クラフトビールの〈奈良醸造〉が 『森、道、市場2025』に出店。 初夏にぴったりのサワーエールを オンタップ

外で飲むクラフトビールがおいしいこの季節に、うれしいお知らせが届きました。

奈良発のクラフトビール醸造所〈奈良醸造〉が、ついに『森、道、市場2025』に初出店します。『森、道、市場』はモノ・ごはん・音楽が集まる、言わずと知れた人気イベント。今年は5月23日(金)から25日(日)までの3日間、愛知県蒲郡市のラグーナビーチ&ラグナシアで開催されます。ライブにはPUFFYや石橋英子、UA、OKAMOTO'S、折坂悠太ら豪華アーティストが出演決定。

〈奈良醸造〉が今回用意するのは、『森、道、市場2025』限定のサワーエール。甘酸っぱい味わいで、初夏の屋外にぴったりな最高の一杯です。“食”をテーマにしたライブパフォーマンスイベント「EAT BEAT!」とのコラボレーションで、ラベルも特別デザイン。飲んだあとも思わず取っておきたくなるかわいさです。

〈奈良醸造〉自慢の爽やかなビールをオンタップ

コラボビールの詳細は公式サイトやSNSで追って発表予定

そのほか、150種類以上をリリースしてきた〈奈良醸造〉の定番ビールの中から「FUNCTION」や、ヘーゼルナッツを使用した「NUTS & MILK」、キウイとマンダリンを使った「BEER AFTER SAUNA」など、夏に飲みたい爽やかなビールをラインアップ。ビアカクテルやノンアルコールのカクテルも登場予定なので、お酒が得意じゃない人にもオススメ。

〈奈良醸造〉自慢の爽やかなビールをオンタップ

〈奈良醸造〉自慢の爽やかなビールをオンタップ

夏フェスを盛り上げるグッズが勢ぞろい

ビールだけじゃないのが〈奈良醸造〉。夏フェスを盛り上げる楽しいアイテムが勢ぞろいします。撥水加工のサウナハットやナイロンショーツ、オリジナルTシャツ、手ぬぐいなど、サウナはもちろんフェスにも大活躍するグッズを販売します。一部商品はオンラインストアでも購入できます。

オリジナルTシャツや手ぬぐいなど、夏フェスにぴったりなグッズも販売

オリジナルTシャツや手ぬぐいなど、夏フェスにぴったりなグッズも販売

中でも注目は、ソックスブランド〈HOiSUM(ホイサム)〉とのコラボレーション。〈奈良醸造〉のラベルデザインをあしらったカラフルなソックスが登場します。実は奈良県は靴下の生産量が全国1位。そんな事実をより多くの人に伝えられたらと〈HOiSUM〉とタッグを組んで作ったソックスです。

ソックスブランド〈HOiSUM〉とのコラボレーションソックス。実は奈良県は靴下の生産量が全国1位。意外な組み合わせが楽しい

ソックスブランド〈HOiSUM〉とのコラボレーションソックス。実は奈良県は靴下の生産量が全国1位。意外な組み合わせが楽しい

『森、道、市場』は〈奈良醸造〉としてもいつか出たいと目標にしていたイベントのひとつだったそう。ぜひライブの合間にこだわりのビールで乾杯してはいかが?

naraBREWERY

information

map

『森、道、市場2025』 

会場:ラグーナビーチ(大塚海浜緑地)愛知県蒲郡市海陽町2丁目39番/ラグナシア 愛知県蒲郡市海陽町2-3

開催日時:2025年5月23日(金)11:00~22: 00、5月24日(土)10: 00~22: 00、5月25日(日)10: 00~20: 00

Web:『森、道、市場2025』公式HP

〈奈良醸造〉が「コロカルアカデミー Vol.1」に出演

「コロカル」では、そんな〈奈良醸造〉の代表兼ヘッドブルワー、浪岡安則さんが出演するウェビナー講義「コロカルアカデミー」も開催予定です。〈奈良醸造〉はこれまで150種類を超えるビールをリリースし、その多様な味わいと鮮やかなパッケージでファンを魅了してきました。今回お迎えする今回お迎えする〈奈良醸造〉代表兼ヘッドブルワーの浪岡安則さんは、元・奈良県庁の技術吏員(土木)という異色の経歴の持ち主。なぜクラフトビールの世界に飛び込んだのか、市場参入後に直面した壁への取り組み、そして「ビールは嗜好品。あったら人の気持ちを豊かにするもの。だからこそ大切に造りたい」という想いについて、じっくりとお話を伺います。

地域に根ざして挑戦を続ける起業家のリアルな声を、ぜひお聴きください。

▶︎ 詳細はこちらをご覧ください

【概要】
タイトル:奈良でクラフトビールを造る 〜ローカルの脱構築 奈良醸造の挑戦〜
日時:2025年5月15日(木)15:00〜16:00(14:50開場)
費用:無料(要事前申込)
形式:Zoomウェビナー
申込締切:申し込みは終了いたしました。

「コロカルアカデミー」開講! 奈良でクラフトビール造りに挑む 〈奈良醸造〉の舞台裏に迫る

日本のローカルの魅力を発信してきた「コロカル」が、新たなウェビナー講義シリーズ「コロカルアカデミー」をスタートします。

第1回目となる5月15日配信のゲストは、奈良を拠点に世界品質のクラフトビール造りに挑む 〈奈良醸造〉の浪岡安則さん。〈奈良醸造〉の取り組みと舞台裏に迫ります。

〈奈良醸造〉はこれまで150種類を超えるビールをリリースし、その多様な味わいと鮮やかなパッケージでファンを魅了してきました。今回お迎えする今回お迎えする〈奈良醸造〉代表兼ヘッドブルワーの浪岡安則さんは、元・奈良県庁の技術吏員(土木)という異色の経歴の持ち主。なぜクラフトビールの世界に飛び込んだのか、市場参入後に直面した壁への取り組み、そして「ビールは嗜好品。あったら人の気持ちを豊かにするもの。だからこそ大切に造りたい」という想いについて、じっくりとお話を伺います。

後半では、コロカル編集長・杉江宣洋とのトークセッションも開催。「地域に文化と経済の好循環を生むには?」をテーマに、具体的なアクションについて深掘りしていきます。

地域に根ざして挑戦を続ける起業家のリアルな声を、ぜひお聴きください。

【概要】
タイトル:奈良でクラフトビールを造る 〜ローカルの脱構築 奈良醸造の挑戦〜
日時:2025年5月15日(木)15:00〜16:00(14:50開場)
費用:無料(要事前申込)
形式:Zoomウェビナー
申込締切:申し込みは終了いたしました。

【コロカルアカデミーとは】
ローカルを舞台に活躍する人々のリアルな情報を通して、日本の魅力を再定義するアカデミーです。
地域を活性化させるために働きたい方、ローカルでビジネスを始めたい方、自治体や企業で地域創生に携わる方に向けて、新たなヒントを提供します。

登壇者は、地域の文化資産や資源を掘り起こし、その価値を世界に伝える新しいリーダーたち。
ローカルビジネスにおける強みと課題、問題解決のプロセス、未来を変える次の一手についてもリスナーの皆さんと一緒に考えていきます。

【本ウェビナーで学べること】
・クラフトビール市場の可能性
・ブランド構築、ファンづくりの方法
・経営者としてのマインドセット

自ら新しい価値を生み出す楽しさ、乗り越えた苦労、未来への展望まで、多角的に深掘りします。
ローカルビジネスに関心のある方はもちろん、クラフトビール、食、地域文化に興味のある方にも楽しんでいただける実践的な時間をお届けします。

【こんな方におすすめ】
・クラフトビールや食文化に関心がある方
・地方での起業に興味がある方
・ローカル×ビジネスの実例を知りたい方
・課題解決のヒントを得たい方

【登壇者プロフィール】

浪岡安則

浪岡安則(なみおか・やすのり)
奈良醸造 代表兼ヘッドブルワー
1979年生まれ、奈良県出身。京都大学卒業後、奈良県庁にて技術吏員(土木)として主に道路行政に従事。2015年に退職後、京都醸造株式会社に入社。アシスタントブルワーとしてクラフトビール造りを学んだ後、2017年に奈良醸造株式会社を創業。代表取締役として経営を行う一方、醸造責任者として2018年の醸造開始より150種類以上のビールをリリースして現在に至る。
▶︎ 奈良醸造公式サイト

杉江宣洋

杉江宣洋(すぎえ・のぶひろ)
コロカル編集長/MAGAZINEHOUSE CREATIVE STUDIO ブランディングプロデューサー
1997年マガジンハウスに入社。『anan』編集部を経て、2008年『BRUTUS』配属、10年同誌副編集長に。『BRUTUS』では「居住空間学」(インテリア特集)「音楽と酒」シリーズなどをヒット企画に育てた実績を持つ。また、「桑田佳祐」「山下達郎」「松本隆」「スタジオジブリ」などの特集も担当。2022年Hanako編集長就任。2025年より現職。

【注意事項】
・本イベントはオンライン開催です。
・参加用URLは、事前申込をされた方に前日までにご案内します。
・音声・映像が乱れる可能性があります。ご了承ください。
・配信内容の録画・録音・再配信はご遠慮ください。
・オンライン配信サービスの接続方法についてはサポート対象外です。

申込締切:申し込みは終了いたしました。

子育て世帯にとって 最適な家とはどんな家だろうか? 新潟のリノベーション住宅

こどもが生まれると、住まいに求める条件は大きく変わる。
小さな命を守り、健やかに育てるためには、快適で安心できる住空間が不可欠だ。
そんな理想の子育てを実現するうえで、
マイホームの購入を希望する若者夫婦は多いと思うが、
住宅価格の高騰やそもそも子育てや教育にお金がかかることもあり、
購入を躊躇してしまう子育て世帯は多いのではないだろうか。

