連載
posted:2022.3.31 from:神奈川県横浜市 genre:食・グルメ
PR 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉 宝酒造が発行するWEBマガジン『酒噺』とのタッグで展開する「和酒を楽しもうプロジェクト」シーズン5。タカラ「焼酎ハイボール」の最高のアテを探しに、酒ライターの岩瀬大二さんが全国の商店街へ足を運びます。
editor’s profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆
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撮影:黒川ひろみ
全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉に合う
最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
今回は、神奈川県横浜市の〈横浜中華街〉です。
商店街を歩く。
焼酎ハイボールのアテを求めて。
美味だけではない出会いがそこにはある。
横浜中華街。
日本最大級の中華街であるとか、年間約2000万人が訪れるとか、
そういった表向きの説明は不要だろう。
多くの人がここで舌鼓を打ち、思い出をつくってきたのではないか。
僕もそのひとりだ。
東京の南側で生まれ育った者として、若いころ、自分を大人に見せる場所は、
子どものころからの遊び場だった渋谷あたりではなく、
横浜であり、特に中華街は外せない場所だった。
久々に訪れた日は、3月初旬、ひと足早い春の陽気。
春休みを楽しんでいるのであろう学生たちが、まちの辻々で、
最近の流行である台湾のフライドチキン「雞排(ジーパイ)」や
スイーツを食べている姿に、あのころの自分を思い出す。
多くの人々を迎え入れる極上の観光地である中華街。
でも、ここも間違いなく、住む人の営みがあり、
ふだんの暮らしと、その延長線上の非日常がある商店街なのだ。
そのあたりの話はまた後程。
〈焼酎ハイボール〉と楽しむアテ探しに、中華街に迷い込もう。
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1軒目の目的地は〈菜香新館〉。
いかにも歴史を重ね、たくさんの幸せをつくってきたことが伝わる店構え。
中華街に来れば伝統、王道の中華料理が食べられ、
同時に目新しい発見もある。
その積み重ねが中華街の人気を不動にしてきたし、
常連にとっては安心感とわくわく感がともにある。
大きな店構えは、そうやって期待に応え、長年支えられてきたことの証。
象徴的な逸品が「元祖 海老のウエハース巻き揚げ」だ。
大ぶりの海老と筍、黄ニラを、
春巻きの皮よりも薄くしなやかな皮で包んで揚げたもの。
ウエハースと言っても一般的にイメージする洋菓子のものではない。
モチモチ感もあり食感としては、生春巻きやクレープのような感じもある。
この中に弾力のあるエビがぎっしり詰まっていて、
歯応えはブリン、プリン、ブリンと「ブ」と「プ」が交互に来るような感じ。
海老の食べ応えと軽やかな弾力と、両面を堪能する。
添えられているマヨネーズの酸味もいい。
この料理は2代目にあたる会長が香港から招聘した点心師が生み出したもの。
1983年に登場以来、常連たちに愛され、定番となった。
今年83歳になるという会長。
ホールマネージャーの矢吹優輔さんは、
「会長は食べることが大好きで、今でも私と同じくらい食べるんですよ」
と心底感心したように言う。
自分がおいしいと思ったもの、食べたいと思ったものを発見すれば
すぐにつくって、お客様に食べていただきたい。
「ここに来れば香港の伝統も新しい味も楽しめる」
というのが会長の変わらぬ思い。
そのための貪欲さ、柔軟さが、伝統と新しさ、王道と変化球を生み、
菜香新館を愛する人もまた、それを求めてやってくる。
子どもから、孫へと、時を重ねながら。
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2軒目は、〈清香園〉。
店主の高谷 清さんの料理人としてのスタートも中華街。
「1988年、中華街で一番大きな店で働いていました。当時は厨房に65人もいましたよ」
と懐かしそうに当時を振り返る。
腕を磨き、1993年に藤沢で独立開業。順調にお店は繁盛し、
2013年、本店として藤沢の店は残しつつ、高谷さんはここに帰ってきた。
「やっぱり料理人なんでここで勝負したかった。中華の料理人にとって、
ここは銀座みたいなものですから」
そして満面の笑顔で続ける。
