすることで
植物のエキスや芳香成分が蒸気のなかに溶け込み、
その蒸気を急激に冷却することで液化するという仕組み。

取り出した液体にはさまざまな効能があり、
化粧水やヘアケアなどに活用することができます。

今回は、「梅の花のアロマウォーターづくり」の際にご紹介した
ガラス製の蒸留器と、
家庭用のホーロー鍋を使って蒸留していきます。

(1)ガラス製の蒸留器を使って蒸留してみる

化粧水として使いたかったので、美白効果が高いといわれている
ドクダミの白いお花だけを集めて贅沢に蒸留してみました。

ガラスの蒸留器にセットされたドクダミの花を上から見た写真。

庭に生えているドクダミの花をさっと水洗いして蒸留器へ。熱が加わると一気にかさが減るので、花は多めに入れるくらいでOK。

ビーカーの周りにドクダミの花を敷き詰めて水を入れ
蓋部分に氷をセッティングしたら、
氷を溶けにくくするためにさっと塩をふります。
準備が整ったらスイッチオン!

蒸留器を熱して、ドクダミの花を煮だしている写真。

お湯を沸騰させると、ドクダミのエキスを含んだ蒸気が部屋いっぱいに広がります。

ドクダミの香りというと青臭い印象で嫌われがちですが、
集めた蒸留水は、青臭さがなくなり、
フレッシュで爽やかな香りがしました。
(でも、ドクダミらしさはしっかりと残っているから不思議です!)

30分程でドクダミのエキスが集まった蒸留水ができあがりました。

(2)ホーロー鍋と耐熱容器で蒸留してみる

「蒸留してみたいけど、家に蒸留器がない……」
という方もご心配なく。
キッチンにある鍋や蒸しザルでも、簡単に蒸留できます。

こちらでは、ドクダミの葉っぱを原料に
蒸留水をつくってみたいと思います。

ホーロー鍋にドクダミの葉っぱを敷き詰めて水を注いている様子の写真。

煮ている間に耐熱容器がカタカタと揺れて、中心からずれてしまうことも。蒸留水をこぼさないように容器を固定したりと、ちょっとコツが必要です。

鍋の中心に耐熱容器を置き、周りにドクダミの葉を入れます。
耐熱容器の周りに葉っぱがひたひたになるくらいまで水を入れ、
鍋蓋を逆さにして被せ、
その上に氷を置いたら火にかけて、ドクダミを煮出します。
こうすることで、立ち上った蒸気が蒸留水となり
裏返した蓋の取手を伝って、耐熱容器に集まってきます。

ホーロー鍋の蓋を逆さにして、蓋の上に氷を置いている写真。

蒸気を急冷するために氷を使います。なければ保冷剤でもOK。

強火でボコボコ沸騰すると、
鍋のなかで耐熱容器が揺れて割れてしまうことがあるので、
弱火で試してみてください。

耐熱容器が割れるのが不安な方は、
蒸しザルの上に耐熱容器とドクダミの葉を置いて
容器が揺れないようにするなど工夫してみてください。

20分ほど煮出して、無事に蒸留水ができました。

蒸留水を溜めたビーカーの写真。

さて、蒸留して気になったのが香りの変化です。

ドクダミの独特な匂いのもととなる「デカノイルアセトアルデヒド」は
強力な殺菌作用があるといわれており、
お肌のトラブルを解決に導く重要な成分です。
けれど、ドクダミを乾燥させると
独特の匂いと共に殺菌効果が失われるため、
この成分を活用したい場合は生葉を使うことが勧められています。

今回、蒸留でドクダミ特有の青臭さがなくなったことで
「デカノイルアセトアルデヒド」に何か影響があったかも? 
と思い調べてみました。
加熱によって成分が変質する可能性はあるそうですが、定かではない様子。
確実に殺菌効果を高めたい場合は加熱せず、
アルコールに漬け込むチンキのほうが向いているかもしれません。

とはいえ、蒸留してもさまざまな効能は十分残っているはずなので
化粧水としての役割を果たしてくれると期待しています! 

