連載
posted:2013.11.15 from:神奈川県横須賀市 genre:食・グルメ / 買い物・お取り寄せ
sponsored by 宝酒造
〈 この連載・企画は… 〉
伝統を継承するということは、昔のものをそのまま受け継ぐだけではありません。
わたしたちの生活に合うよう工夫しながら、次世代に伝えることが、伝統を守ることにつながります。
酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、
ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案するcolocalのタッグで
「きょうのイエノミ 旅するイエノミ」はじまりはじまり。
editor’s profile
Yayoi Okazaki
岡崎弥生
おかざき・やよい●兵庫県、大阪府、神奈川県、福岡県、東京都(ちょっとだけ愛知県)と移り住み、現在は神奈川県藤沢市在住のローカルライター。最近めっきりイエノミ派となった夫のために、おつまみ作りに励む主婦でもある。
credit
撮影:山口徹花
仕事を終えたご褒美はおいしいお酒とおつまみ。
リラックスしたいなら、きょうはイエノミにしませんか。
神奈川県・横須賀市在住の料理研究家・飛田和緒さんに教わった、手軽で簡単、
しかもちょっとした旅気分が味わえる日本各地のおいしいものと
三浦半島の旬の食材を使った、和酒に合うおつまみを季節感たっぷりにご紹介していきます。
寒さが身にしみる季節になってきました。
人一倍寒がりな料理研究家・飛田和緒さんもそろそろ冬支度。
レッグウォーマーに毛糸の帽子、ひざかけにマフラーと
「いつものセット」を用意して、ようやくほっとひと安心。
ほかほかと身体が暖まる燗酒の出番も多くなりました。
この燗酒に合わせてつまみたい、飛田さんの「とっておき」が
熊本は山鹿から取り寄せる「ゆかさんちの馬刺し」。
お刺身の和えものや定番の常備菜も併せてぱぱっと食卓に並べると
おっと、なんだか妙に贅沢なイエノミに見えませんか?
これなら、ちょっとしたおもてなしにも良さそうですよね。
それにしても馬刺しに燗酒とは渋いですねー。
「あらそうかしら」と飛田さんは澄まし顔ですが
長野県、特に松本と木曽では馬肉をよく食べるため
信州に縁がある飛田さんも、馬肉×日本酒はもともとお気に入り。
ただ、東京下町の桜鍋などいろいろ食べには行くものの
「取り寄せてでも食べたいのは、ゆかさんのだけ」ときっぱり。
馬刺しが本当に好きになったのも、数年前に山鹿へ遊びに行ってから。
それは国指定重要文化財でもある明治43年築「八千代座」で
坂東玉三郎さんの公演を見た帰りのことでした。
「どうしても食べてもらいたいものがあるの」
そう友人に誘われて出向いたのが、町の中心部にあるお肉屋さん。
店構えこそ、ごく普通に見えたものの
直営レストランで馬刺しと馬鍋を食べてびっくり。
その『むらかみ』の三代目が、「ゆかさん」こと村上由香さんです。
馬肉のおいしさをより多くの人に知ってもらいたい。
そんな由香さんの思いをしっかり料理から受け取め
「ゆかさんちの馬刺し」は、飛田さんの「とっておき」になりました。
きょうも、ていねいに馬刺しを薄切りにし、手造りの特製薬味を添えて食卓へ。
撮影後にみんなでいただきましたが、もうそのお味ときたら!
とろけるような霜降りに、上品な甘みもある赤身、すーっと余韻が残るたてがみ。
ぬるめの燗酒が、これまたよく合うんですよね。
この組み合わせ、イエノミで披露したら渋いどころか喝采の嵐、間違いなしですよ。
しかし普段あまりなじみがない馬肉だけに、なにをどう取り寄せればいいのか。
電話して村上由香さんにうかがってみると
「まずはいちばん手頃な赤身がおすすめですよ」とのこと。
山鹿は熊本市の北、菊池渓谷に隣接し、阿蘇にもほど近い山あいの町です。
このあたりでは馬肉をごく当たり前に食べるため
肉うどん、肉じゃが、おでんのすじ、だご(団子)汁など、なんでも馬肉を使う。
由香さんちのお店には、地元の豚や佐賀牛も置いてあるけれど
店頭で地元の人がよく買っていくのは馬肉、それも使い勝手のいい赤身が多いそうです。
「我が家のまかないも馬ばかりです。だっておいしいから」
信頼できる牧場で、きちっと健康的に飼育された馬の肉を瞬間急速冷凍にかける。
すると、同じ霜降りや赤身でも全然しつこくない。
このおいしさをもっと知ってもらうために直営レストランでは
地元の採れたて野菜と一緒に、さまざまな料理で馬肉が味わえるんだとか。
ちなみに由香さんも、お祖父ちゃん、お父さんも日本酒好き。
馬刺しに燗酒は、地元では定番の合わせ方だったのですね。
その山鹿では、いま地元を見直す機運が盛り上がっています。
飛田さんが山鹿に行ったきっかけとなった芝居小屋「八千代座」も
ぼろぼろに放置されていたのを、なんとか復活させたいと願うお年寄りたちが
「瓦一枚運動」で募金をつのって屋根瓦をまず修復したのがスタート。
平成2年からは、市民手づくりの「坂東玉三郎舞踏公演」が始まり
去年は温泉町でもある山鹿の象徴「さくら湯」も再建。
370年前に初代肥後細川藩主が愛した湯が
まちの人の記憶に残っていた見事な姿に復活したのです。
