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前橋 Part1
使い方を創造し、
捨て方をデザインする会社。

山崎亮 ローカルデザイン・スタディ
vol.065

posted:2013.6.6  from:群馬県前橋市  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  コミュニティデザイナー・山崎亮が地方の暮らしを豊かにする「場」と「ひと」を訪ね、
ローカルデザインのリアルを考えます。

writer profile

Maki Takahashi

高橋マキ

たかはし・まき●京都在住。書店に並ぶあらゆる雑誌で京都特集記事の執筆、時にコーディネイトやスタイリングを担当。古い町家でむかしながらの日本および京都の暮らしを実践しつつ、「まちを編集する」という観点から、まちとひとをゆるやかに安心につなぐことをライフワークにしている。NPO法人京都カラスマ大学学長。著書に『ミソジの京都』『読んで歩く「とっておき」京都』。
http://makitakahashi.seesaa.net/

credit

撮影:ただ(ゆかい)

今回、山崎さんが注目したのは、産業廃棄物にあたらしい命を吹き込む
「モノ:ファクトリー」を展開している株式会社ナカダイ。
1日約50トンも運び込まれる廃棄物を「素材」さらに、「ソーシャルマテリアル」
と言い換えてみれば、リサイクルのあたらしい方法だけでなく、
これからのわたしたちの生き方までもが見えてきそうです。
そんな “リマーケティングビジネス” の仕掛人とも言える、中台澄之さんを訪ねました。

わたしたちは、大量の廃棄物とともに生きている。

山崎

こんにちは! やっとお会いできましたね。

中台

光栄です。ずっとまわりのひとたちから
「山崎亮さんに、絶対、会ったほうがいいよ」って言われ続けてましたから……。

山崎

ぼくも一緒です(笑)。なにがきっかけでしたっけ?

中台

昨年末の、東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「もちかえる展覧会」ですね。
展覧会ディレクターの福島治さんからの依頼で、
紹介される18プロジェクト分の展示台をうちで用意させていただいたんです。

山崎

あれがきっかけでしたか。
残念ながらぼくは出展だけで会場にうかがえなかったんですが、
ユニークな展覧会でしたよね。

中台

自転車をプレスしたものや、エアキャップ(プチプチ)をプレスしたもの、
ポリタンクや発泡ブロックなどを使って、展示台を作ったんですよ。
それでその会期中、ずっと福島さんに「山崎さんに会うべきだ」って言われ続けて。

山崎

先日メールいただいて、「すぐに会いましょう!」と。
こんなこと、なかなかないんですけれど。

中台

うれしいです。

山崎

「ソーシャルマテリアル」って、
「リマーケティングビジネス」って、なんだろう、と。
今回は、そんなはなしがうかがえたらと思います。

ナカダイ前橋支店

菜の花畑のなかに、ぽつんと工場があるナカダイ前橋支店。「実は、京都からすぐそこまで直通のバスがあるんです。だから、京都造形大の学生も素材探しによく来てくれるんですよ」と、中台さん。

特別展「もちかえる展覧会」で自転車をプレスして展示台にした

東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「もちかえる展覧会」で、「自転車をプレスして展示台にした」のがコレ。迫力!

リサイクル=エコではない、というはなし。

山崎

中台さんはいつからこのような発想を?

中台

まず、会社のはなしをすると、うちはもともと鉄屋なんです。鋼鉄商。
わたしが入社した2000年の段階では、まだほとんど鉄しか扱ってませんでした。
おもにホンダの子会社のスクラップを扱っていたんです。

山崎

なるほど。京都ではたらいていらしたというのは?

