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きょうのイエノミ
旅するイエノミ
本格芋焼酎と、京都の生麸

宝酒造 × colocal
和酒を楽しもうプロジェクト
vol.012

posted:2014.10.24   from:神奈川県横須賀市  genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ

sponsored by 宝酒造

〈 この連載・企画は… 〉  伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。

仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、
手軽で簡単、しかもちょっとした旅気分が味わえる
日本各地のおいしいものと三浦半島の旬の食材を使った、
和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。

昼はうらうらと暖かい日差しが心地良いのに
夕方になるとぐっと冷え込んで早くも冬の気配が。
日本各地から届く紅葉便りが気になるいまの時期、
料理研究家の飛田和緒さんは、京都から大好物の生麸を取り寄せます。
これから年末まであわただしい日々が続くので
今年もまた、京都の紅葉は見に行けそうにはないけれど
せめて、かわいらしい紅葉型の生麸で秋のイエノミを楽しみます。
相方は、本格芋焼酎をロックで。
生麸と芋焼酎、これが意外にもイケるんですよ。

幼いころ、飛田さんは三味線の師匠だった祖母に連れられ
お披露目会などの食事のお供をよくさせられたとか。
「いま思えば贅沢だなと思うけど、子どもだったから」
銀座や浅草の料亭で、野菜の炊き合わせばかりを食べていたそう。
そのとき里芋とともにお気に入りだったのが不思議な食感のなにか。
「これ大好きって感じで、ぱくぱくそればかり食べていたのよ」
その「なにか」の正体を知ったのは大人になってから。
そうか、生麸だったのねとわかってすっきり。
だから生麸といえば、あの東京風のしゃんとした味わい、
それが「忘れられない味」だという飛田さんですが
いまではイエノミ用おつまみとしても重宝しているそうです。

●ローカルな逸品「京都市・半兵衛麸の生麸」
京都の柔らかな地下水が生んだ伝統の味。

飛田さんお気に入りの生麸は京都「半兵衛麸」のもの。
「京都に行ったら、五条の本店に寄りたくなるわね」
創業300年以上という老舗だけに、本店の雰囲気もまた格別。
またお取り寄せも、春は桜につつじ、夏は青もみじ、そして秋は紅葉と
季節ごとに移り変わる愛らしい生麸があって
「ちょっとした彩りを食卓に加えられるのがいいの」
特に、飛田さんの家で生麸が活躍するのは秋から冬にかけて。
「すき焼きに入れるとね、これが本当においしいのよ」
残った生麸はラップにくるんで冷凍しておき
さっとオリーブオイルで焼けば、上等なおつまみに。
きょうは、同封されていた田楽味噌に自家製豆板醤を加え
芋焼酎に合いそうな、ピリ辛味噌味にアレンジ。
熱々をいただくと、もちもちと香ばしくてあっという間にお皿が空っぽに。
なるほど、本当に簡単、そしてお酒にもぴったり。
生麸って、実はとても使い勝手の良い食材だったのですね。

そこで京都の本店に電話してみました。
お話してくださったのは、本店店長の苅谷昌宏さん。
飛田さんの「オリーブオイル焼き」がとてもおいしかったとお伝えすると
「そうですか、私も家では日本酒の肴にしますよ」
塩胡椒した生麸をバターでカリッと焼いて、お醤油をたらりとかけるだけ。
うーん、それもいいですね、おいしそう。
「ね、香ばしいバター醤油味でうまいですよ」
生麸を、もっと身近に感じてもらい家庭でも食べてほしい。
それが苅谷さんたちの思い。
HPで公開している生麸レシピも
社員全員で考えて、社内試食会で人気のあったものばかり。
そのメニューは想像以上にバリエーション豊か。
カレー鍋に、炒め物、グラタンにスイーツまで。
生麸って京懐石の上品なイメージだったのに
こんなに自由にアレンジしていいんですね。
「めざせ、お豆腐が合言葉ですから」
その苅谷さんの言葉に思わず笑ってしまいました。

そもそも生麸とは、小麦粉のグルテンを餅米のでんぷんと混ぜて蒸したもの。
グルテンは水に何度もさらし、寝かせることで独特のねばりが出る。
だから生麸の味を左右するのは水ですと、苅谷さん。
「この本店にも地下70mの深井戸がありますよ」
京都の柔らかな地下水でないと、半兵衛麸独特の味は出ないそうです。
水質へのこだわりはもちろん、水温を手で触って確認し
いまでも職人さんが勘を働かせてつくっている生麸。
高タンパク、低カロリーのヘルシー食材なのだから
もっと気軽に自由に、普段の食卓でいただきたいものですね。

