連載
posted:2015.7.12 from:神奈川県横須賀市 genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。
writer's profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
撮影:津留崎徹花
仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、
手軽で簡単、しかもちょっとした旅気分が味わえる
日本各地のおいしいものと三浦半島の旬の食材を使った、
和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。
まだまだうっとうしい天候ではあるけれど
海開きの便りも次々に届き、いよいよ夏本番という感じですね。
料理研究家・飛田和緒さんにとっては
梅雨入り後から始めた梅仕事やらっきょう漬けなど
毎年恒例の保存食作りがひと段落し、ようやくほっとできる頃。
去年10kgほど仕込んだ梅干しも、残りはもうわずか。
今年もおいしくできるといいなと思いつつ
大好きな梅干し割りでイエノミを楽しむことが多いとか。
少々バテ気味でも、これですーっと身体が軽くなるそうです。
きょうのおつまみは、らっきょう漬けを使った和えものと
直売所で買った夏野菜がもりもり食べられる常備菜。
そして飛田さんが、いちどお腹いっぱい食べてみたかったというハモ。
「まさにいまならではの“お楽しみ”って感じでしょ」
確かに、ハモは梅雨の水を飲んでおいしくなり
7月の京都・祇園祭でも欠かせない魚として知られていますが
きょうは玉ねぎと合わせた淡路島風の鍋で楽しむ予定です。
この「ハモすき」は、関西では有名な夏ならではの名物鍋。
今回のお取り寄せは、飛田さんも初めての試み。
「初めてのチャレンジだけど、かなりおいしそうじゃない?」
こんなワクワクできるイエノミもたまにはいいですよね。
いまでこそ「ハモ好き」を自認する飛田さんですが
東京育ちなので大人になるまではなじみがなく
「ハモと聞いても、ふーんって感じだったのに」
20代後半からの京都通いでそのおいしさに目覚めたとか。
「ついこの間も、思わず新幹線に飛び乗ってしまったの」
林間学校に行く花之子ちゃんを見送った東京駅で
そういえば今日明日は空いている! とショートトリップを決行。
本当にひさびさの京都で旬のハモ三昧を楽しんだそうです。
ただ子育て中の飛田さんにとって京都はやはり遠い。
そこで思い切ってハモを淡路島から取り寄せてみたのです。
届いた箱のなかには、立派なハモが丸々一匹分。
頭やあら骨、うきぶくろ、いまの時期ならではの卵と、
淡路島産の素麺とタレまでセットになっていて
「こんなの見たことない!」と飛田さんも興味津々。
骨切りが済んだ透明な身は、湯引きして梅肉を添えれば極上のおつまみに。
ただ、きょうはその誘惑をはねのけ、全部贅沢に鍋でいただきます。
淡路島風「ハモすき」のつくり方はとってもシンプル。
うどんつゆ程度に味付けした出汁に、櫛形に切った玉ねぎをどっさり。
ひと口大に切ったハモも入れて、ふんわり身が開けばまさに食べ頃!
トロトロの玉ねぎとふわふわ熱々のハモを
ちょい甘めに味が変化した出汁と一緒にいただきます。
「京都のハモと松茸の鍋も上品で好きだけど」
こんなにたっぷりハモをいただくのは初めてかもと、飛田さんも満足気。
「最後の締めが、太めの素麺なのもおもしろいわね」
よーく出汁を吸った素麺がこれまた絶品。
これから真似しようかなといいつつ、針生姜をパラリと加えたりと
初めての「ハモすき」を存分に楽しんだ飛田さんでした。
この「ハモすき」、実は、淡路島名物を集めたような鍋。
「ハモがおいしくなる頃にちょうど玉ねぎの出荷が始まるんです」
そう教えてくださった「新島水産」の新島芳実さんは
極上の赤ウニでも有名な由良漁港にある水産卸売り会社の3代目。
「ハモすき」はいまでこそ夏の淡路島の名物料理になっていますが
もともとは漁師町の鍋というか、ごく身近な食材の組み合わせ。
「たまたま合わせてみたら、おいしかったんやろうね」
淡路島の玉ねぎは甘いことで知られており
その甘さを活かした出汁が、淡泊なハモと絶妙に合う。
締めの素麺だって、天保年間からつくられていたという隠れた特産品です。
たまたまとはいえ、さすが古来からの「御食国」(みけつくに)。
朝廷に食料を献上していた淡路島の風土はとても豊かなんですね。
7月の由良界隈では1kgを越える大きなハモがよくあがる。
「ただ、京都の料理人さんは小ぶりなのを好むかな」
というのも、京都では湯引きで食べるのが一般的。
大きいと手間がかかり、料理の腕前の差も出やすいそうです。
逆に、この大きめサイズが鍋にはぴったりで、淡路島では喜ばれる。
しかも食べるときに気になりがちな、骨と皮もすごく柔らかいんだとか。
「だから骨切りの音もじゃっじゃっと軽快やもんね」
骨が固いとじゃりじゃりと聞こえるそうです。
ちなみにハモは顔を見ればおいしさがわかるんだとか。
「なんちゅうか、ちょっとブサイクでずんぐりむっくりというか」
そんなハモは骨が柔らかで食べてみるとおいしい。
「顔がすーっと細面でスマートなのは骨が固くて口に当たるんです」
なるほど、ハモは美人さんの方が手ごわいんですね。
なんだかハモに親しみがわいてくると思いませんか。
『新島水産』(兵庫県/洲本市)の淡路島産極上ハモ
●お取り寄せデータ
住所:兵庫県洲本市由良町由良2581
電話:0799-27-1786
FAX:0799-27-1723
営業時間:8:00~16:00 不定休
Webサイト:http://www.awajisima.jp
