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writer profile
Yu Ebihara
海老原 悠
えびはら・ゆう●コロカルエディター/ライター。生まれも育ちも埼玉県。地域でユニークな活動をしている人や、暮らしを楽しんでいる人に会いに行ってきます。人との出会いと美味しいものにいざなわれ、西へ東へ全国行脚。
ほんの少し青みがかった白と、深い青のコントラストが美しい
〈白青(Shiro Ao)〉の器。
この春東京でも発売開始となる、新しい砥部焼のブランドです。
約230年続く砥部焼の技術や文化に敬意を表しつつ、
砥部焼の新たな表現や技術へのチャレンジに挑む〈白青〉を
ひと足先に体験してきました。
〈白青〉の器を手に取ると、見た目のどっしり感に対して意外と軽い、という印象。
手に馴染むようなしっとりとした手触りで、高い高台も安定感があります。
そして特筆すべきはその使い勝手の良さ。
和食にも洋食にも中華にも合い、丈夫で割れにくいという
まさに普段使いの器にぴったりなのです。
その丈夫さから、投げつけても割れない“喧嘩器”という異名がつくほど!
強さの秘密は原料に。砥部焼の“砥”は、砥石の“砥”。
砥石の産地としても知られている砥部町で採石された砥石を
細かく砕いて磁器の原料としています。
この〈白青〉の器は、すべて手書き。
“呉須(ごす)”と呼ばれるコバルトを主成分とした藍色の顔料を
(器にもよりますが)何重にも重ねて濃い青色、コバルトブルーを表現しています。
この青の深さは瀬戸内の海の青さ・空の青さのそれ以上。
キリッと引き締まった印象で、料理を引き立て、盛り上げます。
このプロジェクトの指揮を取ったのは、
松山市出身で、砥部町で幼少期を過ごした経験もある、
upsetters architectsの建築家・ディレクターの岡部修三さん。
これまでも、愛媛みかんのジュース〈10 ten〉や、
今治タオルブランド〈伊織〉を手がけてきましたが、
愛媛県を中心に全国の地域活性のため、
さまざまな事業を手がけている株式会社エイトワン社長の大籔崇さんに誘われて
砥部焼協同組合の集まりに参加することになったことがきっかけで、
「いつかは砥部焼に関わってみたい」という想いが膨らんでいったのだと言います。
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こうして〈白青〉は2015年から本格始動。
江戸時代から続く砥部焼の歴史や、
“どの伝統や要素をこの〈白青〉に取り入れるべきか”ということまで、
砥部焼に携わる若手からベテランまでさまざまな人とディスカッションしながら、
ブランドづくりをしたのだと岡部さんは言います。
「砥部焼の手書き・手仕上げの文化に誇りを持っている職人さんが
思ったよりも多いんだなということが、プロジェクトの前後で変わった印象ですね。
産地を良くしたいという気持ちは職人さんたちも一緒でした」
と岡部さんは話をしてくれました。
展示会場でもひときわ目をひいた〈くらわんか碗・絵柄〉。
ひばり、まだい、うめ、どんぐりと、砥部に由来するモチーフを図案化しました。
白抜きには“墨はじき”という技法を用いており、
にかわが付着したハンコで、ひとつひとつ手作業でスタンプしています。
第一弾のラインナップは、くらわんか碗、鉢、蕎麦猪口、湯呑み、平皿、箸置き。
東京でも大手デパートやセレクトショップでの販売が予定されているそうですが、
道後温泉商店街〈伊織〉2階(道後本店)、松山自動車道・石鎚山SA(上り)や、
オンラインショップですでに販売されています。
今後はラインナップも職人も、デザインも増えていく予定。
一度手に取ってその良さを実感してほしい、そんなブランドです。
information
Shiro Ao
白青
Webサイト:www.shiroao.jp
オンラインストア:shiroao.jp/store
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