「ひやしたぬき」といえば、言わずと知れた「更科」の名物。
昭和3年の創業以来、地元で親しまれ続けるそば・うどんの老舗で、
年間約22万人が訪れる繁盛店です。
昼時の店内。
ネクタイ姿の会社員が続々と入って来て、あっという間に満席。
席に着くなり「ひやしたぬき!」と声を掛けると、
ひと息つく間もなく丼が運ばれてきます。その間わずか1分足らず。
「お客さんの貴重な昼休みに、待たせるわけにはいかないからね」
と、3代目店主の水野信さん。
男性客たちは豪快にそばをすすり、食べ終えるとさっと席を空けます。
お会計は自己申告。「お客さんを信頼してますから」
と、妻の久美子さんはほほ笑みます。

混雑時には客同士が自然と席を詰め合ったり相席をしたり。人情深い老舗ならではの光景が広がります。
室鰺、潤目鰯、宗田鰹をじっくり煮て取るだしがこの店の味の基礎。
たまり醤油、ざらめ、みりんを調合した秘伝の返しを合わせてつゆを作ります。
これを、信州産そば粉をよく練った自家製そばにかけ、甘辛く煮た揚げ、
サクサクの天かす、長ねぎ、わさびをのせれば「ひやしたぬき」の完成。
「皆さんが愛してくださるこの味を変えないことが私の使命」
と、話す水野さん。母、妻、息子や娘とともに、家族で暖簾を守ります。

客の8割が注文する看板メニュー。この一杯を求めて遠方から訪れる人も。ひやしたぬき 並 650円

のど越しのよい「山かけ」や、知る人ぞ知る人気メニュー「玉子丼」もぜひ。山かけそば 750円、玉子丼 650円

左から、母で2代目の妙子さん、妻の久美子さん、3代目の信さん、長男の雄一さん。「従業員も家族同然」というアットホームな雰囲気に心が和みます。