アーティスト志村信裕さんが
千葉県香取市に移住して
創作活動をする理由
環境を変えたいという思いから始めた家探し
見る者の記憶や感情を引き出すような映像を制作するアーティスト、志村信裕さん。
2019年から千葉県香取市に住み、金継ぎ師であるパートナーの
志村いづみさんとともに、古民家を住居兼アトリエとして活動している。

香取市の志村さんの住居兼アトリエ。
2016年~18年には、文化庁による海外研修制度でパリに滞在し、
バスク地方で羊飼いを撮影するなど「羊」をめぐる映像を撮り始め、
帰国後、成田市三里塚の農家を撮影し続けるために近くの佐倉に住んだ。
1年後に完成した作品『Nostalgia, Amnesia』は、
『21th DOMANI・明日展』(国立新美術館)で好評を博した。

志村信裕《Nostalgia, Amnesia》2019年
そんな、コンスタントに展覧会があるように見える志村さんでも
アルバイトをしないと生計は立てられず、
環境を変えて自分たちの仕事に集中したいという思いから家を探し始める。
「夫婦ともに自営業なので普通の賃貸は借りづらいんですね。
それで千葉県にゆかりのある知人に東京で偶然会ったときに、
空いている家はありませんか? ってふと聞いてみたら、
佐原に近い香取に家があると言われたんです」

庭も広大で、緑に囲まれた一軒家。
佐倉は千葉県のなかでも人口多めな東京通勤圏だったので、
不便になっても静かな香取はむしろ魅力だった。
しかし、見学したときには、空き家になってから6、7年経っていたので
家が朽ち始めており、敷地や家も大きいので、
1か月くらい考えてから踏み出したという。
大家が応援のために家賃なしで貸してくれると言ってくれたのもありがたかった。
「家に残っていた荷物の中に香取神宮のものがいろいろありました。
香取神宮の御祭神、経津主大神(ふつぬしのおおかみ)の“フツ”は、
刀剣でものが断ち切られる音ともいわれ、
刀剣を神格化した神ともいわれているんですが、
何か断ち切って決断を後押ししてくれたようにも感じたんですね」
