colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧
記事のカテゴリー

news

MC GATA『アガスケのススメ』
おしぇわ様!山形弁ラッパーが
盟友たちに贈る応援歌

コロカルニュース

posted:2018.1.25   from:山形県天童市  genre:エンタメ・お楽しみ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Yu Miyakoshi

宮越裕生

みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。

最近山形から人気が広がっている「田舎のRUN-DMC」こと
〈MC GATAどBANKING(エムシーガタ・ド・バンキング)〉をご存じですか?
同グループが山形の片田舎でちょっと変わったMCバトルを繰り広げているようです!
まずはこちらのミュージックビデオ『アガスケのススメ』をご覧ください。

「ほだな馬鹿さ言ったってしょうない」というフレーズに、
土地勘のある方ならピンとくるかもしれません。
「しょうない」は山形県庄内地方(酒田市、鶴岡市の総称)の「庄内」。
さらに「しょうがない」という意味も掛けているようです。

メンバーの皆さんはそれぞれ本業をもち、『アガスケのススメ』は
クラウドファンディングで資金を集め自主制作したのだとか。
正真正銘の山形生まれ、そしてインディペンデント作品というところがすごいですね!

BANKING:MC GATAの義弟。一般建築屋根板金業〈五大建版 バンキング〉を営む。MC GATAが『帰郷』リリース後に誘いを受け、パフォーマンス活動を始める。主な仕事内容は屋根全般、塗装、雨桶、外壁工事等。「とにかく細かく施工」をモットーに迅速かつ丁寧な仕事で顧客のハート(信頼)をつかむ。

『帰郷』から2年、『アガスケのススメ』に込められた思いとは?

MC GATAどBANKINGを率いるMC GATAさんは、
2015年に山形へ帰郷した思いを歌った曲『帰郷』でデビューし、
マツコデラックスさんの〈月曜から夜更かし〉で取り上げられたり、
〈風とロックフェスキャラバン〉(福島県)に出演したりしているうちに、地元の有名人に。
ところが、同時に山形弁で“目立ちたがり屋で調子にのっている人のこと”を
意味する「アガスケ」といわれるようになってしまったのだとか。

それならいっそ「アガスケ」をテーマに歌おうと、
弟のBANKINGさんを誘ってつくったのが『アガスケのススメ』。

歌詞には「目立つと叩かれるなどということに臆することなく、
アンチをどっしりと受け入れるぐらいの人になっていぐべ」という思いが込められています。
MC GATAさんいわく「地元ではよく“芸能人ですか?”といわれますが、
そんなとき、僕はいつも“芸能人だなんてとんでもない。
俺は山形のただのアガスケだ”と答えるようにしてます」とのこと。

そう、『アガスケのススメ』は故郷へ帰り地元で頑張ると決めたMC GATAさんだからこそつくれた曲。
ローカルで頑張ってる人はもちろん、Uターンした方、
Iターンした方たちへ贈る応援歌でもあるんです。
さらに「この曲にはSNSが欠かせない時代でも、“誹謗中傷に屈せず強いハートで生きていこう、
アガスケで生きてこう”という思いも込められている」と、MC GATAさん。

また、ラップを通じて山形のおもしろさを発信していきたい、
山形を盛り上げたいとも考えているそう。
そんなMC GATAさんは、じつは庄内出身ではなく、天童市のご出身。
いったいなぜ庄内を舞台にしたのでしょうか?

shima2:ダンスグループ〈LINA WORLD〉のメンバーとしてNYの〈アポロシアターアマチュアナイト〉で3大会連続優勝し、全米28ヵ所を回るツアーを経験。プロダンサーとして活躍する。帰国後アーティストのバックダンスや舞台演出なども手掛け、現在は加圧&パーソナルトレーナーとしても活動中。

DJ GODZILLA:2003年にクラブDJとして活動を開始。仙台のDJプロダクション〈EBS〉に所属し東北各地でプレイしている。マンスリーパーティー〈”POPPING SHOWER ” by rocbeatzsound〉DJ兼オーガナイザー。2017年からMC GATAどBANKINGに加入し『アガスケのススメ』リリースパーティーのオーガナイズLIVE DJとしても活動。

次のページ
裏テーマは「山形一丸になろう」

Page 2

裏テーマは「山形一丸になろう」

なぜ『アガスケのススメ』の舞台は庄内なのか、MC GATAさんに聞いてみました。

「山形は村山地方、置賜地方、庄内地方、最上地方と4つの地域が
ひとつになった広い県でして、方言もバラバラです。
歴史的には明治維新・幕末の頃には県内で大きな争いごとがあったという史実もあります。
そういった背景もあり、じつは『アガスケのススメ』には
“お互いに歩み寄って山形一丸になろう”という裏テーマがあるんです。
これは山形で活動を広げ、地元を盛り上げていきたい僕にとって欠かせないテーマでした。
そこで2曲目では“アガスケ”という内陸地方に伝わる方言をテーマに
庄内をPRしていこう!とリリースしました」(MC GATAさん)

MC GATAのもうひとつの姿「ミッチーチェン」とは?

ところで『アガスケのススメ』と『帰郷』のバックに登場する
おかっぱ頭にタキシード姿の男性は何者なのでしょうか。
じつはこちら、MC GATAさんのもうひとつの姿。
山形では「ミッチーチェン」という名前でおなじみなのだそう。

ミッチーチェンさんは、2008年に〈R1グランプリ〉に出場後、
結婚式やイベントの余興を中心に活動を開始。
以来、地元のラジオやテレビを中心に活躍されているそうです。

MC GATAとして『帰郷』をリリース後はますます忙しくなった
MC GATA/ミッチーチェンさんですが、2017年はNHK「天才テレビくんYOU」に出演したり、
山形大花火大会や会津病院フリーマーケットでメインMCを務めたりと、
地元を盛り上げる活動でも大活躍。
今後の活動がますます気になります!

「僕たちは東京にばかり頼らず、自分たちで立ち上がって
どんどん地元を発信して行こうという思いで活動しています。
これからもラップを通して、山形弁のなかでもあまり使われなくなった
言葉を掘り起こして、その言葉の持つ意味や力を届けたいです。
そして、よりおもしろおかしく山形を広めていくお手伝いをしたいですね」(MC GATAさん)

Feature  特集記事&おすすめ記事

Tags  この記事のタグ