news
posted:2013.5.16 from:高知県香南市 genre:食・グルメ
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。
writer profile
Akiko Saito
齋藤あきこ
さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。
高知の地元では知られている銘菓に
「エチオピア饅頭(まんじゅう)」というものがあります。
香南市の菓子店「近森大正堂」が販売する、手造りで素朴な味わいの黒糖まんじゅうです。
女優の広末涼子さんがお気に入りのお菓子として紹介し、
高知以外でも一躍有名になったお菓子なのですが、
残念ながら近森大正堂さんが今月で閉店されるにあたり、
エチオピア饅頭も販売を終了することになりました。
エチオピア饅頭の誕生は戦前にさかのぼります。
もともと初代の店主は、香南市で取れる黒糖「白下糖」を
使った黄まんじゅうを大正八年に土佐名物まんじゅうとして販売を開始しました。
その十数年後。店主は映画館で、イタリアに侵略を受けたエチオピアが
敵を勇敢に迎え撃ち、撃退したニュース映画を見ます。
このエピソードにいたく感動した彼は、自らの饅頭に「エチオピア」と名付けたのです。
その60年後、エチオピア大使がお店に表敬訪問し、
饅頭がエチオピア公認となるなど、篤い支援を受けていました。
しかし3代目店主さんがお亡くなりになり、
同じ味を保っていくのは難しいと、惜しまれながら
閉店されることになったそうです。
エチオピアと高知をつないだエチオピア饅頭。
販売は終了しても、人々の記憶にずっと残っていくことでしょう。
Feature 特集記事&おすすめ記事