連載
posted:2015.3.23 from:神奈川県横須賀市 genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。
editor’s profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
撮影:津留崎徹花
仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、
手軽で簡単、しかもちょっとした旅気分が味わえる
日本各地のおいしいものと三浦半島の旬の食材を使った、
和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。
ようやく暖かくなってきた今日この頃。
まだまだ春本番まで油断はできないけれど
せめてイエノミには春らしい彩りを添えたいものですね。
そこで、きょうの和酒にレモンサワーはいかが。
実はこれ、料理研究家・飛田和緒さん最近のお気に入り。
去年なら庭のレモンの樹に100個以上の実がなったのに
「今年は3個しか収穫できなくて」
レモンの買い置きがあっというまになくなると嘆きつつも
ご主人と一緒にさわやかな香りを毎晩楽しんでいるそうです。
相方は、いまの時期ならではのお楽しみ
ちょい甘めに仕上げた蕗(フキ)味噌を使ったバター風味のパスタと
出汁味が優しいふんわりとろける春野菜の卵とじ。
そして以前から食べてみたくて取り寄せた北九州の味。
「イワシやサバのぬかだきってどんな味なのかしらね」
マイ糠床はもちろん、味噌まで仕込む発酵食品好きなうえ
もともと青魚LOVEな飛田さんは興味津々。
仕事柄、地方色豊かな料理をいただく機会が多くても
糠で炊く魚料理はこれが初めてだそうです。
小倉の台所・旦過(たんが)市場から届いた
イワシとサバのぬかだきは、見た感じ味噌煮にそっくり。
ちょっと温めていただくと、なんと骨まで軟らかい!
「こんなに食べやすいとは思わなかったわ」
糠臭さもなくとろりとまろやかな味加減で
味噌煮より複雑な旨みがあってあとを引く感じ。
特に唐辛子がピリリと効いた辛口タイプはお酒のお供にぴったり。
「辛くないほうは、むしろご飯でがっつり食べたいかも」
もし私がつくるなら根曲がり竹と大根も入れて
北信州の「サバ缶汁」風にアレンジしたいかも、と飛田さん。
それもおいしそう、というかそんな料理があるんですね。
手軽なサバの水煮缶を出汁&具材として利用するなんて
海が遠い北信州ならではの暮らしの知恵かもしれません。
「ね、地方色豊かな料理って本当におもしろいの」
意外に思える素材の組み合わせでも、土地の人に聞いてみると
なぜその料理が生まれたか、ちゃんと背景が見えてくる。
「きっと小倉は、イワシやサバがどっさり獲れるまちなのね」
そこでさっそく電話をかけて聞いてみました。
「ここらは昔からイワシがトロ箱で売るほど獲れますもんねー」
そう教えてくれたのは「たちばな」ご主人の橘 英行さん。
また代々伝わる糠床、「百年床」を持つ家庭が小倉には多い。
新鮮な青魚とよく熟成した糠床がとても身近な存在のようです。
ぬかだきのつくりかたも極めてシンプルで
薄めの煮汁でさっと魚を煮て糠床を入れてじっくり炊くだけ。
つまり味の決め手は糠床を調味料として使うこと。
なんでも小倉藩主・小笠原公の好物で、献上品でもあったとか。
いわゆる旧小倉藩領内だけの伝統料理なので
「同じ福岡県でも博多の人やらは知らんと思いますよ」
ただ「あまりにも身近な家庭料理」だっただけに
地元では特に珍しいとも思われてなかったぬかだき。
それを初めて旦過市場で売り出したのが橘さん。
「私は直方出身なので、嫁の実家で初めて食べて驚いたんですわ」
青魚独特のクセが抜けて食べやすいうえに身体にも良さそう。
ぴんとひらめいた橘さんはおばあちゃんにつくりかたを教わり
小1時間ほどの炊き時間を4~5時間に増やすなど試行錯誤。
お惣菜店の片隅に置いてみると、そのおいしさがたちまち評判になり
自然と「ぬかだき専門店」になってしまったそう。
20年以上前には「たちばな」1軒だった専門店も次々に誕生し
いまではぬかだき目当てに旦過市場に来る観光客も増えたほど。
「年寄り臭い料理と思われていたのに、最近では好んでくれる人が多くて」
いまや地元客はもちろん、遠方からの取り寄せ依頼も多い。
それが橘さんにとっては、なによりもうれしいそうです。
家族4人で営む小さな店なのに、4つある糠床の樽はフル回転。
「10日で1樽は使いきってしまうかな」
ちなみにピリ辛味は橘さん考案のオリジナル。
お酒好き常連客のリクエストで誕生したそうですが
あいにく橘さん自身は下戸なんだとか
「それはもったいない(笑)」という飛田さんの声が聞こえてきそうです。
『たちばな』(福岡県/北九州市)のぬかだき
●お取り寄せデータ
住所:福岡県北九州市小倉北区魚町4-1-15 旦過市場
電話&FAX:093-521-2176
営業時間:10:00~18:00頃 不定休
Webサイト:http://tanga-nukadaki.com
※ぬかだきは通常の味付けと辛口の2種類。
※初めてならいわし2尾、サバ2尾の詰め合わせタイプがお薦め。1100円(辛口1180円)。賞味期限は真空パックで冷蔵1か月、冷凍2か月。
飛田さんにとって春ならではの常備菜といえば蕗味噌。
「いまでも母がつくって送ってくれるからありがたいの」
ただ、雪深い北信州から届けられるので
飛田さんが住む三浦半島よりかなり時期的には遅め。
だいたいGW頃の「お楽しみ」になるそうです。
それが待ちきれなくて、自分でもついつくってしまう。
「だってね、本当にあっというまに食べてしまうから」
そう飛田さんがいうお母さん譲りの蕗味噌はちょい甘め。
油でさっと炒めるので、ほろ苦さも適度でとても食べやすい。
そのままお酒と一緒につまんでもいいし
おむすびの具にしたり、かまぼこに載せたりと大活躍。
「なかでもお薦めが、このパスタ」
つくりかたは蕗味噌さえあれば本当に簡単。
バターで蕗味噌を軽く炒め、そこに茹でたパスタをあえるだけ。
おいしくつくるコツはたったひとつ。
「それはバターをケチらずたっぷりつかうこと」
蕗味噌とバター? と思ってもぜひ試してみて。
これがもう驚くほどおいしい!
