連載
posted:2015.5.27 from:神奈川県横須賀市 genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。
writer's profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
撮影:津留崎徹花
仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、
手軽で簡単、しかもちょっとした旅気分が味わえる
日本各地のおいしいものと三浦半島の旬の食材を使った、
和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。
早くも夏到来のような日差しがふりそそぐ今日この頃。
新緑がまぶしく爽やかな風が吹くこの季節を
料理研究家・飛田和緒さんはずっと待ちわびていました。
というのも、ひどい花粉症からようやく解放されるうえ
自分とご主人の誕生日がどちらも5月の初旬。
「いまさら祝うという年齢じゃないけれど」
イエノミにもちょっとした「お楽しみ」を添えてみたりして。
それは昔から大好きだったちまき寿司となめろう。
どちらも懐かしい想い出の味だそうです。
淡い緑色が美しい空豆と緑茶割りも準備すれば
新緑の季節にぴったりなイエノミになりそうですね。
自他共に認める「酢飯好き」な飛田さんですが
「思い起こせば、このちまき寿司が原点かも」
何枚もの笹の葉にそっとくるまれたひと口大のお寿司。
なんておしゃれなんだろう! と幼い飛田さんは感動したそうです。
いまは亡き祖母に連れられて出かけた
三味線や日本舞踊お披露目会の華やいだ雰囲気のなかで
手土産によくいただいたのがこのちまき寿司。
「こども目線でも、ものすごく特別な感じがしたのね」
あの晴れがましい気分を思い出したくて
いまでもちょっとした節目のイエノミには
このちまき寿司が食べたくなる飛田さんです。
「笹ってなぜか特別感があると思わない?」
さっそく紐をといて広げてみるとなんとも良い笹の葉の香り!
マスや海老のピンク色に玉子の黄色、鯛やアジの鼈甲色。
「こどもの頃はね、ピンクのマスばかりを狙っていたけれど」
いまではもちろんどれも全部好き。
「それも断然おつまみとしていただきたいの」
小ぶりなお寿司は和酒とも相性抜群。
特にこのちまき寿司は酸味もまろやかでちょうどよい塩梅。
おにぎりやご飯じゃ気分が「締め」になってしまうから
お酒の相方は酢飯じゃなきゃという飛田さんは
ご両親が住む長野・飯山地方の郷土料理
「笹寿司」も大好物で、笹が手に入ると家でもつくるんだとか。
こちらは笹の上にひとくち大の酢飯を載せて
甘く煮た椎茸やクルミの佃煮、錦糸卵、野沢菜漬けなどを
「酢飯の上にちょこんと置くだけ。簡単でしょ」
なるほどこれならイエノミ用にトライしてみたくなりますよね。
後日ちまき寿司のことを詳しく知りたくて
電話をしてみるとなんとお店は超繁忙期の真っただ中!
ちょうど端午の節句前だったのです。
「今日も2000本を仕込んだところですよ」
忙しい合間にお話してくださったのは、店主の横田雅房さん。
なんでもちまき寿司がいちばん売れるのはお正月前。
また行事やイベントがある時期も大忙し。
「特に5月は端午の節句、母の日と続きますからね」
園遊会や楽屋見舞い、お茶事向けの注文も多く
やはり晴れがましい席にぴったりな縁起物のよう。
「それだけにつくるのは神経を使いますよ」
特に難しいのが酢飯だとか。
だから毎朝必ず「シャリの味見」をするのが横田さんの大事な日課。
「ちまき寿司を考えた創業者は大変なアイデアマンでして」
日本古来の伝統的な“なれずし”と江戸前の握り寿司を合体させ
邪気を払うといわれるちまき型にアレンジ。
つくってから一晩寝かせて味をなじませるので
「お手元に届く頃がちょうど食べどきになるように」
ことさら酢飯の味加減には気を使うんだそうです。
ところでどうしても気になるのが、あの青々した笹の葉。
あんなに香り高いのは、なにか特別な秘密がある?
