連載
posted:2013.9.13 from:神奈川県横須賀市 genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。
editor’s profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい ●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
撮影:山口徹花
仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、手軽で簡単、
しかもちょっとした旅気分が味わえる日本各地のおいしいものと
三浦半島の旬の食材を使った、和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。
暑くて長い夏が、ようやく終わりました。
日差しはまだまだ厳しいけれど、夕方になるとひんやりと秋の気配。
どこかホッとしながらのイエノミにちょうどいいのが
シャンパン感覚で楽しめる、しゅわっとさわやかなスパークリング清酒。
お米の自然な甘さが疲れた身体にすーっとしみわたります。
その相方にお薦めなのが、料理研究家・飛田和緒さんが愛してやまない
標高1500mにある松本市の牧場から届いたチーズ。
チーズと日本酒? と思うけれど、これがまた驚きの相性の良さ。
また秋の味覚・きのこも、北信濃からお気に入りを取り寄せ
きょうのイエノミは、飛田さんの「信州LOVE」があふれた食卓になりました。
生まれも育ちも東京という飛田さんですが
ご両親が現在お住まいの長野県には、夏休みと称して必ず帰ります。
しゃっきり涼しい気候と、採れたての野菜を使ったお母さんの手料理。
ふらりと散歩を楽しんだり、家庭菜園の草取りを手伝ったり。
きっと夏の信州はいつまでも娘気分で過ごせる特別な場所なんでしょうね。
そもそも高校時代を長野市で過ごした飛田さん。
「その当時から松本に遊びにいくときはウキウキしていました」と
北アルプスをのぞむ美しい街が、ことさらお気に入りのようです。
友人知人にも松本出身の人が多いそうですが
彼女らが「絶対行ったほうがいいよ」と薦めてくれたのがこちら。
松本市内とはいえ、天空の別世界のような「清水牧場チーズ工房」です。
「おいしいおそば屋さんもあるよ」との誘い文句にのって
車を延々と走らせて着いたのが、もう岐阜県境に近い清水牧場でした。
本当にチーズ工房があるの? と思うくらい山奥だったそうですが
その頃まだ珍しかった国産の熟成チーズとフレッシュチーズを
あるだけ買い求めて大事に持って帰ってきたそうです。
それからは、もっぱらお酒のおつまみとして大活躍。
きょうもざっくりと惜しげもなくチーズを切って、ボードにどんどん盛りつけます。
「特にプティ・ニュアージュはね、このスパークリング清酒に合うと思うの」と
ふんわり綿雲のように柔らかなフレッシュチーズにはスプーンを添えて。
お好みでちょっと塩を振っていただくと、なるほど!
うっとりするようなミルクの甘さと、ぴちぴちはじけるお米の甘さのハーモニー。
これ、特にミルキー好きな女子には目からウロコの組み合わせかも。
この「プティ・ニュアージュ」は、とにかく出来たてがおいしいと
飛田さんは撮影直前に清水牧場から届けてもらったそうです。
「スプーン持参で食べに来るファンの人もいるんですよ」
清水牧場に電話してみると、清水晴美さんがそう教えてくれました。
そのファンの方はコルシカ人で、なんと最近すぐ近くに移住してきたのだとか。
これ食べたさのあまり神奈川県から転居するとは、さすが食いしん坊のフランス人。
でも、このミルキーなおいしさを知ったら、その気持ちがわかるかも。
標高1500m以上の山間部に広がる広大な牧草地で放牧され
5月から11月にかけては、自然の青草を好きなだけ食べ湧水を飲み乳を出す。
ここのブラウンスイス牛や羊たちは、本当にストレスフリーな毎日を過ごしているのです。
ただ、いまの場所を見つけるまでは苦労の連続だったとか。
32年前から夫婦で酪農を始め、本物の「農家製fermier(フェルミエ)」
つまり自分が飼育する牛や羊の乳だけで伝統的製法のチーズを造りたいと
岡山→滋賀→長野・北御牧と牛を連れて移住を繰り返し
ようやく理想的な環境を見つけ、現在の松本市奈川に落ち着いたのは9年前。
「チーズ造りを教わったフレンチピレネーの谷に標高も植生もそっくりなんです」
だからここで造るチーズは、山岳酪農ならではの熟成タイプとフレッシュチーズだけ。
そうおっしゃる晴美さんとご主人の則平さんは、東京の日本獣医畜産大学で出会い
「牛が好き」という思いだけで、酪農の世界に飛び込んだそうです。
しかし松本にはアルプスだけじゃなく、ピレネーに似た谷まであったとは。
さすが日本が誇る山岳県、飛田さんのちょっと得意気な顔が思い浮かびました。
『清水牧場チーズ工房』(長野県/松本市)のプティ・ニュアージュ
●お取り寄せデータ
住所:長野県松本市奈川51
電話:0263-79-2800
FAX:0263-79-2801
営業時間:10:00~16:00 火、年末年始休(12~3月は火・木休)
