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posted:2015.10.3 from:福岡県福岡市 genre:食・グルメ
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。
text & photograph
Yuichiro Yamada
山田祐一郎
やまだ・ゆういちろう●福岡県出身、現在、福津(ふくつ)市在住。日本で唯一(※本人調べ)のヌードル(麺)ライターとして活動中。麺の専門書、全国紙、地元の情報誌などで麺に関する記事を執筆する。著書に「うどんのはなし 福岡」。 http://ii-kiji.com/ を連載中。
はじめまして、ヌードルライターの山田祐一郎です。
“ヌードルライター”とは自分で作ったオリジナルの肩書き。
製麺工場を営む両親のもとに生まれたこともあり、
これまで食べた麺は数え切れず。
Webサイト「ii-kiji.com」内のwebマガジン
「その一杯が食べたくて。」など、
福岡を拠点に、麺に関するいろんなことを、食べて、
調べて、感じて、発信しております。
そんな僕が、福岡のうどんの情報を集めた本
「うどんのはなし 福岡」を出版しました。
単純にうどんの店を紹介するのではなく、
どんな風に地域と関わっているのか、
どんな歴史的な背景があるのか。
とある1杯のうどんの魅力を深掘りする、
といったようなことを大切にしています。
これから、この「コロカル」でも、福岡の麺を紹介する連載を始めます。
お店のことを知っていただくとともに、
福岡の歴史的な側面も感じていただければと思います!
■博多うどんの原点の味「因幡うどん」
さて、さんざん悩みました。最初に紹介するお店はどこにすべきか。
福岡には実にさまざまなうどんが存在しており、
県の北、北九州には「焼きうどん」「どぎどぎうどん」
「かしわうどん」など多彩なうどんがあり、
県の中央、博多はうどんの発祥の地とする説があり、
今や福岡全域に広がった「ごぼう天」や「丸天」といった
固有のトッピングが存在。
県の南から東にかけて広がる筑後には「筑後うどん」と
呼ばれる独自のうどん文化が根付いていて、
県の西側をみれば、福岡のソウルフードともいわれる
釜揚げうどんの店「牧のうどん」の本店があり、
加えて独自に工夫を凝らしたオリジナルメニューが人気のお店まであります。
いろいろと考えた結果、「因幡(いなば)うどん」から
始めることにしました。
ここでは、博多エリアにおけるうどんの“王道”スタイルが
味わえます。博多のうどんの特徴というと、澄んだつゆ、
そしてやわらかい麺。
その両方を存分に楽しめる、博多を代表する老舗です。
今回ご紹介するのは、「因幡うどん」の渡辺通店。
地下鉄、西鉄の薬院駅から徒歩2、3分くらいの場所にあります。
三角市場と呼ばれる昭和レトロな飲食街の一角です。
こちらのやわらかい麺は昔ながらの“茹でおき”。
大陸に近く、古くから商人の町だった博多では、
時間を1秒も無駄にはしたくないという気質があったそう。
お店もそんなお客のため、うどんを早く提供できるよう、
あらかじめ麺を茹でておきました。
その手法が広がり、博多のうどんの麺はやわらかい、
という特徴になったようです。
お昼時はセルフサービスに。うどんを受け取り、
好きなトッピングをのせ、そのままレジへと進みます。
前のお客さんの通りにすれば大丈夫なので、初来店者でも安心ですよ。
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実は、その博多うどんの特徴というのも、近年、
薄れてきていて、茹でおき麺を使うお店も減っています。
時代の流れというのでしょうか。
古来の博多うどんの特徴に触れられるお店は
これからますます希少となっていくはず。
だからこそ、食べてみてほしい。
「因幡うどん」で、博多うどんの原点ともいうべき一杯を食べてみてください。
唇でかみ切れるくらい、ふんわりとやわらかな麺、一度食べると夢中になるかも?!
■因幡うどん 渡辺通店
電話:092-711-0708
住所:福岡市中央区渡辺通2-3-1
営業:10:00〜19:00頃
定休:なし
最寄:地下鉄渡辺通駅から徒歩で約3分
※市内に他3店舗展開
■書籍「うどんのはなし」
著者:山田祐一郎
発売元:KIJI|¥1,852(本体価格)
ご購入はこちらから
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