人口が5万人台まで減ったまちに、また昔のような賑わいを取り戻したい。
そんな人々の思いがかたちになりつつある山鹿から届く「地元で愛される味」。
しみじみと飲みながら、思いを馳せたい初冬のイエノミです。
『フードサービスむらかみ』(熊本県/山鹿市)の馬刺し
●お取り寄せデータ
住所:山鹿市山鹿1698
電話:0968-43-3116
FAX:0968-43-1488
営業時間:9:00~18:30 第1・3水休
Webサイト:http://www.basashi-plaza.com/
※初めてならお手頃な赤身(200g 1200円)がお薦め。
馬刺しは胡麻油と塩、柚子胡椒、醤油漬けにんにくと一緒にどうぞ。
●柚子胡椒のつくりかた
おいしい塩と青唐辛子、薄くそぎ切りにした柚子の皮を用意。
それをミキサーにかけて粗みじんにし瓶に入れて寝かせる。
●醤油漬けにんにくのつくりかた
にんにくは皮をむき根元を切りおとして瓶に詰める。
ひたひたまで醤油を注ぎ1週間ほどおく。
黒く漬かったにんにくはもちろん、醤油も料理各種に使える。
自分でも「干し野菜」をよく作る飛田さん。
日なたの香りがする「しみじみ系」な味わいの切り干し大根も大好物。
おいしくつくるコツは、たっぷりの水できっちり戻すこと。
ふっくらおいしそうに戻るまで、ちょっと待つことが大事だとか。
そしてできれば、手造りの切り干しを買い求めてください。
油揚げは油抜きせずに使い、ちゃっちゃと全部の素材をごま油で炒めたら
お好みのだしと、砂糖、醤油同量を加えてじっくり含め煮する。
飛田さんはやや甘めの懐かしい感じの味わいに仕上げますが
それは好みに合わせてくださいね。
また切り干し大根は袋を開けるとすぐ色が変わってしまうので
多いかなと思っても、一気に料理してしまいましょう。
つくってさえあれば、絶対すぐに食べきってしまいますよ。
切り干し大根の煮物(常備菜)
●つくりかた
1 切り干し大根は流水でもむように洗う。
2 1をたっぷりの水に10~15分つけて戻す。
3 2の水気を絞って食べやすく切る。
4 にんじんと油揚げは3cm長さの細切りにする。
5 鍋にごま油を入れ、3と4を中火で炒める。
6 全体に油がなじんだら、だし汁、醤油、砂糖を加える。
7 煮汁がなくなるまで弱めの中火で煮る。
※日持ちは冷蔵保存で約1週間。
生姜のせん切りを入れてもおいしい。
魚を発酵させてつくった魚醤は、飛田さんの台所の常備品。
しょっつる、いしる、ナンプラーにニョクマムなど
どれも魚のうまみがベースですから家庭料理にも使いやすい。
だし入り醤油のノリで、いろいろと活用できる「頼れる助っ人」です。
きょうは鯛の刺身を秋田名産のしょっつるで和えましたが
これは日本酒のアテとして最高ですし、ぜひお試してくださいね。
つくりかたは簡単、刺身をしょうがと一緒にしょっつる少々で和えるだけ。
塩気が強過ぎないかだけ、ちょっと味見して確認してください。
だしで割って和えてもいいし、逆に漬けにしてお茶漬けにしてもいい。
生姜でなくても、冷蔵庫に余っている薬味ならなんでもOK。
いつもの刺身を、ちょっとオツな「酒の肴」として楽しんでください。
白身刺身のしょっつる和え(簡単つまみ)
●つくりかた
1 生姜をせん切りにする。
2 白身魚の刺身を1と一緒にしょっつるで和える。
※15~30分ほどしょっつるに漬けこんでもおいしい。
味が濃くなりすぎたら、ご飯にのせてお茶かだしをかけて召し上がれ。
レモン汁や青唐辛子、ミョウガ、さらし玉ねぎもお好みで。
日本では吉祥の印として大昔から慶ばれてきた松・竹・梅。
松は持久力、竹は成長力、梅は生命力を表し
おめでたい席には欠かせない縁起物として親しまれてきました。
その「松竹梅」を名付けた清酒は、大正9年京都・伏見で誕生しました。
なかでも「上撰松竹梅」は伝統ある蔵の「蔵付き半兵衛酵母」で仕込まれ
軽快でなめらかな味わいが特徴で、日本の代表清酒として愛されています。
どんな料理にも合わせやすい「上撰松竹梅」ですが
これからの季節、お薦めなのは「上燗」で味わうこと。
45度程度、電子レンジだと1合1分程度暖めればでき上がり。
お米の風味が華やかになるうえに、体も心も温まるので
特に女性にうれしいですね。
いま再び見直されている「お燗」のおいしさと酔い心地を
ぜひ「上撰松竹梅」とおいしいおつまみで、じっくり味わってみてください。
上撰松竹梅 1.8L
○問合せ先/宝酒造株式会社
お客様相談室
TEL 075-241-5111(平日9:00~17:00)
http://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/shochikubai/
profile
KAZUWO HIDA
飛田和緒さん
1964年東京生まれ。8年前からレーシングドライバーの夫、娘の花之子ちゃん、愛猫のクロと南葉山で暮らす。東京時代の便利な生活から一変し、早起きが習慣に。ご主人が仕事で留守がちなため、仕事はもちろん、買い出しやお弁当作りにと忙しい日々を過ごしている。毎日の食卓で楽しめる普段着の料理が得意。高校3年間を長野で暮らした経験もあり。
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