連載
posted:2022.6.29 from:東京都荒川区 genre:食・グルメ
PR 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉 宝酒造が発行するWEBマガジン『酒噺』とのタッグで展開する「和酒を楽しもうプロジェクト」シーズン5。タカラ「焼酎ハイボール」の最高のアテを探しに、酒ライターの岩瀬大二さんが全国の商店街へ足を運びます。
writer profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆
credit
撮影:黒川ひろみ
全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉に合う
最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
今回は、東京都荒川区の〈ジョイフル三の輪商店街〉です。
今回訪れるのは三の輪銀座商店街、通称「ジョイフル三の輪」。
都電荒川線の終点、三ノ輪橋停留場付近から
都電の線路と平行して伸びる商店街で、
都電荒川線の前身である王子電気軌道の開通によって形成されたというから
1913(大正2)年にまで歴史は遡れるか。
王子電気軌道の発足には渋沢栄一が株主に名を連ねるのというのも
なかなか時代を感じさせる。
エリア的には南千住から上野・浅草へと連なる場所。
江戸から東京になり、大正から昭和、そして戦後と、
発展の労働力となる人々が集まり、懸命に汗を流し、
その労働後に飯をかきこみ、酒を飲み干し、遊びにも興じてきた。
公式HPによれば“昭和レトロな商店街です”と書かれているが、
昭和レトロというよりも昭和そのもの。
匂い、息遣い、五感……
昭和へ戻っているような錯覚。アテ探し旅のタイムスリップ感。
何とも不思議な感覚のなかで
「焼酎ハイボール」と楽しむアテ探しスタート。
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1軒目は〈しらすドンドン〉。
のれんにも看板にも、その名はなく、しらすや、の文字が目印。
店につくと3人ほどの列。でも、その3人ほどが途切れない。
ひとり買い物を終えると、また次の人がやってくる。
それにしても安い。
サービス品と記されているしらすは100グラム100円。
上しらすでも100グラム150円。
いずれも丼に盛ったごはんにかければ
かなりのボリュームのしらす丼のできあがりだ。
モノはいい。日替わり、いや1日のなかでも売切れ次第、産地も変わる。
今日はサービス品が岡山産、上しらすが淡路島産。
同じ瀬戸内ながら、色、太さ、ふっくら加減などが大きく違う。
「味わいも違うのだろう」とこの後の実食に期待が膨らむ。
だいたい酒飲みは、どちらか、ではなく、どちらも。
どちらが下で上でとかではなく、どちらも価値がある。
比較して楽しみたい、なんて思うものではないだろうか。
もちろん、両方、購入だ。200グラム買っても250円だし。
「薄利多売ですから」と笑うのは店主の熊倉伸夫さん。
元々豊洲の魚卸で務め、1年半ほど前に開店。
今でも古巣の卸会社の協力があって、
名産地から豊洲に集まるセリにかかるほどのしらすを、
この値段で出せるようにしてくれていると言う。
いいものが安い。
だから、連日、人の列が切れないような繁盛店になったのだろう。
「いやいや高齢者の方も多いし、健康食、カルシウム目的でしょ」
と軽口の熊倉さんだが、毎日口に入れるもの。
やはりおいしさがなければこのお客さんの列は説明できない。
「商店街の喫茶店で、口コミで広がっているみたいですね」
なるほど、地元の商店街ならではの情報交換。
しらすを日々食す、という習慣がジョイフル三の輪にやってきた。
次の店にむかうべく、三ノ輪橋停留場側から、
次の荒川一中前停留場側方面へと歩く。
すると商店街の中に銭湯がある。
大正・昭和・平成・令和と4時代に渡り営業してきたという。
朝10時から開店。夜の労働を終えての人々も迎え入れてきたのだろう。
そういえば僕の育ったまちの商店街にもなかほどに銭湯があった。
湯上りの上気した香気と商店街の総菜や野菜の匂いがまじりあう夕刻。