「あー、あれは一度ゆでたものだからですよ」
そうしないとあの笹独特の香りは出てこない。
以前は乾燥した葉をゆで戻して使っていたけれど
技術の進歩で、10年ほど前からはより色鮮やかになっているんだとか。
これをベテランの職人さんたちが勘で2枚か3枚を選び
頃合いの大きさに包んでイグサの紐でしっかり巻くそうです。
また変化といえば、定番以外の季節ネタ。
「6、7月は鮎、8月はスズキ、9月には軽くあぶったサンマとか」
この季節限定ネタは横田さんのアイデアで
旅先でも市場に寄って、ネタ探しをするのが楽しいようで
最新作は長崎の市場で出合った冬が旬のメダイ。
「実は私もちまき寿司を酒の肴にしていまして(笑)」
そう打ち明けてくれた横田さんの密かなチャレンジ。
本当にちまき寿司LOVEな気持ちが伝わってきましたよ。
『有職(ゆうしょく)』(東京都/港区)のちまき寿司
●お取り寄せデータ
住所:東京都港区赤坂2-2-21 永田町法曹ビルB1
電話:03-3560-7577
FAX:03-3560-7578
営業時間:9:00~17:00(日曜~15:00)年始休
Webサイト:http://www.fukutsuchi.co.jp/
※伊勢丹新宿本店、小田急百貨店新宿本店、玉川高島屋S.C.店、三越日本橋本店でも販売。
※ちまき寿司は1本432円。定番5種類と季節物で常時6種類。
※4月中旬~10月中旬は20本篭入りのみ全国配送可能。
飛田さんにとって「アジのたたき」といえばなめろう。
「これは、祖父が母に教えた料理なの」
親戚が銚子にいるからなのかもねといいつつ
手際良くアジを3枚におろしてトントンと包丁でたたきます。
自称画家のお祖父さんは無類のお酒好き。
自分で魚屋から魚を買ってきて
朝からなめろうをお供に良い気分でいたことも。
「だから幼稚園の頃から私も一緒に食べていたみたい」
あつあつのご飯にのせて海苔で巻いて。
そんな幼い日々を思い出しながらのきょうのイエノミです。
いま思えば味噌が入るから、こどもでも食べやすい。
しかも、残ったら焼いたり揚げたりつみれ汁にしたりと応用が効く。
「魚もアジでなくてもいいし、スーパーの見切り品でもおいしく食べられるから」
どうせならたっぷりつくってねと飛田さん。
「なによりまな板の上で完結するのがいいと思わない?」
手早くできてすぐに幸せな気分になれる。
祖父の気持ちがしみじみよくわかった飛田さんでした。
なめろう
●つくりかた
1 アジは3枚におろし中骨をとり皮をむく。
2 生姜、長ネギ、ミョウガ、大葉を粗みじんに切る。
3 1を包丁で粗くたたき、2と味噌を加えて混ぜる。
4 3をさらに軽くたたくとできあがり。
※刺身を使うと楽ちん。イワシ、マグロ、カツオなど魚はなんでも良い。
※多めに作って冷凍保存を。つみれにしたり大葉にはさんで揚げたりと便利。
※味噌の分量は味見しながら加減。好みで醤油、みりんを。
子どもの頃はあんこ以外の豆類が嫌いだった飛田さんですが
いまではたいへんな豆好きに。
「なぜかしらね。自分で料理をするようになったから?」
大人になり、ごく自然に豆独特の風味が好きになったそうです。
いまの時期なら空豆やグリーンピースをさやから取り出す。
そんな地道な作業も、おいしさにつながるようで楽しめる。
いまが旬の空豆を主役にしたおつまみにとつくったのが
このなんとも愛らしい空豆のてんぷらです。
つくりかたは衣にくぐらせてさっと揚げるだけ。
とっても簡単ですが、1粒ずつ揚げるのが少々面倒かもと飛田さん。
「でもそうしないと、すぐ鍋のなかでくっついちゃうから」
もちろんくっついても何の問題もないけれど
あえて1粒1粒をていねいに揚げて
ちょっと高級な天ぷら屋さん気分を味わってみる。
あっという間に食べてしまうともったいないから
緑茶割りと一緒にちょこちょこつまむのがいい感じですよ。
空豆のてんぷら
●つくりかた
1 空豆をさやから出して皮をむく。
2 天ぷら粉を水で溶く。
3 1を2にくぐらせ170度の油にひとつずつ入れて揚げる。
4 浮きあがってきたらすくい、塩をぱらりとふる。
※シンプルに塩でいただきたい。飛田さんはさまざまな自然塩で味わいの違いを楽しんでいる。空豆はむきたての新鮮なものを使って。
新茶の季節にぜひ飲みたいのが緑茶割り。
お茶処・静岡では「静岡割り」と呼ばれて
さまざまな居酒屋で多くの人に親しまれています。
つくりかたに特にレシピはないのですが
炭酸が入らないだけにアルコールをきつく感じやすいのでご注意を。
焼酎はごく少なめ(全体の4%ぐらいが目安)にして
おいしい緑茶を氷の上からたっぷり注いでくださいね。
まろやかで飲みやすい緑茶割りにしたいなら
ピュアでクセのない宝焼酎がおススメ。
緑茶の香りが引き立ち、食事にピッタリのすっきりとした味わいに仕上がります。
たまにはイエノミでもおいしい新茶をていねいにいれて
緑茶割りの美しい色と風味をゆっくり味わってみてくださいね。
宝焼酎25度 600ml
○問合せ先/宝酒造株式会社
お客様相談室
TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)
http://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/index.htm
profile
KAZUWO HIDA
飛田和緒
1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。
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