連載
posted:2014.11.28 from:神奈川県横須賀市 genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。
writer's profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
撮影:津留崎徹花
仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、
手軽で簡単、しかもちょっとした旅気分が味わえる
日本各地のおいしいものと三浦半島の旬の食材を使った、
和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。
そろそろまちはクリスマスモードですね。
となると、気になってくるのが年末年始の過ごし方。
おせちをどうしようか、考え始める人も多いのでは?
凝ったものを数多くつくらなくても、お煮しめやお雑煮さえあれば
十分、お正月気分には浸れますよね。
そんなときに参考になりそうなのが
料理研究家の飛田和緒さんがつくるお正月の定番料理。
想像以上に簡単でお酒のおつまみになるもの、
つまり普段のイエノミアップバージョンだと思えば
ずいぶん気が楽になると思いませんか?
というのも、飛田さんはいつも旅先でお正月を迎えているからです。
ここ10年以上、飛田さんの年末年始といえばハワイ。
ひたすら昼寝をしたり、本をあれこれ読んだり。
普段のあわただしい日常を忘れて過ごせる
年に1度だけ、思いっきりのんびりできる貴重な休暇です。
「でも外食はあんまりくつろげなくて」
予約したり、混んだ店に並んだり待たされるのも嫌。
それにお正月ならやはりおせちっぽい料理が食べたい。
なので、必ずキッチン付きの部屋を借りるんだとか。
「幸いなことに、ハワイだと日本の食材や調味料が現地調達できるの」
だから、持っていくのは包丁2本だけ。
愛用のペティナイフと三徳包丁さえスーツケースに入れておけば
あとは現地でなんとかなる。
そんな飛田さんにとって「おせちっぽい料理」の代表選手が
鍋ひとつでちゃっちゃとつくれる筑前煮なのです。
休暇中はあまり気張って料理をつくらない。
むしろ目新しくアメリカンなキッチンにご主人の方が張り切るから
「おまかせしちゃうの」と話す飛田さんですが
元旦にいただく料理だけはやはり自分でつくります。
野菜の煮物が大好きだから、おせちでもお煮しめがいちばん好き。
でも旅先のキッチンだと鍋も少ないし手間だってあまりかけられない。
「そこで、筑前煮なのよ。全部一緒に炒めて煮ちゃえばいいだけでしょ」
鶏の旨みが加わるから、間違いなくおいしくできあがるし
材料を揃えてしまえば、あとは鍋ひとつでOK。
たっぷりつくって冷蔵庫に入れておけば、5日間は食べられる。
筑前煮をつくりながら甘辛醤油味の香りがふんわりしてくると
「よし、これでお正月気分がしっかり味わえる」
そんな心強い気持ちになれるそうです。
それにしても、ゴボウやレンコン、里芋がハワイで手に入るとは驚き。
「そうなのよ、日系の人が多いからでしょうね。ありがたいわ」
なによりうれしいのは、日本の調味料が揃っていること。
ナンプラーなどエスニックな調味料も使いこなす飛田さんですが
「やっぱりお正月はね、日本の伝統的な味を食べたいから」
基本的な調味料だけは、すぐさま買い出しに行く。
なかでもおせちづくりに活躍するのは
料理に美しいてりと上品なコクを与えるみりんと
素材を柔らかくして旨みをプラスする料理用の清酒。
特に筑前煮はどちらも欠かすことができません。
「最近までは、飲み残しの日本酒をよく使っていたのだけれど」
飲んでおいしいものと料理をおいしくする日本酒は違うんだとか。
え、それは初耳、というより全然知りませんでした。
そこで宝酒造の広報部に聞いてみました。
