和光

シベリアの山奥で氷づけになったマンモス、のような喫茶店。

ずっと気になる店だった。道沿いにある古い喫茶店で、店名を「和光」という。
どんなところが気になっていたかというと、あまりの目立たなさ加減。
店内が暗いせいで窓はあっても中の様子がまったく見えない。
とはいえ交通量の多い通りの1階にある路面店、しかもまちの中心に近い。
そんな好立地にありながら、同じ児島エリアに長く住んでいる人でも、
「それ、どこよ?」とまったく知らないということがよくあるのだ。

初めて入ったのは3年ほど前。
2005年から始めた倉敷の雑誌『Krash japan』で
喫茶店を特集したときだった(vol.7/2008年9月発行)。
ちょっとした驚きだった。シベリアの山奥で、
そのままの姿で氷づけになったマンモスを見つけてしまったみたいな。
店内は40年かそこら、完全に時間が止まっていたみたいだった。
店の内装も什器もすべて、それこそ
テーブルの上の灰皿ひとつとっても、かなりの時代を感じさせる。
でも、ただ古いというだけじゃ、心はとらえられない。
古道具とかアンティークとか、そんな類に興味ないし。
ぼくが心を動かされたのは、それらひとつひとつが、長年、
丁寧に大切に扱われてきたことがうかがえて、
それによって店に風格と、なんともいえない品のよさが漂っていたことである。
自分のごくごく身近にこんな世界があった、というのも驚きだった。
やっぱり、気になるところは入ってみるもんだな、つくづくそう思った。

以来、和光には今もときどき訪れる。
しばらく顔を出さないと、「最近は忙しいの?」と店主の藤川夫妻が気遣ってくれる。
たしか70歳近いと思うけど、ともにお元気だ。
いつも座るのは窓側のソファ席。外からは見えないけど、
店の中からはレース越しでも外がよく見える。
信号待ちしている車の運転手の顔なんかはっきりと。
店は静かだ。午前中は混んでいるらしいけど(早朝6時から営業!)、
午後は常連さんがぽつぽつ。
コーヒーもおいしくて、ただ窓の外を眺めてゆったりと時間を楽しめる。
コーヒーを飲んだ後は、必ずこぶ茶が運ばれてくる。
これ、ぼくだけへのサービスじゃなくて、すべてのオーダーの後に付いてくるから、
店を出るときのお客さんはすべからくこぶ茶の口になっているというわけだ。
そんなところもかわいくて面白い。長く続いてほしいなと思う。

『Krash japan』vol.7(2008.9)でも大きく紹介されている。

いつも座る窓側の席。開店は午前6時。日課の散歩を終えた常連が集まる。写真・池田理寛

Information


map

和光

住所:岡山県倉敷市児島下の町8-1-4

TEL:086-472-5764

営業時間:6:00〜19:00

定休日:日曜休

RICE475 収穫祭レポート(前編)

はじめまして、ガクハリです!

はじめまして、RICE475の覺張と申します!
RICE475とは、株式会社リバースプロジェクトと
日本有数の米どころ南魚沼の農家山本と廣新米穀で取り組む農業プロジェクトです。
「美味しいお米を作り、農家の価値を高めたい!」という想いから始まり、
南魚沼産コシヒカリを栽培しながら、
魚沼での農業体験や都内での様々なイベント、ウェブなどで情報発信を行っています。
農家のことを少しでも知っていただき、
皆さんと一緒に農家の未来を考えていけたら幸いです。
生産者・流通者・消費者の全てが幸せになれるお米、
最「幸」級米を目指します!

この場では、新潟県魚沼地方から地域のヒト・モノ・コトを
ご紹介させていただきたいと思います。そんな第1回は、
「魚沼を満喫し、贅沢にRICE475を味わいながら、収穫に感謝しよう!」
という趣旨のもと開催された、
「RICE475 収穫祭 祝・豊作ツアー」をご紹介します。

11月22日、23日の2日間で行われたこのツアー、
遠くは九州から近くは地元魚沼の方々に、
温泉・観光・酒・旬の味覚・新米と魚沼を存分に味わっていただきました!
そんな旅の始まりは、なんと温泉宴会スタート☆
今回お世話になったお宿は、「雪国の宿 高半」さんです。

川端康成が滞在し、「雪国」を執筆し、物語の舞台となったことでも有名な、
約900年の歴史を誇る温泉なんです。
RICE475の田植えや農業体験後は必ずこの温泉です!
歴史もさることながらお湯が素晴らしい!
お肌ツルツルのアルカリ性で湧き出し温度も奇跡の42度。
37代目湯守いわく「源泉に本当に何も手を加えず、そのままなので、
赤ん坊を放り込んでも安心」とのことです。
放り込まれた赤ん坊はさぞ不安でしょうが。。。

そんなお宿で、37代目湯守高橋五輪夫さん(通称プリンス)を囲んで、
魚沼の深雪マスやお漬物や新米おにぎりをツマミに
銘酒「鶴齢」で美味しく愉快な宴を過ごしました。

僕があのひとことを告げるまでは。。。

…そう、わたくし重要な伝達事項をすっかり伝え忘れておりました。

覺張:「明日の座禅ですが、朝5:40にロビーに集合してください。」

そのひとことで場の空気が一変。
皆さん:「えっ。。。これからお風呂に入って、なんだかんだで2時。起床は4時半。。。」
覺張:「いやぁ、修行ですから、ねぇ。。。すいません!」
ってな感じで、即撤収、即就寝、即起床。

