連載
posted:2023.7.26 from:北海道岩見沢市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
北海道にエコビレッジをつくりたい。そこにずっと住んでもいいし、ときどき遊びに来てもいい。
野菜を育ててみんなで食べ、あんまりお金を使わずに暮らす。そんな「新しい家族のカタチ」を探ります。
writer profile
Michiko Kurushima
來嶋路子
くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、『みづゑ』編集長、『美術手帖』副編集長など歴任。2011年に東日本大震災をきっかけに暮らしの拠点を北海道へ移しリモートワークを行う。2015年に独立。〈森の出版社ミチクル〉を立ち上げローカルな本づくりを模索中。岩見沢市の美流渡とその周辺地区の地域活動〈みる・とーぶプロジェクト〉の代表も務める。
https://www.instagram.com/michikokurushima/
2021年から、近隣にある閉校となった美流渡(みると)中学校を舞台に、
私が代表を務める地域PR 団体が、展覧会やワークショップなど、
さまざまな企画を開催してきた。
そしてこの夏、新しい取り組みとして、7月28日(金)、29日(土)、30日(日)の
3日間、『みる・とーぶフェスティバル』を開催しようとしている。
「みる・とーぶ」という名前は、北海道岩見沢市の山あいのエリアが東部丘陵地域と
呼ばれていることから「東部」を取って、それを「見る」という意味を込めた。
今回のイベントで新たな挑戦となったのは、
さまざまな地域のみなさんの参加を募ったこと。
これまで旧美流渡中学校では、地域のつくり手の作品を集めた『みる・とーぶ展』と
画家・MAYA MAXXさんの新作を展示する『みんなとMAYA MAXX展』を開催してきた。
『みる・とーぶ展』の参加者は主に、この地域や近隣の市や町のつくり手。
各地からゲストがやってきて作品を発表することもあったが、
基本は地域の人々が参加し、回を重ねるごとに工夫を凝らし、腕を磨く場となってきた。
今年で『みる・とーぶ展』は3年目となり、少しずつ展覧会が周知されるなかで
「作品を発表したり、販売したりしてみたい」という地域外からの声が多くなってきた。
ただ、校舎のスペースには限界がある。
それならば屋外を会場にしてはどうだろう?
テントをたくさん張って、フードも作品販売もある、
お祭りのようなにぎわいの場が生まれたらいいなと考えた。
事前に公募を行い、テントブースには、道内各地から18組の参加者が集まった。
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また、フェスティバルを開催するのであれば、ライブもあるとうれしい。
この構想を考えたときに、ぜひやってほしいと思ったのが、
MAYA MAXXさんのライブペイント(7月28日18時〜)。
以前、MAYAさんはライブペイントを各地で行ってきた。
なかでも印象に残るのは、毎年8月6日、広島市で「鎮魂」をテーマに
2008年から10年間続けた『Paint It, Peace!』。
毎年10メートルずつ、合計100メートルにもなる作品を描き上げた。
しかし、ここ数年は、ライブペイントに積極的ではなかった。
「絵を描くときに、スイッチを入れて描くと、まわりのことを
まったく気にすることができなくなります。
けれどライブペイントは、ときどきトークを挟む必要があったり、
段取りに合わせて行わなければならないこともあって。
そうするとスイッチを入れないで描くということもありました」
スイッチを入れないで描いたものを自分が見たとき
「残念な気持ち」になることがあったそうで、
それが近年ライブペイントをやってこなかった理由なのだという。
けれど今回は、旧美流渡中学校といういわばホームグラウンド。
そしてライブペイントをやりたいと気持ちが動いたのは、万字(まんじ)在住の
アフリカ太鼓の奏者・岡林利樹さんとセッションをしたいという思いもあったからだ。
MAYAさんは昨年から、岡林さんがリーダーを務める地域のアフリカ太鼓のバンド
〈みるとばぶ〉にも参加していて、太鼓のリズムが自分の感覚と合っているように思ったそう。
フェスティバルでは〈みるとばぶ〉の演奏もあり(7月28日17時〜)、
また昨年「みる・とーぶ展」で演奏をしてくれた、アンデス民族音楽バンド
〈ワイラジャパン〉も再び参加してくれることとなった(7月29日13時〜)。
さらに新しい顔ぶれとして、札幌のシンガーソングライターの
長澤まろいさん(7月30日13時〜)と、
鷹栖を拠点に活動するギターとボーカルのデュオ、
じュんきとめいさん(7月30日14時〜)も登場してくれることに。
さらに最終日には、〈みる・とーぶ〉の参加者のふたりが入籍したことを記念して
『LOVE & PEACE WEDDING』と題して3組のお祝いライブも決定(7月30日15時〜)。
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ライブとともに、さまざまなワークショップも開催されるのが
『みる・とーぶフェスティバル』の特徴のひとつといえる。
毎回のイベントで恒例になっているのが、
上美流渡在住の木工作家の〈遊木童〉による「木のスプーンづくり」(7月29日13時〜)と
上志文にある〈すずかぜcafe〉がひらく「ガラス細工」(7月29日13時〜)。
このほかMAYAさんの「シャボン玉を描こう」ワークショップ(7月28日15時〜)や
陶芸家のこむろしずかさんによる「日本舞踊でエクササイズ」(7月30日11時〜)、
〈ばぐぅす屋〉の「スパイスカレー教室」(7月29日15時〜)も。
ここまで紹介したのは、この地域にやってきた移住者たちの企画によるもの。
それぞれの活動が地域に賑わいをもたらしている。
フェスティバル開催中は、イベント時の恒例となっている
体育館の「ミルトぼうけん遊び場」もオープン。
今回はスペシャル企画として、2日間にわたり「自然体験&食事づくり」(7月29日10時〜)と
「山で化石を探そう」(7月30日10時〜)を行う。
2日目の「山で化石を探そう」では、旧美流渡中学校から車で5分ほどの
毛陽というエリアの山に行き、山主である日端義美さんにガイド役になってもらい、
子どもたちと化石探検に出かける予定だ。
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道外からやってきてくれた参加者もいる。
目と心の関係を研究し新しいメガネのあり方を提案する
〈イノチグラス〉の目育士である澤田千晶さんが、神戸から来道。
以前に京都でMAYAさんのワークショップに参加したことをきっかけに、
MAYAさんとの交流が始まり、美流渡でのMAYAさんの活動をひと目見たいと、
今回、参加してくれることになった。3日間、メガネの作成会を行う。
もうひと組、全国をキッチンカーで旅しながら、夏に北海道へと戻ってくる
〈カフェ・アルコバレーノ〉もフェスティバルに参加。
西興部で草だけを食べて育った牛のミルクを使ったソフトクリームを販売する。
今回はソフトクリームの提供とともに「コーヒー豆の焙煎ワークショップ」も行うこととなった(29日13時〜)。
さらにさらに、春に開催した『みる・とーぶ展』と
『みんなとMAYA MAXX展』の展示も再び公開!
校舎エリアでは、このほかレコードコレクターの青山晴次さんの
コレクションを音楽室に並べ、リクエストによって曲をかける
「レコードと珈琲」も開催される(7月28、29日12時〜)。
40名以上の参加者が集結して行われる『みる・とーぶフェスティバル』。
来る人それぞれの楽しみを見つけられるような、そんな場になると思うので、
ぜひみなさん、ゆっくり1日を過ごしていただけたらと思います!
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