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太陽光パネルで
目指せ、エネルギー100%自給!
〈いとしまシェアハウス〉の
オフグリッド計画・その1

糸島での自給自足の日々を綴った
―田舎暮らし参考書―
vol.027

posted:2019.5.8   from:福岡県糸島市  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  田舎へ移住を考えている人、すでに移住した人。
そんな方の、暮らしの参考やアイデアになるはずです。農業、狩猟、人とのつながり、四季のこと。
福岡県糸島で自給自足生活を営む〈いとしまシェアハウス〉の暮らしをお届けします。

writer profile

CHIHARU HATAKEYAMA

畠山千春

はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。
ブログ:ちはるの森

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

エネルギーの自給を目指す我が家では、
シェアメイトひとりにつき1枚、モバイルソーラーチャージャーを配布し、
そのエネルギーでスマートフォンを充電する取り組みを行っています。
※過去記事はこちらから。

そして今回、ついに家で使うすべてのエネルギー自給100%を目指し、
太陽光発電システムを導入することになりました! きゃー! 

足場をつくり、その上で作業します。

足場をつくり、その上で作業します。

今回はその第一歩として、駐車場の屋根を葺き替え、
そこに18枚の太陽光パネルを設置することになりました。

この太陽光パネルは1枚で275ワット発電するので、
18枚で約5キロワットの発電量になります。
これは、標準的な家庭の電気消費量を十分まかなえる電気量だそうです。

今まで私たちが持っていた大きめの設置型太陽光パネルが50ワットなので、それの約99倍。
いつも使っているスマホ充電用の
折りたたみ式太陽光発電機が20ワットと考えると、約247倍。
すごいパワーです! 

屋根の葺き替えは、大工インレジデンスのメンバーとして我が家に住んでいる、プロの大工ふみよくんがあっという間にやってくれました。

屋根の葺き替えは、大工インレジデンスのメンバーとして我が家に住んでいる、プロの大工ふみよくんがあっという間にやってくれました。

まずは、強風でトタンが吹き飛ばされ、穴だらけになった駐車場の屋根を葺き替えます。
1枚10キロある太陽光パネルは、18枚で合計180キロ。
屋根材は、この重さに耐えられるものをセレクトしました。

すっかり屋根の準備ができたら、さっそく太陽光パネルを設置していきます。

すっかり屋根の準備ができたら、さっそく太陽光パネルを設置していきます。

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いよいよ太陽光パネルを取りつけ!

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太陽光パネル設置のワークショップを開催

「屋根に登って太陽光パネルを設置する」なんて、なかなかできない経験なので、
この経験をいろんな人たちと共有したいなと思い、
2日間のワークショップとしてオープンにすることにしました。

今回行うのは、

・太陽光パネル18枚を屋根に設置

・パワーコンディショナー(通称パワコン)に接続

 ※パワコンとは、太陽光発電でつくった“直流”の電気を、家庭で使う“交流”に変換する機器のこと。

・電気がつくられているかテスト

するところまで。

サポートしてくださったのは、福岡に本社を置く〈自然電力〉さんです。
指導・ご協力、ありがとうございました!

丁寧に質問に答えてくれる自然電力の皆さん。

丁寧に質問に答えてくれる自然電力の皆さん。

自然電力のスタッフさんによる、太陽光発電についてのレクチャー&質疑応答の時間には、
「つくった電気はどうやって貯めるの?」
「太陽光パネルって何年くらい使えるの?」
などなど、鋭い質問が飛び交います。
ちなみに太陽光パネルの保証は、一般的なメーカーだとなんと25年もあるそう! 

屋根の上に金具を設置して、太陽光パネルを固定していきます。

屋根の上に金具を設置して、太陽光パネルを固定していきます。

パネル設置の作業風景。

ワークショップには、太陽光発電を検討しているご近所さんや、
近くでゲストハウスを運営されているオーナーさん、
遠くは東京から親子で参加してくださった方もいて、とても賑やかに! 

自然電力スタッフさんの指導のもと、18枚のパネルを設置することに成功! 
屋根の上での作業でしたが、怪我もなく無事にやり終えることができてホッとしました。

パネル設置完了!

パネルの設置が終われば、いよいよパワコンに接続です。
パネルでつくったエネルギーを家電に流して、
実際に電気がつくられているかどうかを確認します。

太陽光パネルから引っ張ってきた配線をパワコンにつなぎます。

太陽光パネルから引っ張ってきた配線をパワコンにつなぎます。

記念すべき試運転で使う家電は、
我が家のDIYに欠かせない、インパクトドライバー! 

まずは子どもたちがパワコンのスイッチを入れると……

子どもたちの手で、スイッチオン!

パワコンの液晶画面に、運転スタートまでのカウントダウンが数字で表示されます。
3・2・1……

無事、インパクトドライバーに充電できました!!!! 

インパクトドライバーに充電できました!

実は最終日の午後、太陽はすっかり隠れてしまって、
たまに雨もぱらついていたので、きちんと試運転で動くのか不安もありました。
でも、18枚もある大きなパネルのおかげで、
あの曇り空でもしっかりと発電し、役割を果たしてくれました……! 

太陽光パネルを18枚設置し終わった屋根の上で、記念撮影!

太陽光パネルを18枚設置し終わった屋根の上で、記念撮影!

太陽光を使ったエネルギー発電、無事成功! 
……したわけなのですが、
今の段階では蓄電池(つくった電気を貯めておく装置)がないので、
発電中、つまり太陽が昇っている昼間だけしか自給した電気は使えません。

ちなみに夜に電気が使えないとなると、

・照明が使えなくて真っ暗闇

・冷凍庫の中のものが溶ける

・インターネットが使えない

・家電全般使えない

と、とにかく不便……。

「電気を貯めておける」って、すごい技術なんだなぁとあらためて感じます。
バッテリーってすばらしい! 

天気がよかったので、外でお昼ごはん!

天気がよかったので、外でお昼ごはん!

太陽光パネルで発電した電気を日常のエネルギーとして使うために、
いつかは蓄電池を設置して、電力会社に頼らない、完全“オフグリッド”を目指したい! 
と思っています。

まだ設置して数日しか経っていないのですが、
これからこのパネルたちが糸島の太陽の力で
どんどん発電してくれることを夢見ています。

またいつか「オフグリッド計画・その2」として、その後の経過をご紹介しますね!

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今日のごはん

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今日のシェアハウスごはん

5月は、たけのこがたくさん採れる季節! 
足が早くてすぐに傷んでしまうので、湯がいたらすぐにザルに並べて天日干しをします。

タケノコを小さくスライスして、ザルに並べる。

まるで曼荼羅のようなたけのこアート。

この季節しか見られないザルの上のたけのこアート、
神秘的でとても気に入っています。

甘夏を煮る。

保存食といえば、集落で採れた無農薬甘夏でつくったマーマレード。
鮮やかなオレンジがあまりにも美しかったので、思わずカメラを向けました。

冬を越え、夏が近づくこの季節は、目に映るものがなんでも色鮮やかに見えて幸せです。
マーマレード、たくさんできたので、友だちにおすそ分けしています。

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