連載
posted:2016.5.23 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島での暮らしも4年目。
地図で見ると小さな島ですが、暮らしてみるとほんとに大っきな島。
いまだに知らない場所、行ったことがない場所が島の中にたくさんあります。
5月の連休に私の両親が島に来ていたので、
せっかくだから行ったことがないところへ行ってみよう! というわけで島探検へ。
新緑が美しいこの季節、さてどこに行きましょか。
私がずっと気になっていて行けてなかったのが
〈星ヶ城山〉(ほしがじょうやま)という小豆島で一番高い山。
標高817メートルで、瀬戸内海の島々の中で一番高い場所です。
そびえ立つヒノキ林の写真だったり、石を積み上げたお城のような建物の写真。
友人たちが星ヶ城山で撮った写真を見て、
いったいどんなところなんだろうといろいろと想像していました。
いまの季節、山の中を歩くのはさぞ気持ちいいだろうな。
そうだ、星ヶ城山に行こう!
連休最後の日の午後、山を登ることに。
星ヶ城山に登るにはいくつかのコースがあります。
標高ほぼ0メートルの草壁港から3時間くらい歩いて登る本格的なコース。
ロープウェイなどで寒霞渓山頂まで行き、そこから1時間弱くらい歩いて登るコース。
そして一番気軽に行けるのが、星ヶ城園地の駐車場まで車で行き、そこから歩くコース。
今回は初めてということもあり、一番気軽なコースで(笑)。
駐車場に着くと、まわり一面ヒノキの森。
その中の道をえっさほいさと進んでいきます。
まっすぐにそびえ立つ木々。少し冷たい空気。
歩いているだけで気持ちいい。
星ヶ城山には東峰(標高817メートル)と西峰(標高805メートル)があります。
登っていくと途中に分かれ道が。
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まずは高いほうの東峰へ。
ひょ〜。あった。
写真で見ていた石積みの城。城というか塔というか。
この星ヶ城山は南北朝時代、山城だったそう。
その頃の居館や祭祀、空壕などの跡があちこちに残っています。
ちなみに東峰にある石積みの建物はその時代のものではなく、
後に建てられたものと言われています。
それにしても不思議な光景。
小豆島にこんなところがあったなんて。
アジアのどこかの国にいるような気分。
そして今度は西峰へ。
西峰には大きな岩があり、その景色はなんとも力強い。
映画『もののけ姫』で、犬神のモロの君がじっと座って
森の様子を感じているその場所のよう。
ちょっと歩くだけで、こんなところにたどり着ける。
それが小豆島の魅力のひとつなんじゃないかなと思う。
日常の暮らしのすぐそばに、非日常の体験がある。
ようやく訪れることができた星ヶ城山。
またひとつ小豆島のことを感じ、知ることができた。
ほんとにこの島にはいろんな顔があって、まだまだほんの少ししか知らない気がする。
何年暮らしても、この島には飽きなさそうです。
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