連載
posted:2017.3.9 from:北海道岩見沢市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
北海道にエコビレッジをつくりたい。そこにずっと住んでもいいし、ときどき遊びに来てもいい。
野菜を育ててみんなで食べ、あんまりお金を使わずに暮らす。そんな「新しい家族のカタチ」を探ります。
writer profile
Michiko Kurushima
來嶋路子
くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。
http://michikuru.com/
この春移住する岩見沢の美流渡(みると)をはじめとする
中山間地をピーアルするために、4月11日から札幌で展示を計画している。
これは〈Go North〉というイベントの一環として行われるもので、
私たちとともに、東京、札幌、福岡で活動をする作家が参加し、
札幌市資料館の展示ギャラリーで、それぞれの手しごとの品が販売される。
企画の中心となったアクセサリーデザイナーの岩切エミさんが、
昨年、美流渡でワークショップを開催したことがきっかけとなり、
この企画に私たちも参加することとなったのだ。
このイベントに合わせて考えた、私たちが行う展示のタイトルは〈みる・とーぶ〉。
岩見沢の中山間地は、東部丘陵地域と呼ばれており、
この地域をもっと見てもらいたいという想いからそう名づけ、
昨年より地域のみんなと準備を進めている。
イベントのDM。ブランド〈E・I〉でアクセサリーを制作する岩切エミさん、福岡を拠点に活動するキルト作家のこうの早苗さん、札幌のフェルト作家Chicoさんとともに、私たち〈みる・とーぶ〉チームも参加。
この連載で、進行状況について何度か書いてきたが、
いよいよ開催まであと1か月となってしまった。
準備の進み具合いを考えると、かなりまずい……。黄色信号点滅状態になっている。
私がやらなければならないのは大きくふたつ。
地域の人々の顔を掲載した地図づくりと
昨年買った山をテーマにした本の制作だ。
地図は、この地域を知ってもらうための最重要ツール。
現在、岩見沢の地域おこし推進員(協力隊)のふたりが、
地元を足でまわってひとりひとりのポートレートを写真に収めているところ。
それを私が似顔絵にして地図に落とし込んでいるのだが、
これはかなり地道な作業!(終わらない……)
さらに、山をテーマにした本については、
いまだにまったく手がつけられていない状態!!(ああ、どうしよう……)
私自身はこんな状態なのだが、このイベントを一緒に運営しているメンバーは
心強い面々で、全体の準備はかなり進んでいることが、本当にありがたい。
まず、ロゴのデザインが完成し、HPができあがった!
ロゴを制作したのは〈ea〉。私が長年仕事をともにしてきたデザイン事務所で、この地域をイメージするモチーフを散りばめたデザインとなった。
また、展示物で一番のメインとなるのはリンゴのポーチ。
東部丘陵地域の特産のひとつであるリンゴをかたどったポーチの中に、
地域の地図を入れ、それを会場のあらゆる場所につり下げて
空間をつくっていこうと考えている。
岩切エミさんのデザインをもとに、地元のみんなで縫い上げたもので、60個ほど完成!
布と糸、リボンの組み合わせはひとつとして同じものはなく、
気に入ったものを来場者が選んで持って帰ってくれたらと考えている。
東部丘陵地域には果樹園が多いことから、リンゴがモチーフになった。
果樹園を営むメンバーが「リンゴの葉っぱも飾りたい!」と、葉っぱ型のアクリルたわしをつくってくれた。こんなアイデアの広がりも楽しい。
このほかリンゴのお手玉も制作中で、リンゴモチーフのものが会場をにぎわす予定。
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東部丘陵地域には、アーティストや工芸家の工房が多く、
そうした人々の参加もひとりまたひとりと決まり、
作家たちのショールームのような場所になったらと企画は膨らんでいる。
また会場の空間デザインを、昨年、美流渡にオープンした花屋〈Kangaroo Factory〉と
地域おこし推進員でインテリアデザイナーの吉崎祐季さんが手掛けてくれることに。
Kangaroo Factoryの大和田由紀子さんは、会場を地域でとれた
枝や木の実で埋め尽くしたいと、さまざまなプランを出してくれている。
美流渡に工房を持つ〈アトリエ遊木童〉も出品予定。
大和田さんと吉崎さんは、地域でとれた素材を使って会場を飾ることを計画中だ。
選定されたワイン用のブドウ蔓を編んでボールを試作。「これを天井からつり下げてみたら?」と大和田さん。
さらに、会期中開催するワークショップの内容も決定した。
Kangaroo Factoryは地元の木の実を使ったコサージュづくりのワークショップを、
吉崎さんはマクラメという組紐の技法を使った
ハンギングプランターづくりのワークショップを実施。
このほか、東京から、このイベントのためにやってくる岩切エミさんとともに
リンゴポーチをつくるワークショップも企画している。
Kangaroo Factoryは「木の実コサージュづくり」と「ミニスワッグづくり」ワークショップを開催予定。写真はスワッグで、壁飾りという意味。ドライになっても美しい植物を組み合わせて花束状にしたもの。
吉崎さんの「マクラメでつくるハンギングプランター」ワークショップは、植物をつり下げられる状態にするための紐を編んでいくというもの。インテリアのアクセントになる。
ワークショップの情報はこちら!
昨年、この企画を始めようという段階でメンバーはほんの数名だった。
それが、リンゴポーチづくりをワークショップ形式にしたり、
地元の作家に出品の声がけをしたりするなかで、
少しずつ参加の輪が広がってきているのが、とてもうれしいことだ。
何より、私はこれからこの地域に移住しようとしている段階で、
みんなとのつながりが深まっているというのは、本当に心強い。
見ず知らずの土地に移住するとき、果たして地域に馴染めるだろうかと
不安になることもあるが、このイベントがあるおかげで、
そうした不安は払拭されている。
開催までカウントダウンで、果たして自分の制作物が完成するのかヒヤヒヤだが、
このイベントでまた新しい人との出会いが生まれることを楽しみにしながら、
作業が終わるまでなんとか走りきりたいと思っている。
お近くの方は、ぜひ足を運んでくれたらうれしいです!
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