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勝手に作る商店街サンド:
懐かしさあふれるスイーツサンド!
愛媛県大洲編

LOVE、商店街
vol.019

posted:2017.8.18   from:愛媛県大洲市  genre:食・グルメ / 活性化と創生

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〈 この連載・企画は… 〉  ひとつの商店街(地域)をねり歩きながら、パンと具材を集めて勝手にサンドイッチを作る旅。
そこでしか食べられないオリジナルなサンド、果たしてどんなものができるのか?

writer profile

Kozakai Maruko

小堺丸子

こざかい・まるこ●東京都出身。読みものサイト「デイリーポータルZ」ライター。江戸っ子ぽいとよく言われますが新潟と茨城のハーフです。好きなものは犬と酸っぱいもの全般。それと、地元の人に頼って穴場を聞きながら周る旅が好きで上記サイトでレポートしたりしています。

credit / note

撮影:千葉諭

商店街サンドとは?

「商店街サンド」とは、
ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、
その土地でしか食べられないサンドイッチを作ってみる企画。
必ずといっていいほどおいしいものができ、
ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる、一石二鳥の企画なのだ。

伊予の京都、大洲(おおず)でつくる!

今回やってきたのは大洲市。
愛媛県の南予(なんよ)といわれるエリアにあり、
まちを見下ろす大洲城や、その下を流れる肱川(ひじかわ)での鵜飼い、
そして時が止まったかのような古いまち並みが見どころである。

JR伊予大洲駅からスタート! 大洲市役所商工産業課の松田 望歩(まつだ みほ)さんとつくる。

今回ご縁があり一緒にサンドをつくることになったのは松田さん。
小学校の時にふるさとCM大賞えひめに大洲市代表として出演し、
大賞をとったという生粋の大洲っ子である。

さっそく大洲名物を聞いてみたところ、
300年も続く〈いもたき〉という伝統料理があるらしい。
里芋やこんにゃく、油揚げ、鳥肉を出汁で煮るシンプルな鍋で、
夏の終わりから秋にかけて食べるそうだ。

でも、時期がもう少し先のようだし、
そもそもサンドに挟めるものではない。
ほかの食材を探そう!

食材を探しながら散策。高い建物やコンビニなどがない静かなまち並みが続く。

なんと錦鯉が泳ぐ通りが! 平均視聴率45.8%をたたき出したNHKの連続テレビ小説『おはなはん』の舞台だそう。

江戸時代から続く和菓子の〈五百原七福堂〉さん。「この辺はお寺がたくさんあるから和菓子屋が多いのよ」と教えてくれた。

しっとりした薄皮にあんこがつまった〈みかさ〉。さっそくつまみ食いしてしまった。

こちらは散策する時に着物を借りられるお店〈アンティークなずな〉。小物がたくさん。

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さすが「伊予の小京都」と呼ばれるだけあって
古いまち並みや落ち着いたお店の雰囲気が風情たっぷり。
静かで、のんびりと時が流れている。

特に私が気に入ったのは臥龍山荘という
明治に建てられた数寄屋造り。
ひと部屋ひと部屋に、職人さんによる細かい技が光ってて
説明を聞くたびホゥーッと顎をなでずにはいられなかった。

大洲に来たら絶対立ち寄りたい〈臥龍山荘〉。鵜飼が行われる川と、山のてっぺん一面につつじが咲くという冨士山(とみすやま)がまるで庭の一部のように眺められる。

障子に映った欄間の透かし彫りが美しい。

夜をイメージした部屋にはあえて暗い利休鼠(りきゅうねづ)という色で塗られ、引き手は蝙蝠。おもしろいなあ。

でも、大洲の見どころはそれだけじゃない。

こちらはまちのシンボル、赤煉瓦館。明治時代に建てられた元銀行で、昔は蚕を担保にしてお金を貸し借りしていたらしく、奥は蚕の倉庫がだったとか。無料で入れる。

その赤煉瓦館の奥には、〈ポコペン横丁〉という昭和な広場が!

数えきれないほどのホーロー看板があってフォトジェニック。毎週日曜日になるとイベントが開かれるらしい。

また、大洲はドラマ『東京ラブストーリー』の主人公・カンチの故郷でもある。リカが別れの手紙を送ったというポスト(現役)も。

いろんな時代にタイムスリップ!

