連載
posted:2022.4.29 from:全国(北海道、秋田) genre:活性化と創生
〈 この連載・企画は… 〉
毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?
editor’s profile
Saki Kunishige / Hikari Sawaki
國重咲季、佐脇星
ひとことにお祝いごとといってもその内容は各地で異なります。
出産や長寿のお祝い、引っ越しや結婚など
みなさんはハレの日やちょっとしたお祝いのとき、
何かしていることはありますか?
今回は「お祝いごと」からまちの文化を探るべく
全国のみなさんに何をしているか聞いてみました。
普段何気なく行っているお祝いも、
実は伝統的なまちの風景だったようです。
秋田県にかほ市では、
お祝いごとがあると絵を贈り合うという文化があります。
誰かが引っ越ししたり、結婚したり、
退職したりするときに絵をプレゼントするんだそうです。
こちらの絵は、池田修三さんというにかほ市出身の木版画家さんのもの。
多色刷りという技法で描かれた色彩豊かな絵は、
子どもや、動物、花などのモチーフが描かれたものが多く、
印象的なものばかり。
市内のお店やお宅にお邪魔すると、
池田修三さんの絵が飾られているところが多く、
「子どもが生まれたときにもらったものだよ」
「夫が退職したときにいただいてね」などと、
絵にまつわる当時のエピソードを話してくださるんです。
私も、にかほ市に引っ越してしばらくした頃に
池田修三さんの絵をいただきました。
この絵を贈るという文化が
池田修三さんの木版画に彩られた、まちの風景をつくり出しています。
photo & text
國重咲季 くにしげ・さき
京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。
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世界自然遺産の知床を有する羅臼町の特徴は、
自然だけでなく魚の城下町といわれるほど漁業も盛んなところ。
そんな漁業のまち、羅臼町で盛り上がるお祝いごとのひとつが
新造船の進水式なんです。
噂を聞きつけた町民が大勢集まり、毎回賑わいます。
船が現れる前から近所の人たちが
ビニール袋やカゴを片手にソワソワしている様子が見られます。
カラフルな大漁旗をたくさんなびかせながら、
軍艦マーチを大音量で流した新造船が入港すると
仕事中の人も、大人も子どももじいちゃんばあちゃんもゾロゾロゾロ。
船の音を聞きつけてどんどん人が集まってくるんです。
みんなが待っていたのは餅まき!
船から投げられる餅を腰をかがめて拾いまくります。
餅だけでなく当たり札が入っているものもあり、
その場で酒やジュースと交換できるお楽しみつきなんてものもあります。
都会ではほとんど見る機会がなくなってしまった餅まき。
羅臼町では進水式や上棟式などのお祝いごとの際に行われる
餅まき文化がまだまだ続いています!
大きなお祭りの開催はまだ少し先になりそうですが、
少しずつこのような人の集まるイベントも再開できるとうれしいですよね。
photo & text
佐脇 星 さわき・ひかり
兵庫県神戸市の人工島で生まれ育つ。子どものときに読んだ「シートン動物記」をきっかけに野生動物が好きになり、「野生動物の息吹を身近に感じられるところに住んでみたい」という思いから、大学卒業後、世界自然遺産の町である知床羅臼町の地域おこし協力隊に着任。関西人から見た羅臼町の魅力をSNSで発信している。
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