和歌山の料理人・石井佳奈氏が描く、 農が食になるまでを伝える本 『ワンダフル・アグリカルチャー』

農家の代わりに農業の面白さと、生産の現場のリアルな話を伝えたい

滋賀県に生まれ、「生産者の近くで料理がしたい」という想いで2018年に和歌山に移住し、
2020年にケータリング専門〈ozzkitchen〉を岩橋(イワセ)地区に開業した石井佳奈さん。
農家から直接仕入れるオーガニック野菜を中心とした
“身体が喜ぶお料理“を提供しています。

ローカル食品店〈フードセンターイワセ〉

生産者とのつながりを生かして
「一般の方も地元のオーガニック野菜を気軽に買えるお店をつくろう」と
2022年にはローカル食品店〈フードセンターイワセ〉を開店。
そして今回「日々の畑仕事が忙しい農家さんの代わりに、農業の面白さと、
生産の現場のリアルな話を伝えたい」という想いから、新たに本の出版を予定しています。

農家の方は、作物をつくることで消費者の食を支え、私たちの身体をつくっています。
さらに地域の伝統や風習を受け継ぎ守っていくことで、
その土地の景観を保つことまでもが仕事です。
自然が相手の農業は、同じ作業をしていても、毎年同じようにはいかないことばかり。
そのため農家の方は日々研究と努力を重ね、おいしい作物をつくる工夫を惜しみません。
農家の方々が集まると、自分の畑をアップデートするため、情報を交換し、
いつまでも農業の話がつきません。
しかし、一般家庭までその努力が伝わっているかというと、そうではない。

ケータリング専門〈ozzkitchen〉

当たり前のように、年中おいしい野菜が手軽に手に取れる時代。
スーパーで野菜が「商品」になったとき、誰もその農家の方の努力や、
店頭に並ぶまでの苦労や工夫、喜びなどは伝えていません。

その上、市場の需要と供給のバランスによって末端価格は激しく変動し、
数十円の値上がりでも野菜は高いと文句を言われることもあります。

農家から直接仕入れるオーガニック野菜を中心とした“身体が喜ぶお料理“

「私たち消費者はもっと自分たちが食べるものがどうやってできているのか、
誰のおかげで毎日おいしい野菜が食べられるのかを知るべきだ」と石井さんは考えました。

農家の方は日々の畑仕事が忙しく、発信する時間が取れない。
消費者も仕事や家事に忙しく、畑に話を聞きに行けない。
「それなら、代わりに農業の面白さと、生産の現場のリアルな話を伝えたい」と
石井さんは本の出版を決意しました。

〈Kazemachi SHIMODA -風まち下田-〉 空き物件を再生し、子どもの居場所、 そして交流、共創、挑戦の場に!

〈Kazemachi SHIMODA -風まち下田-〉スタート!

移住8年目で大きな変化があった津留崎鎮生さん。
下田の中心市街地へとつながる橋のたもとにある4階建ての空き物件を、
地域内外の人が集う「交流・共創・挑戦」の拠点、
そして「地域の子どもの居場所」となる複合施設として再生させ、
運営していくという事業をはじめます。
その名も〈Kazemachi SHIMODA -風まち下田-〉。
現在は開業に向けて準備中とのこと。
どのような思いでこの事業をはじめようと思ったのか、
その背景を語ってくれます。

新しい〈HOMEMAKERS CAFE〉 ついにオープン! 廃校をリノベ、再び人の集まる場所へ

新生HOMEMAKERS CAFEが誕生しました

2024年6月22日(土)に新しいHOMEMAKERS CAFEがオープンしました。
ようやくこの日を迎えることができ、ひとまずほっとしています。ほっ。
今回は、そのオープン日のこと、これからのことを書きます。

おしゃれなカフェの外観

オープン初日。お客さんが来てくれるかドキドキの朝。

木製のカウンターがあるカフェ。大テーブルには、花が飾られている

カフェ真ん中の大テーブルには、畑で咲いていた、にんじんの花を飾りました。

カフェづくりに着手したのは2024年の年明け頃。
中古の厨房器具の掃除や窓枠の塗装など、
まずは自分たちでできるところから作業を進めていきました。

本格的に工事が始まったのは4月頃。
水道やガス、電気などの設備工事からスタートし、
大工工事や家具の製作、天井や壁の塗装など、
毎日たくさんの職人さんたちが来てくださり、
ひとつひとつ工事が進んでいきました。
工事の様子は、前回の小豆島日記vol.334で書きましたので、
気になる方はぜひご覧くださいね。

