仙台〈源氏〉 すてきな女将のいる 品のいい居酒屋
割烹着姿の女将とコの字カウンター
ほんわり明かりを灯した飲食店が軒を連ねる仙台は文化横丁。
その中にあっても、飛び抜けて控えめな白地に筆文字の
〈文化横丁 源氏〉の看板を見落とさずに見つけたなら、
そこから人がひとり歩けるほどの路地を入り
曲がった正面に縄のれんがみえました。
あたたかい明かりとざわめきが、すりガラスの引き戸と
格子窓の中から感じられて、ほっとします。
一瞬深呼吸をして引き戸をガラガラと開けると、
見渡せるコの字カウンターはお客さんでいっぱいの様子。
奥の厨房のほうから着物に白い割烹着の女将さんが現れたので、
こちらの人数をお伝えすると、カウンター越しに、
ゆっくりと丁寧にお辞儀をされてしまいました……。
ひとまず出直すといたしましょう。
まだ一歩も踏み入れてなかった店の外側から、ゆっくりと引き戸をしめて、
しばらく別のお店で飲むことに。
ここに来るのは3度目。仙台に来るたびに立ち寄る大好きな店。
時間も時代も止まったような空間は、
店いっぱいに使い込まれて角のとれたコの字のカウンター。
それを囲むように長椅子も三方向に並びます。
長椅子も同様に使い込まれているので滑りやすく、
するするとお尻を移動させて自分のポジションを確保。
出直し源氏は、入って右側の席にするすると落ち着きました。
1杯目は、振り向いた背中側の壁に貼られた日本酒メニューから
東北のお酒、高清水の辛口を。
テーブルの上段に厚みのあるグラスと受け皿がセットされ、
女将がきれいに注ぎこぼしてくれます。
こぼさぬように右手にグラス、左手に受け皿、
同時に口もぐぐいと前に近づけてお出迎え。
あぁ、目が醒める。おかしな表現ですが、日本酒のひと口目は、
いつも気持ちが一瞬リセットされるような感覚に。
女将さんが上手に注いでくれて、この古い佇まいの源氏でならなおさら。
源氏のお酒はお通しつきなので、お酒を頼むごとに何が出されるかが、お楽しみ。
1杯目は、ぬか漬けとくらかけ豆。
正面の壁には、さしみ、おでん、珍味など
日本酒に合いそうな素朴な季節の品書きが並んでいるので、
お腹の具合、お酒の具合で注文することもできます。
店内全体を見渡せるのがコの字カウンターの好きなところ。
若い男性3人組、お酒好きそうなカップル、出張サラリーマン、女性同士。
酒場ブームのせいでしょうか、遅い時間のせいでしょうか、
数年前に訪れた時より若くて色のあるお客さんが目立ちます。
その全体をカウンターの中からことなく切り盛りする女将さんの所作は美しく、
言葉に余分もなく、品のいい居酒屋の空気感。
薄暗い店内にゆっくりとした時間が流れます。
もう1杯お酒のお代わりを。次は冷奴が出されて、ひと口食べれば、
冷んやり目が醒め、酔って火照った体もクールダウン。
カウンターにいっぱいだったお客さんもいつの間にか少なくなって隙間風。
さあ、そろそろ次の横丁へ繰り出すといたしましょうか。

information
源氏
住所:宮城県仙台市青葉区一番町2-4-8
TEL:022-222-8485
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜日・祝日
text & illustration
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