「オーナーシェフだから何でもできる。楽しくいろんなことをやっています」
でもそれができるのも「定番がしっかりしているからこそ」だとも高谷さんは言う。
そこで個人的に大好きな中華メニューであり、
焼酎ハイボールと楽しみたいということで、王道の「酢豚」をオーダー。
酸はしっかりあるけれど、肉と野菜の甘みとあわさるとなんともバランスがいい。
肉の弾力と野菜のシャキシャキという歯応えもいい。
でも、なによりそんな理屈がどうでもよくなる定番の安心感。
焼酎ハイボールとの時間をニヤリと想像しながらお持ち帰り。
最後に向かうのは、〈金陵〉。
豚、鶏の焼き物の名店として知られ、モツ系も充実の店。
移転したために建物自体はモダンで新しいが、創業は1920年代。
現在は4代目というから歴史は古い。
ここでのお目当ては炭火焼のチャーシュー。
焼き上がりを待っていた際に、一緒に待っていた常連さんに
金陵のチャーシューの魅力を聞けば、
「ここのはね……飽きないんですよ」と深くうなずきながら。
これは楽しみだ。
浜の風と陽気に誘われ、10分ほど歩けば山下公園。
家まで我慢できずに、金陵のチャーシューをひとつまみ。
たくさんのスパイスの足し算ではなく、じんわりと肉自体の旨みが味わえる。
ほどよく冷めていることで、余計に味の深さを感じる。
あっさりしてはいるのだけれど、あっさりで片づけられない。
しっとりもしていて、旨みも歯ざわりもしっかりしている。
けれど、押しつけてこないのだ。
「飽きないんですよ」という常連さんの言葉に納得。
4代目に聞けば、中華街でもここだけ、という特注のオーブンを使用しているとのこと。
炭火×特注のオーブンに、長年のカンどころや経験が加わって、
絶妙なチャーシューに仕上がっているのだろう。
静かに焼酎ハイボールを開け、飲む。
今度は焼酎ハイボールがチャーシューの甘みを引き出す。
余韻を感じていると爽やかな春の風が港から。
炭酸の爽快感がさらに増す。
みなとみらいやベイブリッジ、新装になった大さん橋国際客船ターミナルを眺めて、
僕が楽しんできた横浜を感じれば、
氷川丸やホテルニューグランドを眺めて僕の知らない横浜の歴史も感じる。
中華街のはじまりは1859年に遡る。
横浜は世界に開かれ、そこにすでに世界を知っていた華僑たちが商売を始める。
活況を呈したが、順風満帆ではない。
日露戦争、関東大震災、日本と中国の関係に暗い影を落とし、
そして街自体も大空襲による凄惨な状況となってしまった世界大戦。
だが、中華街は不屈だった。
戦後の復興から、高度経済成長、パンダブームによる日中友好ムードを経て、
日本有数のグルメ街となり、
多くの家族や若者の思い出の地となった。
ここに来る人のお腹と心を満たしながら、
この地で暮らしを営む人も支えてきたのが中華街の料理。
どちらにも、守られてきた文化や暮らしと、新たに広がった世界があった。
ここ2年、この世の中の状況で人出はめっきり減っていた。
けれどもまた、美味を求め、まちの雰囲気を求め人々はやってくるだろう。
なにより中華街の人たちのDNAに、不屈がある。
帰宅して、しみじみと「元祖 海老のウエハース巻き揚げ」と「にらまんじゅう」、
「酢豚」と焼酎ハイボールの時間を堪能する。
焼酎ハイボールの背景にも、下町の明るさと影の歴史と、
だからこそ生まれた大衆酒場文化という物語があって。
和酒と中華、それぞれに脈々と受け継がれてきたDNAを感じた気がした。
海老の旨さと焼酎の旨みがからみ、
酢豚の甘酸っぱさと豊かな脂がハイボールの味わいにからむ。
余韻には不思議にパーッと明るくなるようなさわやかな感覚があった。
しみじみから始まって、なんだか明るい気持ちになってきた。
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ガツンときて、ウマい! も実感。飲み応えも存分。それが下町スタイル。
東京・下町生まれの元祖チューハイ(焼酎ハイボール)の味わいを追求。
キレ味と爽快感、ガツンとくる喜びを強炭酸、甘味料ゼロのテイストで、
旨みと飲み応えは、宝ならではの焼酎と、7%という絶妙なアルコール度数で。
下町の大衆酒場で愛されるスタイルだからいろいろな肴にぴったり。
糖質ゼロ、プリン体ゼロもうれしいひと缶です。
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*価格はすべて税込です。
*新型コロナウイルス感染症対策に伴う変更の可能性あり。詳しくは各店にお問い合わせください。
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