住宅購入に悩む若者夫婦を支援しようと、
新潟県が取り組んでいるのが『にいがた安心こむすび住宅推進事業』という制度。
県内にある築10年以上の空き家を子育て世帯向けにリノベーションし、
販売する事業者に対して最大350万円の補助金を支給するこの制度は、
安心安全に子育てに取り組める住宅が
相場よりも求めやすい価格帯で売り出されることにつながるため、
間接的に子育て・若者夫婦世帯への間接的な経済支援につながっている。

家族みんなが安心して快適に過ごせる住まいとはどのようなものなのか。
新潟県が子育て世帯に向けて運営している
ウェブマガジン『にいがたのつかいかた for Family』で
取り上げてきた取材事例のなかから、子育てしやすい住まいづくりのヒントを探る。

家のどこにいてもこどもを見守ることができる。
長岡市の子育て世帯向けリノベ住宅

まずは長岡駅から徒歩15分の立地にあるこちらの住宅。
保育園や小学校が徒歩10分圏内にあるほか、
長岡市の子育て支援施設〈子育ての駅ぐんぐん〉や
ショッピングセンター〈原信〉も生活圏内にあり、
立地だけでも子育て世帯にとって大きな需要があるだろう。

リノベーションを手がけたのは
〈セキスイハイム〉のアフターサービスやリフォームを担当する
セキスイファミエス信越株式会社〉。
同社は2021年から中古住宅をリノベーション・再販する
「Beハイム」事業を展開しており、
その独自基準が今回の県の事業の認定基準と合致していたことから、
積極的に参加を決めたという。

リノベーションを担当した〈セキスイファミエス信越株式会社〉の(左から)黒河内伸治さん、大島浩史さん、中沢美代子さん。

リノベーションを担当した〈セキスイファミエス信越株式会社〉の(左から)黒河内伸治さん、大島浩史さん、中沢美代子さん。

この住宅のリノベーションでは、
「家族同士のふれあいをいかに自然に実現させるか」に重点を置いたと担当者は語る。
玄関を上がるとすぐにウォークインクローゼット、
そしてLDKの扉を開けてすぐ横には脱衣所と浴室がある。
こうした細かい間取りの配慮が家事負担を軽くしてくれると同時に、
こどもの存在をちゃんと把握できることにもつながる。

玄関を上がってすぐ左手にあるウォークインクローゼット。アクセスしやすい。

玄関を上がってすぐ左手にあるウォークインクローゼット。アクセスしやすい。

「ウォークインクローゼットで上着を脱いでリビングの扉を開ければ、
すぐ横に浴室があります。
そこで手洗い・うがいを済ませてから、リビングやダイニングへと入っていけるので、
お子さんもストレスなく家の中に入っていけますし、
親御さんもお子さんの動きをちゃんと把握することができます。
生活空間のなかでどれだけ家族が顔を合わせられるかは気をつけて設計した部分です」

特に大きなリノベーションポイントだというのはLDK部分。
もともとリビングとダイニングキッチンが壁で分断されていたが、
壁を取り払い、両者の間に「フリースペース」を設置した。
この空間は、こどもの遊び場や勉強スペースとして機能し、
料理をしながらこどもの様子を見守れる設計となっている。

ダイニングからフリースペース、リビング、奥の和室まで一直線に望める。

ダイニングからフリースペース、リビング、奥の和室まで一直線に望める。

リノベーション前のリビングスペース。ダイニングキッチンは左の扉の向こう側にあり、それぞれどんな様子か確認することはできなかった。(写真提供:セキスイファミエス信越株式会社)

リノベーション前のリビングスペース。ダイニングキッチンは左の扉の向こう側にあり、それぞれどんな様子か確認することはできなかった。(写真提供:セキスイファミエス信越株式会社)

こうした大幅な間取り変更を可能にしたのは、
セキスイハイムの「ボックスラーメン構造」によるものだ。
この構造は耐震性にもすぐれており、
さらに定期的に住宅健診が受けられる長期サポートシステムもあるとのことで、
子育て期だけに最適な家というわけではなく、
こどもが巣立ったあとも長く家族が暮らし続けられる家でもある。

ボックスラーメン構造の特徴がよくわかる高床部分は車庫として使えるほか、趣味を楽しむ場所としても使えそう。

ボックスラーメン構造の特徴がよくわかる高床部分は車庫として使えるほか、趣味を楽しむ場所としても使えそう。

そのほかにも、玄関には録画機能付きインターホンとスマートキーを設置し、
こどもだけの在宅時も安心。
また、住宅全体にシックハウス症候群対策を考慮し、
低ホルムアルデヒドの建材(F☆☆☆☆)を使用。
さらに引き戸にはドアクローザーを導入するなど、
こどもの安全を守る細やかな配慮が施された家だ。

気になる価格だが、同エリアのセキスイハイムの新築住宅と比較すると、
なんと1000万円ほど安価になっているという。
しっかりとリノベーションすると、なんだかんだ予算が嵩張ってしまうものだが、
県の施策として信頼がおけるリノベーションが施されたこの家が
これだけお得な価格で買えるのは、子育て世帯にとって大きな魅力となるだろう。
機能と価格のすぐれたバランスが、
今の子育て世帯にとって最も重要な要素かもしれない。

◎にいがたのつかいかたfot familyの記事はこちらから

“よそ者”たちが移住先で叶える夢 一度訪れた旅人が移住者になる 温泉街・温泉津の不思議な引力

世界遺産エリアの小さな温泉街・温泉津(ゆのつ)での暮らしを楽しみながら、
未来にこのまちを繋げていきたい一心で日々奮闘中の私、近江雅子ですが、
世の中の価値観が大きく変わったコロナ禍がきっかけになり、温泉津も変わり始めました。

長年、この温泉津の価値を大切に守り続けていた
地元の方々の努力があるからこそ、
〈WATOWA(わとわ)〉という、
ちょっとしたスパイスがその起爆剤になったように思います。

の温泉街の中心に位置する複合施設〈WATOWA〉。

温泉津の温泉街の中心に位置する複合施設〈WATOWA〉。

前編では、私が温泉津にやってきて12年、〈WATOWA〉をはじめ、移住してから7つのゲストハウスを開業するにいたった経緯をお届けしました。

後編では〈WATOWA〉が完成してから多くの移住者が集まり、
それぞれが夢を持って活動している
「まちも人も温泉のようにアツアツに湧く」温泉津のいまをお届けします。

旅人が料理を振る舞い
まちの人も旅行者ももてなす〈旅するキッチン〉

手前がランドリー、奥にはキッチンと客席。ドミトリーや客室も完備する〈WATOWA〉。

手前がランドリー、奥にはキッチンと客席。ドミトリーや客室も完備する〈WATOWA〉。

〈WATOWA〉は、私が温泉津にやってきて
2021年に立ち上げた4つ目のゲストハウスです。

このまちの価値を十分に感じていただけるように、
温泉津の人たちと関わり合って、温かい人間関係を味わってほしい。

ほかの観光地や温泉地に見られる、つくられたアクティビティではなくて、
私たちのありのままの生活文化を体験してほしい。

そうしたらきっと温泉津のことが大好きになってくれるはず!

そのためには、温泉津で暮らすように、
中長期滞在できる宿をどうやってつくり出すか、その仕組みづくりと向き合ってきました。

〈WATOWA〉の名前に込めたのは、
「中の輪(ローカル)」と「外の輪(観光客や移住者)」が
つながる場所になればということ。
中長期滞在者には必須のランドリーと、安価で滞在しやすいドミトリー、
みんなが輪になって囲む「旅するキッチン」の3つの機能をもった複合施設です。

ドミトリーは男性専用と女性専用をそれぞれ4ベッド完備。

ドミトリーは男性専用と女性専用をそれぞれ4ベッド完備。

2Fには4名の和室2部屋。家族で貸しきりもできる。

2Fには4名の和室2部屋。家族で貸しきりもできる。

どうして複合施設にしたかというと、
ひとつだけでは、この田舎町での運営していくのは難しいのかもしれないけど、
まちの課題(洗濯・食事・宿泊のバリエーション)を解決しながら、
相乗効果を出すことができればと、総合的な事業計画にしてみました。

観光客にも喜ばれ、地元の人にも喜ばれる機能。
今まで温泉津に来たことのないようなお客さんも
温泉津を目指してきてくれるような、目的になる場所として、
事業計画書を繰り返し書き直しながら何度も銀行に通い、
融資を受けるための相談をしました。

銀行も、よくもこんな主婦の想いに大きな融資をしてくれたなと本当に感謝しています。

高齢者の多いこのまちで、コインランドリーは旅人だけではなく、
地元の方も大型の洗濯物があるときは隣町のまで行く方が多かったので、
きっとコインランドリーがあれば、まちの人にも喜ばれるのではないかと思ったのです。

温泉津は、国の重要伝統建築物群保存地区に指定された日本で唯一の温泉街。

温泉津は、国の重要伝統建築物群保存地区に指定された日本で唯一の温泉街。

それでも、ランドリー業者の方には、こんな人口では
大赤字になるからやめたほうがいいと止められました(笑)。

では、どうやったらコインランドリーがやっていけるのか。

もっと安く泊まれるドミトリーのような宿泊施設があったら、
中長期滞在しやすく、コインランドリーの需要も生まれるのではないかと考えました。

そして「こんな小さな温泉街に飲食店をオープンしてくれる人なんていないだろう」
という懸念を逆手に取って生まれたのが〈旅するキッチン〉です。

私たちが施設改修をはじめ、お皿やカトラリーなど備品もすべてそろえて、
体ひとつで旅するように料理をつくりに来てくれる人だったらいるかもしれないと、
何の根拠もつがりもないのに、すごい思い込みでこの飲食店を始めたのでした。