2023年12月末にこれまでのHOMEMAKERS CAFEの営業を終え、
2024年3月末頃には新しい場所で移転オープンとして開けたいなと
思っていたのですが、その頃にはオープンできる気配など1ミリもなく、
もう焦らずにできるタイミングでオープンしようと
気持ちを切り替え粛々と作業を進めてきました。

木材がたくさん並ぶ

厚さ10センチほどある巨大な松の一枚板が、カフェの大テーブルになりました。運搬だけでもとても大変でした。

大きな壁を漆喰で塗る作業

大きな壁をこの土地の赤土を混ぜた漆喰で塗りました。大きな壁をふたりの女性が赤土色の漆喰で塗り上げていく後ろ姿がとてもかっこよかった。

「おいしいビールを届ける」まちづくり 和歌山県有田川町にある 国際色豊かな〈Nomcraft Brewing〉

300種類以上のビールをつくりだしてきた

海が近く、年中温かくて雨が少ない和歌山県有田川町は古くから続くみかんの名産地。
見渡す限りのみかん畑の中に佇む〈Nomcraft Brewing〉は
2019年に誕生したクラフトビールの醸造所だ。

〈Nomcraft Brewing〉が入居するのは、元保育園をリノベーションした複合施設〈THE LIVING ROOM〉。

〈Nomcraft Brewing〉が入居するのは、元保育園をリノベーションした複合施設〈THE LIVING ROOM〉。

メンバーは「シセロン」というビールソムリエの国際認定資格を持つ
シカゴ出身の醸造長アダムさん、
有田川に移住して18年のイギリス人ギャレスさん、
ドイツの醸造・精麦マイスターの資格を持つドイツ人のマークさん、
イギリスで研鑽を積んだジュンヤさん、
そして海外生活のなかでクラフトビールに出合い
〈Nomcraft Brewing〉の創設に関わることになった金子巧さん。
実に国際色豊かな顔ぶれであることに加えて、全員が移住者だ。

左から右に、代表の金子巧さん、有田川町に移住して18年のギャレスさん、醸造長のアダムさん、醸造・精麦マイスターの資格を持つマークさん。

左から右に、代表の金子巧さん、有田川町に移住して18年のギャレスさん、醸造長のアダムさん、醸造・精麦マイスターの資格を持つマークさん。

〈Nomcraft Brewing〉のクラフトビールは
ホップにフォーカスしたアロマ豊かなアメリカンスタイルの味わいが特徴。
また、和歌山県が都道府県別・国内生産量1位を誇る有田みかんや、
同じく国内生産量1位を誇るぶどう山椒といった
和歌山・有田川町ならではの農作物を使用した香り高いビールなど、
創業以来300種類のビールを生み出してきた。

 (写真左)軽快な飲み心地の「Nomcraft Lager」。(写真右)ホップとアロマの苦味をしっかりと堪能できる「Nomcraft IPA」。

(写真左)軽快な飲み心地の「Nomcraft Lager」。(写真右)ホップとアロマの苦味をしっかりと堪能できる「Nomcraft IPA」。

醸造に欠かせない水は、世界遺産高野山と同じ水系に属す伏流水を使用。
「プレーンな水は、あらゆるスタイルのビールの可能性を
最大限に引き出す麦汁へとデザインすることができます。
それに和歌山のいろんなフルーツやスパイスの風味をきれいに
引き出すことができるんです」と金子さんは言う。

