連載
posted:2016.12.21 from:福井県鯖江市 genre:食・グルメ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
「和酒を楽しもうプロジェクト」もシーズン2へ。
和酒のイメージを一新し、誰かと幸せをシェアしたくなるような“おいしい食卓”を
コロカルらしいアレンジを加えた「MIO Table」としてご紹介します。
writer profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
photographer:清水奈緒
stylist:荻野玲子
food stylist:吉田美生
和酒の楽しさを誰かとシェアしたくなる食卓。
それがコロカルの思う「MIO Table」です。
パーティというほど大げさではないけれど
お気に入りのグラスや食器を選び、日本各地の素材にこだわり、
シンプルでも気持ちが華やぐようなおつまみを用意。
相方は誰もが飲みやすい泡の和酒、
スパークリング清酒〈澪〉をよく冷やしておきましょう。
グラスもメイドインジャパンのフルート型で。
それが「MIO Table」のこだわりのひとつです。
今回のテーマは「年末年始のおもてなし」。
おなじみの料理にサプライズを少し加えて、
おうち忘年会や新年会を開いてみませんか。
たとえば、ほんのり紅色ご飯の鯖寿司や、牡蠣と里芋の和風グラタン、
クミン風味のにんじんと杏のサラダなど、
気負わなくても簡単につくれるものばかりです。
食器は普段使いのものだとしても、
漆塗りのものを何かひとつでもプラスできれば、
それだけで不思議と晴れがましい雰囲気に。
きょうは越前塗りのステムを持つシャンパングラスを選びましたが
このステム部分は木製なのでとても軽い。
でもお酒を注ぐと絶妙な安定感が生まれ、
指先にもしっくりとなじみます。
漆器のことを英語では“JAPAN”とも呼びますが、
この〈JAPAN Glass〉はまさに名前どおりなんですね。
このグラスを考案したのは山本泰三さん。
越前塗りの里・福井県鯖江市にある山久漆工の3代目ですが、
お話をうかがうと本当にさまざまなことに取り組まれています。
あらゆる漆器の修理を引き受け、
いまの暮らしに合うデザインの商品を開発。
最近では、北陸の古民家再生プロジェクトや、
福井の新しいものづくり拠点〈CRAFT BRIDGE〉にも参加。
ロンドンで漆を使った金継ワークショップを主催するなど、
その活動範囲の広さは驚くほど。
家業を継いだ10年前から漆器の“居場所”を求めて、
あらゆる試行錯誤を繰り返してきたそうです。
漆器は木地つくりから塗りや研ぎ、蒔絵など、
非常に細かい分業制のため、どの職人が欠けてもつくれない。
漆器の良さは使ってもらって初めてわかるのに、
高度な職人技で仕上げた商品は高価になり、
使うのがためらわれるという側面もある。
そのジレンマを解消し、職人の技を次世代に引き継ぐためにも、
伝統的な技法で身近なものをつくりたい。
そこで山本さんが思いついたのが、漆器×ガラスのグラス。
どんなかたちなら自分でも使いたくなるだろうか。
そう考えるとすらすらとステムのデザインが描けたそう。
このデザインをもとに、かたくて丈夫なケヤキの木をロクロで挽き、
伝統的な塗りの技法を駆使して仕上げたのが、このステム。
ガラスと異素材の接着方法も、
陶器×ガラスを成功させていた九谷焼の窯元に、
「同じ伝統工芸の世界ですし、むしろ大歓迎です」と、
驚くほどこころよく協力してもらえたのだとか。
溜漆、白漆、拭き漆、とぎかすり、蒔絵。
塗りの技法ごとに異なる表情を持つグラスは、
特に海外では、暮らしに欠かせないものだけに、
日本の技と融合したのは驚きだと高い評価を受けました。
「JAPANと呼ばれる漆器が、この国から消えることのないように、
少しでも興味を持ってもらえればうれしいですね。
その選択肢を広げる努力は惜しみませんから」
山本さんのその言葉は、漆器の世界だけではなく、
日本の伝統を明日へとつなげたい人、共通の思いのはずです。
●きょうのMIOグラス
山久漆工 JAPAN Glass
拭き漆12000円、溜漆14000円
住所:福井県鯖江市河和田町20-4-6
電話:0778-65-0101
CRAFT BRIDGE
住所:福井県福井市中央3-5-12
※コロカル「リノベのススメ」でも紹介
https://colocal.jp/topics/lifestyle/renovation/20161125_85534.html
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福井県鯖江市生まれのグラスに合わせ、
今回、ローカル食材として取り上げたのは鯖。
とはいえ、鯖江市は海に面していないので鯖はとれません。
漁獲量も全国1位は茨城県らしいのですが、
福井県、それも小浜など若狭地方は鯖のイメージが強い。
それは小浜と京都を結ぶ“鯖街道”があるから。
2015年には文化庁の日本遺産としても、