シェフには滞在する家と、必要なら車も使っていただけるように準備をしました。

西麻布のカルチャー拠点を南房総へ。 〈鴨川スーパーナチュラルデラックス〉 マイク・クベックさん

茅葺き屋根の古民家と蔵をイベントスペースに

2月某日の朝、ふらりと立ち寄った鴨川シーワールドは大いに賑わっていました。
この日は鴨川市民であれば無料で入館できるという、年に1度の優待日だったのです。

チケット売り場でそのことを知ったとき、
渋谷でイベントスペースの運営に携わっていた頃の感覚が急に蘇って
「そうそう、暦の上ではもっとも日数の少ない2月は
売り上げを立てるのが大変だから、集客で成り立っている場所はどこだって
お客さんに向けたさまざまな仕掛けを試みる月でもあるんだよなー」
などといやらしいことを考えてしまいました。
市政が始まった日を記念する太っ腹な周年イベントだということも知らずに……。

さて、鋸南町で暮らしている僕がどうして朝からこのあたりを散歩していたかというと、
この近くにある場所に前日から滞在し、
制作に関わったイベントを2日間にわたって開催していたからなのです。

鴨川シーワールドの前を走る国道「外房黒潮ライン」を横断し、
海岸防風林を抜けた先にある「伊南房州通往還(いなんぼうしゅうつうおうかん)」
というかっこいい名前の街道に沿って、
安房鴨川(あわかもがわ)駅方面に向かって少し歩けば、進行方向右側に
なんだか学校の校門を思わせるオールドスクールなスライド式鉄製門扉と、
その奥に広がる庭園風の空間が目に入ります。

南房総エリアではお馴染みのカナリーヤシの木を見上げつつ
その門の中に足を踏み入れ、花木や果樹や菜園がひしめくその敷地内を進んでいくと、
やがて眼前に立派な茅葺き屋根の建物と古い蔵が建ち並ぶ、
広場のような空間が姿を現します。

そう、ここが〈鴨川スーパーナチュラルデラックス〉。
この土地で明治期より酒造業を営んでいた家の母屋と蔵が残された広々とした敷地が、
2022年9月より、イベントやワークショップのための
新しいスペースとして生まれ変わったのです。

〈鴨川スーパーナチュラルデラックス〉の母屋(左)と蔵(右)。

〈鴨川スーパーナチュラルデラックス〉の母屋(左)と蔵(右)。

ライブ会場として使われることの多い蔵にかけられた暖簾には、デザインユニット〈生意気〉によるお馴染みの目玉ロゴが。目玉に口はないが、〈西麻布スーパーデラックス〉に思い出がある人には「お帰りなさい」と言う声が聞こえてくるのではないか。

ライブ会場として使われることの多い蔵にかけられた暖簾には、デザインユニット〈生意気〉によるお馴染みの目玉ロゴが。目玉に口はないが、〈西麻布スーパーデラックス〉に思い出がある人には「お帰りなさい」と言う声が聞こえてくるのではないか。

「極端にいえば、東京では1か月でやっていたことを
2年かけてまだやれてないくらいなんですよ。
昔のスケジュールを見ると1か月に30個のイベントをやっていたからね(笑)。
帰る時間に朝日を見るようなことが多かったし、
東京タワー越しに昇ってくる朝日を見ながら
“僕はこれから寝るんだけどね!”っていつも思ってたよね。

外房は朝日が昇るのが早いから、久しぶりに朝の時間を楽しめるというか、
海から上がってくる太陽を見て“これからまた1日が始まるんだ”っていう
新鮮な気持ちになれるんだよね。海の近くで暮らすことができるのはうれしい。
夜も、特に冬はめっちゃ星が見えるからね」と、
マイク・クベックさんは楽しそうに話します。

母屋にはバーカウンターが併設されていて、年季ものの梅ジュースや地域の食材を用いたナチュラルな飲み物を楽しめる。

母屋にはバーカウンターが併設されていて、年季ものの梅ジュースや地域の食材を用いたナチュラルな飲み物を楽しめる。

『つくる暮らし』を求めて 下田へ移住し8年。 事業を始めて大きく変わった暮らし

photo:上田 和弥

暮らしを中心にした8年間から
次のステージへ

2月になると、咲き始める伊豆半島の早咲きの河津桜。
それを見ると移住当時のことを思い出すという津留崎鎮生さん。
4月になると下田に移住して丸8年。
今回は、下田に移住した理由から振り返ってくれました。

つくる暮らしを目指し、古民家のDIYによるリノベーションや
薪ストーブの導入、そして田んぼでの米づくりなど、
充実した暮らしを送っています。

一方で仕事は、暮らしの充実を目指して
バランスを保っていましたが、
昨年の7月からは大きく転換。

「暮らし中心」から「仕事中心」へ、
ライフスタイルが変化していく渦中の心境を語ってくれました。

クラフトミルクの魅力を届けるために。 牧場主と取り組む“新しい酪農のかたち”

それぞれの牧場が環境に合わせ、手間ひまかけて、
丁寧につくられた牧場牛乳「クラフトミルク」。
地域の風土、季節、牛の種類や飼料……
ひとつとして同じ味わいはなく、
牧場ごとに異なる個性を見つけることができる。
そんな「クラフトミルク」を取り巻く新しい動きが今起きている。

子どもたちや次世代に届ける東京の牧場、能登の牧場と届ける
「CRAFT MILK’S PROJECT」や、石川・七尾市に拠点を置く〈能登ミルク〉の
地域のテロワールを生かした注目の商品、つくり手たちの思いをお届けします。

23区最後の牧場〈小泉牧場〉の
オンリーワンの牛乳

東京23区に残る唯一の牧場として約90年、
練馬で酪農を営む〈小泉牧場〉。

小泉牧場

もともと東京23区は日本の牧場が多くあったそう。時代とともに減っていき、最後に残った〈小泉牧場〉。

都会の住宅地にある牧場ということで、
匂いなど、さまざまな問題が発生し、存続するのは至難の技。
そんななかでも〈小泉牧場〉は、においの対策や衛生管理を徹底しながら、
地域の人々の暮らしと共にあり続けてきた。

3代目牧場主の小泉勝さん

〈小泉牧場〉3代目牧場主・小泉勝さんと、先代の興七さん。

小泉牧場

現在、ブラウンスイス、黒毛和牛、ホルスタインの合計25頭を育てている〈小泉牧場〉。

しかしながら、〈小泉牧場〉の牛乳を飲んでもらうことは、
なかなか叶わずにいたのだそう。

「練馬あっての〈小泉牧場〉なので、地域のみなさんに
飲んでもらいたいという気持ちは、ずっと持っていたのですが、
酪農は24時間、365日、牛と向き合う仕事。
牛を育てて、搾乳するだけで手一杯で、
6次化(酪農家が牛乳を生産に加え、加工、販売まで手がける)までは、
正直なところ手が回りません。

ただ、昨年体を壊してしまったこともあり、将来のことを考えると同時に、
練馬に恩返しできるときにしなくては……という気持ちが高まり、
『CRAFT MILK’S PROJECT』で、オンリーワンの牛乳をつくろうと決めたんです」
と語ってくれたのは〈小泉牧場〉3代目の小泉勝さん。

CRAFT MILK’S PROJECT

「CRAFT MILK’S PROJECT」を手がける〈武蔵野デーリー CRAFT MILK STAND〉の地下には、自ら牛乳や乳製品をつくることができる工房を設立。

「CRAFT MILK’S PROJECT」は、〈武蔵野デーリー CRAFT MILK STAND〉 の
木村充慶さんはじめたプロジェクト。
全国の牧場を巡るなかで、6次化まで手が回らない牧場も多く、
「せっかくおいしい牛乳を生産しているのだから、その価値を届けたい」
という思いから、これまで世の中に出てこなかった牧場単位の牛乳を生産する
プロジェクトとして、本格始動した。

CRAFT MILK’S PROJECT

牧場単位の牛乳をつくる「CRAFT MILK’S PROJECT」の第1弾として誕生した〈小泉牧場〉のクラフトミルク(500円)と、以前、製造していたが少し前から製造をやめていたアイスクリーム(500円)も復活。

小泉牧場

牛には地域の豆腐屋から出るおからをエサとして与え、甘くてすっきりとした味わいが特徴。土日を中心に、小泉牧場の目の前のスペースで販売している。

〈小泉牧場〉では、何十年もこの場所で酪農を続け、
近所の人が牛に触れることができたり、
子どもたちに酪農や牛のことを伝える酪農の体験授業を行う
「酪農教育ファーム」の認証牧場として、
地域にひらかれ、練馬と共に歩む牧場として長年親しまれてきた。

小泉牧場

小泉牧場

近所の子どもたちも牛たちの様子を見学に来ることも。

「練馬で育った牛の牛乳を、地域の人たちに飲んでもらうというのは、
地産地消ですし、サスティナブルなかたちだと思います。
僕から練馬のみなさんへの恩返しのつもりでしたが、
まちの皆さんから『ありがとう』と言われるんです。
『やっと小泉牧場のミルクを飲める』『アイスも復活してうれしい』って。
そんな声をもらえることが、僕たちの活力になっています」(小泉さん)

小泉牧場

information

map

小泉牧場

住所:東京都練馬区大泉学園町2-7-16

TEL:03-3922-0087

岡山と東京の 5年間の二拠点生活を振り返る /あかしゆか

フリーランスの編集者・ライターとして活躍し、
仲間と手がけた文庫本なども話題を呼ぶ、あかしゆかさん。

2021年4月、岡山県倉敷市の児島にて
不定期営業の本屋〈aru〉をスタートさせ、
現在は東京と岡山の二拠点暮らしを営んでいます。

それぞれを行き来するなかで、どんなことを思い、なにを大切にし、
どのような答えを出し、二拠点生活を続けているのか。
あかしさんご本人に綴ってもらいました。

  