いつも窓口になってくれる奈良有里代さんに問い合わせてみると
すぐさま丁寧な答えが返って来ました。
「吟醸酒や本醸造酒ってお米を磨いてつくりますよね」
でもその削り取られてしまう部分に、料理をおいしくする旨み成分が含まれている。
だから、“大吟醸のような高価なお酒なら、きっと料理に使ってもおいしいはず”。
そう思いがちだけど、ちょっと違うんだとか。
「昔は二級酒と呼ばれる清酒の一升瓶が必ず台所にありましたから」
お父さんの晩酌用だけど、お母さんも料理をつくるときに少々拝借。
それがごく普通の光景だったし、日本の家庭料理のおいしさの決め手。
でもいまは、イエノミ用にはお気に入りの日本酒を買う人がほとんど。
「だから、料理のときには専用の清酒を使うことをお薦めしています」
特に宝酒造の「料理のための清酒」は独自に開発した酵母を使用。
料理をおいしくする旨み成分が約2倍になっているとか。
そういえば飛田さんもさりげなく
「最近の料理酒って結構イケるのよね」と言っていたような。
うーん、料理酒の世界も進化しているんですね、驚きました。
筑前煮
●つくりかた
1 干し椎茸は水にひと晩つけて戻し軸を落とす。
2 こんにゃくは熱湯でさっとゆでる。
3 レンコン、里芋、ニンジンは皮をむき、ゴボウは皮付きのままよく洗う。
4 1、2、3をひと口大に切る。
5 ごま油でひと口大に切った鶏もも肉を中火で炒める。
6 鶏肉の色が変わったら、4を加えてよく炒める。
7 6に干し椎茸の戻し汁と料理用清酒、砂糖、濃口醤油を加える。
8 ひたひたよりちょい少なめになるよう7に水を加えて落としフタをする。
9 8を弱めの中火で約20分煮る。
10 野菜が柔らかくなったらフタをとり、本みりんを加えて火を強くする。
11 ときどき鍋をゆすりながら煮汁が約半分になるまで煮詰める。
12 そのまま冷まして味をなじませる。
13 食べるときにさっと塩ゆでしたサヤエンドウを添える。
※せん切りの生姜を添えてもおいしい。
自称「アロハおせち」主役級の筑前煮をつくったら
お次はちょこちょこつまむのに最適な脇役たち。
そこで飛田さんの大好きな巻物系、牛肉の八幡巻きの出番です。
「食べやすいし、かたちもキレイでしょ」
それに中身を工夫する楽しみもある。
きょうは定番のゴボウとニンジンで市松模様風にしましたが
「他にもお気に入りはいろいろあるのよ」
ゴボウ×長芋、大根×ニンジン、じゃがいも×セロリなど。
色合いをキレイにするならインゲンやアスパラもお薦め。
ハワイでは薄切り肉を売っている店があまりないのですが
牛肉の八幡巻きのために、飛田さんはあちこち回って探したとか。
うまく巻くコツは、すき焼き用のように少し大きめの薄切り肉を使うこと。
2枚1組と考えて、牛肉の端を少し重ねるようにして広げれば
余裕を持ってくるくると巻けるそうです。
普段のイエノミやお弁当用なら、もっと手頃な切り落とし肉でも十分。
巻くというひと手間をかけることで、お重に詰めても見栄えがする
みんなが大好きなおいしいおつまみのできあがりです。
牛肉の八幡巻き
●つくりかた
1 ゴボウは皮付きのままよく洗う。
2 ニンジンは皮をむく
3 1と2を1cm角の棒状に切る。
4 3を柔らかくなるまでゆでて冷ます。
5 牛薄切り肉を広げて手前側に4をのせる。
6 5をくるくる巻いてしばらくなじませる。
7 フライパンに油少々で巻き終わりを下にした6を焼きつける。
8 焼き色が付いた7をフライパンから出す。
9 料理用清酒、本みりん、砂糖、濃口醤油を煮立たせる。
10 8を加えころがすように9をからめて味を含ませる。
11 食べやすい大きさに切る。
※牛肉はすき焼き用くらいの厚みと大きさがある方が巻きやすい。普段のおつまみなら切り落とし肉を何枚か重ねて使ってもOK。
本来のおせち料理はお正月の間ずっと保存できるようにと
しっかりした味わいのものが多いですよね。