先ほどまで完全に小京都だったのに、
ちょっと移動したら『ALWAYS三丁目の夕日』の世界観に変わってしまった。

どうやら大洲では江戸時代から昭和にかけて、
その時代時代を色濃く残した景色があちこちで楽しめるようなのだ。
少し歩いただけでも、このあたりは江戸時代っぽいな!
このあたりは昭和だ! といろんな景色にぶちあたって
散策がとてもおもしろい。
自分が生まれてもない明治建築に興奮させられたと思ったら、
おとうさんが葉っぱでこしらえたバッタやカエルを見て
自分の子ども時代を懐かしむことができる。
いろいろな「昔」を感じられるまちなのだ。

臥龍山荘のすぐ近くで見つけたお店。「見てって~」とおとうさん。

葉っぱでつくったサーフィンバッタやカエル。涼やかですてき! ひとつ100円。

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懐かしいまち並みにピッタリな食材が集まる!

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時代を行き来しながらしばしブラブラしてみたところ、
食べものは圧倒的に和菓子屋さんが多いことがわかった。
精肉屋さんやお魚屋さんはあるけどサンドに挟めそうなのはなかったし、
学生に人気という揚げ物屋さんは残念ながら時間外で開いてなかった。

ショッパーズという地元のスーパーや
特産品が買える〈まちの駅 あさもや〉もあるけれど、
できれば個人商店で揃えたい……。
などと粘っていたら
元気なおかあさんがやっている商店を発見。

白石商店。「おいでやす!」とおかあさん。

店頭には笑顔のゆずたちが並ぶ。柑橘類が多くとれる愛媛らしい光景だ。

東京から来たと言うと、名産のトマトをたくさんいただいてしまった。ありがたい。

大洲の霧が野菜をおいしくする!

お母さんによると、大洲では柑橘以外にも
おいしい野菜がたくさんとれるそうだ。

これといって珍しい種類があるわけではないけれど、
肥沃な土壌と、朝現れるという深い霧が関わっているらしい。
霧が出ることで野菜が水分をしっかり吸い、
そのあとたっぷり日の光を浴びることで甘さが増すのだそうだ。

見かけないお菓子だな。これ、使える気がする。

さらに、ここで気になったのが〈かきもち〉というお菓子。

大洲では家庭でもよくつくるお菓子だそうで、
大量の砂糖を入れたお餅を乾燥させたものを
焼いたり揚げたりして食べるのだそうだ。
これなら大洲に多い和菓子と合うかも。

という訳で、今回はスイーツサンドにすることに決定!

大洲市民会館の前を通る。「大」という字をモチーフにしたような建物の肩にお城が乗っていてかわいい。

その近くで見つけた駄菓子屋さん。懐かしいきなこ棒を買った。

いまではあまり見かけなくなってしまった駄菓子屋さんもあった。
そこには10円から買えるカラフルなお菓子がたくさん並んでて
小学生のとき毎日のように通っていた
近所の駄菓子屋さんを思い出す。
ああ、このまちほんと、懐かしさのオンパレードである。

喫茶店〈ninomiya〉さんでは、コーヒーのお供にもなるという鈴カステラを購入。

鵜飼いがされる肱川を渡る。都心ではなかなか見られない美しい川だ。

少し駅方面に戻ろうと肱川を渡ると、
鵜がちょうどやってきて、数十秒もぐって魚を獲っているのを見かけることができた。

奥にドッシリと構えるお城と山。
その手前には優雅に流れる川と、
パシャパシャと小さいしぶきをあげる鵜。
静と動がお互いを引き立たせ合うような光景が
とても美しかった。いいなあ、ここ。

お醤油の老舗〈梶田商店〉さんへ。仕込み中たまたま帰ってきた6代目。

プロ仕様の醤油が買える!

サンドには入れられないけど、
醤油の香りに吸い寄せられて梶田商店さんを覗いてみる。
そこにはお手ごろな価格から、
普段使いにはもったいなく感じるほどお高めのものも並んでいた。

なんでもこちらのお醬油は飲食店に卸すことが多いそうで、
プロの料理人が「これじゃなきゃ!」と言われるものを
追求してつくっているのだという。
つまりはプロ仕様のお醤油が買えるのだ。
大洲のお土産にいいかもしれない。

大洲の名産のひとつであるしいたけが入った佃煮も人気。これだけでご飯が何杯でもいける!