これまでの「二拠点生活」をあらためて見つめ直す

「もうコロナ禍から5年も経ったんですね」

知人友人と話していると、そんな話題がちらほらと出るようになった。
まちには人気が全然なくて、ほとんどの人がマスクで顔を隠し、
飲食店にはアクリル板が設置され、銭湯では話すことも許されない──。
いま思い返してみれば異様だったあの日々の光景は、
遠い昔のことのように思えるときもあれば、
まだまだつい最近のことのように思えるときもある。
どちらにせよ、未来が見えず不安を抱えていた日常から5年が経って、
大切な人と笑顔をためらうことなく見せ合える日常が戻ってきて
本当によかったと思う。

そして私は思うのだ。
「コロナ禍から5年が経つということは、
私が二拠点生活を始めてからも5年近くが経つということなんだな」と。

2020年7月。
コロナ禍になって初めての夏に、
私は岡山県倉敷市の児島というまちに2週間滞在し、
その滞在をきっかけに東京と岡山との二拠点生活を始めることになった。
そしてそれからの5年間、
ほとんど欠かさず毎月10日間ほど児島にやってきては、
aru〉という小さな本屋を営んでいる。

この5年間という期間をひとつの節目として、
これまでの私の二拠点生活を振り返ってみることにした。

二拠点生活が続いている理由は何なのか、
そのために努力してきたことは何なのか、
変わったこと、変わらないこと、
楽しかったこと、大変だったこと、
そしてこれからのこと。
この5年間をいま一度、あらためて見つめ直したいと思う。

遠くに島々が連なる、児島の海の風景写真。

富山県から羽ばたいた先輩が、 挑戦する若者へメッセージを贈る 〈I’ m Your Home.〉

あの先輩も、かつては自分と同じ「悩める若者」だった

今年も卒業シーズンを迎えました。
何かを卒業するということは、新しい何かが生まれるということ。
そう、旅立ちの季節でもあります。

自分が住む地域から飛び出して挑戦する・したいと思っている
若者も多くいることでしょう。

そんなみなさんの背中を押してくれるのが、
富山県が推進している〈I'm Your Home.〉。
かつて同じようにふるさとを飛び出して活躍している先輩たちが、
若者たちへエールを贈ってくれます。

一問一答で回答してくれた富山出身の先輩たち。

一問一答で回答してくれた富山出身の先輩たち。

都会で華々しく活躍している人たちも、その多くは地方出身者。
学生の頃の気持ち、一歩踏み出したときの気持ちはきっと、
挑戦したいと思っているみなさんも共感してくれると思います。

15組の先輩たちの手書きメッセージがSNSで配信される。左から俳優の池田航さん、ダンサーのKotoriさん、動画クリエイターのはじめしゃちょーさん。

15組の先輩たちの手書きメッセージがSNSで配信される。左から俳優の池田航さん、ダンサーのKotoriさん、動画クリエイターのはじめしゃちょーさん。

連載開始から10年。 エコビレッジづくりの向かう先は?

Photo:Ikuya Sasaki

MAYAさんの言葉に導かれて

コロカルの連載を始めて、今年で10年目となる。
連載のきっかけをつくってくれたのは、画家・MAYA MAXXさんのひと言だった。
あれは2013年か14年くらいのことだったと思う。
当時、MAYAさんは京都で毎年個展を開いていて、展示を見るために訪ねた折に、
「みっちゃん、北海道にエコビレッジをつくったらいいんじゃないの?」
と提案してくれた。
そして、池澤夏樹さんの著書『光の指で触れよ』をハイと渡してくれた。
その本には、日本からヨーロッパへ渡った主人公がエコビレッジで暮らすことによって、
自分自身を見つめ直していく姿が描かれていて、
新しい家族の在り方の可能性のようなものが感じられた。

MAYAさんと出会ったのは2001年。当時私が編集長を務めていた雑誌の第1号で取材をさせてもらった。雑誌休刊以降は、1年に1度会う程度だったが、美流渡に移住しご近所さんとなった。(Photo:Ikuya Sasaki)

MAYAさんと出会ったのは2001年。当時私が編集長を務めていた雑誌の第1号で取材をさせてもらった。雑誌休刊以降は、1年に1度会う程度だったが、美流渡に移住しご近所さんとなった。(Photo:Ikuya Sasaki)

エコビレッジとは果たしてどのようなものなのか?
そのときはぼんやりした輪郭しかつかんでいなかったけれど、
自給自足的な生活に興味もあったし、東京の友人たちが
いつでもやってこられるような場所をつくりたいし、
北海道であれば広い土地を手に入れられるんじゃないか
という期待も込めて、やってみようと思った。

2011年に東日本大震災をきっかけに夫の実家である北海道岩見沢市に移住してから、
私は在宅勤務というかたちで、東京の出版社に勤めていた。
会社の事情もあって、2015年に独立することになったとき、
以前から仕事仲間であった、コロカルの編集者に
「エコビレッジをつくる過程を連載してみたい」と話したことから、
さまざまなことが動き出した。

岩見沢は北海道有数の豪雪地帯。東京とまったく違う暮らしがあった。

岩見沢は北海道有数の豪雪地帯。東京とまったく違う暮らしがあった。

連載がスタート。山を買う!?にチャレンジ

連載の締め切りは月2回。
まだ、エコビレッジの「エ」の字も始まっていないような状態だったけれど、
とりあえずまず広い場所を確保しなければと、山を買おうと思いつき、
森林組合に電話をかけたのがvol.001「山、買っちゃう!?」だった。

農家の友人が山の土地が買えることを教えてくれたのが始まりだった。

農家の友人が山の土地が買えることを教えてくれたのが始まりだった。

その後、山を購入(vol.018「ついに山を購入。『山活!』がスタート!」)。
結局のところ、除雪やインフラ整備の課題などがあり、
山にエコビレッジをつくるのは断念したわけだが、
このアクションによって林業関係の人々と知り合うこととなり、
さまざまなインタビュー取材や記事の執筆につながり、世界が大きく広がった。

8ヘクタールの山を購入。山といってもなだらかな場所だった。

8ヘクタールの山を購入。山といってもなだらかな場所だった。

「Farm to Table」  小豆島の農家〈HOMEMAKERS〉が 少量多品種の野菜栽培を続ける理由

HOMEMAKERSの農業のスタイル

多くの農家にとって冬という季節は、体を休め、
次のシーズンとその先に続くこれからのことを考え、準備する大切な期間。
小豆島で農業を営む私たち〈HOMEMAKERS〉も、
1月下旬〜2月中旬にかけてカフェの営業を冬季休業し、
昨年の状況を振り返ったり、作業場のメンテナンスをしたり、
普段やりたくてもできないことに向き合いながら、あれやこれやと考えています。

1月の畑の様子。小豆島は積雪することはほとんどないので、1年を通して野菜を栽培できます。氷点下に下がることはよくあるので、野菜の種類によってはビニールトンネルをかけて栽培することもあります。

1月の畑の様子。小豆島は積雪することはほとんどないので、1年を通して野菜を栽培できます。氷点下に下がることはよくあるので、野菜の種類によってはビニールトンネルをかけて栽培することもあります。

昨年秋に収穫して貯蔵しておいた「紅はるか」。薪ストーブの上でじっくり蒸した「ふかし芋」。農家の冬のおやつ。

昨年秋に収穫して貯蔵しておいた「紅はるか」。薪ストーブの上でじっくり蒸した「ふかし芋」。農家の冬のおやつ。

売上や利益など前年の状況を振り返るこの時期、毎年思うことがあります。
「今の農業のやり方を続けていていいんだろうか……?」

HOMEMAKERSの農業のスタイルは、

・平地が少ない離島の山間地域で、車で3分ほどの移動範囲に
約0.3反〜1反の小さな畑が17か所、合計約8.8反(8800平米)。

・年間通して100種類ほどの野菜と数種類の果樹を露地栽培。
基本的に季節にあわせて栽培、冬場も積雪はほぼなく野菜栽培が可能。

・農薬および化学肥料は使わない。有機肥料は使う。

・周辺の山から木、竹、落ち葉、草などの有機物を集めてきて、畑に入れている。
できる限り肥料を使わずに、周辺にある有機物を使って畑の土づくりをする。

・週1〜4日勤務のバイトが8人で野菜栽培と出荷を行う。
換算すると3人がフルタイム(週5日勤務)で働いている規模。

・収穫した野菜は、個人および飲食店に直接販売。
生姜と柑橘はシロップや調味料などの加工品にして販売。

オンラインストアで販売しているHOMEMAKERSの野菜セット。そのときにとれる7〜9品の野菜を出荷当日に収穫して発送しています。

オンラインストアで販売しているHOMEMAKERSの野菜セット。そのときにとれる7〜9品の野菜を出荷当日に収穫して発送しています。

湧くで温泉津! まちも人もアツアツに湧く温泉街で キャリアなしの私が 7つのゲストハウスを開業するまで

ただの主婦でしかなかった私、近江雅子が
温泉津に移住して12年が過ぎようとしています。

「温泉津」と書いて「ゆのつ」と読む、
島根県の小さな温泉と港町のタグラインは「湧くで温泉津!」。
温泉も、まちも、ここで暮らす人々もアツアツに湧き上がる温泉街です。

前編では先ずは自己紹介とこのまちへ移住してきてから、
事業をはじめるきっかけについてお話します。

2013年3月末に僧侶の夫、中学入学を控える長女、小学校4年生になる次女の
家族4人でまちの小さなお寺に移住してきました。

最初は大反対していたこのまちへの移住でしたが、
いざ住み始めると毎日が楽しく刺激的で……。
ゲストハウスを7軒も開業することになるとは。
田舎町は日本全国にたくさんあるけど、ここでの生活文化はここにしかなく、
そんな温泉津の暮らしについてお話したいと思います。

