クラフトサケ醸造所〈稲とアガベ〉
岡住修兵さんがつくる、
日本酒の未来、まちの未来
男鹿を「クラフトサケ」の聖地に
2021年、秋田県男鹿市に誕生したクラフトサケ醸造所〈稲とアガベ〉。
代表の岡住修兵さんは、
男鹿を日本酒(清酒)製造免許の新規取得ができる「日本酒特区」にしようと奔走し、
「クラフトサケ」というジャンルを確立したことで注目を集めている。
酒税法において「米、米麹、水を原料に発酵させ、こしたもの」と
定義されている「日本酒(清酒)」。
その製造免許は、輸出限定には解禁されたものの、新規に取得することができない。
〈稲とアガベ〉が日本市場向けにつくるのは、日本酒の製造技術をベースにした、
こさないどぶろくや、フルーツやハーブなど副原料を加えた「その他の醸造酒」だ。

出荷準備中のどぶろく。購入できる全国の酒販店は〈稲とアガベ〉のホームページでチェックできる。
岡住さんは、これらを「クラフトサケ」と呼び、
発起人となって〈クラフトサケブリュワリー協会〉を設立。
フランスでの「SAKE」造りで注目を集める〈WAKAZE〉、
福島県の〈haccoba〉など、
近年「その他の醸造酒製造免許」を活用して各地に誕生した醸造所が
一堂に会するイベント『猩猩宴(しょうじょうえん)』を男鹿と東京・下北沢で開催した。
「クラフトサケの認知が高まることで、参入する人が増えて
サケ業界が活性化してほしいという思いもあるし、
日本酒製造の新規参入解禁にもつなげたい。
若い醸造家が活躍できる未来をつくりたいと思っています。
初めて『猩猩宴』を開催した男鹿が聖地になって、
全国から人が集まるようになってくれたらうれしい」と岡住さんは話す。

醸造所は旧男鹿駅舎を改装した建物内にある。新駅は、道の駅おが〈なまはげの里オガーレ〉の整備にともない約100メートル南に新設された。

「きっぷうりば」の表示が残る自動ドア。駅の名残がある醸造所の奥には改札があり、隣接する線路を電車が走り抜けていく。
2022年末には「TAMESHIOKE(試し桶)」シリーズとして
山梨県勝沼産のブドウ「甲州」を発酵させた「稲とブドウ」(2950円)を発表。
今後も5種類の新製品を予定している。
「副原料は、僕が人生において日本各地・世界中で出会った人たちとの縁」
と考える岡住さん。
米は秋田県産に限るが、副原料にはその制限を設けない。
「クラフトサケでは、米農家とつくり手の物語に加えて、
副原料の物語も伝えることができるおもしろさがあります。
副原料は、男鹿を知ってもらい、
男鹿に来てもらうきっかけになってくれる力があると思うのです」
