odekake
posted:2013.7.11 from:鳥取県 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
editor’s profile
Kaori Ezawa
江澤香織
えざわ・かおり●神奈川生まれ、東京在住。フリーライター。友人に誘われふらっと訪ねた鳥取の旅で、 その良さに感動し、以後、山陰と深く関わることに。「山陰旅行 クラフト+食めぐり」(マイナビ)著者。 食、旅、クラフト等を通じて、日本文化とものづくりを応援。
credit
撮影:上原朋也
取材協力:鳥取県
鳥取砂丘から兵庫県の県境のほうへ向かっていくと、
浦富海岸という、有名なリアス式海岸があります。
「山陰の松島」とも呼ばれ、断崖絶壁、洞窟や奇石など、
ダイナミックで美しい景観が見ものです。
その海岸からもほど近い場所にぽつんと一軒建っている、かわいらしい建物。
建物の脇には薪がたくさん積まれています。
店名のTORJOURSとは、フランス語で「永遠に、まだ、ずっと」などを意味する言葉。
その言葉通り、店主の稲木稔さんは日々コツコツとお菓子を作り、
真摯にお菓子と向き合っています。
「自分が本当においしいと思っているものを出せるようにしたい。
フランスの文化から学んだもの、いいものを作っている生産者から受け取った素材、
そして山陰という風土。それらを生かし、伝えていきたい」と語ります。
お店のロゴマークである天秤は、店内にも同じものが飾られています。
フランスで見つけてきたアンティークだそうです。
稔さんは天秤が好きで、理由は「人生もお菓子もバランスが肝要だから」と。
店の脇に置かれたたくさんの薪は、ガトー・ア・ラ・ブロッシュを焼くためのもの。
フランス・ピレネー地方の郷土菓子で、バウムクーヘンの原型と言われています。
長い棒をくるくると回し、生地を巻き取りながら時間をかけてゆっくりと焼いていきます。
薪の火力によって表面はパリッと、そして中はしっとりに仕上がるそうです。
でこぼこといびつな形に仕上がるのも面白く、
かりっ、ふわっ、と様々な食感が口の中で混じり合い、
粉とバターの豊かな風味がじんわりと広がります。おいしい!
ケーキは素材と季節感を大切にし、ブラックベリー、フランボワーズ、杏など、
店の回りで育てているものもあります。
鳥取ではなかなか手に入れることができない果物で、冷凍物よりおいしいから、
と自分で育てることにしたそうです。
採れたてのフランボワーズは甘みがぎゅっと詰まっていて、力強い味がしました。
生菓子、焼き菓子、コンフィチュール、そして不定期ですがパンも作っています。
(土日はあることが多いそうです)。
かまどでしっかり焼かれたパンはなかなかの人気で、
大きなカンパーニュを丸ごと買っていくお客さんもいるそうです。
毎日食べても飽きない、食事パンが中心です。
日本酒造りをヒントに、フランスの小麦で酵母を起こし、
それを使ってパンを焼いているそうです。
お店の中にはカウンター式のイートインスペースがあるので、
たくさん積まれた薪や、外の自然を眺めながら、ちょっと一休みできます。
コーヒーや紅茶にもこだわり、オーガニックのものを使っています。
回りはなんにもないけれど、ここへ来ておいしそうなお菓子たちに出会うと、
ほくほくと幸せな気持ちになれます。
information
TORJOURS
トゥジュール
住所 鳥取県岩美郡岩美町岩本688-45
TEL&FAX 0857-73-5070
営業時間 10:00~18:30 定休日 水曜日(及び月一回不定休)
http://www.toujours-m.com/
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