あれこそが僕の昭和の商店街。
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商店街の中ほどに進むと小さな公園がオアシスのようにあって
その前には抗えない揚げたての天ぷらの匂い。
ここが目的の〈お惣菜の店・きく〉。
抗えない匂いはこの店の名物、
いやジョイフル三の輪の名物ともいえる「紅しょうが天」のもの。
「平日で100枚、土曜日にはこれを目的に来られる人も多く
200枚売れることもありますね」
と、名物女将の跡を継ぐ2代目の覚前伸仁さん。
開店から5年ほどして、関西出身の常連さんから、
故郷を偲んでリクエストされてできたものなのだとか。
「もともと天ぷらの種類は多かったんですけど、
要望に応えていたら……今どれくらいあるんだろう(笑)」
2代目はここの育ち。
昭和感は決してポジティブなことばかりではない。
覚前さんはあのころの情景を振り返る。
「昔は活気がすごくて。夕方はまっすぐなんて歩けなかったです」。
肩をぶつけながら歩いた子ども時代の思い出。
「今は、普段はこんな感じですけどね」
同じ道幅、大人になって体は大きくなって、
その道幅は狭く感じるだろうけれど、すれ違うときにはもう誰ともぶつからない。
確かに平日午後の商店街は静かな時間が流れている。
でも覚前さんのその言葉は明るくどこかカラっとも感じる。
これも商店街の移ろい。
懐かしがったり、逆に新鮮な感覚で来たりする若い人もいる。
住民も入れ替わって、また、ここを愛してくれる人々も来るだろう。
それでいいんじゃないか。
その場で紅しょうが天を食してみる。
厚くて大きく、食感も実にカラッとしていた。
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タイムスリップ寸前で商店街をあとにして、
焼酎ハイボールとの時間を堪能する。
「僕もかなりの酒好きで」と笑う熊倉さんに教わった、
焼酎ハイボールに合うというしらすレシピを試す。
ベースは冷奴。豆腐にたっぷりしらすをかけ、
そこにおろし生姜をのせ、オリーブオイルを回しかけ、
お酢をちょっとかけるという1品。
彩りと食感に大葉や大根の葉っぱ、湯がいた小松菜など好きな緑を添えて。
熊倉さんが「こればかりつまみにしています。止まらないですよ」と
悪魔的レシピと言っていたが、まさにそのとおり。
ふっくらとしたしらすを噛みしめれば、
磯というよりゆるやかで明るい海の香りが口いっぱいに広がる。
オリーブオイルと豆腐の食感が、
焼酎ハイボール特有の熟成した焼酎のまろやかさとよく絡み、
しらすのうまみとともに、じんわりとした余韻へ。
さらに炭酸と生姜、大葉の爽やかさが、海辺へと誘ってくれる。
確かに、もう、止まらない。
250グラムで十分かと思っていたけれど、もっと買っておけば、
という後悔もあるくらいだ。
昭和をそこそこ生きてきた者からすると、
リアルな昭和ってそれほど戻りたいものではなくて。
思い出のなかにあればいいのかな、と思ったりもする。
する、のだけれど、なんだか、たまにはプチタイムスリップも悪くない。
ジョイフル三の輪商店街の、空気感と五感で感じたことと、しらすと紅ショウガ天。
目を閉じ、もっと感じながら焼酎ハイボールをもうひと缶。
ガツンときて、ウマい! も実感。飲み応えも存分。それが下町スタイル。
東京・下町生まれの元祖チューハイ(焼酎ハイボール)の味わいを追求。
キレ味と爽快感、ガツンとくる喜びを強炭酸、甘味料ゼロのテイストで、
旨みと飲み応えは、宝ならではの焼酎と、7%という絶妙なアルコール度数で。
下町の大衆酒場で愛されるスタイルだからいろいろな肴にぴったり。
糖質ゼロ、プリン体ゼロもうれしいひと缶です。
information
しらすドンドン
住所:東京都荒川区南千住1-29-6
営業時間:毎月20日以降に営業日・営業時間を告知
概ね 12:00~20:00
定休日:不定休
information
お惣菜の店 きく
住所:東京都荒川区南千住1-19-2
営業時間:10:30~19:00
定休日:日曜
*価格はすべて税込です。
information
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