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暮らす場所としての「島」。
奄美大島・加計呂麻島を訪れて
移住について考えてみた

小豆島日記
vol.181

posted:2017.8.14   from:鹿児島県奄美市ほか  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

生き方、働き方、暮らし方を変えたいと思ったとき、
どんな場所で何をして暮らそうか。いろいろ考えると思います。

5年前、私たちもたくさん考え、家族で話し合い、小豆島に引っ越すことにしました。
なんで小豆島なの? と聞かれることがありますが、
小豆島にはたくちゃん(夫)のおじいちゃんちがあって、
何度か訪れたことがあって、いい場所だなぁと思っていたから。
私たちはたまたま小豆島に縁があったのですが、それでもいろんな本を読んだり、
人から話を聞いたりして、沖縄もいいなぁなんて考えたりもしていました。

最終的に「小豆島で暮らそう」と決めた理由はいろいろありますが、
そのひとつとして「島」であることは大きかったと思います。

移住しようかどうか考えていたときに読んだ雑誌で、
いまでも私たちのバイブルみたいな感じで大切に持っているのが
『ブルータス』の島暮らし特集(2011年9月1日号)。
「たとえば、いま、あなたが都会を離れて島で暮らすとしたら。」
私たちの人生を変えた一冊かもしれないです(笑)。

その雑誌の中で、小豆島での暮らしも紹介されていたのですが、
小豆島と同じくらい印象に残っていたのが、奄美大島での暮らし。
あー、なんてすてきなところだろうと思いましたが、行ったこともないし、
遠そうだし、そこで暮らすというイメージが全然浮かびませんでした。

なんとなく気になる存在として心の中にあった「奄美大島」。
実はこの夏、その奄美大島に行けることに!
島で暮らしていても、島への憧れの気持ちは昔と変わらず。
あの雑誌を読み返したりしながら、ワクワクをふくらませて行ってきました。

というわけで、今日はちょっと小豆島から離れて
「小豆島日記 番外編」として、奄美大島のことを書きますね。

憧れの島、奄美大島と加計呂麻島へ

奄美大島へは、関西国際空港からバニラエアで約1時間半。
鹿児島県に属していて、九州と沖縄の間にあります。
小豆島よりもずっと大きな島で、島の北側にある奄美空港から、
古仁屋(こにや)という島の南側にある港までは、車で約2時間。
今回は、奄美大島とその南にある加計呂麻島(かけろまじま)に
3泊4日で行ったのですが、もっともっと時間がいるなぁという感じでした。

奄美大島に到着した途端にザーザー降りの雨。奄美大島は雨が多く、日照時間が日本で一番短いとも言われているそう。

奄美大島といえば「鶏飯」。ご飯の上に、鶏肉、卵、ネギなどをのせて、出汁をかけていただきます!

やっぱり本州とは違う景色。植物がパワフル。

奄美大島の自然のこと、歴史のこと、暮らしのこと、ここでは書ききれないのですが、
いろんなことが私の想像と違っていて、とにかく本当に濃い旅でした。
沖縄とはまた全然ちがう場所。
やっぱり行ってみて自分で感じてみなければ、わからないもんです。

マングローブ原生林。カヤックに乗ってマングローブの中を冒険できます。

海の向こうにあるのは加計呂麻島。海の青さに引き込まれてるいろは(娘)。

奄美大島の南にある加計呂麻島。諸鈍(しょどん)という集落にあるデイゴの並木道。

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泊まったのは、あのリノベーション宿!

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伝統的な建物で暮らすように泊まる〈伝泊〉

今回はAirbnbで宿を探し、〈伝泊〉というプロジェクトの
「高倉のある宿」と「リリーの家」に滞在しました。
奄美の伝統的な建物(家)を改修し、宿泊施設としてオープンされています。
両方とも一軒家をまるまる借りるかたちで、キッチンや調理器具もそろっているので、
スーパーで食材を調達して、朝・夜ごはんはそこでつくって食べました。

奄美の伝統的な建物を改修、宿としてオープンしている「高倉のある宿」。この「高倉のある宿」と「リリーの家」については、コロカルの「リノベのススメ」でも詳しく紹介しています。

パッションフルーツ! その土地の食材って、それだけでテンションあがる。

そんなふうに旅していると、普段の暮らしとあまり違わないなぁと思ったり。
食材を調達して、ごはんつくって、片付けして、洗濯して……(笑)。
でもいつもと違うのは、時間に追われていないこと。

海で日が暮れるまで泳いで、釣りして、
ビール飲みながらゆっくりごはんつくって、食べて寝て。
もし奄美で暮らしていたら、いまよりももっと
海が近い暮らしをしていたのかなぁとふと思ったり。

宿でつくったごはん。いつもとあまり変わらない食卓(笑)。

奄美黒糖焼酎を現地で調達、乾杯!

今回の旅では海でシュノーケリングがしたくて、
事前にガイドのお願いをしていました。

小豆島で暮らすようになって実感したのは、
やっぱりそこで暮らしている人がその土地のことを一番よく知っていて、
教えてもらうのが一番いい! ということ。
遊ぶ場所も、おいしいごはんが食べられる場所も。
ガイドさんだけじゃなくて、立ち寄ったお店の方とかでもいいし、
レンタカーのお兄さんでもいいし、とにかく聞く!

カヤックに乗ってシュノーケリングポイントへ。

3人乗りのカヤックはなかなかまっすぐ進まず常に蛇行。

加計呂麻島でガイドをしてくださったのは〈CROSS ISLAND〉の佐藤幸雄さん。
いろいろ話していると、実は7年ほど前に移住先を探していたとき、
小豆島もその候補のひとつだったそうです。
結局、佐藤さんは加計呂麻島にご縁があり、いまこうしてガイドをされています。
人それぞれ、住みたい土地、好きな土地、合う土地は違うもんだなぁと。

海でひたすら泳ぎ続けました。

サンゴ!

用意してくださったお弁当を浜辺で。

今回奄美大島を旅してみて、私たちが引っ越しを考えていたとき、
奄美大島のことをもっとよく知っていたら、そこで暮らしていたかなと想像してみる。
たぶん私たちは自分たちのそれまでの暮らし方や、家族、友人たちと
そこまで遠く離れる勇気がなくて、やっぱり小豆島だっただろうなと思います(笑)。

立地、自然、気候、人々の雰囲気……。
土地によってそれは全然違っていて、
自分たちの条件(家族構成や働き方、好き嫌いとか)と照らし合わせて
合うところをみつけるのは、なかなか大変なことだなと思いました。
最終的には、いい家が見つかったとか、いい人に出会ったとか
そういう後押しになる何かがあるのかもしれないですが。

あー、それにしても奄美大島・加計呂麻島はおもしろいところでした。
島から島へ、まだまだ行ってみたい島がたくさんあります。
日本にも世界にも。次の島旅の計画立てます!(笑)

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伝泊 奄美 

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