後編の記事はこちら:一度訪れた旅人が移住者になる温泉街・温泉津の不思議な引力

2013年に温泉津にやってきて10年。末っ子は温泉津生まれ。

2013年に温泉津にやってきて10年。末っ子は温泉津生まれ。

自力でアメリカの高校に入学
大学1年で結婚、20歳で第一子出産

1979年10月に島根県江津(ごうつ)市という田舎町に生まれ、
中学まで江津市で育ちました。
中学3年生の秋に、アメリカのボストン郊外にある公立高校を受験し、
見事合格をしまして、先生や友だちからの反対(心配)もありましたが、
高校1年からは単身アメリカに渡りホームステイをしながら高校に通いました。

帰国後は日本の京都のある大学に入学し、
生活を謳歌していた大学1年生の冬に東京の大学に通う今の主人と出会い、
半年で結婚を決意。秋に大学を中退し東京へ引っ越し結婚することに……。
親の大反対も聞かず結婚すると決めたのでした。

移住当時の近江さん一家。

移住当時の近江さん一家。

留学も結婚も、とにかく決めたら即行動。
人の反対には揺るがない性格だということがわかっていただけるかと思います。

20歳で長女を産み、資格や経験もないので子供育てしながら、
パートタイムでスーパーのレジ打ちや清掃の仕事に就き、
夫は大学を卒業して学生時代からお世話になっていた青山にあるお寺で勤務。

そのまま、一生東京で暮らすものだと思っていましたが、
ある日夫から「島根の温泉津にあるお寺の住職になる」という話を聞き、大反対。

娘だって慣れ親しんだ地域で友だちもたくさんいるし、家だって購入したのに……。
行くならひとりで行けばいい!
田舎のお寺なんて絶対大変だし、私にはそんなことはできない!
とだいぶ長い間話を聞こうともしませんでした。

旦那さんが住職を務める西念寺。1571年建立。

旦那さんが住職を務める西念寺。1571年建立。

そんなとき東日本大震災が起こり、
大きな揺れのなか、どうやって我が家まで帰ろうか……。
携帯電話もつながらず心が引き裂かれそうな不安な時間でした。

何とか帰宅し、娘たちを探しに行くと、
親切なお友だちのお母さんが次女と犬も一緒に預かってくれていました。

スーパーからも物がなくなり、いつもすぐ乗れる電車もなかなか乗れなくなり……。
そんな震災後の都会の生活を経験したことで、
田舎での暮らしも考えられるようになりました。
「よし、温泉津に行こうか!」。主人の変わらぬ思いにようやく心が動きました。

MAYA MAXXの展覧会『生きる』 あの世とこの世の間にある 舟に込めた想い

「MAYA MAXX_Luce」の活動をともにして

コロカルの連載でもたびたびその活動について書いてきた、
美流渡在住の画家・MAYA MAXXさんが1月9日に亡くなった。

東京からこの地に移住する少し前の2020年3月11日に、
北海道を拠点としたMAYAさんの活動を「MAYA MAXX_Luce」と名づけ、
私はSNSでの発信や展覧会、ワークショップなどのマネジメントを行ってきた。
2020年夏に移住してからは、仕事をともにするだけでなく、
家族ぐるみで毎日顔を合わせながら暮らしてきた。

2022年、アトリエのすぐ近くにある旧美流渡中学校で開催された『みんなとMAYA MAXX展』にて。(撮影:佐々木育弥)

2022年、アトリエのすぐ近くにある旧美流渡中学校で開催された『みんなとMAYA MAXX展』にて。(撮影:佐々木育弥)

2023年夏に肺がんであることがわかってからは
診察に立ち会うことも多く、体調の変化をかたわらで見守った。
MAYAさんは治療をしながらも、近隣の旧美流渡中学校をはじめ
さまざまな場所で展覧会やイベントを行い、2024年晩夏にはがんもかなり小さくなり、
これから新しい絵を描こうと準備を進めていた矢先に骨への転移が見つかった。

11月に入院し、治療の甲斐なく天国へと旅立ってしまった。
この間の詳細については、まだ言葉ではつかみきれず、
頭に霧がかかっているような感じなので、いまは書くことは難しい。
ただ、生前から2月に展覧会を開催することが決まっており、
そのことを今回は書いておきたい。

2024年夏フェス〈JOIN ALIVE〉のアートエリアで作品を展開。赤いクマの塔を立てた。

2024年夏フェス〈JOIN ALIVE〉のアートエリアで作品を展開。赤いクマの塔を立てた。

札幌にあるギャラリー、茶廊法邑(さろうほうむら)にて
『生きる MAYA MAXX、現代の掛け軸展』が
2月5日から16日まで開催される。
2024年冬にもこのギャラリーで展覧会を開催しており、今回が2度目。
1回目の展覧会を行ったときに、
「次はロールスクリーンに描いた作品を展示してみたい」と語っており、
その思いが実現することとなった。

『みんなとMAYA MAXX展』2024年1月20日〜2月25日、カフェ&ギャラリー茶廊法邑で開催された。

『みんなとMAYA MAXX展』2024年1月20日〜2月25日、カフェ&ギャラリー茶廊法邑で開催された

茶廊法邑にて。2023年に描いた「林の中の象のように」が展示された。病気であることがわかる直前に描かれた大作。

茶廊法邑にて。2023年に描いた「林の中の象のように」が展示された。病気であることがわかる直前に描かれた大作。

窓などにかけるロールスクリーンを支持体にしたシリーズを描き始めたのは
2020年3月。コロナ禍の東京だった。
いつも新鮮な気持ちを持って描きたいと考えていたMAYAさんは、
手が慣れてしまわないように、キャンバスだけでなく、ダンボールや板、和紙など
支持体を変えることがあり、ロールスクリーンも試してみることにしたのだと思う。
キャンバスとはまた違う絵具の独特のにじみがあって、このにじみは
日本の古くからある山水画と共通するという意識を持っており、
普段使っているアクリル絵具に加え、黒は墨汁を用いていた。
また、巻き取って保管できることから、ロールスクリーンを
「現代の掛け軸」として捉えていた。

小豆島の農家が伝えたい、 冬の野菜の美しさと おいしい食べ方

やめたこと、新しく始めたこと

野菜が美しい。
ただただその美しさに感動し、うっとりしてしまう。

1月、小豆島で〈HOMEMAKERS〉として農業を営む
私たちにとって、1年で最も穏やかな時期。
カフェの営業は1月22日〜2月14日まで冬季休業しており、
農作業もいつもよりおだやか。
秋から年末にかけての収穫、加工品の製造、
カフェでのイベント開催などによる超繁忙期をなんとか乗り越え、
この季節を迎えられたことが心底うれしい。
私は年々「冬」が好きになっていく。

冬になると、よく山歩きをします。私たちの活動の拠点である小豆島肥土山(ひとやま)集落と、その先に広がる瀬戸内海を山の上から眺める。

冬になると、よく山歩きをします。私たちの活動の拠点である小豆島肥土山(ひとやま)集落と、その先に広がる瀬戸内海を山の上から眺める。

新しい年が始まり、いくつかこれまでのやり方を見直し、
やめたこと、新しく始めたことがあります。

まずやめたこと。
野菜セットの定期便販売を昨年12月末で終了しました。
毎回注文しなくても自動的に毎週、隔週、毎月などの頻度で
お届けされる野菜セット定期便。
お客さまにとっては便利であり、私たちにとっては
野菜のお届け先を安定して確保できる販売方法。

HOMEMAKERSでは、毎週火曜日と金曜日に野菜の収穫・発送作業をしています。

HOMEMAKERSでは、毎週火曜日と金曜日に野菜の収穫・発送作業をしています。

出荷作業日の夕方4時に郵便局さんが集荷にきてくれるので、それまでになんとか作業を終わらせます。

出荷作業日の夕方4時に郵便局さんが集荷にきてくれるので、それまでになんとか作業を終わらせます。

10年近く続けてきましたが、ここ最近は気候の変化、
物価の変化など変動するものが多く、定期的に同じ内容のものを
同じ価格でお届けすることに、違和感と難しさを感じていました。
野菜が少ない時期も定期便の野菜セットをなんとか用意しないといけない
というプレッシャーや、酷暑の夏でも畑に出て野菜を収穫して
休まずお届けしないといけないという負担から解放されなくては。

野菜がたくさん採れればたくさん販売する。採れなければ販売をお休みする。

できる限りシンプルに、その時々の畑や自然の状況にあわせて動けるように。

久しぶりにしっかり大きく育った「あやめ雪かぶ」。出荷のタイミングに合わせるんじゃなくて、野菜の成長にあわせて出荷できるようにしていきたい。

久しぶりにしっかり大きく育った「あやめ雪かぶ」。出荷のタイミングに合わせるんじゃなくて、野菜の成長にあわせて出荷できるようにしていきたい。

ひとつやめたことで、新しいことに取り組む余裕ができる。
もっと野菜のことを伝えたい。
HOMEMAKERSは、年間通して100種類ほどの野菜を育てているのですが、
毎週野菜セットの野菜の内容は変わります。
1年は約52週。
その52週の野菜セットの内容を写真におさめてみようと思っています。

古民家「断熱リノベーション」で 室温が8度もUP! ワークショップレポート

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

築80年の古民家に住む私たちは、
ここ数年「断熱リノベーション」に熱心に取り組んでいます。

これは、壁や床に断熱材を入れたり、気密性を高めていくことで、
外気温の影響を減らし、暖かく快適な住環境をつくるリノベーションのこと。

田舎暮らしといえば、
昔ながらの古民家の生活に憧れる人は多いと思います。
ですが、断熱・気密性能が低い古民家は
冬場の室温が10度以下になることも珍しくなく、
通気性のいいつくりのため、暖房の効きが悪く、
光熱費がかさんでしまうデメリットもあります。

昨冬は自分たちで簡単にできるプチ断熱をご紹介しましたが、
今回は、専門の知識を持った講師をお呼びして、
我が家のリビングの床、壁、天井と一気に断熱リノベーションを進めた
ワークショップについてレポートしていきたいと思います。

作業中のリビングに集合したワークショップ参加者の集合写真。

断熱ワークショップ参加者のみなさん、講師の内山さん、そして大工さんたち!