そんな梶田商店さんの前には、
またまた人気の老舗店〈矢野味噌〉さんがあった。

愛媛のお味噌は麦みそ特有の甘さがあるそうだ。
それなら意外とスイーツサンドに合うかも! と
バランスを考えて明るい色の味噌をチョイス。

愛媛のお味噌は甘めが多いそう。

ちょっと珍しい味噌をゲットしました!

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味噌がアクセントのスイーツサンド完成!

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そのあと、大洲名物の和菓子〈志ぐれ〉という、
ういろうに似た和菓子をゲット。
実は大洲にある和菓子屋さんのほとんどが
この志ぐれをメインとしたお店だった。
もちっとしてて甘すぎず飽きのこない味だ。

抹茶や梅、栗などいろいろなバリエーションがある〈志ぐれ〉。ひと口サイズになっていて食べやすい。

山栄堂さんは、近所の子どもが考えた志ぐれがロールケーキに入った〈志ぐれロール〉を売るようなチャレンジングなお店だった。いろいろあって迷う!

そして最後に、〈CHAMBORD(シャンボール)〉という
パン屋さんでミルクパンを手に入れた。
実はここ、大洲の人ならよく知っている
〈中野食品〉のパン工場なのだそうだ。
みんなスーパーでパンを買うことが多いので、
ここでつくられていることはあまり知られていないのだとか。
松田さんも「知りませんでした!」と興奮していた。

スーパーにも並んでおり、大洲の人ならみんな食べたことがあるというパン。

一番人気のやわらかミルクパンをゲット!

ようやく食材がそろった! 味噌屋で選んでいたのは、緑色が鮮やかなネギ味噌だった。

ネギ味噌がどうでる?!

基本的には甘めのラインナップである。
だが甘いなかでもパンチをきかせようと
思い切って入れてみたのがネギの田楽味噌だ。
本来はコンニャクや豆腐なんかにつけて食べるものらしいが、、
どう味に影響してくるかが未知数である。

ポコペン横丁に戻り、一緒につくる。

案外割れやすいかきもちや、
転がる鈴カステラと格闘すること5分。
ここでしか食べられない組み合わせのサンドが完成した。

バッタを添えて。できた~! (食べる時はきなこも挟みます。)

ネギ香る新感覚スイーツサンド完成!

大洲のまちで感じた上品さ、巧みさ、懐かしさを
表現したサンドが完成した。
説明するのは野暮ではあるが一応言うと、
上品さとは鈴カステラのあたりで、
巧みさはバッタ、懐かしさはきなこ棒やかきもちから感じ取ってもらえるとありがたい。

いただきます!

バリボリとかきもちを鳴らしながら食べてみる。
フランスパンのかたいところをかみしめてるようで
食感は心地よいぞ。
そして全体の味は……ああ! 甘い!
けどネギ味噌のおかげで甘すぎない! 結果、うまい! 

鈴カステラ、志ぐれ、きなこ、ミルクパンだけだったら
ただただ甘いで終わったのだろうけど、
塩気のあるネギ味噌が入ったおかげで味が引き締まっている。
塩チョコやみたらし団子と同じ原理で、
甘じょっぱいおいしさがあるのだ。
ほんのりネギの香りがすることをのぞけば、
完璧なスイーツサンドだ!

それに、志ぐれときなこの相性が驚くほど合ってたことと、
かきもちにゆずが隠し味で入っていて
爽やかな食後感となったことも伝えておきたい。
松田さんも「一体どうなるかと不安でしたけど、本当においしいです。
これぞ大洲! 大満足です」と笑顔。やった!
今回も大成功である。

あ、当たりが出た。もう一本!

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●大洲サンドレシピ

・白石商店さんのかきもち 480円

・駄菓子屋さんのきなこ棒6本 60円

・喫茶店ninomiyaさんの鈴カステラ 60円

・CHAMBORDさんのミルクパン 194円

・矢野味噌さんのネギ田楽味噌 410円

・山栄堂さんの志ぐれ 130円

・おとうさんのサーフィンバッタ 100円

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合計 1,434円

商店街サンド #16 -- Spherical Image -- RICOH THETA

ドラッグで画像が360度回転します。

Information


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愛媛県大洲市

住所:愛媛県大洲市ポコペン横丁一帯

Webサイト:大洲市観光ホームページ

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