※淡路島産極上ハモは900g(約3人前)5616円~(6~10月限定)
※食事処「磯焼亭」を併設(11:00~14:30、要予約、不定休)。
事前予約でハモすき、ハモしゃぶ(4700円~)も楽しめる。東浦店、大阪・福島店もあり。
ひとくち食べて、思わず歓声があがったのがこちら。
しっかり味が染みてコクもあり、いくらでも食べられそう。
「これ、野菜を素揚げして出汁に浸すだけだから、本当に簡単よ」
うーん、でもその素揚げが面倒と思う人も多いかも。
「じゃ、少なめの油で思い切り大量に揚げればいいじゃない」
すると、もったいないと思わずに油が捨てられる。
すぐに周囲を拭いてしまえば、掃除にてこずることもない。
「要は油をこまめに処理さえすれば、揚げることって面倒じゃないの」
慣れればこんなに楽でおいしい調理法はないわ、と飛田さん。
「もっと家でも気軽に揚げましょうって訴えたいほど」
その手始めとしてもお薦めなのが、この夏野菜の揚げびたし。
つゆのまま素麺にかけてもおいしいし
食欲がないときでも野菜をたっぷりいただけるから夏バテ知らず。
出汁に浸す時間によって味の変化も楽しめるから
多過ぎる? と思うくらいたっぷりつくってちょうどいい。
たぶん、あっという間になくなってしまうはず。
漬け出汁をあれこれ工夫しながら、ぜひ試してみてくださいね。
夏野菜の揚げびたし
●つくりかた
1 ナスはヘタを落としてひと口大に切り、水に5分さらしてから水気をふきとる。
2 ガクの部分をくるりとむいたオクラと甘長唐辛子はフォークで穴を開ける。
3 ズッキーニ、パプリカをひと口大に切る。
4 高温(180度)の揚げ油で食材を123の順番でこんがり揚げる。
5 4を熱いうちにたっぷりのめんつゆにつけて味をなじませる。
※漬け汁のままひと晩冷蔵保存すると味がよく染みる。日持ちは冷蔵庫で約5日。
※かぼちゃやインゲン、ししとう、ピーマンなどでもおいしくできる。
※お好みでワインビネガーなど酢を加えるとマリネ風に。
※めんつゆ(約3カップ分)のつくりかた。
本みりん1/2カップを中火で煮たて、火を止めてから砂糖大さじ1~2、醤油1/2カップを混ぜてひと晩おく。
これに濃い目にとった出汁2カップを加えるとできあがり。瓶で1週間程度冷蔵保存できる。
飛田さんはらっきょう漬けが大好物。
特にいま頃だと、塩漬けしたばかりのものがおつまみに最適で
甘くない炭酸割りのお酒などに合わせるとポリポリと止まらなくなるそうです。
「そのためだったら面倒な皮むきも苦じゃないわ」
流し台の前でひたすら薄皮をむく作業は確かに大変ですが
飛田さんは「らっきょうの会」と称して
友人とおしゃべりしながらの楽しみに変えてしまいます。
とはいえ、せっかく漬けても余ってしまう不安が…
「それはね、ピクルス感覚で料理にどんどん使えばいいのよ」
たとえば、このトマトと切り干し大根との和えもの。
薄切りにしたらっきょう漬けがちょうどいい味のアクセントとなり
なんともオツなイエノミ用おつまみに早変わり。
もちろん手軽な市販のらっきょう漬けを使っても大丈夫。
要は、おいしい味付けの玉ねぎだと思えばいいのと、飛田さん。
納豆や冷ややっこの薬味や、チャーハンや餃子のたねに混ぜてみたり。
「カレーの付け合わせだけじゃ、ホントもったいないわよ」
また、らっきょうが苦手だと思う人ほど自家製がお薦めだとか。
「とりあえず、水に粗塩とほんの少し酢を入れて粗漬けしておくの」
漬けて2~3日もすれば塩がなじんでおつまみにできるし
塩抜きすれば自分好みの味に漬け直して2年は保存できる。
甘酢、はちみつ、醤油、味噌、ハーブ、ワインなど
味のバリエーションはお好みで。
なるほど、これなら今年はもう間に合わなくても
来年の梅雨時にチャレンジしてみたくなりますね。
トマトとらっきょう、切り干し大根の和えもの
●つくりかた
1 切り干し大根は流水でもむように洗い、たっぷりの水に10分ほどつけて戻す。
2 水気を絞った1を食べやすく切る。
3 トマトはさいのめ切りに、らっきょう漬けは薄切りにする。
4 23を合わせオリーブオイルと酢少々で和えて味をなじませる。
※味を見て塩気が足りないようなら薄口醤油少々を加える。
そろそろ寝苦しくなってくる季節ですが
湿気と暑さで、知らず知らずのうちに疲れていませんか?
そんなときこそ、梅干しの出番ですよ。
梅干しの酸っぱさはクエン酸由来なので、心身の疲れをとるのに有効。
また適度なしょっぱさも、汗をかく時期には最適です。
今回は昔ながらの塩と紫蘇だけを使った梅干しを用意し
宝焼酎を炭酸水で割った焼酎ハイボールに加えていただきました。
しゅわしゅわとさわやかで飲み飽きないうえに
酔いざめ良好なのがうれしいですね。
この宝焼酎は、大正元年に発売され100年以上愛されている日本を代表する焼酎ブランド。
すっきりまろやかな味わいで糖質&プリン体はゼロ。
いよいよ本番を迎える暑い夏のイエノミで
味わいすっきりの梅干し割りをつくって楽しんでみてください。
宝焼酎25度 600ml
○問合せ先/宝酒造株式会社
お客様相談室
TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)
http://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/index.htm
profile
KAZUWO HIDA
飛田和緒
1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。
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