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小豆島のお米〈肥土山そだち〉を
遠い人たちにも届ける

小豆島日記
vol.159

posted:2016.9.19   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

家族や身近な人のために育てたお米

ようやく暑さが落ち着いた9月。
青々としていた田んぼはあっという間に黄色くなり、あちこちで稲刈りをしています。

私たちが暮らす小豆島・肥土山(ひとやま)では、多くの人がお米を育てています。
広ーい田園というより、集落の中のあちこちに小さな田んぼがぽつぽつある感じで、
うちのすぐ横も田んぼです。
だから6月頃から夏にかけてはカエルの鳴き声がすごい。
ゲコゲコゲコゲコ。そんな鳴き声も夏が終わりようやく静かになりました。

上空から見た肥土山集落。田んぼと家々がぎゅっと集まってる感じ。(撮影:坪佐利治)

肥土山ではこのお米づくりが暮らしの一部であり、何百年と続く「農村歌舞伎」や
「虫送り」などの伝統文化のベースでもあるように思います。
その昔、水不足で困っていた農民たちのためにつくられたため池(現在の蛙子池)。
その完成を祝って小屋を建てて芝居をしたのが農村歌舞伎の始まりと言われていて、
以後300年以上にわたって奉納歌舞伎を続けています。
虫送りは、稲につく虫を追い払い豊作を願う行事です。
米づくりと暮らし、文化はダイレクトにつながっています。

田んぼの向こうにあるのが、肥土山農村歌舞伎舞台。

虫送りはこの田んぼの中を歩いていきます。

そんな肥土山でお米を育てている方たちと一緒に、
昨年から育てたお米を売るプロジェクトを始めています。
プロジェクトというと大げさですが、お米をパッケージングして、
オンラインショップなどで販売しています。

まずは、お米に名前をつけるところから。
小豆島日記vol.129でも少し触れましたが、
ラベルやロゴのデザインで悩んでいるときに、
グラフィックデザイナーの平野甲賀さんとフォントデザイナーの鳥海修さん、
ヨコカクさんによる展覧会『文字に文字展』を訪れたことがきっかけで、
できあがった名前とロゴ。〈肥土山そだち〉に決まりました。

〈肥土山そだち〉として、オンラインショップやイベントなどで販売。

東京の飲食店にもお届けしてます。

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美しい里山の風景を維持するために

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ラベルをつくり、米袋に入れて、ようやくできあがった肥土山そだち。
このお米にはたくさんのストーリーがつまっています。
生産者さんと話しだしたら、ひと晩はお酒が飲めますね(笑)。
栽培方法やこれからの肥土山でのお米づくりのこと。

トラクターで稲刈り。田んぼの端のほうは手で刈ります。

そして何より、食べておいしい!
あー、お米ってこんなにおいしいんだなぁとびっくりしました。

肥土山で育てられているお米は、そのほとんどを家族や身近な人たちが食べます。
いま高齢化や若い世代の転出により人が少なくなり、
お米を育てる人もお米を食べる人も減ってきています。
田んぼが荒れてしまうと、いまの肥土山の美しい風景はなくなってしまいます。
同時に、暮らしや文化もどうなるかわかりません。
だからお米をつくり続けることは、肥土山という集落を維持していくためには
なくてはならないことなんだろうなと思っています。
そのために、いままではほとんど流通しなかったお米ですが、
これからはもう少し離れた人たちにも届けること=売ることで、
米づくりを続けていけるのかなと。

手入れされた美しい田んぼ。

普段の暮らしのひとこま、田んぼのあぜ道でシロツメ草集め。

そして今年も無事にお米ができました。
新米を食べよう(島のお塩と手づくり梅干しでおにぎり!)のイベントも
11月に予定しています。おいしい秋を楽しみましょ。

新米おにぎりは最高においしい!

information


map

HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)

http://homemakers.jp/

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