皆さんの怒りが座禅で静まるといいなぁという、淡い期待を胸に向かった先は、
関興寺さん。魚沼では「雲洞庵」に並ぶ位の高いお寺です。
上杉家に縁のあるお寺で、謙信の没後の相続争いの兵火で諸堂が火災になった際に、
住職が謙信から譲り受けた経本を味噌の中に入れて火から守ったそうです。
それ以来、「関興寺の味噌なめたか」と言って、
関興寺の味噌をなめるとご利益があるとされています。

まだ薄暗く、気温の低いお寺で、住職から説明を受け、皆でお経を唱えた後に座禅体験。
機械の音を無くすため、ストーブも電気もすべて消し、調身、調息、調心。
姿勢を整え、呼吸を整えることで心が整う。
カラスの鳴き声、キツツキが木を叩く音、かなりの寒さでしたがそれすら心地よく、
地球と一体となっているような感覚を体験しました。
普段、機械音に囲まれて生活していることを実感すると同時に、
自然界の音だけに囲まれることがこれほど気持ちの良いことだと知りました。

初めて体験される方も多かったのですが、「スッキリした!」と、大変好評でした。
また、「住職の袈裟が素敵だった!」とおっしゃる方も。
デニム素材の袈裟は本当に素敵でしたよ!

こうして、これからの旅の安全祈願と、
RICE475をおいしく食べるまでのコンディションを整え、朝食のために宿へ戻りました。

そして、前夜の僕の失敗は忘却の彼方へ。(良かった良かった。)

つづく。

TOPIC 葛巻町(1)ウインドファーム

再生可能エネルギーのまち、葛巻町の取り組み。

人口7,300人余り、酪農と林業を基幹産業とし岩手県北部に位置する葛巻町は、
おそらく日本で最も有名な「再生可能エネルギーのまち」でしょう。
千葉大学と環境エネルギー政策研究所が試算しているエネルギー永続地帯指標で見ると、
葛巻町のエネルギー自給率は200%以上と高く、
町が独自に試算している自給率でも180%以上なのです。
いずれも非常に高い数値であり、
この数字を支えているのは町内にある広大なウインドファーム(風力発電所)と、
酪農と林業から得られる豊富なバイオマス資源、
その他太陽光発電など多様なエネルギー利用にあります。
今回は、葛巻町の最大の再生可能エネルギー供給源である風力発電について紹介しましょう。

町内には「エコ・ワールドくずまき風力発電所」と
「グリーンパワーくずまき風力発電所」の2ヵ所の風力発電所があります。
発電設備はエコ・ワールドくずまきが出力400kWの風車3基で1,200kWの出力を持ち、
年間推定発電量は200万kW。
一方、グリーンパワーくずまきは出力1,750kWの風車12基で21,000kWの出力を持ち、
年間推定発電量は5,400万kWです。
推定発電量から見ると、エコ・ワールドは設備利用率が19%、
グリーンパワーは同29%となるので、風況が比較的良い場所であると推測できます。

両発電所合計で生産される年間5,600万kWの電力によって、
総世帯数2,664世帯の葛巻町内の電力需要に対して、
なんと2倍以上の電力を供給できます。
この大規模なウインドファームによる再生可能エネルギー生産が、
葛巻町のひとつの特徴なのです。

エコ・ワールドくずまき風力発電所(出典:葛巻町公式ホームページ)。

STUDY 自然エネルギー

「自然エネルギー」というキーワードの意味と可能性。

自然エネルギーは、太陽から降り注ぐ膨大なエネルギーや
地球が本来持っている地熱エネルギーを利用して、
遠い将来にわたって人類が活用できる持続可能な非枯渇性のエネルギーで、
再生可能エネルギー(Renewable Energy)とも呼ばれます。
自然エネルギーの利用形態としては
各種の発電(太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電など)や、
熱の利用(太陽熱、地熱、バイオマス)、
燃料としての利用(バイオ燃料など)が含まれます。
太陽エネルギーは、太陽光として地表に降り注ぐだけでなく、
地表を温めて風をおこし、蒸発した水は雨となって川を流れ水力となり、
森林や農作物など植物(バイオマス)を成長させます。
地熱は、日本のように火山が多い国では温泉として古くから活用され、
高温の蒸気としても活用することができるのです。

産業革命以降、人類がエネルギー資源として依存してきた
石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、
将来は利用ができなくなる枯渇性のエネルギー資源であるため、
すでに供給のピークを過ぎたものも出はじめており、
その価格は将来にわたって高騰することが想定されます。
さらに利用時に温室効果ガスを排出して地球温暖化の原因となっており、
気候変動による異常気象が世界各国ですでに頻発しています。
化石燃料の代替エネルギーとして導入が進んで来た原子力発電についても、
核燃料使用後に生まれる処分が困難な放射性廃棄物の問題や、
原発事故発生時の危険性が非常に大きいことが明らかになってきています。

これに対して自然エネルギーは、
化石燃料や原子力に代わる持続可能な未来のエネルギーとして注目され、
産業革命やIT革命に続く第4の革命として、世界中でその利用が急成長しています。
特にエネルギー自給率が数パーセントと非常に低いレベルにある日本にとっては、
近い将来の高騰や海外からの調達リスクが懸念される化石燃料や
深刻な事故を起こしている原子力発電に代わって、
持続可能な国産のエネルギー資源として位置づけることが可能です。
また、温室効果ガスの排出量が非常に少なく、
国や地域のエネルギー安全保障につながるなど、
新たな産業・雇用の創出や地域経済の活性化の切り札としても
本格的な導入が期待されています。

日本国内の発電量に占める自然エネルギーの割合(出典:自然エネルギー白書2011)。