結論からいうと、断熱した部屋はとても快適! 

・リラックスして子どもと遊べるようになった

・体調を崩しにくくなった

・暖気が逃げないので、光熱費の節約になった

・灯油などの化石燃料の使用を抑えることで、ささやかな地球温暖化対策につながっていく

と、メリットだらけ。
「もっと早くやっておけばよかった!」と思うほど。

天井にスタイロフォームという断熱材を入れている男性数名の写真。

天井にスタイロフォームという断熱材を入れているところ。

そして、あらためて
「リノベする前に断熱について知っておきたかった〜!」とも思いました。

我が家はこれまで、独自に古民家リノベーションを行ってきました。
そうして手に入れたすてきな空間も、
断熱材を入れるとなれば、また解体することに。
そうなると、時間も手間も2倍かかります。

これから古民家リノベーションに挑戦する方が、
私たちのような苦労をしなくて済むように。
この記事が誰かのお役に立てたらうれしいです!

建築デザインユニット〈Kii〉 新井里志さん、中富慶さん 人々の思いや背景からつくる、 居心地のいい場所

〈コンランショップ・ジャパン〉代表取締役の中原慎⼀郎さんが推薦したのは
建築デザインユニット〈Kii〉の新井里志さんと中富慶さんです。

推薦人

中原慎⼀郎さん

中原慎⼀郎

〈コンランショップ・ジャパン〉
代表取締役

Q. その方を知ったきっかけは?

2024年6月にコペンハーゲンで行われた『3daysofdesign』に参加。宿泊したホテルが一緒で、朝ごはんの会場などで顔を合わせて話すようになり、最終日には丸1日、いろんな場所を一緒に訪ねました。

Q. 推薦の理由は?

新井くんと中富さんそれぞれの経歴もすばらしいですが、彼らのオフィスは、リノベーションのバランスが僕にはない軽やかさとリズム感、カラーリングなどいろいろ驚かされました。何より居心地のよさと、おふたりのウェルカムなキャラクターに甘え、何度もご飯を食べに行ったことも。インテリアのなかでも、ダイニングテーブルは彼らの"らしさ"が詰まった作品。テーブルはまるで絵画のようであり、ラグのような存在感です。

住まい兼職場はローカル感を感じて
選んだヴィンテージマンション

「東京で近所の人と仲良くなることなんてあるかなって
思っていたけれど、普通に住んでいるから生まれる
コミュニティっていうのがちゃんとありました」

建築デザインユニット〈Kii〉として活動する
新井里志さんと中富慶さんが、仕事場兼住まいとして
設計デザインした〈House K〉は、
築50年ほど経ったマンションの最上階にある。

Kiiのふたりで設計デザインした〈House K〉

ふたりで設計デザインした〈House K〉。

「僕らは地方出身ですが、今はまだ東京に拠点があるほうがいい。
そう思って物件を探しました。
古い一軒家など、たくさん現地を見て検討した上で
集まって住むことにみんなが希望を持っていた時代に
建設されたマンションに住もうという結論になりました」

そんなふうに新井さんは職場を兼ねた自宅で
現在の住まいを選んだ理由を教えてくれた。

House Kがあるのは山手線の駅から10分ほど歩いた
集合住宅と戸建て住宅が向かい合わせに並ぶ地域。
2年以上に渡って100近い物件を見て歩くうちに、
この辺りは都心にありながらローカル感が強い場所だと感じた。

〈House K〉のバルコニー

今の部屋を選んだ決め手は、最上階に広いバルコニーがあり、建物全体がよく手入れされていたこと。

「道の向こう側に行くと地元に根づいたお店がいろいろあって、
小さいコミュニティもいくつも存在していました。
ここに住んだら楽しそうだなと思ったんですよ」と新井さんがいう通り、
その時点でふたりが想定していた地元コミュニティは、
喫茶店や個人経営の商店のようなものだった。

多くの分譲マンションは管理会社と契約し、管理人が派遣されているが、
このマンションは自主管理の形態をとっている。
自主管理のマンションで、手入れが行き届いている建物は珍しく、
それは住民の多くがマンションに愛着を持つ証拠だ。

〈House K〉の書斎

Kiiのふたりが住み始めて3年ほどだが、この間に大規模修繕も経験した。
その過程では、マンション内のコミュニティがしっかりしていて
マンション外の近隣住民ともつながっていることがわかった。
結果としてご近所さんとの交流も生まれるようになった。

最近では、おすそわけを持ってきてくれたマンションの老婦人と
少しだけと談笑していたら、
いつの間にか1時間ほど経っているということも何度かあった。
そんなことも都会のマンションを選んだふたりにとって
予想外の楽しい出来事だ。

〈小豆島カメラ〉10周年の写真展と トークに、撮影会、似顔絵も! 盛りだくさんのイベントを実現した 人のつながりパワー!

カフェを移転したらやりたかったこと

今年6月、〈HOMEMAKERS CAFE〉は、これまでの場所から徒歩10分ほどの
廃校になった小学校をリノベーションし、移転オープンしました。
建物の2階はゲストハウス〈NOTEL〉です。
広いスペースと泊まれる設備。
この場所にカフェを移転したらやりたいと思っていたことがあります。
それは、ゲストを招いてトークイベントを開催すること!

その思いが実現したのは、12月14日、15日と2日間にわたって開催された
小豆島カメラ〉のイベント。
写真展にトークイベント、似顔絵ショップ、山歩きと、
盛りだくさんのイベントで、たくさんの方々に会い、
話すことができ、興奮の2日間でした。

小豆島カメラは、島での暮らしのなかで出会う人や風景、
おいしい食べものをカメラで撮影し発信するチーム。
私もメンバーのひとりです。
上のイラストで10の旗を持ってるのが私。似てる(笑)。

2013年から7人で活動を開始し、気づけば10年!
この節目に、今年1月には東京・新宿にある〈OM SYSTEM PLAZA〉で、
小豆島カメラ10周年の写真展
『10年たってもやっぱり!見たい、食べたい、会いたい』を開催し、
これまでに撮ってきた写真のうち、2019年以降の5年間に撮った写真から
セレクトして展示しました(詳細は小豆島日記vol.330を参照)。
11月22日からは、HOMEMAKERS CAFEの隣にあるフリースペースで
同写真展を巡回展として開催しました。

写真展最終日、私たちが使っているカメラのストラップをつくってくれている〈FURIKAKE(フリカケ)〉の得丸成人(なるひと)さんと美由紀さん(写真右からふたり)が遊びに来てくれました。うれしい。

写真展最終日、私たちが使っているカメラのストラップをつくってくれている〈FURIKAKE(フリカケ)〉の得丸成人(なるひと)さんと美由紀さん(写真右からふたり)が遊びに来てくれました。うれしい。

「あわぶっく市」と南房総エリアで 人と本が出合う機会をつくる。 前田浩彦さん

オルタナティブな遊び場「夜の音楽鑑賞会」

南房総エリアに暮らす人々は日常的にそれなりの距離を移動します。
そりゃそうでしょ、車社会なんだから……と言われると元も子もないのですが、
特に週末になれば大抵どこかのまちでマルシェが開かれていますし、
南房総エリアに点在するユニークなお店や場所も週末中心の営業だったりするので、
皆さん、仕事のない日こそ、より活発に動き回っているのではないでしょうか。

オールインワン、つまりひとつの場所にすべてが揃っているということが
決して当たり前ではない環境だからこそ、
必要なものはとにかく自分で取りにいくというライフスタイル。
新参者の自分にとっても1時間を超える車の運転はまったく苦にならないどころか、
むしろ南房総エリアを起点とする自分専用の移動ルートを
カスタムしていくようなおもしろさを日々感じています。

とはいえ、当然ながら僕がそんな南房総流の動き方を初っ端からできていたはずもなく、
コツを掴むまでにはやはりそれなりの時間を要しましたが、
僕の脳内マップの面積とアイデアの振り幅は、
あるカフェで開催されていたイベントに参加したことがきっかけとなり、
さらに広がることとなりました。

僕が住んでいる内房の鋸南町と外房の鴨川市を横一文字に結ぶ長狭(ながさ)街道、
その起点として知られる横渚(よこすか)交差点の角に建つ雑居ビル内に
〈カフェ・カルトーラ〉があります。
ここでは2か月に1度、日曜の夜に「夜の音楽鑑賞会」が開かれています。

その内容は至ってシンプルで、それぞれが持参した2曲を参加者全員で聴くというもの。
ただしルールがひとつだけあって、毎回設けられているテーマに沿って
選曲するということ。
例えばある回のテーマは「地名」で、18名の参加者によって選ばれた
さまざまな地域にまつわる音楽が全36曲、リレー形式でかけられました。

弦楽トリオ〈ショーロクラブ〉の新作CDを手に、イベントの告知をする店主の卜部一(うらべはじめ)さん。カルトーラでは時々ライブも行われている。

弦楽トリオ〈ショーロクラブ〉の新作CDを手に、イベントの告知をする店主の卜部一(うらべはじめ)さん。カルトーラでは時々ライブも行われている。

The Lounge Lizards『I Remember Coney Island』、
馬喰町バンド『わたしたち』、SANTANA『They All Went To Mexico』、
北島三郎『風雪ながれ旅』、Caetano Veloso『Sampa』、
宇多田ヒカル『Somewhere Near Marseilles~マルセイユ辺り』、
Europa『Black Magic』……といった具合に、
選曲された音楽のジャンルも年代もバラバラで、
音源の再生メディアもCD、レコード、カセット、スマホと何でもあり。

僕は渚ようこ『新小岩から亀戸へ』と
中井昭・高橋勝 とコロラティーノ『思案橋ブルース』を持って行きました
(偶然ですが、帰宅後にこの日が渚さんの命日だったということに気づいて
とても驚きました)。

