心からおいしいと思えるお菓子を、こつこつと丁寧に。
鳥取砂丘から兵庫県の県境のほうへ向かっていくと、
浦富海岸という、有名なリアス式海岸があります。
「山陰の松島」とも呼ばれ、断崖絶壁、洞窟や奇石など、
ダイナミックで美しい景観が見ものです。
その海岸からもほど近い場所にぽつんと一軒建っている、かわいらしい建物。
建物の脇には薪がたくさん積まれています。

店名のTORJOURSとは、フランス語で「永遠に、まだ、ずっと」などを意味する言葉。
その言葉通り、店主の稲木稔さんは日々コツコツとお菓子を作り、
真摯にお菓子と向き合っています。
「自分が本当においしいと思っているものを出せるようにしたい。
フランスの文化から学んだもの、いいものを作っている生産者から受け取った素材、
そして山陰という風土。それらを生かし、伝えていきたい」と語ります。
お店のロゴマークである天秤は、店内にも同じものが飾られています。
フランスで見つけてきたアンティークだそうです。
稔さんは天秤が好きで、理由は「人生もお菓子もバランスが肝要だから」と。

店の脇に置かれたたくさんの薪は、ガトー・ア・ラ・ブロッシュを焼くためのもの。
フランス・ピレネー地方の郷土菓子で、バウムクーヘンの原型と言われています。
長い棒をくるくると回し、生地を巻き取りながら時間をかけてゆっくりと焼いていきます。
薪の火力によって表面はパリッと、そして中はしっとりに仕上がるそうです。
でこぼこといびつな形に仕上がるのも面白く、
かりっ、ふわっ、と様々な食感が口の中で混じり合い、
粉とバターの豊かな風味がじんわりと広がります。おいしい!
ケーキは素材と季節感を大切にし、ブラックベリー、フランボワーズ、杏など、
店の回りで育てているものもあります。
鳥取ではなかなか手に入れることができない果物で、冷凍物よりおいしいから、
と自分で育てることにしたそうです。
採れたてのフランボワーズは甘みがぎゅっと詰まっていて、力強い味がしました。

生菓子、焼き菓子、コンフィチュール、そして不定期ですがパンも作っています。
(土日はあることが多いそうです)。
かまどでしっかり焼かれたパンはなかなかの人気で、
大きなカンパーニュを丸ごと買っていくお客さんもいるそうです。
毎日食べても飽きない、食事パンが中心です。
日本酒造りをヒントに、フランスの小麦で酵母を起こし、
それを使ってパンを焼いているそうです。

お店の中にはカウンター式のイートインスペースがあるので、
たくさん積まれた薪や、外の自然を眺めながら、ちょっと一休みできます。
コーヒーや紅茶にもこだわり、オーガニックのものを使っています。
回りはなんにもないけれど、ここへ来ておいしそうなお菓子たちに出会うと、
ほくほくと幸せな気持ちになれます。

平日でもひっきりなしにお客さんが訪れ、ケーキは午後になると売り切れも続出。
information
TORJOURS
トゥジュール
住所 鳥取県岩美郡岩美町岩本688-45
TEL&FAX 0857-73-5070
営業時間 10:00~18:30 定休日 水曜日(及び月一回不定休)
http://www.toujours-m.com/
