連載
posted:2019.5.21 from:福岡県糸島市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
田舎へ移住を考えている人、すでに移住した人。
そんな方の、暮らしの参考やアイデアになるはずです。農業、狩猟、人とのつながり、四季のこと。
福岡県糸島で自給自足生活を営む〈いとしまシェアハウス〉の暮らしをお届けします。
writer profile
CHIHARU HATAKEYAMA
畠山千春
はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。
ブログ:ちはるの森
こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。
私たちが住む福岡県糸島市の集落も緑がどんどんと濃くなり、
カエルの鳴き声も、虫の音も、爽やかな初夏を感じさせる季節となりました。
冬の間、茶色い景色をずっと見てきたので(もちろんそれはそれで美しいのですが)、
初夏のこの眩しいほどの緑がうれしくてうれしくて!
海も透きとおるように青く、これからやってくる夏にワクワクしています。
空を美しく映し出した棚田の散歩、海や川での水遊び、池で冷やしたスイカ割り、
今年はどこまでできるかなあ。
もうすぐこんな棚田の景色が見られます。
さて、“移住”はちょっとハードルが高いけれど、
こんな田舎での生活を体験してみたいなあと思っている人に、
我が家からひとつ提案があります。
便利な都心と自然豊かな里山、どちらも楽しめる二拠点生活(デュアルライフ)を
いとしまシェアハウスで始めてみませんか?
我が家は築80年の古民家で、水道なし、湧き水暮らしという田舎暮らしですが、
福岡市内から電車1本で約50分、空港からも電車で約1時間という好アクセス。
お米の自給率も100%!
この〈いとしま二拠点暮らし〉プロジェクトでは、まちと糸島を行き来しながら、
月に好きな日数だけ我が家に滞在してもらい、
田舎の楽しさを感じてもらいながら、
新しい生き方の実験をしてもらいたい、と思っています。
というのも最近、
日本のトップ企業による、終身雇用が難しくなったというニュースが話題になりました。
今までの「安定した働き方」や「堅実な生き方」のロールモデルが崩れていくなか、
仕事や拠点を複数持ちながら、変化する社会を自分らしく生きていこうと
挑戦する人が増えているような気がします。
そういう挑戦を、我が家をスタートにしてもらえたらうれしいなあ、
そのサポートができたらなあ、そんな気持ちもありました。
(まさに、我が家にはそういった暮らしや生き方をする仲間がたくさんいるからです)
さまざまな挑戦を続けるシェアハウスのメンバーたち。
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今、二拠点生活をする人たちはどんどん増加傾向にあり、
2018年の二拠点生活人口は全国で約17.1万人。
その数は2011年の2倍近くに膨れ上がっています。(※1)
「だけど、二拠点生活って別荘みたいなものでしょ? ちょっと難しい……」
と思う方もいるかもしれません。
実際に、ひと昔前は定年退職したリッチなご夫婦が別荘を持つ……
そんなスタイルが主流でしたが、じつは今、二拠点生活を始める約5割以上が
20~30代というデータが出ているのです。(※2)
その理由としては、フリーランスやテレワーク(在宅勤務)など、
場所にとらわれずに働ける環境が整ってきたということがあると思います。
別荘のようなきらびやかな物件を選ぶよりも、田舎の空き家を活用し
そこで自らリノベーションをしながら暮らしを始める……という人も多いようです。
新鮮な食材がすぐ近くで手に入ります。山椒だってここでは野草のようなもの。
けれど、二拠点生活にもハードルはまだまだあります。
・空き家を探すのが大変
・リノベーションにお金がかかる
・家具一式をそろえるのが大変
・不在時の家の清掃や荷物の受け取りなど、手間がかかる
・畑や田んぼをやってみたいけれど、普段のお手入れができない
などなど。
我が家から海までは車で約5分!
今回、この二拠点生活のハードルをできるだけ低くするべく、
シェアハウスでの二拠点生活支援プログラムを考えてみました。
・家具や寝具など、ひと通りこちらで貸し出しするので、手ぶらで来られます!
・不在のときもシェアメイトが暮らしているので、荷物の受け取り&家の管理の心配なし
・ご近所さんとの信頼関係も良好です
・畑や田んぼなどの管理もシェアハウスで行います
・いつか二拠点生活をしてみたい、という方の練習の場として◎
お母さんのような存在のご近所さんと。
旅行ではなく、実際に“暮らし”を体験することができるので、
「いつか地域移住を検討している」という方のトライアルステイとしてもおすすめです。
まちで働くとなかなか難しいオンオフの切り替えも、田舎ならスムーズ。
ここなら思いっきりオフをエンジョイできますし、
だからこそ、オンのモードのときも集中して働くことができます。
ピザ釜でピザパーティーも!
PCに向かってばかりのなまった体を動かして、心身のバランスを整えるもよし、
新鮮な食材を使った料理を楽しむもよし、
自然からたくさんのインスピレーションを受けるもよし。
たくさんの実をつける、梅の木の下で。
ユニークな住人との交流や、新しい人との出会いを通じて、
働き方、生き方の選択肢を広げるもよし、
車で約5分の温泉に浸かってゆっくりまったりするもよし、
お好きなように糸島ライフを楽しんでみてください。
大工インレジデンスのメンバーとして住んでくれたDIY女子!
いとしまシェアハウスの暮らしと交換できるスキルがあれば、
家賃を割引する「スキル交換割引」も導入予定なので、
我こそは! という方はおもしろいご提案も楽しみにしています。
これから糸島は海も山も田んぼも美しい最高の季節に突入します。
この暮らしを楽しくシェアできる人、お待ちしていまーす!
縁側の昼寝もオススメ! 寝転がっているのは以前我が家で二拠点生活していたwebデザイナー。
(※1、※2 〈株式会社リクルート住まいカンパニー〉調べ)
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さて。
令和になって初めての大型連休、みなさんはどんなふうに過ごされましたか?
我が家は連日イベント続きで、
累計40名以上の方が我が家に遊びに来てくれました!
ゴールデンウィークに毎年企画しているのが、
集落の無農薬の甘夏狩りと、八十八夜のお茶摘み。
お茶摘みワークショップに参加してくれたみなさんと。
今年は家族連れの方も多く、子どもたちが大活躍してくれました!
積極的にはしごに登り、甘夏をとる子たちや、
収穫した甘夏をひたすら絞ってくれる職人肌の子どもたち。(すごい集中力!)
夜のピザ窯パーティーでも率先してピザをたくさんつくってくれました。
いい思い出になったらいいなあ。
どんどん甘夏を収穫していく子どもたち。
甘夏狩りの収入の約半分は集落に還元しているので、
地域にもきちんと恩返しができたかなあ、と思います。
毎年たくさんの人が参加してくれるので、集落の人も喜んでくれています。
・参加者にも楽しんでもらえて
・集落の甘夏畑の保全にもなり
・シェアハウスの仕事にもつながる
こういう地域資源を生かしながら、地域に還元できる仕事を
もっと増やしていけたらなあと思っています。
採れたてのジューシーな甘夏をそのままいただきます!
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年に一度、若葉が一番おいしいといわれている
八十八夜に収穫したお茶の新芽で天ぷらを。
揚げたてをみんなに振る舞いました!
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