自分の好きな音楽を聴くためにライブハウスやクラブへ遊びに行く。
DJを頼まれたからレコード屋をはしごしながら選曲について考える。
それは都市部ならではの音楽との出合い方だといえますが、
この音楽鑑賞会は音楽に触れられる機会の少ない南房総エリアだからこそ、
音楽好きたちによってつくられたオルタナティブな遊び場なのです。

同じ音楽を好きな人たちだけが集まっているわけではありませんし、
地元育ちの人も移住者も参加していて、
なんというか特定のコミュニティには見られない風通しの良さが感じられます。

また僕のように鴨川市外からの参加者も多く、
こちらの人たちが自分のまちに閉じこもることなく
南房総エリア全域で遊んでいるという感覚を共有できたことが、
自分にとって重要な出来事だったのでした。

自然に近い暮らしを自らの手で。 広葉樹の森に佇む 「つくりたくなる」家

子どもが自由に遊べる広葉樹の森で

子どもたちが、家の中で外で、自由に遊んでいる。
周囲は日が差し込む森と落ち葉の絨毯。
親が心配するような要素はほとんどない。

西岡恭平さん・まどかさん夫妻は〈BESS〉の「カントリーログ」を山梨県北杜市に建て、
千葉から移住してきた。
現在、3人のお子さんとともに、広葉樹に囲まれた森の中で暮らしている。

西岡さん一家。長女は今春から小学校に入学し、バスケットに打ち込んでいるという。

西岡さん一家。長女は今春から小学校に入学し、バスケットに打ち込んでいるという。

自然豊かなこの地に家を建て、移住しようと思ったきっかけはふたつ。
まずひとつは、千葉で暮らしていたあるとき、
恭平さんは重度のアトピーに悩まされたこと。そのときに暮らしを見直そうと思った。

「仕事は楽しくやっていたので、何かストレスがひどかったとかではないんですが、
多分暮らしが雑だったんでしょうね。それから食事や暮らしを見直すようになりました。
そのなかで、
都市から離れて自然の中で丁寧な暮らしをしていきたいと強く思うようになったんです」

家の中でのお気に入りの空間は薪ストーブがある1階の空間だという。焼き芋も時々つくるそうだ。

家の中でのお気に入りの空間は薪ストーブがある1階の空間だという。焼き芋も時々つくるそうだ。

そしてコロナウイルスが流行する。ふたり目の子どもの出産、育児のタイミングだった。
自由がなく、先が見えない状況での育児に憔悴していたと、
まどかさんは当時を振り返る。

「あの頃は子どもを公園に連れていくのもダメ、
賃貸だから外で遊べる自分たちのスペースもないし、保育園にも通えませんでした。
そういう状況でふたりの子育てはかなりしんどくて、すごく生きづらさを感じました。
自分たちだけの家や庭があれば、子どもをもっと自由に遊ばせられるのになと。
それが土地探しの私の原動力になりました」

「移住するなら今しかない」

まどかさんはそう決意を固め、文字通り死ぬ気で土地を探したという。
そして夫婦の希望だったナラやクヌギといった広葉樹の森に囲まれた
今の土地に運良く出合うことができた。
すぐに不動産屋に電話し、その土地を契約。
2021年に山梨県北杜市での暮らしが始まった。

家からの借景。広葉樹の森が好きだったという西岡さん夫妻。季節によって色合いを変える森の絶景に今も感動するという。

家からの借景。広葉樹の森が好きだったという西岡さん夫妻。季節によって色合いを変える森の絶景に今も感動するという。

小豆島に移住して12年、 農業とカフェとゲストハウスの “3足のわらじ”を履いてみて

走り続けて、師走

12月、師走です。
わたしは師ではありませんが、とにかく走りまくっています。
12月に限らず、ここ最近はずっと体も頭も走り続けている……。
今回はそんな私自身のことを書こうと思います。

12月の私。カゴ持ってカメラ持って走りまわった日。(撮影:古川 絵里子)

12月の私。カゴ持ってカメラ持って走りまわった日。(撮影:古川 絵里子)

2012年に小豆島に家族で移住し、今年の10月で丸12年経ちました。
2013年から農業を始め、カフェを開き、今年6月にはそのカフェを移転し、
8月に地元の仲間たちとともに〈ゲストハウスNOTEL〉を開業。
とにかく時間が足りない。
そりゃそうですよね。
農業、カフェ、ゲストハウスと、やることを増やし続けてきてしまったから。

12月上旬、今年は紅葉を長く楽しめました。畑のまわりの山々がオレンジや黄色に色づきとてもきれい。

12月上旬、今年は紅葉を長く楽しめました。畑のまわりの山々がオレンジや黄色に色づきとてもきれい。

2024年6月に新しい場所に移転した〈HOMEMAKERS CAFE〉。この秋はイベントをいくつか開催し、たくさんの人たちが訪れてくれました。

2024年6月に新しい場所に移転した〈HOMEMAKERS CAFE〉。この秋はイベントをいくつか開催し、たくさんの人たちが訪れてくれました。

まだ小学校が閉校になる前に植えられたトウカエデの木が、今はゲストハウスNOTELのシンボルツリーに。

まだ小学校が閉校になる前に植えられたトウカエデの木が、今はゲストハウスNOTELのシンボルツリーに。

2013年4月から書いてきたこの小豆島日記も、
原稿の〆切に数日遅れることはあったものの、
1か月以上遅れてしまったことは今回が初めて(大変申し訳ありません)。
のんびり田舎暮らし、ていねいな暮らし、どこにいってしまったのか。

なんとなく、このままではよくないと感じています。
いや、間違いなく良くない!(汗)
余裕がなくて、人とのコミュニケーションも雑になりがちだし、
きっとまわりの人たちからも「ひかりさんは忙しそうだから……」と
いろいろと遠慮されてしまっていると思う。
さて、どうしましょうか。

映画上映会

11月にNOTELで開催した『いただきます2』映画上映会&小豆島FARMERS MARKET。気持ちいい秋の日に、たくさんの人が来てくれて賑わいました。

この秋に収穫した「紅はるかサツマイモ」をかごに盛る。この前日、家族が熱を出したりして、大変だったなぁ(もう遠い思い出)。

この秋に収穫した「紅はるかサツマイモ」をかごに盛る。この前日、家族が熱を出したりして、大変だったなぁ(もう遠い思い出)。

庭のシソとずっと一緒に。 ジュース、酵素シロップ、 漬物や梅干しなどの保存食にも

梅干しに欠かせないのが赤シソ

ついにあたりが真っ白になり、雪の季節がやってきた。
庭に出て植物を眺めたり、収穫して食べたりできなくなるのは、
とても寂しいのだが、そんな気持ちを慰めてくれるものがある。
それは夏から秋にかけてせっせと集めて、干しておいた植物たちだ。
野に自生しているミントやカキドオシ、必ず畑で育てる
ホーリーバジルなどを乾燥させておけばお茶にできるし、
スゲや豆のツルをとっておけば、しめ飾りやカゴ編みの材料にもなる。

秋までに植物を収穫して部屋のいたるところに干しておく。

秋までに植物を収穫して部屋のいたるところに干しておく。

こうした植物のなかで、いちばん活用しているのは、なんといっても赤シソだ。
春になったらポットにタネを撒いて、たくさんの苗をつくり庭や畑に植えている。
こぼれダネから発芽するものもあって、特に手をかけなくてもぐんぐん伸びる。

ほかの草に囲まれながらも元気に育つ赤シソ(右)。私がたくさん育てているのはウラベニシソという品種で葉っぱの表が緑、裏が赤(これを赤シソと呼んでいいのかは迷うところだけれど)。

ほかの草に囲まれながらも元気に育つ赤シソ(右)。私がたくさん育てているのはウラベニシソという品種で葉っぱの表が緑、裏が赤(これを赤シソと呼んでいいのかは迷うところだけれど)。

なぜ、赤シソをこんなに育てるのか。
1番の理由は梅干しに欠かせないからだ。
いつも奈良の農園から、無農薬栽培の梅を10キロ取り寄せている。
7月初めにそれを塩漬けしておいて、赤シソが育つのを待つ。

南高梅を塩漬けにする。

南高梅を塩漬けにする。

8月中旬くらいに赤シソの葉っぱをたくさん集める。
梅10キロに対して、赤シソを葉っぱだけで1〜2キロ集めたいと思っていて、
自家栽培したものだけでは足りずに、近隣の農家さんから買ったりもしている。

シソを塩で揉む作業は、ことのほかたいへんだ。
まずは下処理として、茎から葉っぱをとって、それを洗って乾かして、
口当たりをよくするために葉っぱについた軸をとる。
大きなボールに10杯以上はあるだろうか。
軸をとる作業は1日では終わらない。

赤シソ(今回はウラベニシソ)を洗っては軸を外し、洗っては軸を外しの無限ループ! かなり大変!!

赤シソ(今回はウラベニシソ)を洗っては軸を外し、洗っては軸を外しの無限ループ! かなり大変!!