「御食国(みけつくに)若狭と鯖街道」が選ばれています。
小浜から生の鯖にひと塩して京都まで行商人が運ぶと、
丸1日かかるためちょうどいい塩梅になり、
それが京名物の「鯖棒寿司」に使われていたのです。
きょうの「鯖寿司」は市販の〆鯖を使いますが、
そのかわり、ご飯が少々凝っていて
赤カブの漬物を使ってほんのり紅色に仕上げています。
鯖江市のお隣、福井市の美山町には、
「河内(こうち)赤カブ」という伝統野菜が、
いまでも焼き畑農法で育てられているんだとか。
平家の落人が伝えたという伝説を思わず信じたくなりますね。
焼き畑でしかつくらない「河内赤カブ」の漬物。
ちょっと食べてみたいと思いませんか。
鯖は“鯖の生き腐れ”と呼ばれるほどすぐに鮮度が落ちてしまいます。
しかも年末年始だと、新鮮な鯖を手に入れるのは難しい。
そこで、きょうの鯖寿司は市販の〆鯖を利用しました。
また、ラップを使ってくるくると巻き上げるので、
巻き簾など、特別に道具は用意しなくても大丈夫です。
きれいにつくるコツはラップの巻き方。
ラップで全体をはさみ込むようなイメージで空気を抜き、
おにぎりを握るよりも強めの力加減で、押しながらしっかりかたちをつくります。
もしそれでも崩れやすそうなら、
その上からもう1枚ラップを巻いてかたちを整えるといいかも。
また、包丁を濡れ布巾でそのつど拭きながら切れば、
キレイな切り口になりますよ。
ちなみに料理担当の吉田美生(みお)さんのご実家では、
大皿に盛ったお母さん手づくりの鯖寿司が、おもてなしの定番だったとか。
酢や塩加減、ご飯に混ぜ込むものをいろいろと工夫して、
自分好みの鯖寿司つくりに挑戦してみてくださいね。
おもてなしの際、とても便利なのがオーブン料理。
準備さえしておけば、あとは焼き上げるだけ。
このグラタンは生クリーム、牛乳に味噌を加えた和風仕立て。
牡蠣、里芋、春菊と冬ならではの食材と抜群の相性です。
味噌は家庭で使っているものならなんでもOK。
しょっぱくなりすぎないよう味見をしてください。
またオーブンがない場合はフライパンや厚手の鍋でどうぞ。
手順が少し変わりますが、
長ネギの薄切りを先にバターで炒め、そこに里芋の薄切りを。
それから生クリーム、牛乳、味噌を溶いたものを入れ、
里芋にある程度火が通ったら、牡蠣と春菊を入れて、
牡蠣に火が通り、好みのとろみ加減で火を止めます。
こちらだと里芋がとろとろになるので、またひと味違うおいしさに。
よく冷えたスパークリング清酒〈澪〉と合わせて、熱々をどうぞ。
鯖寿司の口休めにもぴったりな、
ぱりぱりのにんじんサラダ。
干し杏の優しい甘さが隠し味です。
クミンパウダーが入るのでちょっぴりエスニックテイストですが、
これがまたにんじんや杏の風味とよく合うんです。
大根のせん切りをもう少し増やせば、
おせちの紅白ナマスのイメージに。
好みに合わせて加減してくださいね。
●きょうの料理レシピ
ほんのり紅色鯖寿司
1 赤ワインビネガー、砂糖、塩を合わせて寿司酢をつくる。
2 赤カブの漬物をみじん切りにする。
3 ややかために炊いたご飯に1と2、白胡麻を加えてさっくり混ぜて冷ます。
4 〆鯖を中骨のところで縦半分に切る。
5 ラップを広げた上に4の2片を隙間のないように置く。
6 5の上に大葉、3の順番に載せてラップで包む。
7 6をぎゅっと強く押さえながらころころと円柱状にしてラップの端をねじる。
8 全体がなじんだらひと口大に切る。
牡蠣と里芋の和風グラタン
1 里芋の皮をむいて1センチ弱の厚さに切る。
21をやわらかくなるまでゆでる。
3 牡蠣は塩少々をもみこんでぬめりをとりさっと水洗いする。
4 3の水気をふきとり薄力粉をまぶす。
5 長ネギは斜め薄切り、春菊を食べやすい長さに切る。
6 耐熱皿に2、4、5を重ねるように入れる。
7 ボウルに味噌、牛乳、生クリームを入れてよく混ぜる。
8 6に7を回しかけ220度のオーブンで20~30分焼く。
9 牡蠣にしっかり火が通ればできあがり。
にんじんと杏のサラダ、クミン風味
1 にんじんと大根はせん切りにする。
2 1に軽く塩をしてしばらく置く。
3 干し杏をせん切りにする。
4 ボウルに水気を切った2と3を入れる。
5 少量のレモン汁とクミンパウダー、オリーブオイルを入れてよく和える。
年末年始のように、来客が多くなりそうなときには
スパークリング清酒〈澪〉と〈澪 DRY〉の2種類を用意しておきましょう。
ビールが苦手な人でも、優しい甘さと酸味の〈澪〉なら大丈夫かも。
どちらもアルコール度数は5%と低め。
米と米麹由来の自然な味わいなので
どんな料理にも合わせやすいから安心です。
“青”がマスカット風味、“黒”は青りんご風味と覚えておいて。
おうちパーティの乾杯用にはもってこいなので
冷蔵庫やシャンパンクーラーでよく冷やしておいてくださいね。
○問合せ先/宝酒造株式会社 お客様相談室 075-241-5111(平日9:00~17:00)
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