『半兵衛麸』(京都市/東山区)の生麸

●お取り寄せデータ

住所:京都府京都市東山区問屋町通五条下ル上人町433

電話:075-525-0008

フリーダイヤル:0120-49-0008

FAX:075-531-0747

営業時間:9:00~17:00 年末年始休

Webサイト:http://www.hanbey.co.jp/

※京都の味噌を使ったオリジナルの田楽味噌もこだわりの味。
本店併設の茶房では「むし養い」(麸と湯葉尽くし)が人気(要予約)

●便利な常備菜「煮豚&煮卵」
誰にでも喜ばれる甘辛味の主役級常備菜。

この9月に著書が「料理レシピ本大賞」を受賞し
ただでさえ忙しい時期なのに、この秋の飛田さんはてんてこまい。
「なんだかわけがわからないうちに、時が経っていく感じ」
表紙が良かっただけじゃないの? 
そう淡々としていながらも、やはり大変そうな飛田さんです。
そんなときの心強い味方が、冷蔵庫に控える煮豚。
「これがあればね、いろいろできるから安心なの」
もちろんそのまま食べても、おつまみに最適。
丼やサラダ、ラーメンなど何かにのっけてもいいし
サンドイッチの具材にもできる。
つくりかたも、時間は少々かかるけど想像以上に簡単。
豚肉の塊もネットがかけてあるものを買えばいいし
「なければ、お店の人にいえばかけてくれると思うわよ」
何本でも同じ手間だから、飛田さんはいつも3~4本はつくるのだとか。
それにゆで卵を最後に加えたら、煮卵もできてしまう!
「これがまたおいしいの」と飛田さん。
甘辛味がしっかり染みた煮豚と煮卵があると思うと
冷蔵庫を開けるのが楽しみになりそうです。

煮豚&煮卵

●つくりかた

ネットをかけた豚肩ロースの塊を用意する。

にんにく1片をつぶし、生姜は皮のままスライスする。

厚手の鍋に油少々と1を入れて、ころがすように肉表面を焼きつける。

3の油をペーパーでぬぐいとる。

酒2分の1カップと2を加え、肉が浸るまで水を4に加える。

5に砂糖、醤油各大さじ3を入れる。

フタをずらして弱めの中火で30分くらい煮る。

本みりん大さじ2を加えて、フタをとり、やや強めの中火で10分煮る。

8にゆで卵を入れ、強火にして煮詰めながら鍋をゆすって煮汁をからませる。

10 粗熱がとれたら冷蔵庫で味をなじませる。

※日持ちは冷蔵庫で約1週間。すぐに食べる場合は半熟卵を入れてもおいしい。

●簡単おつまみ 好物2つを合わせた「さっぱりマリネ」

「今年は豊作だったみたいね」
長野に住む両親からどっさり玉ねぎが飛田さんの元に届きました。
硬くしまった玉ねぎと色鮮やかな紫玉ねぎ。
どちらもさっそくたっぷりスライスして
セロリと一緒にマリネ液に漬ければできあがり。
とても簡単だけど、さっぱりしていて煮豚の付け合わせにもぴったり。
「そうでしょ、でも単に私が玉ねぎとセロリが好きなだけ(笑)」
どうせなら両方を一緒に食べたいとつくった料理だそうです。
それに飛田さんはアジの南蛮漬けが大好物。
「昔から、どちらかというとアジよりも、その周りが好きな子だったのよ」
だから大人になって、その大好物な部分だけをつくるように。
なんだか食いしん坊らしいお話ですよね。
きょうはディルを添えましたが、これ万能ネギの斜め切りでも良さそう。
サラダ感覚で食べられそうなシンプルマリネ
ぱぱっとつくって、ぜひお試しを。

さっぱりマリネ

●つくりかた

玉ねぎとセロリをスライスする。

マリネ液をつくる。酢、砂糖、塩少々を合わせる。

2に1を15分ぐらい漬ける。

※マリネ液は常備しておくと便利(酢、砂糖各1カップと塩小さじ1/2)。あえものや寿司酢としても使えます。

●きょうの和酒 全量芋焼酎「一刻者」<赤>(いっこもん あか)

“一刻者”(いっこもん)とは南九州の話言葉で“頑固者”のこと。
芋と芋麹だけを使った全量芋焼酎「一刻者」シリーズに
去年秋から「一刻者」<赤>が加わりました。
こちらは、南九州産の赤芋を100%使用したもので
ふわっとひろがる甘く豊かな香りと、まろやかな味わいが特徴です。
赤芋とは、金時芋やベニアズマに代表される甘みが強いサツマイモのこと。
その赤芋を芋麹にも使った贅沢な「一刻者」<赤>は
芋焼酎ファンにはもちろん、すっきりとクセがないので初心者でも楽しめるはず。
まずは赤芋本来のうまさを味わえる、ロックでぜひどうぞ。

全量芋焼酎「一刻者」〈赤〉720ml

○問合せ先/宝酒造株式会社

お客様相談室

TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)

http://www.ikkomon.jp/

profile

KAZUWO HIDA
飛田和緒

1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。

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