坂井〈海女小屋〉 福井の酒蔵めぐりのしめに サザエやサワラのたたきを

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地元客と、一期一会の女子トーク。

さんかく屋根の懐かしい建物に、地元の酒の銘柄「冨久駒」といっしょに
「海女小屋」の看板がポワンと光ってた。
福井県坂井市をめぐる旅、昼間にみぞれまじりの雨の中、冨久駒の久保田酒蔵を見学。
弁当忘れても傘忘れるな、日本海の天気は変わりやすい。
雨はやんでいたけれど、まちの暗さと寒さがしんみり、さぁ早くお店に入りましょう。
店内は宴席できるような広めの畳席とカウンター。先客もカウンター。
私たちもカウンターへ。私の座った席の前には、小さな水槽が。
水槽の中には、サザエがぴったり張りついてる。その色だけ妙に色っぽいような。

お通しに、パリパリしたもが出てきたのだけれど、なんですかコレ? 
メカブの唐揚げです。駄菓子屋にあるような赤い蓋の大きな入れ物から
出してくれる海藻チップ、なかなか、いいおつまみ。
ビールを飲みつつ、メニューを斜めにみて思案してると、
適当に刺身盛り合わせましょうか? と。そうですね、おねがいします。

サワラのたたきって初めて食べたけど、さっぱりおいしい。
生きてるサザエと対面しながらのコリコリサザエ。
説明してもらったときに知らない名前の魚がひとつ。
こっちでは、ブリのちっこいのをフクラギって呼ぶんですよ。
「母が雄島で海女やってまして」
店構えより、店主が若いことが気になっていたので、納得。
2代目さんですね。雄島は東尋坊の先にある島。
日本海の荒波の中での海女さんの作業は大変なことだろうなぁ。
「母は60なんですけどいちばんの若手で……」
どこかのドラマで観たような海女物語がここ北陸にも。

とにかく、おいしい海の幸がいただけて、うれしい限り。
「ぴんぴん焼きってなんですか?」
メニューの中で想像がつかなくて聞いてみたら、
先ほど、ほろ酔いでいらしたお姉さんが「え、知らないの~?」と。
このあたりでは、当たり前のメニューのよう。
出てきたのは、鉄プレートにすった山芋がふっくら、
中にはサザエやら甘エビやらが贅沢に入って、紅ショウガと海苔がトッピング。
お好み焼きのような卵焼きのような、それがぴんぴん焼きらしいのです。

そこから、隣の女性客が、どこから来たんですか? 
住んでる場所を言うと、湘南の海はいいと絶賛された。
日本海もいいじゃないですか? カニもあって。
旅先ならではの会話がいい温度の熱燗といっしょに進みます。
ここに暮らす人と一期一会の女子トーク。
きっと、海女ちゃんたちは雄島の海女小屋でもとりとめもない話をしてるのかも
と思いながら、居酒屋の海女小屋を後にしたのでした。

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Information


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海女小屋

住所:福井県坂井市三国町神明1-1-23

TEL:0776-82-5027

営業時間:17:00~翌2:00

定休日:第二火曜

text & illustration

ひらお・かおり●イラストレーター。神戸生まれ、独自の個性を発揮した作風で、世界的ベストセラー「アルケミスト」を始めとする書籍のカバーや、雑誌の挿絵、広告などで活躍。個展も多数開催。現在は、逗子の小山にアトリエを構え、本人の取材やエッセイなど活躍の幅は広い。著書本に「たちのみ散歩」(情報センター出版局)「ソバのみ散歩」(エイ出版社)
http://www.kao-hirao.com/
https://www.facebook.com/Kao.0408.hirao

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