ヨモギの若芽はとびきりおいしい。 草いっぱいの庭でも元気に育って

草がうっそうと茂る庭。そこに生えてくる植物を見る

春だというのに、今年は肌寒い日が続いている。
つい1週間ほど前も朝晩冷え込み、ストーブをつけてしまった。

けれど、良いこともある。
北海道の春は秒速で過ぎていく。
桜の花は普段なら3日ほどで散ってしまうが、
今年はほんの少し盛りが長く続いてくれた。

北海道の桜

北海道で桜が咲くのはゴールデンウィーク頃から。よく見かけるのは山桜。ソメイヨシノほど花をたくさんつけないが、山の木々と調和して美しい。

約半年、雪に覆われているこの地域。
黒々とした地面が少しずつ現れるのは4月に入ってから。
やがて、白鳥が北へと渡り、フキノトウやチャイブの芽がポツポツと見えてくると、
気持ちがソワソワとしてくる。
わたしの仕事場の前にある庭で、今年はどんな植物や虫が見られるだろうかと思う。

雪が早く解けるようとまいたコーヒー豆のカスや米ヌカ

庭は屋根から落ちる雪もあって2メートル以上、雪が溜まってしまうことも。雪が早く解けるようにとコーヒー豆のカスや米ヌカをまいている。

雪の間から植物が顔を出す

雪の間から顔をのぞかせたのは、チャイブ(アサツキやネギの仲間)とチューリップ。いよいよ春!

この庭はほかの人が見たら、ただの草むらと思うだろう。
春も中盤になるとフキ、ヨモギ、ドクダミ、ミツバなどが勢いよく伸びてくる。
手入れはほとんどしないが、雪が解けたら、庭につけた小道を何十回も往復する。
すると土が踏み固められて、そこには大きな植物が生えてこなくなる。
また、踏みしめた土の脇だけにタンポポやアワダチソウ、稲科の植物などが生えてくる。
それぞれの植物がきちんと棲み分けをしながら生きている。

廃校をリノベして新たにオープンする 〈HOMEMAKERSカフェ〉。 壁や天井に土地の色を取り入れる

新たな〈HOMEMAKERSカフェ〉を工事中

2023年12月をもってこれまでの場所での営業を終えた
〈HOMEMAKERSカフェ〉。現在(2024年5月)、
新しい場所での移転オープンを目指して工事の真っ最中です!
だいぶかたちが見えてきたので、今日はどんなふうに
カフェの工事をしているかお伝えしよう思います。

これまでのHOMEMAKERSカフェは、
農村民家を改修した自宅の一部をカフェとして開いてきました。
週に1日、土曜日のみオープンしていて、
全席14席ほどの小さなお店でした。

もうその場所でカフェを開くことはないんだなぁと思うと
なんだかちょっとさみしいですが、今はHOMEMAKERSスタッフが
お茶休憩したり、お昼ごはんを食べたりする場所として使っています。

新しいHOMEMAKERSカフェは、現在工事中の
宿泊施設〈NOTEL(ノーテル)〉の1階にオープンします。
2024年6月末のオープンを目指して、工事を進めています。
もうすぐです(汗)。

窓枠を塗装するために、窓を外して掃除。この建物が小学校だった頃からあるレンガ壁が、とてもいい雰囲気。

窓枠を塗装するために、窓を外して掃除。この建物が小学校だった頃からあるレンガ壁が、とてもいい雰囲気。

カフェのエントランス工事。既存のアルミサッシの引き戸を外して、新しく木製の大きな扉をつくります。

カフェのエントランス工事。既存のアルミサッシの引き戸を外して、新しく木製の大きな扉をつくります。

この建物は、もともと小学校だった建物。
2005年に閉校し、その後、建物を分割、改修工事し、
公民館および介護施設として使用されていたのですが、介護施設は移転し、
2018年頃から分割された半分の建物は空き家状態でした。

建物全体は小学校の雰囲気を残しつつも、一時的に介護施設として
使われていたので、エレベーターがついていたり、
大きな介護用の浴室があったり、病院みたいな雰囲気の
引き戸や壁紙が使われていたりします。
まずは不要なものを取り外し、元の古い小学校だった頃に
戻していくような作業から始まりました。

HOMEMAKERSカフェとなるスペース。工事が始まった当初の様子。

HOMEMAKERSカフェとなるスペース。工事が始まった当初の様子。

新しい扉が取りつけられ、天井や窓枠の塗装が進み、だいぶいい雰囲気になってきました。

新しい扉が取りつけられ、天井や窓枠の塗装が進み、だいぶいい雰囲気になってきました。