でも、やはりサラダ感覚で食べられる野菜のおつまみも欲しい。
そう思って飛田さんがよくつくるのがこちら。
身近な緑野菜ならなんでも大丈夫。
きょうはホウレンソウ、ブロッコリー、キャベツを使いましたが
ハワイではクレソンを使うことが多いとか。
「だって、花束みたいにどっさり売っているのよ」
新鮮なクレソンをさっとゆでて、めんつゆに漬ける。
うん、想像するだけでもおいしそうですね。
つくりかたのポイントは、野菜はかたゆででなく極々普通にゆでること。
かためだと味の含みが悪いようです。
まためんつゆは自分好みの味で前もって用意しておけば
煮物や炒め物の味付けに重宝するので、ぜひお試しを。
このとき、本みりんを使えば旨みやコクがいちだんとアップ。
意外と知られていませんが、本みりんはもち米と米麹を熟成させた
日本の伝統的な調味料であり、和酒の一種でもあるのです。
だから加熱しない料理に使うときは「煮切り」
つまりアルコールを飛ばすひと手間がかかりますが
天然由来の旨み成分が、お料理をよりおいしくしてくれるはず。
ちなみに飛田さんちのお雑煮は、鶏ガラスープと昆布・かつお出汁を合わせた
コクのある東京風のお澄ましタイプ。
祖母、母と受け継がれてきた「我が家の味」でも
最後に本みりん少々を加えることで、味がぴたりと決まるそうですよ。
みどり野菜のめんつゆ漬け
●つくりかた
1 鍋に本みりん1/2カップを入れて中火で煮立てる。
2 火を止めて醤油1/2カップ、砂糖大さじ1~2を混ぜてひと晩おく。
3 2に出汁2カップを加えれば、めんつゆのできあがり。
4 ホウレンソウは長いまま、ブロッコリーは小房に切り、キャベツは一口大にちぎる。
5 4をゆでる。
6 5を冷水にくぐらせて色止めし、しっかりと水気をきる。
7 適量の3(濃いようなら出汁で割る)に漬ける。
8 30分ほど味をなじませる。
※ほうれん草は食べやすい長さに切って盛りつける。
めんつゆの仕上がりは約3カップ分。瓶で冷蔵保存すると便利。
出汁はかつお節やさば節で濃い目に取りたい。
いわゆる「みりん」には3タイプあることをご存じでしょうか。
本みりん、みりん風調味料、発酵調味料(みりんタイプ)。
宝酒造ではそのなかの「本みりん」だけを150年以上造り続けてきました。
本みりんとは、もち米と米麹を熟成させたお酒の一種。
だから驚くほどさまざまな調理効果があるんです。
味のしみこみを良くする、生臭みをとる、煮崩れを防ぐ、
てりやつやを出す、塩カドや酢カドを取るなど。
もちろん9種以上の糖や18種ものアミノ酸が含まれているため
上品でまろやかな甘み、コクやうまみでお料理をよりおいしくしてくれます。
江戸時代には、貴重なお米を使った調味料として
非常に珍重されていたというのも、これならわかりますよね。
またタカラ「料理のための清酒」は、料理をおいしくすることにこだわった清酒。
飲む清酒に比べて有機酸が約20%も多く、生臭みをしっかり消し去るうえに
うまみ成分も約2倍多く含まれているというのだから驚き。
食塩ゼロなので、よけいな塩味もつきません。
どちらも料理好きな人にとっては心強い味方。
ぜひおウチの台所にもコンビで揃えて使いこなしてくださいね。
タカラ「料理のための清酒」900ml 紙パック(左)
タカラ本みりん「醇良」1Lペット(右)
○問合せ先/宝酒造株式会社
お客様相談室
TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)
http://www.takarashuzo.co.jp/cooking/
profile
KAZUWO HIDA
飛田和緒
1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。
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