Webサイト:http://www.avis.ne.jp/~svarasa/
※プティ・ニュアージュ 1個200g前後 650円(賞味期限:約5日間)
「ようやくこれが普通に買えるようになったのね」
そういって飛田さんが冷蔵庫から取りだしたのがアギ茸。
2年ほど前、長野県中野市のきのこ農家を取材したときに
ヨーロッパ系の新種ですよと紹介されたのが、アギ茸だったとか。
しゃくしゃくした歯触りと風味の良さにぞっこん惚れこみましたが
それ以降、何度取り寄せようと思っても在庫切れ。
「長野にはこんなおいしいきのこがあるって、みんなに自慢していたのに」
そのアギ茸が手に入らなくて、あるある詐欺のようになっていたそうです。
ちょっと贅沢ですが、きょう使うきのこを中野市から取り寄せたのは
アギ茸入りのきのこセットをJAが販売していると知ったから。
長野県北部に位置する中野市は、えのき茸の生産量日本一。
ゆるキャラ「えのたん」までいる「きのこ王国」として知られています。
きょうの常備菜は、きのこをザクザク大きめに切って炒めるだけ。
ポイントは味のアクセントにオリーブの実を入れることと
あえて塩・胡椒だけのシンプルな味付けにしておくこと。
その方が食べるときにビネガーをかけるなど、好みのアレンジが効くのです。
もちろんきのこは普通に手に入るもので大丈夫。
ただ「新しくておいしい食材に出合うと燃える」という飛田さんのように
見かけないきのこがあったら、とりあえず買って使ってみるのもいいのかも。
ちなみに飛田さんのご両親は、秋になると必ず山へきのこ狩りに行くとか。
どうしてそこまでして、と飛田さん自身は思っていたそうですが
年を取るほどに、なぜかその気持ちがよくわかるようになったそうです。
きのこのマリネ(常備菜)
●つくりかた
1 オリーブの実を薄切りにする。
2 きのこ各種を食べやすい大きさに切る。
3 包丁でつぶしたニンニクをオリーブオイルで炒める。
4 ニンニクの香りが出たら1、2を加えて炒め、塩、胡椒で味をととのえる。
5 食べる直前にイタリアンパセリのみじん切りをかける。
※きのこは食感を楽しみたいので大きめに切り、炒め過ぎは厳禁。
イタリアンパセリがなければ、シソや万能ネギなどで代用。
●飛田さんのお気に入りきのこ
JA中野市農産物産館 オランチェ(長野県/中野市)※たっぷりきのこ満足セット2000円(アギ茸入り) 詳細
「漬け焼き」と聞いていたのに、登場したのは真っ黒な物体。
でもこの「真っ黒」なものの正体は岩海苔。
漬けにしたまぐろを煎り胡麻と岩海苔をまぶして焼き上げただけなのに
この衣がもうなんともいえないほど香ばしい!
ちょっとしたひと手間でおいしさがグンとアップするのだから
これはもう真似するしかないですよね。
まぐろといえば、飛田さんの住む三浦半島の先端にある三崎漁港が有名だけど
最近は地元でも「三崎のまぐろ」を手に入れるのは難しいとか。
きょうは港の市場まで行って買ってきたものを使いましたが
普段使いなら安く手に入るもので十分。
刺身の残りを漬けにしてもいいので、ぜひサクで買ってくださいね。
簡単なのにちょっとオツなおつまみは、ご飯のおかずにもぴったりですよ。
まぐろの漬け焼き
●つくりかた
1 まぐろのサクを日本酒と醤油半々のタレに漬ける。
2 岩海苔を細かくちぎり、煎り胡麻と一緒にトレーに入れる。
3 1時間ほど漬けた1を2のトレーに入れてまぶす。
4 3の衣をはがさないよう油を入れたフライパンでじっくり焼く。
5 4がさめたら食べやすい大きさに切る。
※岩海苔がなければ普通の海苔でもOK。
「澪」は宝酒造の白壁蔵で生まれた新感覚のスパークリング清酒です。
「和酒」のなかでも歴史の長い日本酒に新しい流れを作りたいと
「浅瀬の水の流れ」や「船の通った泡の跡」という意味を持つ名前を付けたとか。
米と米麹でちゃんと造られた日本酒をより飲みやすく気軽に楽しんでほしい。
そんな思いで開発に6年の時間をかけ、アルコール分は5%と控えめながら
お米本来のほのかな甘みとほどよい酸味が楽しめるよう工夫されているそうです。
もちろん糖類や酸味料は使っていません。
この「澪」が発売されたのは2年前の6月から。
販売ルート限定の商品でしたが、女性を中心にしたファンの方々の声に応え
9月17日からスーパーやコンビニで発売することになりました。
乾杯の時の食前酒、スイーツやフルーツと合わせた食後酒にぴったり。
どんなおつまみにも合わせやすいので食中酒にもいいですよ。
飲むシチュエーションを選ばないので、冷蔵庫に常備しておけばなにかと便利。
またイエノミパーティの手みやげにも最適です。
美しいブルーのボトルで楽しい時間を華やかに彩ってくださいね。
松竹梅白壁蔵「澪」(みお)スパークリング清酒 150ml 300ml 750ml
○問合せ先/宝酒造株式会社
お客様相談室
TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)
profile
KAZUWO HIDA
飛田和緒さん
1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。
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