たくさん蕗味噌をつくっても、すぐになくなりそう。
フキノトウを見かけるとつい買ってしまう飛田さんの気持ちがよくわかります。
蕗味噌
●つくりかた
1 フキノトウをきれいに洗って細かく刻む。
2 1を水に放ち10分ほどおいてあく抜きをする。
3 2を油で炒めてしんなりしたら砂糖を入れる。
4 さらに水分を飛ばすように炒め、味噌を加えてなじませる。
5 最後に香り付けの胡麻油をひとたらし。
※蕗味噌は瓶に入れて1週間ほど冷蔵保存ができる。
※砂糖の量は使う味噌の甘みに応じて増減する。
春に発売される雑誌向けに、なぜか仕事依頼が多いのが卵料理。
「なぜかしらね、色が春っぽいからかしら」
首をひねる飛田さんですが
「でもたしかに卵は春になるとおいしくなるらしいのよ」
いつも買い出しに行く養鶏所のお母さんからそう聞いたとか。
冬の間にしっかり太った鶏が、春先は元気になるからだそうです。
そもそも飛田さんは卵料理が大好き。
レパートリーがどんどん増えているなかでも
卵とじは特にお気に入りで、おつまみに困ったときは
「なんでもとじてしまえばなんとかなるの」
特に春野菜は彩りも美しい定番の一品。
ただしふんわり柔らかく仕上げるにはタイミングが大事。
まだもう少し? と思う半熟状態で火をとめること。
すると余熱で固まってちょうどいいふんわり加減になるはず。
割りほぐした卵をボウルに少し残しておいて
最後にそれを流してから火をとめてもいいそうです。
新キャベツにワカメやヒジキ
春の味覚をあれこれとじておいしく召し上がれ。
春野菜の卵とじ
●つくりかた
1 菜の花は筋をとり食べやすい大きさに切る。
2 スナップエンドウは筋をとる。
3 アスパラは固い部分の皮をむき食べやすい大きさに切る。
4 グリーンピースは鞘から取り出す。
5 塩少々を入れた湯で1~4を下ゆでする。
6 5を冷水に入れて色止めしたらザルにあげる。
7 6を塩、薄口醤油を加えた出汁でさっと煮る。
8 割りほぐした卵を入れてとろとろになったら火を止める。
いま密かにブームになっているレモンサワー。
そこでイエノミでのおいしいつくり方をご紹介しましょう。
1 大き目のグラスを冷やしてからたっぷりの氷を入れる。
2 甲類焼酎適量(グラス1/4が目安)を1に入れてマドラーでよくかきまぜる。
3 炭酸水を氷に当てないようにグラス肌からそっと注ぐ。
4 絞るためのレモンは両端を切り落としてから8等分する(スマイルカット)
5 4をぎゅっぎゅっと皮からオイルが出るまで絞る。
6 マドラーで底から軽くひと回ししてできあがり!
コツはグラスと焼酎をしっかり冷やすことと、最後にあまりかきまぜないこと。
しゅわっとした炭酸の刺激がより爽快に楽しめるはず。
またできれば、宝焼酎「純」35度を使ってみて。
これが本当にレモンサワーにベストマッチ。
明らかにおいしさがぐんとアップしますよ。
宝焼酎「純」は1977年に発売されて爆発的なヒット商品となり
いまでも熱いファンを多数持つ超ロングセラー。
11種類の樽貯蔵熟成酒を13%の黄金比率でブレンドした
まろやかで口当たりの良い味わいが特徴です。
レモンや炭酸水と一緒にお買い求めいただき
ぜひおウチで最高においしいレモンサワーを楽しんでくださいね。
宝焼酎「純」35度 720ml
○問合せ先/宝酒造株式会社
お客様相談室
TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)
http://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/
profile
KAZUWO HIDA
飛田和緒
1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。
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