中台

大学卒業後は、証券会社の営業マンをしてました。
なにもかも一筋縄ではいかない京都のまちで学んだことは大きかったですね(笑)。

山崎

一種の修業ですね。

中台

まさに。ちょうど京都議定書が採択されて、
サーマルリサイクルなんかが流行り出していたころに、帰ってきまして。

山崎

2000年ですから……13年前ですね。

中台

うちの会社も、そのころには産業廃棄物の
総合リサイクルセンターとしての展開を始めてはいたんでですが、
たとえば分別しないまま固めた廃棄物固形燃料をつくることが
果たしてリサイクルなのか、エコなのか、と考えると何かが違う気がして。
やっぱり、分別したものがあらたなプロダクトとして
生まれ変わるというのがリサイクルだよな、と。
ところが、それがなかなかむずかしい。

山崎

むずかしい?

中台

「プラスチックにも数十種類あって、
ひとくちに同じプラスチックというわけにはいかないんだよ?」
と言われるわけです。どうやって見分けるのかと尋ねたら、
「火をつけて匂いで嗅ぎ分けるしかない」って。

山崎

ええ?

中台

それからは、家中のいらないものをチャッ! と
ライターで燃やしては嗅いでの猛特訓です。
それでも100%見分けられるようになるまで半年はかかりました。

山崎

うーん……、それはすごいなあ。

中台

そうなんですよ。お客さんの前でも「ライターをチャッ!」で嗅ぎ分ける
パフォーマンスが喜ばれて、このときはぐんと顧客が増えました(笑)。

(……to be continued!)

廃棄物固形燃料

廃棄物固形燃料。「そのまま燃やすのはダメで、こうしてぐしゃっとして燃料にしてから燃やしたらオッケーという理屈がよくわからなかった」。ほんのちいさな疑問が、現在のナカダイをかたちづくっていく。

LANケーブルの「中身」

「これ、みなさんに身近なものですよ」と中台さん。実はLANケーブルの「中身」! 色とりどりの8本のこの細い線が撚られてできあがっているらしい。

山崎亮さんと中台澄之さん

右が中台澄之さん。上の写真のLANケーブルも、色ごとに仕分けると「マテリアル」に見えてくるからほんとうにふしぎ!

information

map

株式会社ナカダイ

再生資源、中間処理、廃棄物コンサルティングなどを行う会社。中間処理場である前橋支店での取扱量は1000t/月程度で、リサイクル率は95%を超える。粕川工場では、リユースを目的とした中古家具をオークションする市場、“MRC(マテリアル・リバース・センター)”を運営、その他、工場やオフィスビルの管理や廃棄物削減などのコンサルティングなども行う。2010年より、新しいモノの流れと産業を創る“リマーケティングビジネス”を展開。前橋支店内に、“発想はモノから生まれる”をコンセプトにした、「モノ:ファクトリー」を併設し、様々な“マテリアル”を発見できる「マテリアルライブラリー」、そこから生まれた商品や作品などを販売する「ストア」、ワークショップのできる「工房」を整備。工場見学やリサイクル体験プログラムなども随時受け付けている。

ナカダイ前橋支店

住所:群馬県前橋市駒形町1326

TEL:027-266-5103

Web:http://monofactory.nakadai.co.jp/

profile

SUMIYUKI NAKADAI 
中台澄之

1972年生まれ。ビジネスアーティスト/株式会社ナカダイ前橋支店支店長/モノ:ファクトリー代表。東京理科大学理学部卒業、証券会社勤務を経て、ナカダイに入社。ISO14001の認証取得や中古品オークションを行う市場の立ち上げなど、総合リサイクル業として事業を拡大。“リマーケティングビジネス”を考案し、“発想はモノから生まれる”をコンセプトに、モノ:ファクトリーを創設。使い方を創造し、捨て方をデザインするビジネスアーティストとして、さまざまな研修やイベントなどの企画、運営を行っている。

profile

RYO YAMAZAKI 
山崎 亮

1973年愛知県生まれ。大阪府立大学大学院地域生態工学専攻修了後、SEN環境計画室勤務を経て2005年〈studio-L〉設立。地域の課題を地域の住民が解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザイン、パークマネジメントなど。〈ホヅプロ工房〉でSDレビュー、〈マルヤガーデンズ〉でグッドデザイン賞受賞。著書に『コミュニティデザイン』。

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