下処理ができたら塩で2回もんで灰汁をとる。
梅を塩漬けして梅酢の上がったカメにこれを入れると、
鮮やかな赤紫色が広がる(この瞬間が大好き)。
そのまま1週間くらいおいておき、いよいよ梅を干す作業へと移る。
3日間ほど天日で干していくと、シソの色が梅に移って、どんどん赤くなっていく。
シソは天日で半日くらい干して、干しあがった梅干しと一緒にカメに収めて熟成させる。

干して3日目の梅。どんどん赤味が増してくる。

干して3日目の梅。どんどん赤味が増してくる。

干した梅をカメに入れる。

干した梅をカメに入れる。

梅の上に塩揉みして半日干した赤シソ入れて蓋をして、半年以上熟成させる。

梅の上に塩揉みして半日干した赤シソ入れて蓋をして、半年以上熟成させる。

たっぷりのシソで蓋をしておくことで、梅の腐敗を防ぐ効果もあるという。
確かに梅酢に浸したこの赤シソは、不思議なことに時間が経っても腐らない。
結構前につけた梅干しと一緒に赤シソも出してきて、
ちょっと干してユカリのふりかけにしたり、もちろんそのまま食べてもおいしい
(実際に食べる際には十分にご注意ください)。

マンションリノベで新たな選択肢を。 心地よい住まいを形づくるもの。

住まいの選択肢が広げるリノベーション。
戸建てやマンションといった枠にとらわれず、古い物件を活用したり、
自分たちの暮らし方に合わせて工夫してみたり、その自由度は高く、
さまざまな選択肢も豊富に揃ういま、本当に住み心地のいい部屋は、
どのようにしつらえばいいのか。

今回は自分らしい家づくりと暮らしを楽しむウェブマガジン
「TOKOSIE(トコシエ)」で取り上げてきた取材事例のなかから、
心地よさを追求した5つのマンションリノベーションの
事例とともに、自分らしい住まいづくりのヒントを探る。

[hidefeed]

[/hidefeed]

理想の住まいは静かな環境で。
愛犬家夫妻の団地リノベ

現在2匹の愛犬と暮らす松野さん夫妻は、横浜の山下公園の
近くの市街地で暮らしたのち、山口県の古民家を借りて移住。
しかし数年して横浜に戻ることになり、新たな物件を購入した。

古民家暮らしで、都会よりも自然に囲まれた生活に魅力を感じていた。
犬もいて既存の物件を探すのは難しさや
暮らしの拠点を移した心境の変化があり、
市街地から離れた丘陵地に建つ築53年、95平米のスケルトン物件を
購入し2LDKにリノベーションすることに。

玄関側のリビングダイニングと松野さん夫妻

玄関側のリビングダイニング。スケルトンの物件だったため、希望した奥行きのある広さに。

山口で暮らしていたため、手がけた〈SHUKEN Re〉との
打ち合わせのほとんどはリモートで行われた。
施工中は来ることができず、初めて自宅を見たのは引き渡しの時だったという。

現在2匹の愛犬と暮らす松野さん夫妻。
住まいには自分たちが暮らしやすいだけでなく、
一緒に暮らす愛犬たちも、快適に過ごすための工夫が随所に見られる。

足場板と愛犬

足場板は視覚的な効果だけでなく、滑りにくいという、愛犬家の夫妻にとって大事なメリットも。さらに汚れや傷が目立ちにくく、椅子を引きずっても気にならない。

床材に足場板を使用し、全体的に淡く不規則な色合いが
周りの白壁と交わり柔らかな空間に。

「足場板は山口の古民家で使おうと購入したものでした。
自分たちで塗り直して色を統一したり、削ったりしていたんです。
でもプランナーさんが、塗っていない裏面を使いませんかと
提案してくれたんです」

表面は艶があってワントーン暗く、全体のバランスを考えると
裏面を使って正解だったと振り返る。

日当たりの良いリビングの奥には愛犬たちの部屋としてテラスを設けた。

日当たりのいいリビングの奥には愛犬たちの部屋としてテラスを設けた。山口の古民家で隙間風の寒さに苦しんだ経験を踏まえ、窓にはインナーサッシをつけて断熱と防音性能を上げた。

愛犬への愛情はキッチンにも見られる。
寝室の扉はリビングダイニングの奥にあるが、
自由に愛犬たちが回遊できるようにとキッチンにも、
寝室に繋がる通路を設けて「基本的には開けっぱなしです」
と裕史さん。

キッチンと寝室の扉。ベッドでくつろぐ愛犬のルナくん。

キッチンと寝室にも扉を設けることで、空間全体の風通しを良くし、空調効果を高めるメリットもある。ベッドでくつろいでいるのは愛犬のルナくん。

空気の循環にも役立ち、特に調理中のキッチンは
熱がこもりがちだが、空気の流れをつくることで解消された。
「広めにつくったキッチンには、おやつづくりに使う
スライサーなどの機材も置けてお気に入りです」

愛犬と郁子さん

郁子さんは山口の生活で、害獣として駆除された鹿や猪のほとんどが活かされず処分されていることを知り、犬のおやつとしてジビエを有効利用する活動も行っている。

「昔は便利な市街地がいいと思っていましたが、
今は静かなほうがいいなと思いますね。こうして自宅で
家族や愛犬と過ごしている時間が、とても落ち着きます」

賑やかな大都市の中心地から地方へ移住した経験や、
これまで一緒に暮らしてきた愛犬たちとの思い出が、
日々の暮らしや住まいづくりに詰まっている。

◎本編の記事はこちら

伊豆下田の豊かな秋の味覚で、 自家製ジンジャーシロップ、抜き柿、 しその塩漬け、かぼちゃのポタージュを

秋の味覚を保存食に

津留崎徹花さんが住む伊豆下田にも
秋が訪れ、たくさんのおいしいものが並ぶようになりました。
今回は、徹花さんが秋になると仕込んでいる
自家製のあれこれをご紹介。

柿、生姜、しそ、かぼちゃなどを
どのように料理しているのでしょうか。
どれも保存がきくし、とにかくおいしそう。

なにごとにも全力で! 暮らしと共にある趣味を楽しむ [BESSの家の場合]

趣味が楽しすぎる!

暮らしのなかで趣味を最大限に楽しむこと。
好きなことをやっているのだから当たり前にできそうなものの、
こだわりをもって実現させるのは、意外とできていない人も多いだろう。

そこで、暮らしを楽しむ人の家を拝見する
連載『わが家が楽しすぎる! BESS×colocal』から、
趣味を楽しんでいる「9人の趣味人」を紹介する。
〈BESS〉はログハウスなど木の家を得意とする住宅ブランドで、
そこに住んでいる人は、
家の中でも、外でも、趣味に全力な人が多い。

はたしてどのように趣味に向き合っているのだろうか。

[hidefeed]

[/hidefeed]

SUP、スノーボードをそのまま収納/福井県福井市

若い世代からも慕われる“遊びの達人”である竹下光彦さん。
「横乗り系の遊びは全部、やりました」と語る竹下さんは、福井県鯖江市で生まれ、
若い頃はスケーターとしても北陸で名を知られた。

さすがに若い頃と比べて横乗り系の遊びには出かけられなくなったというが、
玄関口にはスケートボードが立てかけられ、
吹き抜けのリビングの一角には、3メートル近くありそうな
サップ(SUP=Stand Up Paddleの頭文字。立ったままパドルを漕いで乗る板)が、
立てかけられている。

「空気を入れて膨らませるタイプなので、本当は小さく収納もできます。
ただ、丸めてしまうと素材も傷みます。
いろいろ保管場所を考えたのですが、
これほど大きなサップをそのまま置ける場所といえば、ここしかありませんでした。
リビングの窓が大きく、ウッドデッキにもつながっているので、
サイズのある道具でも出し入れがラクです」

確かに竹下さんのように、さまざまな道具を駆使しながら屋外の遊びを存分に楽しむ人には、
このような家でないと窮屈かもしれない。

◎本編の記事はこちら

地元食材を生かすお菓子づくり/長野県松本市

お菓子づくりが趣味の的場友恵さんが、
この家でこだわり抜いたというのがアイランドキッチンだ。
キッチンにはあらゆる調理器具を取りそろえ、それに合わせてキッチンを調整した。
〈ミーレ〉の食洗機やオーブン、〈キッチンエイド〉のミキサー、
〈ロボクープ〉のフードプロセッサーなど、
プロ顔負けのキッチンツールが並んでいる。

松本に移住して、
東京暮らしのときにはなかなか挑戦しづらかったお菓子にもチャレンジしている。

「東京に住んでいたときは、マンションの手狭なキッチンがとにかく窮屈でした。
このキッチンなら下の女の子3人も広く使うことができるので楽しいし、
ストレスなく料理できるようになりました」

とくにマカロンは、簡単そうで意外と難易度の高いお菓子。
すぐにひび割れてしまったり、オーブンが変わるだけでも微妙な誤差が生じるので
マカロンづくりに実験的な楽しさを見出している。

新しいレシピに挑戦することも日々の楽しみ。
松本に来てBESSの家で暮らすことで、自然を身近に感じ、
本格的に家庭菜園を始めたり、地元の特産食材にも注目するようになった。

地元で採れたブルーベリーやルバーブは新鮮でおいしい。
そうした地元の食材を、どうしたらお菓子としてさらにおいしくなるか、
研究しながらお菓子をつくることがとにかく楽しいようだ。
友恵さんの料理への探究心と情熱は、松本に来てより一層燃え上がっている。

◎本編の記事はこちら

土地の植生を生かした雑木の庭/長野県安曇野市

雑木の庭において重要なのが、その地域の里山を意識すること。
「安曇野の自然植生が師匠ですね」と、五郎丸良輔さんは言う。

高木のクヌギやコナラに、アオダモやソヨゴなど中高木、低木、地被植物を寄せて、
数種類の木々で構成して島をつくっていく。
その島をいくつも配置し、
多くの草木を組み上げていくのが五郎丸さんの雑木の庭づくり。
安曇野の里山に自生している木々を植栽するので、病気にもなりにくい。

自生種の庭をつくると、その地域の虫や鳥などがやってくる。
そうなればもう、その庭は里山そのものといってもいい。
現在、五郎丸家の庭には、足元に生える宿根草が400〜500品種、
クヌギやコナラなど低木、中高木40〜50の原種や品種が植栽されている。

「庭づくりを続けることによって、個々の庭がつながっていくようにしたい。
自生種の庭はその地域の景観をつくり、まち並みをつくっていきます。
それが住む人にとってアイデンティティになり、
さらには文化にまで育っていけばいいなと思っています」

◎本編の記事はこちら