ヌードルライター・ 山田祐一郎が綴る 福岡の「うどんのはなし」。 第二回は博多一の老舗 「かろのうろん 」

「うどんのはなし 福岡」の出版を機に始まった、
福岡のうどん文化とその名店を紹介する本シリーズ。
第二回は、福岡市博多区上川端町に
ある「かろのうろん」をご紹介!

前回は、博多エリアにおける
うどんの王道スタイルが味わえるお店として「因幡(いなば)うどん」の
記事を書きました。同店では、博多のうどんの特徴とされる、
澄んだつゆ、そしてやわらかい茹で置きの麺、
その両方が存分に楽しめます。
この「茹で置き」というのが、博多のうどんの
特徴のなかでも大きなもの。

「かろのうろん」

さて、今回紹介する「かろのうろん」はどんなお店なのかというと、
博多うどんにおける老舗中の老舗です。
創業は明治15年(1882)。
福岡に現存するうどん店の中で、最も長い歴史を誇ります。

「かろのうろん」という変わった店名。
創業当時は屋号がなく、角にあるうどん屋だったので「角のうどん屋」と
呼ばれていました。その後、博多弁の訛りで、「角(かど)」の「ど」、
そして「うどん」の「ど」が「ろ」に変換され、
今の屋号となります。
店がある周辺は今でこそキャナルシティ博多などの
大型商業施設があって賑やかですが、
昔はカエルが鳴くような原っぱだったそうです。

立派な店構え

さて、一番人気の「ごぼう天うどん」を頂いてみます。
持ち上げると両サイドがキュッと上がる茹でたての麺。
噛むとムニンとやわらかく、しなやかな弾力が伝わってきます。
「因幡うどん」との決定的な違いはこの“麺”です。
「因幡うどん」は昔ながらの茹で置き麺なのに対し、
「かろのうろん」は茹でたて麺を使っているので。
初めてその事実を知った時、僕は大いに驚きました。
だって、博多一の老舗うどん店が、博多うどんの象徴ともいうべき
茹でおき麺を使っていないのですから!
その理由を店主・瓜生高康さんに聞いてみました。

笑顔が素敵な店主・瓜生高康さん。

高康さんはうどんを作っている時も笑顔!味わい倍増です。

なぜ、博多うどんの象徴ともいうべき
茹でおき麺を使っていないのでしょう?
その質問に対して、高康さんはこう答えてくれました。

「昔は湯でおきを使っていたんですよ。
ただ美味しさを求めた結果、現在のスタイルになったんです」

早さよりも味———それが博多一の老舗が出した答えだったのです。
念のため、誤解のないように補足しておくと、
茹でおきよりも茹でたて麺が秀でているという極論ではありません。
お店それぞれにスタイルがあり、早く提供しなければならない
立地の店もありますし、何よりつゆと麺とのバランスで、
茹でおき麺が見事にマッチするケースだってあります。
その上で、「かろのうろん」は変えたのです。
老舗中の老舗です。守るもの、変えられないものがたくさんあると思います。
そんな中、変化を柔軟に受け入れた。その決断に、シビレました。

「ごぼう天」には薄くスライスしたゴボウを使用。とても食感が軽やかです。

「老舗だが、古臭さはない」と僕は著書の中で書いています。
きっと麺だけでなく、だしやトッピングなんかも、少しずつ変化、
進化しているのかもしれない。そう考えると、
目の前のうどんが、実に壮大な一杯だと思えてなりません。

博多うどんのお供に欠かせないかしわめしのおにぎり。こちらも実は進化しているのかも??

■かろのうろん

電話:092-291-6465

住所:福岡市博多区上川端町2-1

営業:11:00~19:00頃

定休:火曜、山笠期間中は無休

最寄:地下鉄中洲川端駅から徒歩で約8分

■書籍「うどんのはなし」

著者:山田祐一郎

発売元:KIJI|¥1,852(本体価格)

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